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ポルシェ、“時代に左右されない”スポーツカー 新型「911」発表会
EV「タイカン」は2019年内に日本公開、ポルシェエクスペリエンスセンターは2021年に開業
2019年5月29日 00:00
- 2019年5月28日 開催
ポルシェジャパンは5月28日、7月5日に発売する新型「911」(992型)を日本初公開した。まずは高性能バージョンの「911 カレラ S」「911 カレラ 4S」「911 カレラ S カブリオレ」「911 カレラ 4S カブリオレ」の4モデルをラインアップし、価格は1666万円~1997万円。
発表会にはポルシェジャパン 代表取締役社長の七五三木敏幸氏、執行役員 マーケティング部長の山崎香織氏、そしてポルシェAG エクステリアデザイナーの山下周一氏が登壇して新型911の概要などを紹介した。
2018年の「LAオートショー」前夜祭で世界初公開された新型911が日本初上陸。「Timeless Machine.」(時代に左右されない機械)とのサブタイトルが与えられた今回の新型911のエクステリアでは、よりワイドなホイールアーチをはじめフロント20インチ、リア21インチのホイールを採用。フロントボディは従来から45mmワイドになり、ドアと面一の電動ポップアウトハンドルの採用によってテーパーの付いた滑らかなサイドラインを際立たせるデザインに仕上げた。
また、リアまわりではワイドな可変式リアスポイラーとエレガントなシームレスのライトバーを備えた。フロントセクションとリアセクションを除くボディはアルミニウム製となっている。
インテリアでは、1970年代の911モデルを想起させる直線的なラインを特徴としたダッシュボード、ポルシェ特有の中央のレブカウンターの横に位置する2つのフレームレスの薄型自由形状ディスプレイなどを採用。標準装備のPCM(ポルシェコミュニケーションマネージメント)システムのタッチスクリーンは10.9インチとした。
搭載する水平対向6気筒ツインターボエンジンは、従来モデルを22kW(30PS)/30Nm上まわる最高出力331kW(450PS)/6500rpm、最大トルク530Nm/2300-5000rpmを発生。トランスミッションには911で初採用の8速PDKを搭載しており、これらにより最高速は+2km/hの308km/h(911 カレラ S)を、ニュルブルクリンクのラップタイムは-5秒の7分25秒をマークする。
また、新開発のウェットモードを採用するのもトピックの1つで、これは路面の水を検知し、それに基づいてコントロールシステムを調整してドライバーに知らせるというもの。ドライバーはスイッチを押すか、ステアリングのモードスイッチ(スポーツクロノパッケージ仕様)を使って安全性を重視する設定に切り替えることができる。同様に標準装備されるウォーニングおよびブレーキアシストシステムは、動く物体との衝突の危険を検知し、必要に応じてエマージェンシーブレーキを作動させる。
国内で唯一無二のドライビング体験施設は2021年に開業予定
はじめに登壇した七五三木社長は、2015年に発表した「魅力的なポルシェをご提供し続けることで、日本の消費を刺激します」「PHEVのさらなる拡大/ゼロエミッションスポーツカーの導入」「お客さまへのスポーツドライビング体験の提供」という3つの約束のコミットメント達成状況について触れ、日本国内における2018年の新車販売台数が7166台(2017年は6923台)となったこと、10年連続で対前年比を超える販売台数を記録することが2019年の目標として掲げられていることに加え、ポルシェ初のスポーツEV「タイカン」が2019年9月初旬に世界初公開されること、日本初公開を2019年内に予定していること、購入希望者が全世界で2万人以上いることなどを報告。
また、タイカン導入に伴い急速充電インフラについても触れ、「ポルシェがもたらす革新は国内でも着々と進んでいます。ポルシェジャパンとしましては、現在ABB社と独自にパートナーシップを結び、2020年半ばからの設置を目指して次世代型急速充電インフラの整備を進めています。この次世代型CHAdeMO充電器は150kW超の出力があり、これはタイカンへの80%充電を30分以内に済ませる能力を備えた世界最高レベルの急速充電器になります。全国のポルシェ正規販売店および公共施設への設置を計画しています」と述べ、充電環境を着々と進めていることをアピールした。
加えて「お客さまへのスポーツドライビング体験の提供」の場として、千葉県木更津市に設立する施設「ポルシェエクスペリエンスセンタージャパン」が2021年に開業予定であるとし、「クルマの特徴はさまざまな条件の道を自分の手で運転してみないと分からないと思います。エクスペリエンスとは運転すること、それにかかわる五感の刺激を得ることです。ポルシェエクスペリエンスセンタージャパンの設立の目的は、ポルシェオーナーの皆さまにより深くポルシェを味わっていただくという目的だけではありません。これから乗りたい、もしくはもっとポルシェを知りたいというポルシェ未体験の皆さまにもスポーツドライビングを体験していただき、理解を深めていただくこと、興味を持っていただくこと。これを目的として活用していくために作られる施設となります」と述べるとともに、「ポルシェエクスペリエンスセンタージャパンでは山桜が咲き誇り、日本の美しい自然がある国内で唯一無二のドライビング体験施設となる予定です。ここにいらっしゃればドライビングプレジャーの真髄を味わっていただけます。開業は少し先になりますが、それまで今しばらくお待ちください。新型911も存分に体験していただけることになります。ぜひご期待ください」と解説した。
なお、七五三木社長は2019年の東京モーターショーへの出展に代えて、ポルシェ独自のエキシビション「scopes Tokyo(仮)」を東京都渋谷区にある「SO-CAL LINK GALLERY」で11月中旬~12月中旬の期間限定で開催することをアナウンス。世界で3か所目の開催となるscopes Tokyo(仮)は、ポルシェが全世界的に次世代カスタマーと定義するミレニアル層に向けて、新たなブランド価値を発信・体験する場になるとし、「ポルシェは決して立ち止まることはありません。時代性を取り込み、さらにその時代の先を読み、進み続ける。まさにTimelessなブランディング活動にこれからもチャレンジしていきます」としてプレゼンテーションを締めくくった。
リアまわりはデザイン面でもっとも挑戦しがいのある部分
一方、ポルシェAG エクステリアデザイナーの山下周一氏は、山崎氏とのトーク形式で新型911のデザインについて解説を行ない、「新型911をデザインするにあたってわれわれは911をさらにスポーティに、さらに力強くするというものを意識しました。サイドビューからは、まごうことなき911のシルエットと特徴的なウィンドウグラフィックスが見て取れます。21インチにサイズアップされたリアホイールにより、さらにダイナミックに、さらに躍動的に見えます」。
「リアまわりはデザイン面でもっとも挑戦しがいのある、魅力的な部分です。分割性のない横一文字のテールランプは新型911の最大の見せ場でもあり、リアウィングと一体化された空気取り入れ口、風の流れに沿ったハイマウントストップランプ、さらにワイドになったリアスポイラーも、このクルマを一層シンプルに見せるのに役立っています」とエクステリアデザインのポイントを紹介。
また、インテリアについては「996型以来、911のインテリアは主に新しいテクノロジーに焦点を当てた縦型コンソールを強調したものになっていました。そこで新しい911では原点に立ち返り、水平基調のレイアウトと新しい素材をテーマとして開発を進めました。最新の技術を用い、タッチスクリーンに代表されるデジタルテクノロジーと、ドイツ伝統のバウハウスに代表されるシンプルかつ機能的な精緻なモノ作りの融合も、インテリアデザインのテーマの1つです。また、センターコンソールにレイアウトされたスイッチ類は非常に精緻に作られ、インテリア全体の高級感を一層高めるとともに、直観的な操作を可能とし、ドライバーが一層運転に集中できるように考えられています。伝統と革新の融合こそ、新しい911のデザインテーマなのです」と特徴点について語った。