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【2025年版】国内メーカー最新バッテリEVカタログ
2025年10月17日 07:00
国内メーカーの最新BEVをまとめて紹介
自然災害や天候不順によって気候変動の問題が表面化したことで、グローバルで「CO2削減」「カーボンニュートラル」「サスティナビリティ」といった単語がトレンドワードになり、自動車産業ではHEV(ハイブリッドカー)に続く“次の一手”としてBEV(バッテリ電気自動車)が注目を集め、複数の自動車メーカーから「将来的にBEV専業メーカーになる」との声明まで出されていた。
しかし、中国でBEVメーカーが乱立して玉石混交の様相となり、バッテリやモーターの生産に使われるレアアースやレアメタルの供給が需要に追いつかない状況が見えはじめたほか、モーターを駆動する電気もAIの急速な進化によってグローバルで活用が進み、通信やデータセンターによる消費と合わせてIT技術での電力需要が加速度的に増えつつあるといった複数の要因から、BEVの販売台数の伸びが鈍化しているとも言われ始めている。
その一方で、年々さまざまな問題が起きて喫緊の課題となっている気候変動への対策という面で、各自動車メーカーがBEVを含めた車両の電動化を中長期的な取り組みの中軸に位置付けていることは変更されておらず、むしろ海外勢と比べて慎重に取り組みを進めてきた国内メーカーからも2025年に入って新型車2モデルが登場するなど、ゆっくりではあるもののBEVの普及に向けた動きが進んでいる部分もある。
本記事では次の乗り替え候補、または将来的な選択肢としてBEVの現在地を知って参考にしてもらえるよう、これまでにCar Watchで取り上げてきたモータージャーナリスト各氏による試乗記や発表記事などと合わせてモデルごとにまとめて掲載。なお、対象となるモデル数が多いので、本稿では国内メーカーの最新BEVについて紹介する。
トヨタ
「bZ4X」
車両価格:550万円~650万円
モデル紹介
「bZ4X」は2022年5月にトヨタブランド初のBEVとして発売されたモデル。「e-TNGA」の考え方に基づいてスバルと共同開発したBEV専用プラットフォームを採用し、スバルの「ソルテラ」とは兄弟車となる。車名にあるbZは「Beyond Zero」の頭文字で、「CO2の排出量ゼロを超えた価値を届ける」との想いが込められている。
5ドアハッチバックのミディアムSUVボディが与えられ、デビュー当時は前輪駆動の2WDと2つのモーターを利用する電気式4輪駆動となる4WDを用意するZグレードの単一設定となっていたが、2023年11月の一部改良で装備内容を見直して価格を50万円引き下げたGグレードを追加している。
新開発のBEV専用プラットフォームでは、薄型大容量電池パックを床下・平置きで配置したほか、モーターやトランスアクスル、インバーターなどを一体化した「eAxle」、充電機能と電力分配機能を集約した「ESU(Electricity Supply Unit)」をトヨタ車で初で採用して低重心化を追求。主要な骨格部位にホットスタンプ材や高張力鋼板を使って軽量・高剛性なボディ構造を構成。電池パックまわりやBEVユニット、ラジエータ搭載部、前後サスペンションまわりといった各部で剛性を向上させ、高剛性化を推進している。
出力制御ではアクセルレスポンスの素早さやリニアな加速感といったモーター駆動の特性を活用し、加減速のコントロールや滑りやすい路面でのスリップ抑制といった高精度な出力制御を実施。また、4WD車ではスバルが培ってきたAWD技術「X-MODE」をトヨタ車で初採用。前後モーターを独立制御して回頭性や操縦安定性を高めるほか、X-MODEの新機能となる「Grip Control」を搭載。モーター駆動の特性をフル活用して日常ユースからライトオフロード以上の走行まで対応し、BEVに対する期待を超える高い走破性を実現する。
操作系ではステアリングホイールとタイヤの間にメカニカルな結合のない「ステアバイワイヤ」とステアリングの回転角度を持ち替え不要な約±150度に設定する異形ステアリングホイールを組み合わせる「ワンモーショングリップ」を導入し、Uターンや車庫入れ、ワインディング路の走行時などにドライバーの負荷を大きく低減。
このほか、より直感的で操作性の高い「ダイヤル式シフト」、ワイパーやエアコンなども動作できる「音声認識機能」などを採用し、最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」やマルチメディアシステムなどのソフトウェアを、販売店などでの作業を経ずに性能向上させる無線通信でのOTAソフトウェアアップデートにも対応する。
アウトドアや災害時などの緊急時には、給電器を接続して大出力の電力を住宅や家電製品に供給する「DC外部給電機能」に対応。また、家庭用太陽光発電との併用により、日中は太陽光発電で家に電気を供給しながら余剰電力を給電器で車両に充電。夜間は車両に蓄えた電気を家で使うといった運用も可能となっている。
主要諸元(G・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,690×1,860×1,650mm
ホイールベース 2,850mm
最低地上高 180mm
車両重量 1900kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/ダブルウィッシュボーン
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 235/60R18(前後)
(電動機・モーター)
型式 1XM
定格出力 73.0kW
最高出力 150kW(203.9PS)
最大トルク 266Nm(27.1kgm)
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.7V
容量 201Ah
個数 96個
総電圧 355.2V
総電力量 71.40kWh
一充電走行走行距離 567km
WLTCモード交流電力量消費率 126Wh/km
試乗記
レクサス
「RZ」
車両価格:820万円~880万円
モデル紹介
2023年3月に発売された「RZ」はレクサスブランド初のBEV専用モデルであり、「bZ4X」と同じくトヨタとスバルが共同開発したBEV専用プラットフォームを採用。車名のRZは「Radiant Z-axis/Zero」という意味を持ち、英語のRadiant(輝く)と、既存BEVから一線を画すデザイン・走りの魅力を備えた新機軸(Z-axis)のクルマという想いをZ-axis/Zeroという言葉に込めて命名された。
RZはレクサスモデルの新たな開発拠点である「Toyota Technical Center Shimoyama」で開発が行なわれ、レクサスならではの走行性能である「Lexus Driving Signature」を進化。電動化技術が生み出す「レクサスらしいクルマ」という価値を、感性に訴えかける走りとデザインで体現している。
フロントマスクでは内燃機関を冷却する必要がないBEVの機能的特徴を表現し、空力性能のさらなる向上を目的として、レクサス車のアイコンである「スピンドルグリル」からボディと一体になった塊感のある造形である「スピンドルボディ」と呼ばれるデザインに変更。レクサスモデルの新たなデザインの方向性とBEVらしさを両立している。
BEV専用プラットフォームの採用に加え、バッテリやモーターの最適配置による理想的な慣性諸元、軽量で剛性の高いボディなどを実現して車両の基本性能を大幅に進化。また、電動化技術を活用する4輪駆動力システム「DIRECT4」を採用して、人とクルマがより一体となった気持ちのよいドライビングフィールを提供。DIRECT4の駆動力配分は車輪速、加速度、舵角などのセンサー情報を用いて制御を実施。前後100:0~0:100間の制御が可能で、発進加速や操縦安定性を高め、低電費に貢献する。
具体的には、発進時や直進加速時には車両のピッチングを抑え、ダイレクトな加速感が得られるよう、前後輪の駆動力をで60:40~40:60前後に制御。コーナーリング時には車速、舵角などの情報を使い、走行状態に合わせて駆動力配分を最適制御して優れた操縦安定性を実現。ステアリングの切り始めにはフロント寄りとなる75:25~50:50の駆動力配分、コーナー脱出時はリア寄りの50:50~20:80という駆動力配分にして、トラクション性能の確保や車両のピッチングなどを抑制しつつ、車体が俊敏に向きを変える気持ちのよい旋回フィーリングを発揮する。
また、システムの最大効率を発揮できるよう前後駆動力配分をコントロールして消費電力を抑制する「Rangeモード」をレクサスモデルで初採用。2005年に発売した「RX400h」からレクサスが培ってきた電動化技術と車両運動制御技術を融合させ、「ドライバーの感性に寄り添った走り」を実現する。
パワートレーンでは航続距離を高め、広い室内空間や優れたデザインを実現するため、モーター、トランスアクスル、インバーターを完全一体化してコンパクトな構造を実現した「eAxle」を採用。フロントのeAxleは前後方向に短いシステム配置を行ない、リアのeAxleは高さを抑える配置としてキャビンやラゲッジスペースを拡大している。また、リアにはSiC素子を使う高効率なインバーターを用いて航続距離を拡大している。
BEV専用プラットフォームでは、バッテリのフロア下搭載で生み出される低重心・低慣性モーメントの優れた基本性能を生かし、操縦安定性と乗り心地を高い次元で両立。気持ちのよい走りを実現するため、ラジエータサポート部の補強とV字状ブレースを追加してボディ剛性を強化して、さらにタワーバーとフェンダーブレースによってステアリング操作に対する応答性を高め、ロアバック部の補強でリアの追従性を向上させている。また、一部グレードにはフロントとリアの両方に「パフォーマンスダンパー」を追加して、ボディの無駄な動きを抑制してよりダイレクトな応答性を実現する。
足まわりでは路面入力の周波数に応じて伸び側ストロークの減衰力を変化させ、乗り心地を損なうことなく高い操縦安定性を提供する周波数感応アブソーバー「FRD II」をレクサスモデルで初採用。高剛性ボディと素性の優れたプラットフォームの特徴を最大限に引き出し、すっきりとした操舵フィーリングとリニアな応答性、操舵・加速に対する自然な姿勢変化、ばね上の動きの緻密なコントロールなどによってLexus Driving Signatureを体現する。
高度運転支援技術「Lexus Teammate」では新機能「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」と「アドバンストパーク(リモート機能付)」を採用。アドバンストドライブ(渋滞時支援)では自動車専用道路を走行しているシーンで、渋滞時(0km/h~約40km/h)に「レーダークルーズコントロール」と「レーントレーシングアシスト」を作動させていると、ドライバーが前を向いているなどの一定の条件を満たすとシステムが起動して、認知、判断、操作を車両が支援して、走行車線を維持しながら先行車両に追従する加減速と停車、再発進などを行なう。
アドバンストパーク(リモート機能付)では並列駐車時の支援機能を強化。従来のバック駐車に加えて前向き駐車にも対応し、前向き&バック出庫に対応。また、スマートキーを携帯している人が車外から専用アプリをインストールしたスマートフォンを操作することで、駐車と出庫の操作を行なえる「リモート機能」を採用している。
先進機能としては常に最新のソフトウェアに更新される「OTAアップデート」にも対応。購入後の車両にディーラーでの作業などを行なうことなく新たな機能が追加され、最新の運転支援技術が提供されてより安全・安心なクルマに進化していく。
RZは発売から2年半が経過する今秋に新型モデルの市場投入が予告されており、ステアリングとタイヤを機械的な構造で結合せず、電気信号によってタイヤの動きを制御する「ステアバイワイヤシステム」を新たに採用。さらにBEVシステムを全面刷新して走行性能を高め、航続距離の延伸や充電時間の短縮などを実現するとアナウンスされている。
主要諸元(RZ300e・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,805×1,895×1,635mm
ホイールベース 2,850mm
最低地上高 205mm
車両重量 1990kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/ダブルウィッシュボーン
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 235/60R18(前後)
(電動機・モーター)
型式 1XM
定格出力 -
最高出力 150kW(203.9PS)
最大トルク 266Nm(27.1kgm)
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.7V
容量 201Ah
個数 96個
総電圧 355.2V
総電力量 71.40kWh
一充電走行走行距離 599km
WLTCモード交流電力量消費率 120Wh/km
試乗記
関連リンク
レクサス
https://lexus.jp/
トヨタ自動車株式会社
https://global.toyota/jp/
製品情報
https://lexus.jp/models/rz/
「UX300e」
車両価格:650万円~705万円
モデル紹介
「UX300e」はコンパクトクロスオーバー「UX」をベース車両とするBEV。レクサスブランド初のBEVとして2020年から中国、欧州などの市場で販売が開始され、日本でも2020年後半から限定販売の形で市場導入がスタートした。
ベース車両のUXの持ち味である個性的なデザインや高い利便性、取りまわしのよさなどを継承しながら、BEVならではの上質な走りと優れた静粛性を追求。ドライバーの運転感覚に寄り添った自然な加減速と高出力モーターによる優れた加速性能を両立させたほか、床下配置する大容量バッテリにより低重心化と高い一充電航続距離を実現。一充電航続距離(WLTCモード)は初期の367kmから2022年10月の一部改良で450km、2023年3月の一部改良で512kmと大きく進化を果たしている。さらに最新のコネクティッド技術も採用して、BEVとしての価値を最大化しながら、運動性能や日常の使い勝手との「二律双生」を目指したモデルとなっている。
バッテリパックは井桁形状の鋼鉄製アンダーフレーム上に搭載して路面からの衝撃を軽減しながら、フロアと面で固定することによりキャビン全体の剛性を強化。これに加え、フロントではサイドメンバー間をクロスメンバーで接続し、ステアリングギヤボックスにブレースを追加して締結点の剛性を向上。リアエンドでは大断面アルミ製バンパーリインフォースと専用チューニングを行なったパフォーマンスダンパーを採用して、車両全体でバランスのとれたボディ剛性を実現。雑味のないリニアで上質な乗り心地を生み出し、レクサスモデルらしい操舵感や静粛性を兼ね備え、よりいっそう走りを楽しめるようにしている。
2024年1月に実施された一部改良では、ラジエータサポートブレースやロアバックパネル下端のガゼットなどを追加してボディ剛性を強化したほか、ボディの制振材、遮音材を適正配置してロードノイズを低減し、静粛性を高めるといった基本性能の向上を行なっている。さらに急速充電にかかる時間を約25%短縮して使い勝手を高めた。
BEVならではの優れた静粛性をさらに高めるべく、床下配置のバッテリパックに遮音壁としての機能を持たせたほか、フロントドアのドアウィンドウに「アコースティックガラス」を採用。エンジンやトランスミッションがないことで聞こえやすくなる風切り音や小石、砂などの巻き上げ音にも配慮を行ない、室内空間の心地よい静けさを提供する。
ドライバーの意図に対して忠実に反応する滑らかな加減速フィーリングを実現。加速シーンでは過度な車両のピッチ挙動を抑制する「アクセレレーションピッチコントロール」を採用し、スムーズでレスポンスのよい加速フィーリングを実現。
減速シーンでは、モーター回生ブレーキと油圧ブレーキによる制動力をバランスよく協調させ、過度な姿勢変化のない安心感の高いブレーキフィーリングを実現。また、パドルシフトの操作で減速度を4段階から選択可能として、ガソリンエンジン車のエンジンブレーキと同じように減速できるようにするなど、BEVの特性を最大限活かしながら自然な操作性を両立させている。
なお、現行モデルのUX300eは11月で生産を終了し、11月までの生産予定台数に達した時点で販売終了になるとアナウンスされている。
主要諸元(UX300e"version C"・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,495×1,840×1,540mm
ホイールベース 2,640mm
最低地上高 140mm
車両重量 1790kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/ダブルウィッシュボーン
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 215/60R17(前後)
(電動機・モーター)
型式 4KM
定格出力 -
最高出力 150kW(203PS)
最大トルク 300Nm(30.5kgm)
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.7V
容量 205Ah
個数 96個
総電圧 355.2V
総電力量 72.8kWh
一充電走行走行距離 512km
WLTCモード交流電力量消費率 141Wh/km
試乗記
関連リンク
レクサス
https://lexus.jp/
トヨタ自動車株式会社
https://global.toyota/jp/
製品情報
https://lexus.jp/models/ux300e/
日産
「アリア/アリア NISMO」
車両価格:659万100円~860万3100円(アリア)
車両価格:842万9300円~944万1300円(アリア NISMO)
モデル紹介
クロスオーバーBEVの「アリア」は、2021年6月から通常ラインアップに先駆け、特別仕様車である「アリア limited」の先行予約がスタートして市場投入されたモデル。走行用バッテリの総電力量別に66kWバッテリを搭載する「B6」と91kWバッテリを搭載する「B9」の2グレードを展開。駆動方式はフロントモーターで前輪を駆動する2WDに加え、前後2つのモーターを利用する独自の電動4輪制御技術「e-4ORCE」の4WDを設定している。
外観デザインでは日本人が持つ“本質的な美意識”を刺激する日産の新しいデザインランゲージ「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」を採用。「スリーク」「シック」「シームレス」というキーワードが設定され、シンプルでありながら力強く、かつモダンな表現によって「ニッサン インテリジェント モビリティ」技術を体現している。
フロントマスクでは4個のLEDで構成する非常に薄いヘッドライトに加えて「シグネチャーLEDポジションランプ」を採用し、白い光によって日産のデザインシグネチャーである「Vモーション」を表現。また、モーターで走るBEVはガソリンエンジン車で必要だったエンジンルーム内の冷却が不要となるため、アリアではグリル部分にスモーク調のパネルでカバー。パネル内には日本の伝統的な「組子パターン」を使い、立体的な表現を行なっている。
インテリアでも日本独自の美意識を採用。物同士の合間にある空間、連続する事象の合間にある時間を意味する「間(ま)」をキーワードとしたデザインが与えられ、お気に入りのラウンジにいるかのようなシンプルで快適な空間を提供する。
ダッシュボートには従来のような物理的なスイッチ類を置かず、クルマの電源を入れると浮かび上がるアイコンによって各種操作を実施。操作パネルは単なるタッチセンサーではなく、運転中でも操作感が分かりやすいように振動する「ハプティクススイッチ」となっている。幅広のセンターコンソールはドライバーのシートポジションなどと合わせるため前後の電動スライドが可能となっており、前方に「アドバンスド アンビエント ライティング」を備える新デザインのシフトセレクターを配置。センターコンソール内にはQi規格に対応する「ワイヤレスチャージャー」も搭載している。
新開発のBEV専用プラットフォームによってフラットで広々したフロアを実現したことに加え、従来はキャビン側に配置されていた空調ユニットをモータールームに移設。CセグメントのボディサイズでDセグメントレベルの広い室内空間を生み出した。
シートにはスリムデザインの「ゼログラビティシート」や、元々騒音が少ないBEVの魅力をさらに高めるため、遮音材を多用して静粛性を向上。乗る人すべてにストレスを感じさせない、リラックスしてくつろげる空間を実現している。
BEVを作り続けている日産のノウハウを注ぎ込んだBEV専用プラットフォームは、運転の楽しさに加えて乗る人すべての快適な移動を目指して開発。重量物であるバッテリを車体中央のフロア下に配置して、前後重量配分の均等化と低重心を実現。また、バッテリケース内にクロスメンバーを設置することで、フロアトンネルが無いフラットなフロア構造でも高い剛性を確保している。組み合わされるサスペンションでも高剛性を追求して、操縦安定性を向上させつつキャビンの揺れを抑制して快適な乗り心地を実現する。
パワートレーンでは、新開発された「AM67型」モーターで高速巡行時の消費電力を低減して、一充電航続距離を470km~640kmに拡大。充電でも最大130kWの急速充電に対応し、バッテリ温度を一定に保つ水冷式の温度調節システムを採用。30分の急速充電で最大375kmの走行を可能としている。また、アクセルペダルの踏み加減だけで発進や加速、減速までコントロールできる「e-Pedal」も搭載している。
4WDのe-4ORCEは前後2つのモーターそれぞれでトルクを個別にコントロールして、加速時のトラクション性能のほか、減速時も前後のモーターそれぞれで回生量を調整して、ブレーキによる車体の沈み込みを減少させる制御を行なって車体の揺れを抑制。ブレーキペダルが踏まれた瞬間から車体の動きを制御して、とくに助手席や後席に座る人にスムーズで安定した乗り心地を提供できるという。
コーナーリング時にもe-4ORCEは前後のトルク配分を適切に調整しながら、4輪のブレーキを個別に制御。ドライバーのステアリング操作に対して忠実な旋回力を生み出し、滑らかで心地よいハンドリングを楽しめるようにしている。
先進運転支援システムでは日産の最新運転支援技術「プロパイロット2.0」や「プロパイロット リモート パーキング」を搭載。「プロパイロット2.0」は車両に搭載する7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーを使い、白線や標識、周辺車両を検知。さらにナビゲーションシステムと3D高精度地図データも活用して、制限速度をはじめとした道路状況を把握しながら同一車線内のハンズオフ走行を実現する。
「プロパイロット リモート パーキング」は、運転席に座ることなく車外からリモコンキーを使って駐車操作を行なう機能。狭いスペースに駐車する場合でも、あらかじめ乗員が降りた状態で駐車スペースに車両を収めることが可能となる。
アリアのe-4ORCEモデルをベースに、“EV NISMOのフラグシップモデル”としてさまざまなチューニングが施された派生モデル「アリア NISMO」は2024年6月に発売。高い空力性能と風格を兼ね備えるエアロパーツ、NISMO専用チューニングが生み出す高次元のハンドリング性能と爽快な旋回性、伸びのある加速などが与えられている。
外観デザインはアリアが持つ上質さをベースとしながら、レッドラインが入るNISMO専用デザインの前後バンパー、ドア・サイドモール、リアデッキスポイラーなどの装着により、空気抵抗の低減とダウンフォースの向上を図りつつ、洗練されたスタイリングを高い次元で両立。空力性能を向上させ、NISMOモデルらしいダイナミックなパフォーマンスをアピールしている。
黒基調のインテリアでは要所にレッドアクセントを配し、上質でスポーティな車内空間を演出。スポーツ走行に合わせてホールド性とフィット感を高め、スエード&合皮コンビ表皮を使った専用シートを標準装備して車両との一体感を向上させている。また、専用オプションである「BOSE Premium Sound System」では「NISMOモード」を搭載。モードをONにするとフォーミュラEマシンのようなEVサウンドの演出が行なわれ、高揚感のある走りが楽しめるようになる。
パワートレーンでは前後モーターによるシステムの最高出力をNISMO B6 e-4ORCEはベース車の250kWから270kWに、NISMO B9 e-4ORCEは290kWから320kWに高めたほか、NISMO専用の加速チューニングを施したことで気持ちよくパワフルな加速を実現。また、「ドライブモードセレクター」には通常の4種類に加えて「NISMO」モードを追加。アクセルペダルを踏み込んだときのレスポンスを最大化して、アリア NISMOでしか味わうことのできない俊敏な加速を発揮する
4輪制御でもNISMO専用チューニングの「NISMO tuned e-4ORCE」を採用。さまざまなシチュエーションで高いトラクション性能を発揮して、電動車ならではの爽快な旋回加速を実現。さらにワインディング路などでもスポーツカーのような高いライントレース性により、思い通りのコーナーリングを可能とする。
このほかにも幅広い温度域で安定した性能を維持するブレーキパッド、コンパウンドから内部構造までこだわり抜いた専用開発タイヤ、リム幅をワイド化しながら軽量化を図り、空力性能にも貢献する専用デザインのエンケイ製20インチアルミホイールなどのアイテムを採用。シャシー面でも前後サスペンションやスタビライザーに専用のチューニングを施し、スポーティな走りとBEVらしい滑らかで上質な居住性を両立させている。
主要諸元(アリア B6・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,595×1,850×1,655mm
ホイールベース 2,775mm
最低地上高 180mm
車両重量 1920kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 235/55R19(前後)
(電動機・モーター)
型式 AM67
定格出力 45kW
最高出力 160kW(218PS)/5950-13000rpm
最大トルク 300Nm(30.6kgm)/0-4392rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 352V
総電力量 66kWh
一充電走行走行距離 470km
WLTCモード交流電力量消費率 166Wh/km
主要諸元(アリア NISMO B9 e4ORCE・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,650×1,850×1,650mm
ホイールベース 2,775mm
最低地上高 165mm
車両重量 2210kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 255/45R20(前後)
(電動機・モーター)
型式 前AM67/後AM67
定格出力 前45kW/後45kW
最高出力 前160kW(218PS)/5950-11960rpm/後160kW(218PS)/5950-10320rpm
最大トルク 前300Nm(30.6kgm)/0-4392rpm/後300Nm(30.6kgm)/0-4392rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 352V
総電力量 91kWh
一充電走行走行距離 470km
WLTCモード交流電力量消費率 166Wh/km
試乗記
関連リンク
日産
https://www.nissan.co.jp/
日産自動車株式会社
https://www.nissan-global.com/JP/
製品情報(アリア)
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/ariya.html
製品情報(アリア NISMO)
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/ariya-details/specifications/nismo.html
「リーフ/リーフ AUTECH」
車両価格:518万8700円~599万9400円(リーフ)
車両価格:651万3100円(リーフ AUTECH)
モデル紹介
日産の「リーフ」は2010年12月の発売以来、グローバルで70万台以上を販売している日産BEVの中核モデル。2017年10月に2代目に進化して各種性能を大きく高め、10月にデビューした3代目では駆動用バッテリの総電力量を従来の40~60kWhから78kWhに増大した「B7」グレードをラインアップ。WLTCモード一充電航続距離で最大702kmを実現している。また、2026年2月以降には、55kWhのバッテリを搭載して価格を抑えたベーシック仕様「B5」が追加される予定となっている。
3代目リーフではモーター、インバーター、減速機といった主要な3つのコンポーネントを一体化した「3-in-1」構造を採用する新開発のEVパワートレーンを搭載。従来比でユニット容量を10%削減する一方、モーターの最大トルクを4%向上。ローターを複数に分割し、それぞれを斜めにずらして配置する「分割スキューローター」の採用、ハウジングやモーターマウントブラケットの高剛性化などによってモーターの振動を大幅に低減。より滑らかで気持ちのよい走りと静粛性の高い快適な室内空間を実現している。
駆動用モーターは2代目に搭載していた「EM57型」から「YM52型」に変更。最高出力160kW(218PS)/4400-11700rpm、最大トルク355Nm(36.2kgm)/0-4300rpmを発生して、2代目の60kWhバッテリ搭載モデルから最大トルクを15Nm(1.5kgm)強化している。
パワートレーンの制御では、走行シーンや好みなどに合わせて加速感や減速量を変更できる「ドライブモード」に、加速と減速力を好みによってカスタマイズできる「PERSONALモード」を新たに設定。また、BEVならではの“ワンペダル感覚”を楽しめる「e-Pedal Step」、ステアリングに設置したパドルを使って回生量を調整できる「回生ブレーキコントロールパドル」も採用しており、BEVらしい爽快な走りが楽しめる。
足まわりではリアサスペンションを従来のトーションビーム式からマルチリンク式に変更。日本の道路環境に合わせた専用チューニングを施して、市街地から高速道路まであらゆるシーンにおいてフラットで快適な乗り心地を提供する。
充電性能の面では最大150kWの急速充電(CAHdeMO方式)に対応。150kWの急速充電機を利用した場合、78kWhの大容量バッテリでも充電量10%から80%まで35分で残量を回復することが可能で、長距離ドライブもストレスなく楽しめるようにしている。また、エアコン、バッテリ、モーター、車載充電器の冷熱システムを統合。車両全体の冷熱システムを一括制御することにより、発生する熱を最大限有効活用する新たなエネルギーマネジメントシステムを採用。さらに純正カーナビと連動した「ナビリンクバッテリーコンディショニング」も備え、走行ルートに応じてバッテリの昇温や冷却を自動制御することで、エネルギー消費を最適化するほか、充電速度の向上にも貢献する。
また、大容量バッテリに蓄えた電気を走行以外の目的でも活用してもらうため、充電ポートに接続する「AC外部給電コネクター」を全車に標準設定。ドアを施錠したままでも車両右側面にある普通充電ポートにAC外部給電コネクターを接続すれば、1500Wまで電力を使うことが可能となっており、アウトドアアクティビティに加え、災害時の非常用電源としても活用できる。また、車内のセンターコンソール後方とラゲッジスペース側面の計2か所に100V AC電源(1500W)を増設するオプションも用意して、車内と車外の合計で最大3000Wの外部給電に対応している。
従来モデルから採用している「V2H(Vehicle to Home)」機能も引き続き採用。自宅などにV2Hシステムを設置すれば車載する大容量バッテリから自宅に電力を供給可能となり、電力需給がひっ迫した際の電力ピークシフトや、停電といった非常時の対策として利用できる。
外観デザインは従来のハッチバックスタイルからリアがスラントしたファストバックスタイルに一新され、クロスオーバーBEVとなった。これによって美しいシルエットを実現したことに加え、空力性能も向上。空力特性まで考慮してデザインされた純正ホイールや電動格納式のアウトサイドドアハンドル、フラットさを追い求めて要所にカバーを装着するフロア下の構造などで空力性能を徹底的に磨きあげ、空気抵抗係数(Cd値)はクラストップレベルの0.26を実現。航続可能距離の拡大に貢献している。
フロントマスクには丸みを帯びた6つの長方形を並べたシグネチャーLEDポジションランプとLEDデイタイムランニングライトを備え、B7 Gグレードでは直線的なセンターLEDアクセントランプを組み合わせて個性を表現。また、LEDリアコンビネーションランプはグレードによってデザインが異なり、B7 Gグレードでは3Dホログラムの技術を世界初採用。点灯時に内側の横型長方形2個、外側の縦型長方形3個によって「II三(ニッサン)パターン」を表現する。なお、これまでフロントノーズにレイアウトされてきた充電ポートはフロントフェンダー後方に移設された。
「CMF-EVプラットフォーム」を採用したことで、インテリアはよりフラットなフロア形状と開放感のある足下スペース、使い勝手のよいラゲッジスペースを実現。インパネは横に広がり感のあるフローティングデザインとしてミニマルで落ち着いた雰囲気を演出し、日産車として初めて「調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)」を全車にオプション設定。開放感を高める広いガラスルーフは電子調光技術によってボタン操作だけでガラスの透明度を変化させられることに加え、熱反射コーティングによる遮熱機能で日差しの強い夏期でも快適な室内空間を提供する。さらにB7 Gグレードではフロントシートのヘッドレストにもスピーカーを内蔵する「Boseパーソナルプラスサウンドシステム(10スピーカー、運転席用アナウンス)」を標準装備して、より豊かな移動時間を演出する。
インパネには1枚のパネルに2つの画面を備える大型デュアルディスプレイを搭載。デジタルメーターと「NissanConnect インフォテインメントシステム」はどちらも12.3インチのワイドサイズとなり、NissanConnect インフォテインメントシステムは「Googleマップ」「Googleアシスタント」「Google Play」の各機能に対応し、多彩な情報やエンターテインメント機能をシームレスに利用可能。ナビゲーションに「Googleマップ」を利用することでGoogleアカウントとの同期が可能になり、充電スポットを予測したルート検索を利用したり、Googleアカウントで保存したルートやお気に入りのスポットなどをスムーズに表示できる。
また、NissanConnect サービスアプリ機能の「ドア to ドアナビ」により、充電残量を考慮して必要な充電を加味したルートを乗車前からナビゲーションに共有。乗車してすぐ出発することもできる。
ADAS(先進運転支援システム)ではより安心してドライブを楽しんでもらうことを目指した「360°セーフティアシスト」を搭載。自動車専用道路でのハンズオフドライブを可能として長距離運転の疲労を低減する「プロパイロット2.0」をはじめ、スムーズな駐車を支援する「プロパイロットパーキング」と「プロパイロット リモート パーキング」、後方視界を確保する「インテリジェントルームミラー」などをグレード別に設定するほか、渋滞などで加減速を繰り返すシーンでも車間距離を一定に保ち、先行車両の動きに合わせて減速して停止までサポートする「インテリジェント ディスタンスコントロール」、万が一の交通トラブルの際に映像を記録する「ドライブレコーダー(前後セット)」を標準装備して快適性と安心感を高めている。
3代目リーフをベースとして、高級感や特別感を高めたカスタムカー「リーフ AUTECH」も同時デビュー。ベースモデルのリーフ同様、まずは総電力量78kWhの駆動用バッテリを搭載する「B7」モデルから受注がスタートして、2026年2月以降に55kWhバッテリを搭載する「B5」モデルが追加される予定。
リーフ AUTECHでも既存のAUTECHモデルのように、多種多様なカスタムカー生産で培ってきた伝統あるクラフトマンシップを継承し、スポーティでありながら高級感漂うスタイリングが与えられている。
外観デザインでは低重心とワイドスタンスを印象付け、スポーティさを演出するメタル調フィニッシュを備えた専用エクステリアパーツを車体下側に装備。さらにフロントバンパーにはAUTECHブランド発祥の地である湘南・茅ヶ崎の海にインスパイアされたデザインのアイテムを採用しており、海を進むボートの後方に生じる波のパターン「航跡波」をモチーフに模様として取り入れた「シグネチャーLED」、海面の煌めきを表現するドットパターンの「シグネチャーフィニッシャー」を配置している。
また、繊細な造形で彫りの深いスポークフォルムをダーク金属調塗装で仕上げた19インチの専用アルミホイールも用意され、「存在感や優越感を満たすエモーショナルでスポーティなエクステリアデザイン」となっている。
インテリアではしっとりとした触感と包み込まれるような心地よさを備える次世代素材の「テーラーフィット」をシート表皮に採用。さらにトリム類やアームレスト、シートベルト、フロアマットなどインテリア全体をブラック基調でコーディネートしてシックで大人の雰囲気を演出している。
また、フロントシートやステアリング、インパネなどにAUTECHブランドを象徴するブルーのステッチを施し、さらに運転しているドライバーの視界に常に入るインパネにはブルーパイピングを設定。上質な素材を使い、ディテールにこだわった表現によって落ち着きとこだわりを感じさせるプレミアムな室内空間としている。
主要諸元(リーフ B7 X・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,360×1,810×1,550mm
ホイールベース 2,690mm
最低地上高 135mm
車両重量 1880kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 215/55R18(前後)
(電動機・モーター)
型式 YM52
定格出力 70kW
最高出力 160kW(218PS)/4400-11700rpm
最大トルク 355Nm(36.2kgm)/0-4300rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 353V
総電力量 78kWh
一充電走行走行距離 702km
WLTCモード交流電力量消費率 130Wh/km
主要諸元(リーフ AUTECH・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,385×1,810×1,550mm
ホイールベース 2,690mm
最低地上高 135mm
車両重量 1920kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 235/45R19(前後)
(電動機・モーター)
型式 YM52
定格出力 70kW
最高出力 160kW(218PS)/4400-11700rpm
最大トルク 355Nm(36.2kgm)/0-4300rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 353V
総電力量 78kWh
一充電走行走行距離 -
WLTCモード交流電力量消費率 -
試乗記
「サクラ」
車両価格:259万9300円~308万2200円
モデル紹介
日産「サクラ」は、日産自動車と三菱自動車工業の合弁会社「NMKV」の企画・開発マネジメントによって2022年夏に販売開始された軽自動車のBEV。生産は三菱自動車の水島工場で行なわれ、三菱自動車の「eKクロス EV」とは兄弟車になる。
コンパクトな軽ハイトワゴンボディに総電力量20kWhの駆動用バッテリを搭載。バッテリの搭載効率を高める「ユニバーサルスタック構造」で広い室内空間を確保しつつ、最高出力47kW(64PS)/2302-10455rpm、最大トルク195Nm(19.9kgm)/0-2302rpmを発生する「MM48型」モーターと組み合わせて一充電走行走行距離(WLTCモード)180kmを実現する。
強大なトルクを発生するモーターと高度な制御技術を組み合わせ、素早く滑らかな加速によって高速道路でもスムーズな合流が可能。モーター構造の最適化で軽自動車として最高水準を誇る静粛性も実現している。さらに、バッテリをフロア下に搭載する低重心構造が高い安定性を発揮して、段差通過時などのシーンでも快適な乗り心地を提供する。
制御技術では「Eco」「Standard」「Sport」の3種類からドライブモードを選択できる「ドライブモードセレクター」も全車標準装備して、シーンや気分に合わせてドライブが楽しめる。また、アクセルペダルの踏み具合だけで加減速を自在にコントロールできる「e-Pedal Step」も採用。加減速の繰り返しとなる市街地の走行中にイージードライブを実現することに加え、滑らかな減速が求められる雪道などでも安定した走りを実現する。
先進技術では日産独自の運転支援技術「プロパイロット」をGグレードで標準装備して、高速道路における単一車線での加減速とステアリング操作をアシスト。さらに駐車時に必要となるステアリング操作や前進と後退を切り替えるシフトチェンジ、アクセル&ブレーキから駐車完了となる電動パーキングブレーキまですべての工程を自動制御する「プロパイロット パーキング」を軽自動車で初搭載して、駐車が苦手な人の日常生活をサポートする。
外観では「静けさの中に潜む力強さ」を全体で表現しながら、落ち着いた大人の雰囲気を感じさせるデザインを採用。フロントマスクでは軽自動車初となるプロジェクタータイプの3眼LEDヘッドライトとアクセント機能を備えるシグネチャーLEDポジションランプの組み合わせ、薄型ライトによって先進的でエレガントなテイストを表現する。リアハッチには格子をヒントにしたワイドなLEDリアコンビネーションランプを搭載して、テールランプ全体を美しく発光させる。
ボディカラーには「四季の彩り」をイメージした2トーンの「シーズンズカラー」4種類を含め、2トーン9種類、モノトーン6種類の計15種類を用意している。
水平基調のクリーンなデザインが与えられたインテリアでは、インパネのステアリングコラムを設置する高さにカッパー色のフィニッシャーを水平ラインとして配置して、モダンで広がり感のある空間演出を実施。7インチのデジタルメーター「アドバンスドドライブアシストディスプレイ」を備え、すっきりとシンプルな2本スポークステアリングを全車で標準装備する。
車内ではインパネやドアトリムなど幅広い部分に高品質なファブリック素材を設定して、シート形状にも座り心地のよさそうなソファデザインを採用。くつろいで過ごせる雰囲気を演出している。
また、使い勝手を高めるため、スマートフォンや財布などの手荷物が置ける横長形状の「インストセンターロアトレイ」や、置いたドリンク類のぐらつきを抑制するためホールド力を高めたカップホルダーなど収納スペースにも工夫を施し、日常的な利用シーンでさりげないおもてなし感が発揮される。
Gグレードで標準装備する9インチワイドディスプレイ採用の「EV専用Nissan Connectナビゲーションシステム(地デジ内蔵)」は、デジタルメーターと水平に並べることでドライバーが視線移動しやすく見やすい設計を実施。また、ナビゲーション機能で充電を考慮したルート設定が行なえるほか、緊急時のSOSコール、Apple CarPlayワイヤレス接続などにも対応。カーライフの快適さを高める多彩な機能を用意している。
インテリアカラーでは上質感を高めるブラックを基本として、Xグレードには明るく開放感のあるベージュも設定。Gグレードではベージュ色の合皮/トリコットシートを装着する「プレミアムインテリア」のオプション選択も可能となっている。
主要諸元(X・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 3,395×1,475×1,655mm
ホイールベース 2,495mm
最低地上高 145mm
車両重量 1070kg
乗車定員 4人
サスペンション(前後) ストラット/トルクアーム式3リンク
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 155/65R14(前後)
(電動機・モーター)
型式 MM48
定格出力 20kW
最高出力 47kW(64PS)/2302-10455rpm
最大トルク 195Nm(19.9kgm)/0-2302rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 350V
総電力量 20kWh
一充電走行走行距離 180km
WLTCモード交流電力量消費率 124Wh/km
試乗記
ホンダ
「N-VAN e:」
車両価格:269万9400円~291万9400円
モデル紹介
2024年10月に発売された「N-VAN e:」はホンダの軽商用車「N-VAN」をベースにBEV化した車両。N-VANで定評ある高いユーティリティを受け継ぐべく、電動アクスルの小型化や高電圧部品の集中配置による部品専有スペースの最小化などを実施。29.6kWhの大容量バッテリを採用しつつ、N-VANの大きな特徴である低床フロアや助手席側前後ダイブダウンシートなどのパッケージ価値を継承して、商用ユースで求められる実用航続距離と大容量の荷室空間の両立を果たしている。
航続距離では一充電走行距離245km(WLTCモード)を実現しているほか、充電時間は普通充電(6.0kW)で約4.5時間、急速充電(50kW)で約30分として利便性を高めている。さらに、バッテリが高温状態のときはラジエータで冷却を行ない、低温の場合はヒーター回路の水を水加熱電気ヒーターで温め加熱する「バッテリー冷却・加温システム」も搭載。極端な温度でバッテリが性能低下しないよう制御し、特に冬季の充電時間短縮と航続距離の向上に寄与する。
ラインアップはほかの車種のようにホンダディーラーで購入できる「e:FUN」「e:L4」のほか、本田技研工業 法人営業部、またはホンダの新車オンラインストア「Honda ON」限定販売でリース契約のみの取り扱いとなる「e:L2」「e:G」の計4種類。駆動方式はいずれも前輪駆動のFFとなる。
e:FUNは商用車ながら個人ユースを主眼として装備を充実させた4人乗りモデルで、ほかのグレードではオプション設定となる急速充電ポート(外部給電機能付)を標準装備している。また、「フルLEDヘッドライト」「スマートキーシステム」「リアシートヘッドレスト」「シャージー表皮シート」などはe:FUN専用装備となる。
e:L4もe:FUNと同じく4人乗りで幅広い用途に対応するモデルとなり、先進運転支援システムの「Honda SENSING」や多彩な情報表示が可能な「7インチTFT液晶メーター」、リアワイドカメラやステアリングスイッチなどをセットにした「ナビ装着用スペシャルパッケージ」、スマートフォンなどを充電できる「充電用USBジャック(Type-C)」などがe:FUNと共通装備となる。シート表皮はe:L2、e:Gと共通のトリコット。
ビジネスユース色を強めたe:L2はシートレイアウトを運転席とその後方の2脚にしたタンデムスタイルの2人乗り仕様として、ピラーレス大開口の歩道側フロアをN-VANよりも低く設計。荷物を持ったままでもより乗り込みやすく、積載能力も向上させている。さらに助手席がないe:L2とe:Gには独自のインパネデザインが与えられ、助手席側のエアコン吹き出し口やトレーなどを簡素化してインパネを前進させ、より多くの荷物を載せられるようにしている。
e:Gは配送業務や移動店舗などの業務で車内スペースを最大限に活用できるよう、シートを運転席のみとした1人乗りモデル。床面積の最大化によって常時2.0m 2 の荷室空間を利用できる。安全運転支援システムはe:L2と共通で、「CMBS(衝突軽減ブレーキ)」「歩行者事故低減ステアリング」「路外逸脱抑制機能」「オートハイビーム」「パーキングセンサーシステム(リア)」などを標準装備する。
外観デザインは基本的にN-VANを踏襲したものとなるが、BEVとしての環境対応力をマテリアル面からもアピールするべく、フロントグリルと前後バンパーの素材としてサーキュラーマテリアルであるバンパーリサイクル材を使用。これまでにもホンダは直接見えない部分の資材としてバンパーリサイクル材を活用してきたが、N-VAN e:では初めて外装パーツに採用。
充電リッドを備えるフロントグリルは「サーキュラー スペース ブラック」と名付け、バンパーリサイクル材と「新品樹脂+添加剤」「回収塗膜粉」をミックスして使用。バンパーのリサイクル剤は塗料の細かな粒子などを敢えて見せることでリサイクル材であることをアピールし、「フロントグリルに唯一無二、世界にひとつだけの意匠を提供する」という。バンパーリサイクル材を100%使用する前後バンパーは、e:FUN、e:L4、e:L2ではボディ同色に塗装。e:Gは無塗装での装着となる。
ボディカラーはe:L2とe:Gは「タフタホワイトIII」「ルナシルバー・メタリック」の2色。e:L4では「プラチナホワイト・パール」「オータムイエロー・パール」「ボタニカルグリーン・パール」の3色が追加されることに加え、オータムイエロー・パールとボタニカルグリーン・パールにはルーフやリアハッチなどがブラック塗装となる2トーンカラーを設定。e:FUNではタフタホワイトIIIとルナシルバー・メタリックの2色と「ナイトホークブラック・パール」「ソニックグレー・パール」が入れ替わって5色になり、ソニックグレー・パールにはブラックの2トーンカラーも設定して全8種類をラインアップする。
パワートレーンで採用する「MCF7型」モーターは、e:FUNとe:L4で最高出力47kW(64PS)、e:L2とe:Gで最高出力39kW(53PS)を発生し、最大トルクは全車162Nm(16.5kgm)。ゆとりあるトルクを生かしてリニアな発進加速を実現し、ギヤ比をローレシオとしたことで最大積載量の350kgを搭載した状態でも日本各地にある旧坂をストレスなく走り切る能力が与えられている。
加速で使った電力を最大限に回収するため、ブレーキは2013年6月に発売された「アコード ハイブリッド」で市販4輪車として世界初採用した「電動サーボブレーキ」をベースとして、軽商用BEV向けのチューニングを施して搭載。ブレーキペダルの操作を電気信号で伝える電動サーボブレーキにより、回生発電を行なうモーターと油圧ブレーキを最適の割合で制御。駆動用バッテリの残量が100%に近い回生制限時以外の走行シーンで制動のほとんどを回生ブレーキで減速して、航続距離をさらに伸ばしていく。
足まわりなどの基本構造はN-VANを踏襲しているが、駆動用バッテリの搭載などによる重量増の対策を実施。ブレーキ性能を確保するためタイヤサイズを12インチから13インチにアップしてブレーキを大型化したほか、サスペンションのダンパー減衰力とスプリングレートを変更。約100kgの積載状態での走行テストによりチューニングを行ない、細かな振動や段差乗り越えの突き上げ、車体の周期的な動きなどを抑制。乗り心地を高め、走行による疲労を軽減している。
安全装備ではHonda SENSINGや安全運転支援システムに加え、軽商用バンとして初めてサイドカーテンエアバッグシステムを搭載。また、事故などの衝撃でエアバッグが展開した情報をトリガーとして、電動サーボブレーキが自動的に減速を行ない、合わせてブレーキランプを発光させて周辺車両と多重衝突する危険性を低減する「衝突後ブレーキシステム」をホンダ車として初採用している。
主要諸元(L4・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 3,395×1,475×1,960mm
ホイールベース 2,520mm
最低地上高 165mm
車両重量 1130kg
乗車定員 4人
サスペンション(前後) ストラット/車軸式
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 145/80R13(前後)
(電動機・モーター)
型式 MCF7
定格出力 39kW
最高出力 47kW(64PS)
最大トルク 162Nm(16.5kgm)
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 82.7Ah
個数 -
総電圧 358V
総電力量 -
一充電走行走行距離 245km
WLTCモード交流電力量消費率 127Wh/km
試乗記
関連リンク
ホンダ
https://www.honda.co.jp/
本田技研工業株式会社
https://global.honda/jp/
製品情報
https://www.honda.co.jp/N-VAN-e/
「N-ONE e:」
車両価格:269万9400円~319万8800円
モデル紹介
「N-ONE e:」は軽乗用車「N-ONE」をベースとした新型BEV。7月に先行情報サイトが公開されて予約の受付をスタート。9月から正式に販売が開始された。
N-ONE e:ではグランドコンセプトとして「e:Daily Partner(イー デイリー パートナー)」というキーワードを設定。日本市場で求められるBEVのあり方を追求し、「愛着の湧くエクステリアデザイン」「ゆとりある室内空間」「取りまわしのよさ」といった要素を、ホンダにおける乗用車の原点である「N360」から継承。そこにBEVならではの力強くクリーンな走りと静粛性を加えることで、幅広いユーザーから支持されるスタンダードなBEVとなることを目指して開発された。
ベースモデルのN-ONEから「室内の広さ」「使い勝手のよさ」といった長所を受け継ぎ、フロア下に搭載する駆動用バッテリを薄型化して大人4人が快適に乗車できるキャビンスペースを確保。また、リアシートには「ダイブダウン機構」「チップアップ機構」を搭載。ダイブダウン機構でリアシートを前方に倒すと、ラゲッジスペースからフロアがフラットにつながって大きな荷物を載せることも可能になる。チップアップ機構でリアシートの座面を持ち上げると背の高い荷物も積載可能になり、多彩なシートアレンジでN-ONE同等の利便性を実現している。
薄型化した大容量バッテリと組み合わせる電動パワートレーンでは、モーターや制御機器などの高電圧部品を効率よくまとめて配置し、日常使いに十分な航続距離とゆとりある室内空間を両立。N-VAN e:と同じ「MCF7型」モーターでは最高出力47kW(64PS)、最大トルク162Nm(16.5kgm)を発生してBEVならではの静かでスムーズな加速を実現するほか、扱いやすく小まわりが利くハンドリング、フロア下に配置した駆動用バッテリによる低重心設計が生み出す高い走行安定性、電動サーボブレーキによる自然で安心感のある減速特性など、運転のしやすさと快適な走りを兼ね備えている。
また、ホンダの軽乗用車として初めて「シングルペダルコントロール」を採用。アクセルペダルだけで加減速から完全停車まで操作可能となり、市街地走行や駐車などのシーンでペダルを踏みかえる煩わしさを軽減し、日常的なドライブをより快適にする。
日常生活で安心して使ってもらえるよう、一充電走行距離(WLTCモード)として295kmの航続距離を達成し、充電時間は6kWの普通充電で満充電まで約4.5時間 、CHAdeMO規格の50kW急速充電では充電量80%まで約30分となり、待機時間のストレスを軽減している。バッテリで重要な温度管理にはラジエータとヒーターを利用する「バッテリー冷却・加温システム」を採用して、外気温を問わず航続距離や充電時間が安定するよう工夫している。
このほか、大容量の駆動用バッテリに蓄えた電気を災害時の非常用電源やアウトドアレジャーなどに活用できるよう、AC外部給電器の「Honda Power Supply Connector」をオプション設定。普通充電ポートに接続するだけでAC100Vのコンセントとして利用できるようになり、最大1500Wまで出力可能でさまざまな電気製品を動かすことができる。「V2H/高出力外部給電」機能はe:Lで標準装備、e:Gでメーカーオプション設定となり、対応するDC外部給電器を利用することでN-ONE e:が住宅用蓄電池として活用できる。
基本的な外観デザインはN-ONEをベースとしつつ、BEVならではのクリーンさを表現。フロントマスクでは吸気や冷却の重要度が低下してフロントバンパーの開口部が小型化され、ヘッドライトや充電ポートのリッドは黒い樹脂パネルで一体化。その上にクラムシェルスタイルのボンネットが被さるようなシンプルな面構成となっている。
ダイレクトプロジェクション式のフルLEDヘッドライトでは3分割のリングライトがデイタイムランニングライトとウインカーを兼務。リアコンビネーションランプはホワイトリングライトを採用して、非点灯時は白く見えるルックスでクリーンなイメージをアピールしている。
インテリアでは常時視界に入るインパネ上部を薄く軽やかな造形として、四隅や角を感じさせないデザインで広がりのある車内空間を表現。インパネやドアパネルの一部、ステアリングのセンターパッドなどを同系色の明るい色使いとして、キャビン全体の一体感と水平基調の印象を強調した。
また、ボンネットとインパネ上部をフラットに仕上げることで、前方を見渡しやすく車幅感覚をつかみやすくして、安心して運転できる視界を実現している。スイッチ類はインパネ中央に集中的に配置して使いやすさを追求したほか、インパネ中段には運転席からでも手が届きやすいワイドトレーを設置して日常使いにおける利便性を高めている。
このほか、枯渇性資源の使用を可能な限り抑え、再資源化することを目的とした「リソースサーキュレーション」の取り組みをN-ONE e:でも導入。ホンダ車の廃棄バンパーを再利用した「バンパーリサイクル材」をN-VAN e:と同じくフロントグリルに採用している。インテリアでもインパネの水平アクセントに植物由来のバイオ樹脂を使い、フロアカーペットやインシュレーターには使用済みペットボトルやホンダの従業員が使用した作業服を再資源化した素材を活用している。
ADAS(先進運転支援システム)ではホンダの安全運転支援機能「Honda SENSING」を全タイプで標準装備。高速道路などでの渋滞時に走行車線をキープするようステアリング操作をアシストする「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」をホンダの軽自動車で初搭載し、「渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール」と合わせて渋滞時の運転負荷を低減する。また、衝突事故後の二次被害のリスクを軽減する「衝突後ブレーキシステム」もN-VAN e:に続いて採用している。
主要諸元(e:G・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 3,395×1,475×1,545mm
ホイールベース 2,520mm
最低地上高 140mm
車両重量 1030kg
乗車定員 4人
サスペンション(前後) ストラット/車軸式
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 155/65R14(前後)
(電動機・モーター)
型式 MCF7
定格出力 39kW
最高出力 47kW(64PS)
最大トルク 162Nm(16.5kgm)
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 82.7Ah
個数 -
総電圧 358V
総電力量 -
一充電走行走行距離 295km
WLTCモード交流電力量消費率 105Wh/km
関連リンク
ホンダ
https://www.honda.co.jp/
本田技研工業株式会社
https://global.honda/jp/
製品情報
https://www.honda.co.jp/N-ONE-e/
スバル
「ソルテラ」
車両価格:627万円~715万円
モデル紹介
スバル初のグローバルBEVとして2022年5月から受注を開始したミディアムSUV「ソルテラ」は、トヨタのbZ4Xと同じくスバルとトヨタが共同開発した、スバルでは「e-スバル グローバル プラットフォーム」と呼ぶBEV専用プラットフォームを採用。BEVならではの新しい価値に加え、スバルが長年に渡って培ってきた「安心と愉しさ」を詰め込むことで、地球環境に配慮しながらこれまでのスバル車と同様、安心して選んでもらえる実用性を備えているという。
e-スバル グローバル プラットフォームではSGP(スバル グローバル プラットフォーム)の開発などで培った知見や技術を盛り込み、走行性能や実用性、安全性など多彩な面で性能を強化。BEVならではの環境対応力と合わせ、高い動的質感も実現。フロア下に搭載する総電力量71.4kWhの大型リチウムイオンバッテリでは「水冷式温度調整システム」を採用し、環境に左右されない安定した性能を発揮。一充電走行距離は487~567km(WLTCモード)を実現している。
駆動方式では前輪駆動のFFのほか、前後独立モーター駆動式AWDを採用。スバルが長年に渡って培ってきた技術や知見を最大限に注ぎ込み、モーターの高い応答性や精度を活かした新時代のAWDシステムとなっており、モーターが前後輪を別々に駆動させることから、従来のエンジン車で搭載していたAWDシステムを超える緻密な駆動配分を可能にして、常に4輪でしっかりと路面を捉える安心感ある走りを提供する。
さらにSUVで求められる高い悪路走破性を実現するため、ヒルディセントコントロール付きの「X-MODE」を採用。「SNOW/DIRT」「DEEP SNOW/MUD」の2つのモードを備え、前後2モーターの力強いトルクと優れたレスポンスを活かして悪路からのスムーズな脱出をサポートする。また、悪路走行時にドライバーが設定した一定の車速(約2~10km/h)になるよう自動でアクセルントロールを行ない、ドライバーがステアリング操作に集中できるようにする「グリップコントロール」もX-MODEの新機能として追加しており、アクセルやブレーキ操作の難しい凹凸の大きな悪路や滑りやすい路面を通過する際にドライバー負荷を大きく軽減してくれる。
ADAS(先進運転支援システム)では、スバルが“ぶつからないクルマ”として磨き上げてきた予防安全パッケージ「SUBARU Safety Sense」に、BEVとのマッチングを考慮したチューニングを行なって搭載。フロントウィンドウの単眼カメラとフロントグリルのミリ波レーダーで車両前方の状態を検知して、クルマや2輪車、歩行者などと衝突する危険性を抑制する「プリクラッシュセーフティ」などにより、さまざまなシーンでドライバーの安全運転を支援する。
2023年10月に行なわれた一部改良ではSUBARU Safery Senseの機能を拡充し、渋滞時の疲労を軽減して長時間の運転をサポートする「アドバンスドドライブ(渋滞時支援)」と「LCA(レーンチェンジアシスト)」、見通しのわるい交差点での衝突回避をサポートする「FCTA(フロントクロストラフィックアラート)」を追加。
さらに、後方車両に追突される可能性が高いとシステムが判断した場合にハザードランプを高速点滅させて後方車両に向けて注意喚起する「接近警報」、停車中に後方から接近する車両の衝突が避けられない場合にブレーキを作動させ、衝突後の二次衝突被害の回避・軽減を図る「セカンダリーコリジョンブレーキ(停車中後突対応)」などの機能の新たに採用して安全性能を高めている。
先進機能では「並列バック駐車」「並列前向き駐車」「並列前向き出庫」「並列バック出庫」「縦列駐車」「縦列出庫」の6つのパターンで駐車・出庫を支援する「Advanced Park」を搭載。超音波センサーとビューカメラが車両周辺の状況を検知して、ステアリング、シフトチェンジ、アクセル&ブレーキといったすべての操作を自動制御して駐車スペースにクルマを収めることができる。上級グレードの「ET-HS」ではスマホアプリでの操作に対応。アクセスキーを携帯したドライバーがアプリを使い、Advanced Parkの駐車機能をリモート操作できる。
「都会・自然のなかで存在感を主張するBOLDER SUV」というデザインコンセプトから生み出された外観デザインでは、スバル共通のデザインフィロソフィ「Dynamic×Solid」をベースとしつつ、さらに大胆(BOLDER)な表現を実施。SUVとしての高い性能を表現するダイナミックな造形に優れた空力性能を融合させ、航続距離の伸長も図っている。
フロントマスクではスバル車を象徴する大型のヘキサゴンモチーフを中心に配置して、SUVらしい力強さとBEVの先進性を表現。サイドでは前後の大型ホイールアーチでSUVらしい逞しさを表現し、前傾姿勢による低重心でスポーティなシルエットを形作っている。リヤビューではタイヤを強調することによって低重心で力強いスタンスを生み出し、特徴的なリヤコンビネーションランプや空力形状でBEVらしさをアピールする。
インテリアでは「運転の愉しさと、くつろぎの開放空間の融合」をデザインコンセプトとして設定。高さを抑えたインパネとモジュール化によるコクピットデザインを採用し、インフォテインメントシステムを12.3インチの大型ディスプレイに集約させてすっきりとしたセンターコンソールを実現した。また、キャビンの開放感をさらに高める「パノラマムーンルーフ」をメーカーオプションとして用意している。
メーターはステアリングホイールの上から見る位置に配置する「トップマウントメーター」を採用。ドライバーの視線移動を低減しながら優れた視認性を確保し、フードレスで先進性を感じさせるデザインとなっている。また、2023年10月の一部改良で「オーバルステアリングホイール」を採用。ステアリングホイールの上下を直線的な形状にしてメーターの視認性を高め、先進性とスポーティ感を演出している。
シートではフロントシートの運転席と助手席、リアシートの左右2か所に3段階の温度調節が可能な「シートヒーター」を採用し、乗降時に運転席の電動シートが最後端位置まで移動する「運転席オートスライドアウェイ」も全車標準で装備。上級グレードのET-HSではタンカラーの本革シートを採用して、背もたれと座面に熱や湿気がこもらないように吸い出す「フロントシートベンチレーション」を採用。“電費”に大きく影響するエアコンの作動を抑えてもくつろいで過ごせるよう工夫している。
このほか、SUVとしてのラゲッジスペースの積載性にこだわり、9.5インチのゴルフバックが4個入る容量を確保。荷室高を2段階に調節できるフロアボードを下段に設定した場合、VDA法で464L(ET-SSグレードは475L)という大容量の荷室空間を実現している。
主要諸元(ET-HS・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,690×1,860×1,650mm
ホイールベース 2,850mm
最低地上高 210mm
車両重量 1910kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/ダブルウィッシュボーン
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 235/50R20(前後)
(電動機・モーター)
型式 前1YM/後1YM
定格出力 前59kW/後59kW
最高出力 前80kW/4535-12500rpm/後80kW/4535-12500rpm
最大トルク 前169Nm/0-4535rpm/後169Nm/0-4535rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 355.2V
総電力量 71.4kWh
一充電走行走行距離 487km
WLTCモード交流電力量消費率 148Wh/km
試乗記
関連リンク
スバル
https://www.subaru.jp/
株式会社SUBARU
https://www.subaru.co.jp/
製品情報
https://www.subaru.jp/solterra/
三菱自動車
「eKクロス EV」
車両価格:256万8500円~313万1700円
モデル紹介
三菱自動車工業と日産自動車の合弁会社「NMKV」が企画・開発マネジメントを行なって2022年夏に販売がスタートした「eKクロス EV」は三菱自動車・水島工場で生産され、日産「サクラ」とは兄弟車になる。
ガソリンエンジンを搭載するSUVテイストの軽ハイトワゴン「eKクロス」をベースとしたBEVで、フロア下に搭載する総電力量20kWhの駆動用バッテリによって日常使いに十分な一充電走行走行距離(WLTCモード)180kmを実現。ベース車のeKクロス同等となる広々と快適な室内空間と使い勝手のよさを備えつつ、最高出力47kW(64PS)/2302-10455rpm、最大トルク195Nm(19.9kgm)/0-2302rpmを発生する「MM48型」モーターの搭載により、BEVらしい滑らかで力強い加速性能、圧倒的な静粛性と良好な乗り心地を手に入れ、さらに先進的な運転支援機能とコネクティッド技術を活用して快適性と利便性を引き上げている。
走行面ではeKクロス ガソリンターボモデルの2倍近い最大トルクを発生するモーターを活用して力強い加速性能を実現。ストップ アンド ゴーの繰り返しとなる市街地走行でもキビキビと思い通りに走り、高速道路ではスムーズな本線合流が可能になる。
また、センターコンソールのボタンを押すことでモード切替を行ない、市街地走行に最適なノーマル、モーター出力を抑えて電費を向上させるエコ、アクセルレスポンスを高めて爽快に走れるスポーツの3種類を選択できる「ドライブモード」を用意して、運転状況に応じて切り替えられるようにしている。
さまざまな天候や路面で安心して運転できるよう、滑りやすい路面での発進をサポートする「グリップコントロール」を全車に標準装備。雪道や泥でぬかるんだ路面で片輪がスリップした場合、空転中の車輪にブレーキを働かせ、グリップ力のある車輪により大きな駆動力を与えて走破性を高め、安心感のある走りを実現する。
さらに、アクセルペダルの操作だけで加減速をコントロールできる「イノベーティブペダル オペレーションモード」を採用。減速時にペダルをアクセルからブレーキに踏み替えなくても多くのシーンで適切な制動力が得られ、操作のわずらわしさや疲労を軽減する。
基本構造ではフロア下に重量物である駆動用バッテリをレイアウトする一方、ルーフパネルに肉厚の薄い鋼板を使って低重心化を追求。コーナーリング時のロールを抑制して安定感を高めている。また、前後重量配分も56:44として4輪の接地荷重を最適化。サスペンションに専用チューニングを行なって軽快感と安定感を両立し、気持ちのよい操縦性と質感の高い落ち着きある乗り心地を両立させた。
搭載する大容量の駆動用バッテリは、V2H(Vehicle to Home)機器と接続することで自宅などの電源としても利用可能。電力使用量が多い日中には駆動用バッテリの電力を家庭内で使用して、夜間に駆動用バッテリーを充電するといった使い分けにより、電力のピークシフトに貢献できる。さらに停電などが発生した時は、一般家庭で必要となる約1日分の電力をまかなう頼もしい非常用電源として活躍する。また、V2L(Vehicle to Load)機器を組み合わせれば、キャンプなどのアウトドアレジャーを楽しんでいるときに電化製品などを利用できる。
外観デザインはSUVテイストのeKクロスをベースとしつつ、ダーククロムメッキを施したパネルスタイルのフロントグリルやLEDフォグランプなどを採用し、BEVらしいアレンジによってクリーンで洗練された印象を強調している。
インテリアではセンターコンソールのシフトセレクターを操作量の少ない電子制御セレクターレバーに変更したほか、大型2眼式メーターをフルデジタル表示の「7インチカラー液晶メーター」にスイッチ。7インチカラー液晶メーターはバッテリーステータスや電費、ナビゲーション情報などを分かりやすく表示する。
また、Pグレードで標準装備、Gグレードはメーカーオプションとなる「9インチスマートフォン連携ナビゲーション」では、充電スポットや目的地までの推定電池残量なども表示可能で、スマホやタブレットと連携して「Android Auto」や「Apple Car Play」も活用できる。
シートはブラックのファブリック表皮が標準装備となり、Pグレードにはライトグレーを基調とした「プレミアムインテリアパッケージ」をオプション設定。合成皮革と立体感のあるダイヤ柄エンボス加工のファブリックを組み合わせる表皮を使って上質感を演出する。
先進装備としては高速道路同一車線運転支援機能「マイパイロット」を採用。レーダークルーズコントロールシステムと車線維持支援機能を組み合わせ、高速道路で車間距離と車線中央付近をキープしながらの走行をアシストしてドライバーの負担を軽減する。また、スムーズな車庫入れをサポートする「マイパイロット パーキング」を三菱自動車で初採用。駐車可能な場所を自動検知して、後退駐車、前進駐車、縦列駐車のいずれにも対応する。
2024年5月に行なわれた一部改良では、定額契約のインターネット接続で“車内Wi-Fi環境”を実現し、データ通信量を気にすることなくオンライン配信の動画や音楽、オンラインゲームなどを楽しめるNTTドコモの「docomo in Car Connect」有料オプションプランに対応。また、車外にいてもスマートフォンアプリを使って多彩な操作が可能になるコネクティッドサービス「MITSUBISHI CONNECT」の機能を強化。新たに「リモートドアロック/アンロック」機能を追加して、車両から離れていてもドアの施錠・解錠が可能になり、利便性と使い勝手を向上させた。
安全面では先進運転支援機能「e-Assist」の機能強化を行ない、急制動時やABS作動時にブレーキランプが高速点滅して後続車に注意喚起する「エマージェンシーストップシグナルシステム」を新たに採用。また、Pグレードに「マルチアラウンドモニター」、Gグレードに「リヤビューモニター付きルームミラー」を標準装備して車両後方の視認性を向上させている。
主要諸元(G・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 3,395×1,475×1,655mm
ホイールベース 2,495mm
最低地上高 145mm
車両重量 1060kg
乗車定員 4人
サスペンション(前後) ストラット/トルクアーム式3リンク
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 155/65R14(前後)
(電動機・モーター)
型式 MM48
定格出力 20kW
最高出力 47kW(64PS)/2302-10455rpm
最大トルク 195Nm(19.9kgm)/0-2302rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 350V
総電力量 20kWh
一充電走行走行距離 180km
WLTCモード交流電力量消費率 124Wh/km
試乗記
関連リンク
三菱自動車
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/
三菱自動車工業株式会社
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/
製品情報
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/ek_x_ev/
「ミニキャブ EV」
車両価格:243万1000円~248万6000円
モデル紹介
三菱自動車の軽商用車「ミニキャブ」をベースとした「ミニキャブ EV」は、かつて三菱自動車から販売されていた軽乗用BEV「i-MiEV」のコンポーネントを活用して2011年12月に発売された「ミニキャブ MiEV」から車名を変更しつつ継続販売しているモデル。
2021年3月末に一般販売を終了していたが、気候変動対策として各方面で脱炭素化の取り組みが注目されるようになり、サスティナブルな活動に注力する物流事業者や自治体などで軽商用BEVの需要が高まったことを受け、2022年11月から販売を再開。2023年12月の大幅改良時に車名をミニキャブ EVに改めた。この車名変更については、2022年夏に「eKクロス EV」が発売されたことに加え、従来の車名で使っていた「MiEV」がBEVを示しているとユーザーに伝わりにくかったことなどを理由として挙げている。
2023年12月の大幅改良では社名変更と合わせて独自開発のEVシステムを新世代化。モーターや駆動用バッテリなどの電動系コンポーネントが一新され、発売当初は10.5kWhと16.0kWhの2種類を用意していた駆動用バッテリは総電力量を20.0kWhに強化。一充電走行走行距離(WLTCモード)を従来比で約35%増となる180kmに延長した。AC200V(15A)の普通充電では約7.5時間で満充電となり、急速充電の場合は約42分で80%までの充電が可能となっている。
また、モーターとインバーターを一体化した新しい構造によってモーター効率を向上させ、静粛性をさらに高めたほか、走り出した瞬間から最大トルクの195Nmを発生。たくさんの荷物を積んで車重が増えた状態でもスムーズで力強い走りを実現。従来よりも静粛性を高めたことで、早朝や深夜でも周囲に気兼ねなく走行できるようにした。このほか、回生ブレーキを積極的に活用するBポジション選択時の回生力を強め、実用電費を向上させている。
走行性能ではショックアブソーバーの減衰力特性を見直し、乗員の乗り心地を向上させることに加え、キャビンの揺れを抑制して荷物への負荷も軽減している。
ラインアップは広い荷室空間でたくさんの荷物を運べる「2シーター」、コンパクトに折りたためるリアシートを備えて多彩な使い勝手に対応する「4シーター」の2種類を用意する。駆動方式は後輪駆動の2WDのみを設定。
最大積載量は350kgとなり、運転席以外のシートを格納状態にすると600×450×450mmサイズの段ボール箱を14個積載できる大容量の荷室スペースを確保。載せた荷物を固定するためのフックや荷室を仕切るレールなどを設置しやすいよう、ラゲッジスペースのルーフ側面など10か所にユーティリティーナットを標準装備して、用途に合わせて多彩なアレンジを可能としている。
機能装備ではインパネの下側にはスマホなどを置ける「インパネロワートレイ」を設定したほか、トレーのすぐ上に「充電用USBポート」のポートをタイプC、タイプAを各1つ設定するメーカーオプションも用意されている。また、フロアコンソール背面にAC100Vコンセントを追加して、駆動用バッテリの電気で最大1500Wまでの電気製品を動かすことができる「アクセサリーコンセント」を2シーター車にオプション設定している。
安全機能では予防安全技術「三菱e-Assist」を採用。「FCM(衝突被害軽減ブレーキシステム)」や「LDW(車線逸脱警報システム)」「AHB(オートマチックハイビーム)「UMS(誤発進抑制機能)[前進時]」などによって安全機を向上させ、毎日の安全な運転をサポートする。
主要諸元(CD 20.0kWh 2シーター・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 3,395×1,475×1,915mm
ホイールベース 2,390mm
最低地上高 165mm
車両重量 1100kg
乗車定員 2人
サスペンション(前後) ストラット/ド・ディオン式3リンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 145/80R12(前後)
(電動機・モーター)
型式 YA1
定格出力 25kW
最高出力 31kW(42PS)
最大トルク 195Nm(20kgm)
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 330V
総電力量 20.0kWh
一充電走行走行距離 180km
WLTCモード交流電力量消費率 127Wh/km
スズキ
「eビターラ」
車両価格:
モデル紹介
「eビターラ」はインドにある「スズキ・モーター・グジャラート」で生産され、欧州やインド市場に投入されるスズキの「バッテリEV世界戦略車」第1弾。8月に生産が開始され、日本市場では2026年1月の発売となる。
2023年1月にインドで開催された「Auto Expo 2023」で世界初公開されたBEVのコンセプトモデル「eVX」がベースとなっており、「エモーショナル・バーサタイル・クルーザー」を商品コンセプトとして開発を実施。「近代的なEVの先進感とSUVの力強さを併せ持つデザイン」「高効率なeAxleとリン酸鉄リチウムイオンバッテリーで構成するEVパワートレーン」「前後に独立した2つのeAxleを配置した電動4WDモーターで駆動する『ALLGRIP-e』」「EV専用に新しく開発したプラットフォーム『HEARTECT-e』」といった商品特徴が与えられている。
デザインテーマには「ハイテク&アドベンチャー」というキーワードが用意され、外観デザインではBEVの先進感とSUVの力強さを併せ持ち、冒険心を刺激する力強いたたずまいを表現。18インチの大径タイヤとロングホイールベースによって存在感を強調している。多角形や多面体構造を採用し、BEVの先進感とSUVの力強さを併せ持って冒険心を刺激する力強いデザインを採用。
フロントマスクではピアノブラック調のフロントグリルや3ポイントの発光を特徴とするシグネチャーランプを持つLEDヘッドライトなどで押し出し感を強調。リアのLEDコンビネーションランプでも3ポイントが特徴的なシグネチャーランプを採用して先進感を演出している。
BEVならではのロングホイールベースと四隅で踏ん張り感を演出する18インチの大径タイヤ、前後バンパーのアンダーガードとサイドスラッシュガードなどで力強い走破性を表現しており、アルミホイールはガーニッシュ付きで、空力と軽量化を両立させた樹脂製ガーニッシュを装着してアルミだけでは表現できない細部まで作り込んだデザインを手に入れている。
インテリアでは先進装備の「インテグレーテッドディスプレイ」を搭載してハイテク感を表現し、インパネやドアトリムなどに設定したブラウンのソフトパッドでアドベンチャー感をアピール。デジタルメーターとセンターディスプレイを同一平面上に配置したインテグレーテッドディスプレイでは、10.25インチのメーターディスプレイと10.1インチのセンターディスプレイのそれぞれで3パターンの表示デザインを切り替え可能として、ユーザーごとの好みや使い勝手に合わせてカスタマイズできるようにしたほか、センターディスプレイではタッチ操作に加えて長押しやドラッグ&ドロップといったスマートフォンライクな操作性も採り入れて使い勝手を高めている。
また、「メモリーナビゲーション」では「航続可能範囲表示」「充電施設経由地設定」「充電施設表示」といったEVサポート機能を搭載し、充電不足の心配を解消できるようにしている。
ブラックとブラウンを基調としたインパネでは、エアコン吹き出し口の外周にダークシルバーガーニッシュを設定し、エアコンルーバーにはピアノブラック調としたほか、センターコンソールはピアノブラック調のパネルを使い、SUVらしいタフさと同時に洗練されたイメージを演出している。
フローティング構造のセンターコンソールでは“浮き感”による軽快さを表現しつつ、ミドルトレイにHDMI端子やUSB端子などを配置してしっかりとしたユーティリティも確保。また、センターコンソールのミドルトレイやフロントドアトリムには12色の調色機能と7段階の調光機能を備える「LEDアンビエントライト」をレイアウトして好みの車内空間を演出できるようにしている。
シートでもブラックとブラウンの2色を使い、3種類のシート表皮を組み合わせて立体的で複雑な構造を実現。ホールド性を高めて乗員の体をしっかりと支え、洗練さとラフな印象を表現している。
ボディサイズは4275×1800×1640mm(全長×全幅×全高)でホイールベースは2700mm。バッテリ容量は「X」グレードの49kWhと「Z」グレードの61kWhを用意して、駆動方式は前輪駆動の2WDのほか、ZグレードではリアにもeAxleを搭載した電動4WDをラインアップする。
EVパワートレーンではモーターとインバーター、トランスアクスルといった構成部品を一体化してエネルギー効率を高め、コンパクトサイズを両立したeAxleと、長寿命で安全性の高さを追求したリン酸鉄リチウムイオンバッテリを採用。BEVの特徴であるキビキビとした発進加速、シャープな追い越し加速などを実現する。
また、モーターの制御ではアクセルペダルを踏み込んだときに発生するモーターの加速力を「NORMAL」「ECO」「SPORT」の3種類から選択できる「ドライブモード」が用意され、アクセルペダルの操作だけで加減速をコントロールできる「イージードライブペダル」でも回生発電による減速度を3種類で切り替え可能となり、OFF設定も選択できる。
2WD車ではeAxleを車両前方のボンネット下に搭載して、駆動用の「1CG型」モーターは、49kWhバッテリとの組み合わせで最高出力106kW、最大トルク193Nm、61kWhバッテリとの組み合わせでは最高出力128kW、最大トルク193Nmを発生する。電動4WDでは車体後方の後軸間にもeAxleを追加して、リアeAxleの「2CG型」モーターで最高出力48kW、最大トルク114Nmを発生。システム合計で最高出力135kW、最大トルク307Nmのスペックを発揮する。
スズキが培ってきた4輪駆動技術を駆使して生み出されたALLGRIP-eでは、車両前後に配置する2つのeAxleによって4輪を制御。基本的にはフルタイム4WDとして4輪すべてに駆動力を与えて走行し、加減速の状況に応じて前後のトルク配分を自動制御する。また、旋回時には積極的に後輪のトルク配分を高め、フロントタイヤのグリップ力をコーナーリングフォースとして利用しやすくする。
悪路の走行中に効果を発揮する「トレイルモード」は、岩場で片側のタイヤが宙に浮いたり、マッド路で片輪が空転するような路面状況でセンターコンソールのスイッチを押して起動。空回りするタイヤにブレーキを効かせる「ブレーキLSD機能」により、反対側のタイヤに駆動トルクを配分して悪路での走破性を向上させる。
BEV専用に新開発されたプラットフォームのHEARTECT-eでは、軽量な構造に加えて高電圧保護、ショートオーバーハングによる広い室内空間を実現したほか、メインフロアのフロア下メンバーを廃止してバッテリ容量を最大化している。構造材には780MPs、980MPs、1180MPsといった複数の高ハイテン材を組み合わせて採用。使用比率を従来の約2倍に高め、高剛性設計と同時に部材の薄肉化で軽量化を果たした。
ロングホイールベース化の効果で広い室内空間と直進安定性の向上を図りつつ、エプロンサイドメンバーの外幅を狭くしてタイヤの切れ角を確保。SUVらしい大径タイヤを採用しながら、最小回転半径は5.2mに収めている。
主要諸元(X・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,275×1,800×1,640mm
ホイールベース 2,700mm
最低地上高 185mm
車両重量 1700kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 225/55R18(前後)
(電動機・モーター)
型式 1CG
定格出力 59kW
最高出力 106kW
最大トルク 193Nm
(動力用主電池)
種類 リン酸鉄リチウムイオンバッテリ
電圧 3.18V
容量 160Ah
個数 96個
総電圧 305V
総電力量 49kWh
一充電走行走行距離 433km
WLTCモード交流電力量消費率 124Wh/km
































































































































































































































































