インプレッション

新型「リーフ」と「ノート e-POWER」の氷上&雪上性能を体感(長野県女神湖/岡本幸一郎)

日産ラインアップを一気乗り

低μ路でより発揮されるリーフの強み

 日産自動車では、クルマを未来へと導く「ニッサン インテリジェント モビリティ」という取り組みを行なっている。その一環として、日産が他社をリードする電動パワートレーンを駆使した「インテリジェント・パワー」による「リーフ」や「ノート e-POWER」、あるいは「インテリジェント 4×4」を搭載した「エクストレイル」をはじめ、日産の各車が滑りやすい路面でどのような走りを見せるのかを体感するのが今回の目的だ。

 ドライブしたのは長野県のほぼ中央に位置する女神湖の凍った湖上と周辺の一般道。いろいろ乗った中で最も印象的だったのはリーフだ。まず圧雪の一般道を走行したのだが、μの低い路面で前輪駆動にもかかわらず、ほとんどスリップすることなくスムーズに発進できるころにまず驚かされた。まるで4WDのようにトラクションがある。さらにはコーナーでも、フロントに重量物がないおかげで素直にノーズが入っていき、立ち上がりで外に膨らむこともなく、キレイに狙ったラインをトレースしていける。驚くほどの走りっぷりだ。

 これにはモーターならではの応答性のよさはもとより、1万分の1秒という単位でトルクを制御していることが効いている。ものすごく緻密に、本当に滑るか滑らないかのギリギリのところを掴んでトラクションをコントロールしているからこそ、このような走りを実現できるわけだ。

試乗したのは「リーフ G」。ボディサイズは4480×1790×1540mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは2700mm。搭載するEM57型モーターは最高出力110kW(150PS)/3283-9795rpm、最大トルク320Nm(32.6kgm)/0-3283rpmを発生

 減速したいときには、アクセルOFFだけでエンジンブレーキ以上の減速度を発生する「e-Pedal」が重宝する。これによりワンペダルドライブが可能になり、アクセルOFFにするだけで走れるシチュエーションが増えるので、ブレーキペダルに踏み代える回数が大幅に減る。VDCが付いているとはいえ、ブレーキペダルを踏んで前輪にかかる荷重が大きくなると車両は少なからず不安定になる。とりわけ滑りやすい路面ではなおのこと。それをブレーキペダルをあまり踏まないで済むというのは、より大きなメリットがもたらされることになる。

 とくにリーフの場合はモーターだけでなくブレーキを併用していて、4輪すべてで減速して速度をコントロールするので、滑りやすい路面でもより安定して減速できるわけだ。とにかく2WDながら何ら不安に感じることなく、けっこうなペースで走れてしまったのはたいしたもの。初代に対しても大きく進化していて、その走りは予想をはるかに上回っていた。

 一般道では「セレナ NISMO」でも走行した。こちらも2WDなのだが、同じコースを走ると、やはりリーフのトラクション性能がいかに高いかを思い知ることとなったのは否めず。とはいえ、ロールが抑えられていて内輪もしっかり接地する感覚は雪道でも頼もしく、氷が固まってガダガタになった路面を通過したときの振動の収束も素早いことなど、足まわりのよさは雪上でも感じられた。

「セレナ ハイウェイスター」をベースにした「セレナ NISMO」にも試乗。ボディサイズは4805×1740×1850mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは2860mm。最高出力110kW(150PS)/6000rpm、最大トルク200Nm(20.4kgm)/4400rpmを発生する直列4気筒DOHC 2.0リッターエンジンと、最高出力1.9kW(2.6PS)、最大トルク48Nm(4.9kgm)を発生する「SM24」型モーターを搭載。トランスミッションにCVTを組み合わせる

駆動方式による定常円と8の字での違い

 湖の氷上ではまず、件のリーフと「スカイライン」「ジューク」という、FF、FR、4WDと駆動方式の異なる3台で定常円と8の字を試した。

 路面は一般道とは比べ物にならないくらいツルツル。そんななかでも印象がよかったのは予想どおりジュークだ。ジュークの「16GT-FOUR」は、FFベースの4WDで、しかも後輪にトルクベクトル機構が付き、車両にヨーモーメントを与えて、スポーティな走りを楽しめるよう制御する。これは円旋回でも有効で、アクセルONでリアの旋回外輪を回り込ませるように後押しし、ホイールベースが短いことも効いて、上手く回ることができるし、8の字での回頭性も気持ちよい。

 対するリーフは、前輪駆動ゆえ外に膨らもうというのをVDCが抑えるという感覚となるが、前述のとおりトラクションのコントロールが非常に緻密なことに加えて、VDCがリア内輪を回り込ませるように適宜つまんでくれるので、あまり外に膨らむこともなくしっかり前に進んでいくところがよい。

 後輪駆動のスカイラインでは、VDCの働きがいかに的確かがよく分かった。OFFでドリフト円旋回するのは、この路面では半周するのがやっと。ところがONにすると、全開でも弱アンダーステアを維持して回っていける。8の字ではONにすると回頭性がよく、OFFではカウンターステアでパイロンをクリアしていけるのもFRの醍醐味だ。

「ジューク」で唯一の4WDモデルとなる「16GT FOUR」。ボディサイズは4135×1765×1570mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2530mm。搭載する直列4気筒DOHC 1.6リッターエンジンは最高出力140kW(190PS)/5600rpm、最大トルク240Nm(24.5kgm)/1600-5200rpmを発生。トランスミッションには7速マニュアルモード付のCVTを組み合わせる

外周路で強さを見せたのは……?

 もう一方の外周路では、「ノート e-POWER」「エクストレイル」「GT-R」をドライブした。

 こうした滑りやすい路面でも、「ALL MODE 4×4i」に加えて車体振動を低減する「インテリジェントライドコントロール」、自動的にエンジンブレーキをかけてフットブレーキの操作負荷を軽減する「インテリジェントエンジンブレーキ」、4輪個別にブレーキを制御してなめらかなコーナリングを実現する「インテリジェントトレースコントロール」といった先進のシャシー制御を搭載するエクストレイルはとても走りやすい。

 100%モーター駆動のノート e-POWERも、印象のよかったリーフと共通のEM57型モーターを搭載し、同じくe-Pedalを装備しているだけあって、リーフに通じる走りやすさを感じる。ワンペダルドライブのON/OFFを試すとその恩恵がよく分かる。ただし、走りの仕上がりはリーフのほうが全体的にだいぶ上。その違いがどこにあるかというと、これまたシャシー制御にありそう。リーフもエクストレイルに準じるシャシー制御を行なっているらしく、ノートとの差は小さくない。

 トランスアクスル4WD+アテーサ E-TSを搭載するGT-Rは、とやかくいうまでもなく、ここでもやはり無敵だ。こうした状況では重さも武器になるし、リアがスライドしてもフロントが引っ張ってくれるのでドリフト状態も維持しやすい。まさしく全天候型の万能な高性能車であることをあらためて思い知らされた次第である。

「エクストレイル 20X」の4WDモデルに試乗。ボディサイズは4690×1820×1740mmで、ホイールベースは2705mm。最高出力108kW(147PS)/6000rpm、最大トルク207Nm(21.1kgm)/4400rpmを発生する直列4気筒DOHC 2.0リッターエンジンを搭載し、組み合わせるトランスミッションはCVTとなる
試乗した「ノート e-POWER」のモデルは「X ブラックアロー」で、ボディサイズは4100×1695×1520mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは2600mm。最高出力58kW(79PS)/5400rpm、最大トルク103Nm(10.5kgm)/3600-5200rpmを発生する直列3気筒DOHC 1.2リッターエンジンと、最高出力80kW(109PS)/3008-10000rpm、最大トルク254Nm(25.9kgm)/0-3008rpmを発生するEM57型モーターを搭載
無敵の走破性をみせた「GT-R」。モデルは「Premium edition」に試乗。ボディサイズは4710×1895×1370mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2780mm。最高出力419kW(570PS)/6800rpm、最大トルク637Nm(65.0kgm)/3300-5800rpmを発生するV型6気筒DOHC 3.8リッターツインターボを搭載し、トランスミッションに6速DCTを組み合わせる

 今回もいくつかの日産車を氷上と雪上でドライブして、その実力を体感したなかでも、今回は登場してまもない新型リーフと、大ヒット中のノート e-POWERが、こうして滑りやすい路面を走らせるとより一層、その優位性を発揮することがよく分かった。とりわけ電動化技術において競合他社を先行する日産の今後の展開にも大いに期待したいと思う。

雪だるまを作り放題だった女神湖

岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者の方々にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:堤晋一