イベントレポート

【東京モーターショー 2019】新型「フィット」や「Honda e」を2020年に発売し、2030年までに4輪車販売の3分の2を電動化するとホンダ 八郷社長

2019年10月23日 開幕

2019年10月25日 プレビューデー

2019年10月25日~11月4日 一般公開日

本田技研工業のプレスカンファレンスで2020年に「Honda e(ホンダ イー)」を日本で発売すると発表

 10月23日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第46回東京モーターショー2019」が開幕した。10月25日はプレビューデー、10月25日~11月4日が一般公開日となる。

 東京ビッグサイト 西1ホール(WP02/WM01)にある本田技研工業ブースでは、ホンダの2輪、4輪、汎用製品、レースマシンなどを展示。これに加え、ホンダブースでは本田技研工業 代表取締役社長 八郷隆弘氏によるプレゼンテーションが約15分にわたって行なわれた。この模様はホンダの公式YouTubeチャンネルでライブ配信が行なわれたほか、現在もアーカイブ動画を視聴可能となっている。

「第46回東京モーターショー2019」Hondaブース プレスカンファレンス(33分53秒)

新型「フィット」&「アコード」を2020年2月、「Honda e」を2020年に発売

本田技研工業株式会社 代表取締役社長 八郷隆弘氏

 八郷社長は冒頭で、先日日本に上陸して各地に大きな被害を与えた台風19号により命を落とした人の冥福を祈り、被災したすべての人に対するお見舞いの言葉を述べ、「1日も早い復旧をお祈り申し上げます」とコメントしてプレゼンテーションをスタートした。

 ホンダでは創業以来、「世の中の人々の役に立ちたい」との思いを持って各種製品を開発。移動と生活に新たな価値を提供することに取り組み続けており、新たな「2030年ビジョン」として「すべての人に“生活の可能性が拡がる喜び”を提供する」という目標を設定。このプレゼンテーションで、その2030年ビジョンを具現化していく商品、日本から世界に発信する魅力ある商品を紹介していくとした。

「すべての人に“生活の可能性が拡がる喜び”を提供する」というホンダの「2030年ビジョン」

 最初の具体例として取り上げたのは、2030年ビジョンのキーとなる「電動化」と「エネルギー」について。ホンダでは1999年11月にハイブリッドカーの「インサイト」初代モデルを発売。これまで20年以上にわたって電動化に取り組んできたほか、発動機や汎用エンジンといった「電力」や「エネルギー」を生み出す製品も多数販売。

 クルマで発電した電気を外部に給電できるようにする「Power Exporter 9000(パワーエクスポーター9000)」、電気を手軽に持ち運べるようにする着脱式バッテリー「Honda Mobile Power Pack(ホンダモバイルパワーパック)」などの製品化も進めており、エネルギーや電気で製品同士をつなげていく取り組みを通じ、エネルギーを「つくる、つかう、つながる」というサイクルを今後さらに循環させてカーボンフリー社会の実現に貢献していくと解説した。

ホンダでは車両の電動化以外にも、電気を手軽に利用できるようにする製品開発に取り組んでいる

 八郷社長はエネルギーマネジメントを含めたホンダの高効率電動化技術について「Honda e: TECHNOLOGY(ホンダ イー テクノロジー)」と新たに定義。4輪製品では電動化のコア技術となる高効率・低燃費な2モーターハイブリッドシステムを、小型車にも搭載できるよう進化させ、モーター走行を中心とする新時代のハイブリッド技術「e:HEV(イー エイチイーブイ)」とネーミング。この会場で世界初公開となった2020年2月発売予定の新型「フィット」、同じく2020年2月発売予定の新型「アコード」などで採用し、順次訴求を展開するという。

 さらに八郷社長は、右ハンドル仕様の日本市場向け車両を会場で初公開したEV(電気自動車)専売モデル「Honda e(ホンダ イー)」についても2020年に日本で発売するとコメント。e:HEVを主軸としながら、「2030年までにグローバルで4輪車販売台数の3分の2を電動化する取り組みを加速させていく」との将来ビジョンを明らかにした。

新たに定義したホンダの高効率電動化技術「Honda e: TECHNOLOGY(ホンダ イー テクノロジー)」を活用し、2030年までにグローバルで4輪車販売台数の3分の2を電動化する
「Honda e」はEVであることに加え、ホンダのAI技術を使って情報提供などを行なう「Honda Personal Assistant(ホンダ パーソナル アシスタント)」を搭載することも大きな魅力となる

 2輪製品の電動化では、ホンダはすでに量産2輪車としてハイブリッドシステムを世界初搭載した原付二種スクーターの「PCX HYBRID」、新開発の電動パワーユニットを採用する2輪EV「PCX ELECTRIC」などをリリースしているが、これに加えて配送や宅配といったビジネスユースに向け、配送拠点などで手軽にバッテリー交換できる着脱式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」を採用する電動スクーターの「BENLY e:(ベンリィ イー)」、3輪電動車「GYRO e:(ジャイロ イー)」を世界初公開。BENLY e:については2020年春に発売を予定していると発表した。

 これにより、日本の日常シーンで多用される“働くバイク”の電動化を推進。日本の街並みにより静かでクリーンな生活環境を提供することに加え、働く人の笑顔にも貢献したいと八郷社長は述べている。

電動スクーターの「BENLY e:」も2020年春に発売予定

「これこそ新しい時代のフィットだ」と八郷社長

新型「フィット」と八郷社長

 壇上でアンベールを行なって世界初公開した新型フィットについては、2001年6月に初代モデルが発売されて以来、優れたパッケージングと良好な燃費、走行性能、デザインなどが世界で評価され、3代目までに全世界で750万台以上を販売したホンダの基幹車種となっていることを紹介。

 4代目となる新型では、コンパクトカーに対する要求がとくに厳しい日本市場で評価を得るため、日本のユーザーと向き合って開発に取り組み、「次のホンダのクルマ作りの標準となるモデル」と位置付けた。

フィットは初代モデルの発売から約18年で750万台以上を販売
アンベールが行なわれ、4代目となる新型フィットが世界初公開された

 具体的には前出のe:HEVを搭載し、安全運転支援システムの「Honda SENSING(ホンダ センシング)」でホンダ車初となる「近距離衝突軽減ブレーキ」を採用するといった改良を実施。さらに車載通信モジュール「Honda CONNECT(ホンダ コネクト)」を活用する新サービスを開始する。なお、Honda CONNECTについては日本で今後発売する新型車、フルモデルチェンジ車などで順次採用していくという。

 八郷社長は新型フィットについて、走行性能や質感などに手ごたえを感じていると語り、「これこそ新しい時代のフィットだ」とアピールしている。

八郷社長は「これこそ新しい時代のフィットだ」と手ごたえを感じているという
このほかに八郷社長は、英国 マン島で行なわれたTTレースにホンダが参戦してから2019年で60周年を迎え、その記念すべき年に2輪レースで行なわれている3つの主要カテゴリー最高峰でライダーズチャンピオンを獲得したと紹介。F1でも第9戦 オーストリアグランプリで2015年の復帰以来初の優勝を挙げ、その後のドイツグランプリでダブル表彰台を実現。これからもモータースポーツ活動にチャレンジを続けていくとした

編集部:佐久間 秀