イベントレポート

【フランクフルトショー 2019】フォルクスワーゲン グループナイト開催。次世代EV「ID.3」デビュー

量産モデルのベース価格は3万ユーロ未満

2019年9月9日(現地時間)開催

新型EV「ID.3」が世界初公開された

 独フォルクスワーゲングループは9月9日(現地時間)、「フランクフルトモーターショー 2019(IAA2019)」の開幕前日に各ブランドのニューモデルをモーターショーに先駆けて公開する「VOLKSWAGEN GROUP MEDIA NIGHT」を開催した。

 フランクフルトショーの会場となるMesse Frankfurtで行なわれたVOLKSWAGEN GROUP PREVIEW NIGHTでは、フォルクスワーゲンをはじめアウディ、シュコダ、ポルシェ、ベントレー、セアト、ランボルギーニなど各ブランドの展示車両が公開された。

アウディの新型EV「e-tron」
ポルシェ初のEVスポーツカー「タイカン」
ランボルギーニの新型ハイブリッド・スーパースポーツカー「シアン」

 この中で、フォルクスワーゲンはEV(電気自動車)専用の新型アーキテクチャ「MEB(モジュラー エレクトリック ツールキット)」をベースにした次世代EV(電気自動車)「ID.3(アイディ.3)」のプロダクションモデルを公開。ドイツでは2020年半ばから販売を開始し、量産モデルのベース価格は3万ユーロ未満。予想される政府補助金(大衆向け電気自動車)を控除した車両価格は一般的な小型車の価格と同等レベルになるという。

 後輪駆動モデルのID.3は、航続距離が最大420km(WLTPモード)の58kWhのバッテリー搭載車が標準仕様となり、オプションで最大330kmの45kWhのバッテリー搭載車、最大550kmの77kWhのバッテリー搭載車の3モデルを設定。特別限定モデルとして登場する「ID.3 1ST」は58kWh仕様となる。バッテリーには8年間または16万kmの保証が付与されるという。

フォルクスワーゲン グループ CEO ヘルベルト・ディース氏(写真右)らが次世代EV「ID.3」について紹介
ID.シリーズが会場を走行(1分10秒)

 ID.3の電気駆動システムは、主にパワーエレクトロニクスとギヤボックスを含む永久磁石同期モーターから構成され、これらはリアアクスルに一体化。高電圧バッテリーはアンダーボディに配置される。また、エアコン用のコンプレッサーやステアリングラックといった補助ユニットはフロントエンドにコンパクトに収められる。ID.3 1STに搭載されるモーターは最高出力150kW、最大トルク310Nmを発生し、最高速は160km/h。

 充電時間については100kWの急速充電器を使用した場合、58kWh仕様では30分間で約290km(WLTPモード)を走行できるとのこと。また、ID.3 1STでは充電料金無料のオプションが用意され、車両の登録日から1年間(または最大2000kWh)の充電料金が無料になるとのことで、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、BMW、ダイムラーAG、米フォードが展開する欧州の急速充電ネットワーク企業「IONITY」のネットワークを含む、ヨーロッパ全域の10万を超える充電ステーションが利用できるとしている。

 エクステリアデザインはゼロエミッション車であることがひと目で分かるものとし、随所にLEDテクノロジーを備えるとともに、冷却用のインテークがない特徴的なフロントセクション、象徴的で印象的なCピラー、流れるようなボディパネル、18~20インチのスポーティなアルミホイールなどを採用。ID.3 1STでは、駐車中にドライバーが近づくとフレンドリーにヘッドライトが「まばたき」するギミックも備えるという。

 ID.3のボディサイズは4261×1809×1552mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2765mm。バッテリーなど車両の装備によって異なるものの、DIN規格に準拠した最小車両重量は1719kg、最大積載量は416~541kg。前面投影面積は2.36m 2 で、Cd値は0.267。回転径は小型車並みの10.2mとしている。

ID.3のボディサイズは4261×1809×1552mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2765mm

 一方、インテリアでは短いオーバーハングにより実現したロングホイールベース、センタートンネルなしのデザインなどによって1つ上のセグメントに匹敵する居住スペースを確保。また、ダッシュボードの中央には新開発の10インチディスプレイをレイアウトし、“ID.ライト”と呼ばれる機能を採用した。これにより、例えば危険な状況が発生した場合にドライバーにブレーキをかけるよう光で促すことが可能という。

ID.3のインテリア

 また、安全装備についてはシティエマージェンシーブレーキシステム付フロントアシスト、歩行者モニタリング、マルチコリジョンブレーキ、車線維持システムのレーンアシスト、車線変更システムのサイドアシスト、リアビューカメラシステムを含むパークアシスト、照明付きドアハンドルを備えたキーレスアクセスシステムなどを搭載している。

編集部:小林 隆