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【2025年版】海外メーカー最新バッテリEVカタログ・その他ブランド編

海外メーカーの最新BEVをまとめて紹介

 自然災害や天候不順によって気候変動の問題が表面化したことで、グローバルで「CO2削減」「カーボンニュートラル」「サスティナビリティ」といった単語がトレンドワードになり、自動車産業ではHEV(ハイブリッドカー)に続く“次の一手”としてBEV(バッテリ電気自動車)が注目を集め、複数の自動車メーカーから「将来的にBEV専業メーカーになる」との声明まで出されていた。

 しかし、中国でBEVメーカーが乱立して玉石混交の様相となり、バッテリやモーターの生産に使われるレアアースやレアメタルの供給が需要に追いつかない状況が見えはじめたほか、モーターを駆動する電気もAIの急速な進化によってグローバルで活用が進み、通信やデータセンターによる消費と合わせてIT技術での電力需要が加速度的に増えつつあるといった複数の要因から、BEVの販売台数の伸びが鈍化しているとも言われ始めている。

 その一方で、年々さまざまな問題が起きて喫緊の課題となっている気候変動への対策という面で、各自動車メーカーがBEVを含めた車両の電動化を中長期的な取り組みの中軸に位置付けていることは変更されておらず、むしろ海外勢と比べて慎重に取り組みを進めてきた国内メーカーからも2025年に入って新型車2モデルが登場するなど、ゆっくりではあるもののBEVの普及に向けた動きが進んでいる部分もある。

 本記事では次の乗り替え候補、または将来的な選択肢としてBEVの現在地を知って参考にしてもらえるよう、これまでにCar Watchで取り上げてきたモータージャーナリスト各氏による試乗記や発表記事などと合わせてモデルごとにまとめて掲載。なお、対象となるモデル数が多いので、本稿では海外メーカー(ドイツ以外)の最新BEVについて紹介する。


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ロータス】【ロールス・ロイス】【プジョー】【シトロエン】【フィアット】【アバルト】【アルファ ロメオ】【ボルボ】【テスラ】【ジープ】【キャデラック】【BYD】【ヒョンデ


ロータス

「エレトレ」

ロータス「エレトレ」

車両価格:1515万8000円~2263万8000円

モデル紹介

 2023年9月に日本導入が開始された「エレトレ」は、ロータス初のBEVとなる“オールエレクトリック ハイパーSUV”。デュアルモーターが発生する最高出力別に、612PSを発生する「600シリーズ」と918PSを発生する「900シリーズ」に大別され、600シリーズ3グレード、900シリーズ2グレードの計5グレード展開となっている。

 エレトレはアルミとハイテン鋼を組み合わせて剛性を高める新しいモジュールプラットフォーム「EPA(Electric Premium Architecture)」を採用し、総電圧800V、総電力量112kWhのリチウムイオンバッテリを駆動用バッテリとしてフロア下に配置。従来の400Vシステムと比較して同じ出力で動作電流を半分に削減でき、小径ケーブルの使用による軽量化や電力効率の向上、熱管理の改善、高速充電などのメリットを手にしている。

 車体の前後にモーターを搭載する電動4WDを全車で採用して、600シリーズでは「ELETRE 450」、900シリーズでは「ELETRE 675」と呼称するデュアルモーターシステムを搭載。ELETRE 450は最高出力450kW(612PS)、最大トルク710Nm(72.4kgm)を発生。ELETRE 675は最高出力675kW(918PS)、最大トルク985Nm(100.4kgm)を発生する。最大航続距離は600kmで、900シリーズの最高速は256km/h、0-100km/h加速は2.95秒となっている。

車体の前後にモーターを搭載する電動4WDを全車で採用。900シリーズの最高速は256km/h、0-100km/h加速は2.95秒となっている

 EPAのプラットフォームによってロングホイールベースと前後ショートオーバーハングを実現したボディでは、キャブフォワードでボンネットの短いプロポーションでロータスの象徴となってきたミッドシップエンジンレイアウトのスタイリングを踏襲している。また、ロータスが得意とする空力を活用したボディワークも継承して、ロータスのハイパーカー「エヴァイヤ」にインスパイアされたデザイン言語「ポロシティ(多孔性=多くの穴がある)」を採用。フロントノーズやCピラー、リアバンパーなどに空気が通過する「ベンチュリートンネル」を設定し、ボディ周辺を流れる空気を整流して走行安定性を向上させている。

 このほかにもフロントバンパー下部に空気抵抗と冷却効率を自動的に最適化する「アクティブグリルシャッター」を搭載し、アウタードアハンドルもボディ格納タイプとして空気抵抗の低減を追求。前面投影面積の大きなSUVシルエットながらCd値は0.26を達成している。

 ルーフ後方には高速走行時の安定性を高め、美しいビジュアルを生み出す「ルーフウイングレット」に加え、テールゲートに「アクティブリアスポイラー」を搭載。車速や加速度、ブレーキ、ドライブモードの設定などに応じて角度が3つのポジションに自動調整され、18度展開すると空気抵抗係数が最大1.8%減少し、ダウンフォースは最大60kg増加。32度展開した場合はダウンフォースが112.5kgまで増加。最大となる34度まで展開すると制動力を最大限アシストするようになる。

大柄なSUVボディながら、ボディに設定した「ベンチュリートンネル」や「アクティブリアスポイラー」などの効果で優れた空力特性を実現

 フロントマスクでは横長形状の「マトリックスLEDヘッドライト」を採用してさらなるワイド感を演出。リアの左右につながるLEDテールランプは高い視認性を示すほか、充電時にはライトブレードがグリーンに発光して充電状態を知らせる「充電インジゲーター」の機能も備えている。

 ボディサイズは5103×2060×1636mm(全長×全幅×全高。全幅。エレトレ 600の全高は1630mm)、ホイールベースは3019mm。車両重量は「エレトレ 600」が2565kg、「エレトレ 600 GT SE」が2615kg、「エレトレ 600 SPORT SE」が2645kg、「エレトレ 900 SPORT」と「エレトレ 900 SPORT CARBON」が2745kgとなっている。

 足まわりでは前後ともマルチリンク式サスペンションを採用し、CDC(連続減衰力制御)ダンパーを備える「アクティブエアサスペンション」を全車標準装備。レッド塗装の6ピストンブレーキキャリパーと軽量ブレーキディスクを装着し、ブレーキを使用する「トルクベクタリング」も採用している。

LEDテールランプはグリーンの発光で充電状態を知らせる「充電インジゲーター」機能も備える

 ロングホイールベース・ショートオーバーハングのボディはダイナミック性能を高めることに加え、快適な車内空間も実現。最先端の「デジタルコクピット」となるインテリアでは、インパネ中央に厚さ10mmで可倒式の「15.1インチ HD OLEDセンタースクリーン」を装着。ステアリングの前方にはHD OLEDの「12.6インチ デジタルドライバーディスプレイ」を設定し、フロントウィンドウ手前に29インチのセミAR表示を行なう「ヘッドアップディスプレイ」も用意する。助手席前方にも高解像度タッチスクリーンの「12.6インチ パッセンジャーディスプレイ」を全車で標準装備して、メディア再生や音声コントロールコマンドに対応する。

 また、エレトレ 600 SPORT SE、エレトレ 900 SPORT、エレトレ 900 SPORT CARBONにオプション設定される「エクゼクティブシートパック」(72万9300円~114万2100円高)を選択した場合はリアシートがベンチタイプから左右独立のセパレートタイプとなり、乗車定員が5人から4人に変更。クッションのサポート性や角度の電動調整が可能になるセパレートシートにはマッサージ機能やヒーター&ベンチレーション機能などを備え、大型のセンターアームレストや多彩な収納機能などによって快適な移動時間を実現する。

運転席前方に「12.6インチ デジタルドライバーディスプレイ」、助手席前方に「12.6インチ パッセンジャーディスプレイ」を全車標準装備
タブレットのような「15.1インチ HD OLEDセンタースクリーン」をインパネ中央に装備する

 デジタルコクピットを実現するため、ゲーム業界での採用が進んで進化を続けている「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」を自動車で世界初採用した新しいオペレーティングシステム「ロータスハイパーOS」を採用。クラス最高となるパフォーマンスとインタラクティブなフィードバックを提供し、ドライバーや同乗者にシームレスなインタラクティブ体験を提供するという。

 ADAS(先進運転支援システム)では世界初となる4個の展開式LiDARと6個のレーダー、7個のHDカメラ、12個の超音波センサーを含む計34個のセンサーを搭載して、毎秒500兆回の演算処理能力を持つ「Dual NVIDIA Orin X Chips」によって処理を実施。車両の周辺状況を常に360度監視できるようにしたほか、ADASをネットワーク経由の「OTAアップデート」で最新状態に更新できるようになっている。

「コンフォートシートパック」装着車はリアシートにもシートヒーターやベンチレーションシートを備える
ラゲッジスペース容量は688L。フロントノーズのボンネット下にも容量46Lのフロントストレージを備える

主要諸元(600・4WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 5,103×2,019×1,630mm
ホイールベース 3,019mm
最低地上高 187mm
車両重量 2565kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) マルチリンク/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 前255/50R20/後285/45R20

(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 -
最高出力 450kW(612PS)
最大トルク 710Nm(72.4kgm)

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 800V
総電力量 112kWh
一充電走行走行距離 570-600km
WLTCモード交流電力量消費率 -

関連リンク

ロータスカーズ
https://www.lotuscars.com/ja-JP
エルシーアイ株式会社
https://www.lotus-cars.jp/
製品情報
https://www.lotuscars.com/ja-JP/eletre

「エメヤ」

ロータス「エメヤ」

車両価格:1634万6000円~2268万2000円

モデル紹介

“ロータス初のエレクトリック ハイパーGT”に位置付けられる「エメヤ」は、2024年8月に日本市場への導入が発表されたEセグメントの4ドアクーペ。「エレトレ」と同じくデュアルモーターが発生する最高出力別に、612PSを発生する「600シリーズ」と918PSを発生する「900シリーズ」に大別され、600シリーズ3グレード、900シリーズ2グレードの計5グレードをラインアップしている。

 エメヤではデザインとエンジニアリングにロータスのDNAと最先端テクノロジーを融合させて設計。ロータスが誇る優れたダイナミックパフォーマンスに加え、圧倒的な洗練性と快適性、使いやすさ、コネクティビティなどをシームレスに融合させてドライバーに究極のグランドツアラー・パッケージを提供する。

 電動パワートレーンでは車体の前後にモーターを搭載する電動4WDを採用して、600シリーズでは「EMEYA 450」、900シリーズでは「EMEYA 675」と呼称するデュアルモーターシステムを搭載。EMEYA 450は最高出力450kW(612PS)、最大トルク710Nm(72.4kgm)を発生。EMEYA 675は最高出力675kW(918PS)、最大トルク985Nm(100.4kgm)を発生する。

 駆動用バッテリには総電圧800V、総電力量102kWhのリチウムイオンバッテリを採用して、航続距離は最大610km、900シリーズの最高速は256km/h、0-100km/h加速は2.78秒となっている。

 GT性能を高めてドライバーに“どこにでも行ける”という安心感を与えるため、急速充電の機能も強化。400kW(600A対応)のDC急速充電器を使った場合、バッテリ残量10%から80%まで14分で充電可能となっている。この急速充電機能を実現するため、エメヤでは標準的なモジュール構造と比較して同じスペースでセルを20%多くパッケージできる「セル・トゥー・パック・バッテリー構造」を採用。さらにバッテリの耐熱性能と効率を向上させるため、新しい冷却システムを備えた「ツインレイヤー・バッテリ」が開発され、航続距離の拡大に加えて非常に高いレベルのバッテリ寿命も実現している。

エメヤ 900シリーズのデュアルモーターシステムは最高出力675kW(918PS)、最大トルク985Nm(100.4kgm)を発生。最高速256km/h、0-100km/h加速2.78秒となっている

 外観デザインでは世界中のサーキットで磨き上げられてきたロータスのエアロダイナミクス技術を受け継ぎ、スピードとパフォーマンスを向上させる高度なアクティブ・エアロダイナミクス技術を備えている。これにより、ドライバーは状況に合わせてドライビング・エクスペリエンスの調節が可能で、二重構造の複合システムによってCd値0.21と同時に150kgを超えるダウンフォースも実現。冷却特性を高めた新しい高性能バッテリもサーキットなどの過酷な走行条件での高い再現性と持続性に貢献している。

 電子制御技術の面では「レンジ」「ツアー」「スポーツ」「トラック」「インディビジュアル」など最大5つ設定を変更できる「ドライブモード」を装備。ドライバーは車高やエアサスペンションの減衰力、加速レスポンス、シート形状(調整可能なサイドボルスター付き)などをコントロールして、あらゆる環境で効率、パフォーマンス、快適性を最適化できるようにしている

 高度なオンボードセンサーで制御する「2チャンバーエアスプリング付エアサスペンション」は路面状況の変化に対応可能となっており、車両のセットアップを自動的に調整。最もスムーズな乗り心地と最適なドライビング体験を提供する。バネ下重量と制動距離を低減する「軽量カーボン・セラミック・ブレーキ」はダイナミックなハンドリングに貢献し、コンポーネントの寿命を2倍に延ばしている。

「アクティブ フロントグリル」「デュアルレイヤー リアスポイラー」などのアクティブ・エアロダイナミクス技術を採用。空気抵抗をCd値0.21まで抑え、同時に150kgを超えるダウンフォースも手に入れる

 エメヤではスポーツカー並みの走行性能を持ちつつ、4ドアGTとして日常での使いやすさもしっかりと確保。5種類のモードを用意して3段階から強さを選べる「マッサージモード」をすべてのシートに設定。「パワー・アシスト・ドア」は乗員がスムーズに乗降できるようにするほか、センサーによってドアを開けると危険だと判断された場合にはドアが開かないようにする。また、両手がふさがっている状態でもキックセンサーを使ってリアハッチはオープンできる「ハンズフリーテールゲート」も備えている。

 ドライバーと車両が光を使ってコミュニケーションするアンビエント照明機能も装着しており、電話に着信したときはインパネ上のエレメントがパルスを発してドライバーに知らせ、充電中はフローティング・ダッシュボードのアンビエント照明がグリーンに光る。ドライバー向けとしては55インチ相当の「ARヘッドアップディスプレイ」も用意され、視線を進行方向から外すことなく重要な各種車両データをはっきりと確認できる。

 エメヤ 600以外のモデルに標準装備する「インテリジェントグラスルーフ」は透明と不透明の切り替えが可能となっており、部分的に不透明にするオプションも設定。状況に応じて使い分けながら開放感が楽しめる先進的な装備となっている。

 ラゲッジスペース容量は509Lで、リアシートの格納時には最大1388Lまで拡大可能。また、車両前方のボンネット下に用意するフロントトランクも34Lの容量を備え、荷物や充電機器を収納するためのスペースとして利用できる。

上下がフラットなレザーステアリングを標準装備
インパネ中央に15.1インチの「セントラルコンソールスクリーン」を全車標準装備

 デジタルコックピットの基盤となる「Lotus Hyper OS」では、15.1インチの有機ELフルHDディスプレイを採用する「セントラルコンソールスクリーン」や運転席&助手席前方にある12.6インチの「インストルメントディスプレイ」などを使ってインフォテイメントシステムや車両設定などをシームレスに制御。直感的な操作を実現しており、ドライバーはメイン画面を3回タッチするだけで車両機能の95%にアクセス可能となっている。

 ADAS(先進運転支援システム)についてはデータを1秒間に最大30回処理できる「NVIDIA DRIVE Orin SoC」を2基搭載して制御。34個の最新鋭サラウンドセンサーによって360度全方位で見守りを行なう。

 4つのLiDAR(Light Detection And Ranging)、18のレーダー、7つの8mpカメラ、5つの2mpカメラなどを組み合わせ、クルマの周囲をあらゆる方向にスキャン。低照度や悪天候といった環境下でも半径200mまでの範囲にある障害物を見つけて安全性を確保することに加え、車両周辺で起きる環境変化を予測して、最適な軌道を探し出すことも可能となっている。

 さらにLotus Hyper OSは、新機能や新サービスの追加でシステムを進化させる「OTAアップデート」に対応。車両をWi-Fiネットワークに接続することで継続的な改良が可能となり、ADASやインフォテイメントシステム、車載システムなどの多彩な機能を進化させて安全性や快適性、使い勝手などを向上させている。

アンビエント照明機能によってドライバーと車両が光によってコミュニケーション
リアシートがセパレートタイプになって4人乗り仕様となる「エグゼクティブシートパック」も用意されている

主要諸元(600・4WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 5,139×2,005×1,459mm
ホイールベース 3,069mm
最低地上高 141mm
車両重量 2480kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) マルチリンク/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 前255/45R20/後285/40R20

(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 -
最高出力 450kW(612PS)
最大トルク 710Nm(72.4kgm)

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 800V
総電力量 102kWh
一充電走行走行距離 500-610km
WLTCモード交流電力量消費率 -

関連リンク

ロータスカーズ
https://www.lotuscars.com/ja-JP
エルシーアイ株式会社
https://www.lotus-cars.jp/
製品情報
https://www.lotuscars.com/ja-JP/emeya


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ロールス・ロイス

「スペクター」

ロールス・ロイス「スペクター」

車両価格:4800万円

モデル紹介

 ロールス・ロイスブランド初のBEVとして2023年6月から日本市場に投入された「スペクター」は、5475×2144×1573mm(全長×全幅×全高)という大柄なボディを持つつつ、キャビンの前後に独立した4つのシートを備える4人乗りの2ドアクーペとなっており、ロールス・ロイスではこのモデルを「ウルトラ・ラグジュアリー・エレクトリック・スーパー・クーペ」と表現している。

 スペクターでは電動化を視野に入れて開発したプラットフォーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用し、オールアルミ製スペースフレームでボディを構成する。アルミニウム押出材のセクションと駆動用バッテリを一体化した車両構造により、ロールス・ロイスの従来モデルより30%高い剛性を実現。車両重量は2890kgで、そのうち700kgはフロア下に搭載するバッテリが占め、バッテリはボディ剛性を向上させる効果に加え、隔壁としての機能も備えて高い遮音性能を発揮する。

 パワートレーンでは車両の前後に各1基のモーターを搭載する電動4WDを採用し、システムトータルで最高出力430kW(584PS)、最大トルク900Nmを発生。パフォーマンスは0-100km/h加速4.5秒、最高速250km/h。バッテリ容量は102kWhで、電力消費量は23.6~22.2kWh/100km。WLTPモードの最大航続距離は530kmとなっている。

 足まわりでは最新のソフトウェア&ハードウェア技術によって進化させた「プラナー・サスペンションシステム」を採用。コーナーの接近を検知すると自動的にダンパーの減衰力を高め、4輪操舵システムを利用してスムーズな進入と脱出をサポートする。また、コーナーリング中もセンサーによる監視を続け、常に安定した走りを維持するためステアリング、ブレーキ、パワー、サスペンションの各パラメーターを自動調整していく。このほかにもドライバーの運転操作や路面状況に応じて正確に反応し、ロールス・ロイスモデルの特徴となっている「マジック・カーペットライド」を実現している。

足まわりでは「プラナー・サスペンションシステム」を採用し、2ドアクーペらしいスムーズな走りと「マジック・カーペットライド」を両立

 フロントマスクでは上下2分割の「スプリットヘッドライト」を備え、中央に“ロールス・ロイス史上最も横幅の広い”というステンレス製パンテオングリルを装着。磨き上げられたステンレス製グリルは光の反射で存在感を高めるとともに、滑らかな面構成でフロントノーズの空気を導くよう設計され、830時間に渡るモデリングと風洞実験を行なった結果、ボンネットマスコットの「スピリット・オブ・エクスタシー」も含めた前面空気抵抗はロールス・ロイス史上で最も良好なCd値0.25をマークしている。

 スプリットヘッドライトの上段に設置されたシャープなデイライトランニングライトは2mを超える圧倒的な車幅を強調。下段に並ぶランプクラスターはダーククロムを使ったジュエリーボックス風のヘッドライトハウジングを内蔵して、22個のLEDで闇夜を照らして存在感を主張する。

 ロールス・ロイス特有のリアヒンジドアの下には、ヨットのデザインからヒントを得た「ワフト・ライン」(ふんわりと浮かぶライン)と呼ばれる加飾を設定。パワーボートが船首を緩やかに持ち上げながら加速する様子をイメージして、マジックカーペットライドを視覚的にアピールしている。

 リアに向かってなだらかにルーフが下がっていくフェストバックスタイルのボディは、リアウィンドウと段差がないシームレスな表面処理でCd値の低減に貢献。Aピラーからボディ後端まで連続する単一のボディパネルもロールス・ロイス史上最長となり、トランクリッドの両サイドに縦長形状で控えめなリアコンビネーションランプを配置している。

流麗で美しいボディは優れた空力性能も備え、WLTPモードの最大航続距離は530kmを実現する

 インテリアではドアの内側に4796個の光ファイバーライトを組み込んで“淡く光る星”を表現した「スターライト・ドア」を市販モデルとして初採用。ロールス・ロイスの新たなアイコンとしてルーフトリムを彩る「スターライト・ヘッドライナー」や、「SPECTER」の車名ロゴと5500個以上の発光で“幽玄な夜”のイメージを表現する助手席前方の「イルミネーテッド・フェイシア」などと組み合わせ、上質で洗練されたキャビンを演出している。

 メーターは新しい円形3眼のフルデジタル式で、シックでシンプルな表示。エアコンやインフォテイメントのスイッチはダイヤル式を残している。フラットな床下に搭載する700kgものバッテリは遮音材としても機能する。

 伝統を受け継ぐ一方で、革新的な技術を導入するためデジタル領域に対する取り組みも強化。独自開発したOS「SPIRIT」を活用して車両の各種機能を管理して、オーナー専用アプリ「Whispers」ともシームレスに連携する。ドライバーが日常的に目にするメーターパネルもフルデジタル化された「ビスポーク・インストルメント・ディスプレイ」をロールス・ロイスモデルで初採用。3眼式メーターの表示はパーソナライズ可能となっており、メーターの指針は動くときに“輝く星の軌跡”を描き、幻想的な星空を表現してデザイン性を高めている。

助手席前方に“幽玄な夜”を表現する「イルミネーテッド・フェイシア」を装着
フルデジタルメーターの「ビスポーク・インストルメント・ディスプレイ」をロールス・ロイスモデルで初採用
市販モデル初採用の「スターライト・ドア」やルーフトリムを彩る「スターライト・ヘッドライナー」で車内を演出
リアシートも左右独立タイプの4人乗りとなっている

プジョー

「e-208」

プジョー「e-208」

車両価格:512万4000円

モデル紹介

「e-208」はプジョーのコンパクトハッチバック「208」をベースとして電動パワートレーンを搭載する派生モデル。日本市場では2020年7月に2代目208と同時発売された。

 2代目208では「もはやEVも特別なものではなく、パワートレーンのチョイスで専用モデルを選ぶ時代ではない」というプジョーの考えを受け、ガソリンエンジンを搭載する208とBEVのe-208はパワートレーン関連以外の要素を共通としている。

 しかし、208は2024年10月に大幅改良を行なった「最新モデル」が登場して、外観デザインと車内装備などを変更しているが、e-208は2022年4月に「e-2008」と合わせた仕様変更時に、インテリアの「オートマチックセレクター」を新デザインに改めた以外は基本的に発売時の状態で継続販売されており、現在は208とe-208は異なる外観となっている。

 e-208ではグループ PSA(当時)で開発した最新世代のB/Cセグメント用プラットフォーム「CMP(Common Modular Platform)」を採用。Bセグメントモデルとしては大容量な50kWhのリチウムイオンバッテリを、前後シートやセンターコンソールなどの下に重量配分も考慮しつつ搭載。バッテリは1つあたり約13.1kgのモジュールを18個組み合わせ、総体積約220Lのバッテリーユニットを構成。液冷ヒートポンプを設置して充放電時の温度管理と最適化を図っている。

 一充電走行距離(WLTCモード)は395kmで、ユーザーの日常的な使用状況に合わせて柔軟に運用できるよう、充電モードは3種類に対応。「コンセント型普通充電」では車両に標準搭載されている3kW/15A 200Vケーブルで充電を行ない、50km充電は約4時間弱、100%充電には約18時間が必要となる。「ウォールボックス型普通充電」では6kW/200Vのウォールボックス型普通充電器で充電を行ない、50km充電は約2時間弱、100%充電には約9時間が必要となる。「CHAdeMO(チャデモ)急速充電」では50kW出力のDC急速充電器を利用した場合、約50分で80%充電が可能となる。

B/Cセグメント用プラットフォーム「CMP」を採用し、50kWhのリチウムイオンバッテリを前後シートやセンターコンソールなどの下に搭載
電動パワートレーンの解説

 フロントのボンネット下に搭載するモーターでは最高出力100kW(136PS)/5500rpm、最大トルク260Nm/300-3674rpmを発生して前輪を駆動。自然吸気の2.6リッターガソリンエンジンに相当する最大トルクをほぼゼロ回転から発生させ、瞬発的な応答性によってヴィヴィッドで刺激的なドライビング体験を提供する。

 また、3つの「ドライブモード」を用意してモーターの出力を管理。パフォーマンスとフィーリングにプライオリティを置く「Sport」は100kW/260Nmのスペックをそのまま発揮。日々の利用における快適性の最適化を目指した「Nomal」では80kW/220Nm、航続距離の最大化を図る「Eco」では60kW/180Nmにスペックを抑制する。

 さらにドライバーがオートマチックセレクターを操作して回生ブレーキ強度を選択できる「ブレーキモード」も装備して、内燃機関でアクセルOFF時に発生するエンジンブレーキの挙動をシミュレートして自然な制動感を発生する「Dモード」、回生ブレーキによるエネルギー回収を強化して、アクセルペダルだけでより積極的に減速をコントロールできるようにする「Bモード」の2種類が設定されている。

 走行性能では歴代Bセグメントモデルで評価を得てきたスポーティでダイナミックなドライビングフィーリングをプジョーDNAとして継承。新世代のCMPをベースにしたことで、これまで以上にスムーズでフリクション感の少ない乗り心地とスポーティなハンドリングを実現し、プジョーのコンパクトカーに期待されるフィーリングを表現。サスペンション形式はプジョー伝統のフロント・ストラット、リア・トーションビームアクスルの組み合わせで、e-208ではバッテリーの重量増に対応するため、リアにパナールロッドを追加している。

モーターは最高出力100kW(136PS)/5500rpm、最大トルク260Nm/300-3674rpmを発生
充電モードは「コンセント型普通充電」「ウォールボックス型普通充電」「CHAdeMO(チャデモ)急速充電」の3種類に対応。一充電走行距離(WLTCモード)は395km
標準搭載されている3kW/15A 200Vケーブル

 外観デザインでは個性的で味わい深い造形を目指し、美しいプロポーションとディテールを与え、要所にクロームのアクセントを配してそれらを強調。表情豊かで力強く、凝縮感のあるデザインとしている。CMPの採用で先代モデルと比較してボンネットが低く長くなり、タイヤをボディの四隅に配して安定したスタンスで美しいプロポーションを実現。ワイドなフェンダーを使って力強さと優しさの絶妙なバランスと官能的なテイストを手にした。

 フロントマスクには新世代プジョーのシグネチャーとなっているフルLEDの“3本爪”モチーフをヘッドライトに内蔵。LEDリアコンビネーションランプでも表現される“3本爪”と合わせて力強い肉食獣のイメージを強調している。また、ヘッドライトから下側に伸びるデイタイムランニングライトは通称「セイバー(サーベルの意)」と呼ばれ、高度な3次元のデザイン処理によって見る角度によって形状が変化。正面から見ると内向きだが、斜め前方から見ると直線的になり、側面から見た場合はフェンダーやタイヤのラインと同心円を描く形状に変化する。

 ボディ側面ではグロスブラックのホイールアーチを備え、スリムなボディと対称的に17インチのタイヤ&ホイールをさらに大きくワイドに見せる演出を行なっている。リアビューではリアハッチから両サイドのリアコンビネーションランプまで「ブラックバンド」を連続させてワイド感が強調され、バンパーに設定されるディフューザーはグロスブラック仕上げでスポーティ感を演出している。

個性的で味わい深い造形を目指した外観デザインを採用

 このほか、e-208ではフロントマスクでボディカラーに合わせて塗装が施されるフロントグリルと見る角度によって色調が変化する「ダイクロイックライオン」ロゴを採用し、リアハッチのe-208バッヂ、Cピラー部分の「eマーク」で208と差別化している。

 ボディサイズは先代比で全長が+120mm、全幅が+5mm、全高が-25mmとなる4095×1745×1465mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは同一の2540mmで、日本市場で注目される全幅の増加を5mmに抑え、先代モデルと遜色ない使い勝手を維持している。

ボディカラーに合わせて塗装が施されるフロントグリルと見る角度によって色調が変化する「ダイクロイックライオン」ロゴはe-208専用のデザイン要素

 インテリアではプジョーが革新的UI/UXとして推進している「i-Cockpit」コンセプトの新世代バージョン「3D i-Cockpit」を採用。3次元表示を採り入れた3D i-Cockpitではフロントシート周辺を3つのレイヤーに分割。上段の「視覚ゾーン」ではすべての情報を見やすいよう、ドライバーの視界に注意深く配置。ステアリングホイールの中央から上のゾーンでは視覚を重視して、ステアリング奥の「3Dデジタルヘッドアップインストルメントパネル」では、ホログラムによる情報投影で3次元表示を行なう。

 3Dデジタルヘッドアップインストルメントパネルでは3次元表示により、データの重要度や緊急度に応じて情報を変化させつつ表示。手前の1層目では主に安全に関連する重要な情報、2層目ではそれらに準ずる情報が表示される。この3Dの表示により、ドライバーは情報表示に反応する時間を約0.5秒ほど短縮する効果があるとしている。また、インパネ中央には「7インチタッチスクリーン」が配置され、空調、オーディオ、ナビゲージョンシステム、車両設定などの操作が行なえる。

 ステアリングホイールの中央から下の「操作ゾーン」は、物理的なスイッチ類を配して実際に手で操作するゾーンとの位置付け。ダッシュボードでは「508」同様にソフトバッドを設定し、中央部分にカーボン風のパネルをレイアウト。

 2022年4月の仕様変更で採用されたオートマチックセレクターは指先だけでスムーズなシフトチェンジが可能なトグルタイプとなっており、操作性を向上させると同時にデザイン変更によってスペース効率が改善され、センターコンソールの収納容量を拡大している。

 居住空間となる「ボディゾーン」は乗員を包み込むような“コックピット感覚”でデザインされ、パーソナル感や安心感を演出する。シートは体幹と腰をしっかり支え、快適なドライブをサポートする「ダイナミックシート」を装着。シート表皮ではファブリック&テップレザーを使い、ホールド性を高めつつモダンで質感の高いデザインとなっている。

インテリアでは「3D i-Cockpit」を採用
「3Dデジタルヘッドアップインストルメントパネル」は情報をホログラムで3次元表示
「オートマチックセレクター」は指先だけでスムーズなシフトチェンジが可能なトグルタイプ

 CMPの採用でADAS(先進運転支援システム)も大きく進化して充実度を高めた。カメラの認識精度を高めたことで、車両や歩行者に加えて2輪車に対応して夜間検知も可能となった自動ブレーキ機能の「アクティブセーフティブレーキ」、前方車両が完全停止してから3秒以内に再発進するとアクセル操作なしで追従走行を再開し、3秒以上が経過した場合でもワンアクションで設定速度まで追従走行を行なう「アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)」、車線内の任意の左右位置(無段階)をドライバーが選び、選択した一定の位置を保ったままほぼ全速度域でステアリング補正を実施して走行可能な「レーンポジショニングアシスト」、車載カメラが車線を検知して、約65km/h以上で走行中にウインカー操作がない状態で車線からはみ出しそうになると自動的にステアリングに反力を与え、元の車線に戻す「レーンキープアシスト」などを標準装備している。

 このほか、スマートキーの接近を車両が検知して自動的にドアロックの解錠/施錠を行なう「プロキシミティスマートキー」をプジョーモデルで初採用。車両の1.5m以内に近づくと解錠し、施錠は車両から2m以上離れると作動。バッグやポケットにキーを入れたまま、キーやドアスイッチなどの操作も不要でスマートな乗降が可能となる。

「アクティブセーフティブレーキ」の作動イメージ
「アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)」の作動イメージ
「レーンポジショニングアシスト」の作動イメージ
「レーンキープアシスト」の作動イメージ

主要諸元(GT・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,095×1,745×1,465mm
ホイールベース 2,540mm
最低地上高 145mm
車両重量 1500kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 205/45R17(前後)

(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 57kW
最高出力 100kW(136PS)/5500rpm
最大トルク 260Nm/300-3674rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 395V
総電力量 50kWh
一充電走行走行距離 395km
WLTCモード交流電力量消費率 144Wh/km

関連リンク

プジョー
https://www.peugeot.co.jp/
Stellantisジャパン株式会社
https://www.stellantis.jp/
製品情報
https://www.peugeot.co.jp/range/peugeot-e-208.html

「e-2008」

プジョー「e-2008」

車両価格:576万4000円

モデル紹介

「e-2008」はプジョーのコンパクトSUV「2008」のフル電動パワートレーンモデルとして2020年9月に2008と同時デビュー。2022年4月には、同じプジョーのBEV「208」と合わせて仕様変更が行なわれ、ギヤ比の変更やヒートポンプの効率改善などによって一充電走行距離(WLTCモード)を初期の360kmから380kmに伸ばし、センターコンソールの「オートマチックセレクター」をトグルタイプの新デザインに変更している。

 e-2008では新開発のBEV専用プラットフォーム「e-CMP(エレクトリック・コモン・モジュラー・プラットフォーム)」を採用して、高効率なモーターと総電力量50kWhのリチウムイオンバッテリパックを搭載しながらガソリンエンジン搭載の2008とほぼ同等となる室内空間の広さを実現している。パワーユニットとなるモーターでは最高出力100kW(136PS)/5500rpm、最大トルク260Nm/300-3674rpmを発生し、モーターならではのトルク感とダイレクトな加速フィーリング、静粛性の高いドライビング体験を提供する。

 刺激的なドライビングを実現しつつ状況に応じて航続距離の確保も図れるよう、モーター出力を3つの「ドライブモード」で制御して使い分けが可能。パフォーマンスとフィーリングにプライオリティを置く「Sport」は100kW/260Nmのスペックをそのまま発揮。日々の利用における快適性の最適化を目指した「Nomal」では80kW/220Nm、航続距離の最大化を図る「Eco」では60kW/180Nmにスペックを抑制する。

 さらにオートマチックセレクターの操作で回生ブレーキの制動力を2種類から選択できる「ブレーキモード」も搭載。内燃機関でアクセルOFF時に発生するエンジンブレーキの挙動をシミュレートして自然な制動感を発生する「Dモード」、回生ブレーキによるエネルギー回収を強化して、アクセルペダルだけでより積極的に減速をコントロールできるようにする「Bモード」が設定されている。

新開発のBEV専用プラットフォーム「e-CMP(エレクトリック・コモン・モジュラー・プラットフォーム)」を採用
モーターは最高出力100kW(136PS)/5500rpm、最大トルク260Nm/300-3674rpmを発生
2022年4月の仕様変更で新たに採用されたトグルタイプの「オートマチックセレクター」
「ドライブモード」のスイッチでモーター出力を3種類に変更可能

 液冷ヒートポンプを使って充放電時の温度管理を最適化した大容量の駆動用バッテリパックは、1つあたり約13.1kgのモジュールを18個組み合わせて構成。総重量約350kg、総体積約220Lとなり、このバッテリパックをフロントシートとリアシート、センターコンソールなどの下に、重量配分も考慮しながらH型に配置している。

 充電モードは3種類に対応しており、車両に標準搭載されている3kW/15A 200Vケーブルで充電する「コンセント型普通充電」では、50km充電に約4時間弱、100%充電に約18時間が必要となる。6kW/200Vのウォールボックス型普通充電器で充電する「ウォールボックス型普通充電」では、50km充電に約2時間弱、100%充電に約9時間が必要となる。は50kW出力のDC急速充電器を利用する「CHAdeMO(チャデモ)急速充電」の場合、約50分で80%充電が可能となる。

 このほか、e-CMPを採用したボディサイズは4305×1770×1550mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2610mmとなり、先代2008から全長が145mm、全幅が30mm拡大しつつ、全高は20mm低くなっている。ホイールベースは70mm延長され、タイヤを四隅に配する安定したスタンスを実現。よりスタイリッシュなデザインとなっている。また、全高が1550mmに抑えられたことで、日本市場では多くの立体駐車場が利用可能になったこともメリットとなっている。

 SUVの重要な要素であるラゲッジスペースの広さと使い勝手も強化され、ラゲッジスペース容量は434Lとなっており、e-CMP採用モデル最大を誇っている。さらに6:4分割可倒式リアシートのシートバックを前方に倒せば最大1467Lまでラゲッジスペースを拡大できる。また、ラゲッジスペースに設置されたフロアボードは可動式で、ハイポジションにセットすると荷室を上下に区切ることもできる。リアハッチの開口部は低い位置まで大きく開き、側面もフラットな形状にして使い勝手を高めている。

ラゲッジスペース容量は434L。6:4分割可倒式リアシートを前方に倒して最大1467Lまで拡大できる

 2008と同じくSUVとしてのプロポーションが与えられ、外観デザインはフロントウィンドウをセットバックしたロングノーズとなり、水平基調の伸びやかなボンネットで力強いボディを表現。タイヤを車体の四隅に配したプロポーションにより、重量をしっかりと支える頼もしさと安心感を視覚的にも演出している。

 フロントマスクではボディカラー同色にカラーリングされたフロントグリルの中央に、見る角度によって色調が変化するライオンマーク「ダイクロイックライオン」をe-2008専用アイテムとして採用。また、ドアミラーからフロントフェンダー上部に連続するブラックの加飾パネルにはBEVであることを示す「eマーク」も装着する。

 フルLEDヘッドライトには“肉食獣の三本爪”をモチーフにしたLEDラインを備えヘッドライトから下に向けて繊細に細くなっていくLEDデイタイム・ランニングライトも採用。サーベルを意味する「セイバー」と呼ばれるLEDデイタイム・ランニングライトは三本爪LEDラインと合わせてフロントマスクのアイコンとなっている。さらにフロントバンパー下側をシルバー塗装したアンダーデコレーションがSUVらしいタフさを表現している。

 ボディ側面ではドアパネルから前後のフェンダーに向け、ハイライトとシャドーの対比で三角形のようなラインを見せるファセット(切り子)のようなシャープで大胆な面構成を設定。最低地上高が205mmまで高められている一方、ルーフやドアミラー、ウインドウストリップ、ピラー類などにブラックダイヤモンド塗装を施し、前後のバンパーやドアパネルの下側などにも黒い樹脂パーツを使い、セグメント最長クラスという2610mmのホイールベースとの相乗効果で視覚的なスリーク感を演出している。

 リアビューではリアウィンドウとベルトラインによるラインをキックアップさせてダイナミックなイメージを高め、リアハッチに設定したブラックのガーニッシュでリアコンビネーションランプと接続。リアコンビネーションランプにも“三本爪”をモチーフにした3連LEDリアライトが与えられ、立体的な内部構造による造形クオリティで印象を強調する。

ボディカラーは「パール・ホワイト」(左)、「エリクサー・レッド」(右)など6種類を設定
ボディ側面にファセット(切り子)のようなシャープで大胆な面構成を採用
車両後方に向かってキックアップしたラインでダイナミックなイメージを演出
e-2008専用のボディカラー同色フロントグリルと「ダイクロイックライオン」
“肉食獣の三本爪”をモチーフにしたフルLEDヘッドライトのLEDライン
ドアミラーの前方にBEVであることを示す「eマーク」を装着
リアコンビネーションランプにも“三本爪”モチーフの3連LEDリアライトを備える

 インテリアではプジョーの革新的UI/UX「3D i-Cockpit」を採用。小径ステアリングホイールの採用により、ステアリングの上からメーターを確認する視線の確保、肘が下がって脇を締めたコンパクトなドライビングポジションなどを実現した「i-Cockpit」のコンセプトを継承しているほか、新たにフロントシート周辺を3つのレイヤーに分割。それぞれで役割分担を行なって運転環境を改善している。

 ステアリングホイール中央から上の「視覚ゾーン」では視覚を重視して、すべての情報が見やすくなるようドライバーの視界に注意深く配置。ステアリング奥の「3Dデジタルヘッドアップインストルメントパネル」ではホログラムによる情報投影で3次元表示。データの重要度や緊急度に応じて情報を変化させ、手前の1層目では主に安全に関連する重要な情報、2層目ではそれらに準ずる情報が表示される。この3Dの表示により、情報表示にドライバーが反応する時間を約0.5秒ほど短縮する。また、インパネ中央には「7インチタッチスクリーン」が配置され、空調、オーディオ、ナビゲージョンシステム、車両設定などの操作が行なえる。

 ステアリングホイールの中央から下は、物理的なスイッチ類を配して実際に手で操作する「操作ゾーン」となり、ダッシュボードでは「508」同様にソフトバッドを設定し、中央部分にカーボン風のパネルをレイアウトしている。センターコンソールには直感的に操作できるトグルスイッチを配置。7インチタッチスクリーンで操作するエアコン、オーディオなどのショートカットの役割が与えられ、新たにエアコンの「MAXボタン」を追加している。

 居住空間となる「ボディゾーン」は乗員を包み込むような“コックピット感覚”でデザインされ、パーソナル感や安心感を演出する。シートは体幹と腰をしっかり支え、快適なドライブをサポートする「ダイナミックシート」を装着。シート表皮ではファブリック&テップレザーを使い、ホールド性を高めつつモダンで質感の高いデザインを兼ね備える「ダイナミックシート」を装着。スポーティなドライビング中も乗員の体をしっかりと支えられるようにしている。

ホールド性を高めつつモダンで質感の高いデザインを兼ね備える「ダイナミックシート」を装着
「3D i-Cockpit」を採用して運転環境を改善

 CMPの採用によって快適性と安全性が大幅に向上。ADAS(先進運転支援システム)装備も充実度を高めており、自動ブレーキ機能の「アクティブセーフティブレーキ」では、カメラの認識精度向上によって車両や歩行者に加えて2輪車にも対応。夜間検知も可能となっている。

 また、前方車両が完全停止してから3秒以内に再発進するとアクセル操作なしで追従走行を再開し、3秒以上が経過した場合でもワンアクションで設定速度まで追従走行を行なう「アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)」、車線内の任意の左右位置(無段階)をドライバーが選び、選択した一定の位置を保ったままほぼ全速度域でステアリング補正を実施して走行可能な「レーンポジショニングアシスト」、車載カメラが車線を検知して、約65km/h以上で走行中にウインカー操作がない状態で車線からはみ出しそうになると自動的にステアリングに反力を与え、元の車線に戻す「レーンキープアシスト」などを標準装備している。

 このほか、スマートキーの接近を車両が検知して自動的にドアロックの解錠/施錠を行なう「プロキシミティスマートキー」を採用。車両の1.5m以内に近づくと解錠し、施錠は車両から2m以上離れると作動。バッグやポケットにキーを入れたまま、キーやドアスイッチなどの操作も不要でスマートな乗降が可能となる。

自動ブレーキ機能の「アクティブセーフティブレーキ」は車両や歩行者に加えて2輪車にも対応
「アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)」の作動イメージ

主要諸元(GT・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,305×1,770×1,550mm
ホイールベース 2,610mm
最低地上高 205mm
車両重量 1630kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 215/55R18(前後)

(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 57kW
最高出力 100kW(136PS)/5500rpm
最大トルク 260Nm/300-3674rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 395V
総電力量 50kWh
一充電走行走行距離 380km
WLTCモード交流電力量消費率 149Wh/km

関連リンク

プジョー
https://www.peugeot.co.jp/
Stellantisジャパン株式会社
https://www.stellantis.jp/
製品情報
https://www.peugeot.co.jp/range/suv-peugeot-e-2008.html

「E-3008」

プジョー「E-3008」

車両価格:(未発表)

モデル紹介

「E-3008」は7月に発売された3代目「3008」の派生モデルとして年内の発売を予定しているBEV。新しい3008ではステランティスがC~Dセグメント向けに新たに開発した新世代の電動車用プラットフォーム「STLA-Medium(ステラ ミディアム)」を採用して、48Vマイルドハイブリッドシステムの「3008 Hybrid」とBEVのE-3008をラインアップする。

 3008 Hybridの発売と同時に公開されたE-3008のWebサイトでは車両情報の一部が紹介されており、ボディサイズは4565×1895×1665mm(全長×全幅×全高)で5人乗り仕様。外観は異なるデザインのホイールを装着し、充電ポートのリッドが設定されている以外は基本的に同一で、ボディカラーも3008 Hybridと同じ「オブセッション・ブルー」「インガロ・ブルー」「オケナイト・ホワイト」の3色が紹介されている。

 インテリアでは「パノラミック i-Cockpit」を採用し、インパネ中央から運転席の前方まで連続する「21インチパノラミックカーブドディスプレイ」を搭載。コネクテッドサービスでは「ChatGPT」を搭載し、iOS、またはAndroid OSのスマートフォンで利用できる「MYPEUGEOTアプリ」に対応。E-3008ではMYPEUGEOTアプリで充電やエアコンをリモート操作する「eリモートコントロール」の機能も使用可能となる。

E-3008のWebサイトでは車両情報の一部を紹介

 ADAS(先進運転支援システム)としては「アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付)」「レーンポジショニングアシスト」をはじめとする40以上のセーフティ&ドライバーアシスト機能を採用する。

 搭載するリチウムイオンバッテリーの充電には、付属する専用充電ケーブル(3kW 200V)による普通充電器や6kWのウォールボックスタイプ普通充電器に加え、CHAdeMO規格などの急速充電器が利用できる。

 ラゲッジスペース容量(VDA方式)も3008 Hybridと変わらず、通常は520Lでリアシートバックを倒すことで最大1480Lまで拡大できる。また、ユーティリティを高める「2ポジションラゲッジフロアボード」も採用する。

ステランティスがC~Dセグメント向けに新たに開発した新世代の電動車用プラットフォーム「STLA-Medium(ステラ ミディアム)」を採用

シトロエン

「E-C4」

シトロエン「E-C4」

車両価格:565万4500円

モデル紹介

 シトロエンのCセグメントハッチバック「C4」のBEVモデルとなる「E-C4」は、3代目C4と同時に2022年1月から日本市場での販売がスタート。2023年6月にはC4シリーズの仕様変更が行なわれ、コネクテッド機能を備えた新インフォテイメントシステム「CITROEN MY DRIVE PLUS」の採用、運転支援機能として「トップリアビジョン機能」の搭載などによって商品性を向上した。

 なお、C4のガソリンエンジン搭載モデルは2025年3月に大幅改良を行ない、シトロエン初となるハイブリッドパワートレーンや内外装の変更などを実施しているが、E-C4については発売当時の内外装で継続販売されている。

 最新世代のBEV向けコンパクトプラットフォーム「e-CMP(エレクトリック・コモン・モジュラー・プラットフォーム)」をロングホイールベース化して採用。駆動用バッテリは50kWhの大容量リチウムイオンバッテリパックとなり、液冷ヒートポンプによって充放電時の温度管理を最適化している。1個当たり約13.1kgのモジュールを18個組み合わせ、総体積約220L、重量約350kgとなるこのバッテリパックは、一般的なBEVプラットフォームのように1つにまとめず、フロントシートやリアシート、センターコンソールなどの下に、重量配分も計算してH型に配置。これにより、C4と変わらないキャビンスペースの確保も可能となっている。

 パワーユニットとなるモーターでは最高出力100kW(136PS)/5500rpm、最大トルク260Nm/300-3674rpmを発生。モーターならではのデリケートなアクセル操作にも追従する特性と、電動走行ならではのリニアな加速を両立している。また、これまで以上に電費効率を高め、一充電走行距離(WLTCモード)は405kmを実現している。

 モーター出力は3種類の「ドライブモード」を利用して管理が可能。パフォーマンスとフィーリングにプライオリティを置く「スポーツモード」では100kW/260Nmの最高スペックが発揮され、日々の利用における快適性と電費効率を両立させる「ノーマルモード」選択時には80kW/220Nmとなり、航続距離の最大化を図る「エコモード」を選ぶとスペックが60kW/180Nmに抑制される。

 また、「ブレーキモード」を使うことで回生ブレーキの強度も2種類から選択可能となっており、内燃機関でアクセルOFF時に発生するエンジンブレーキの挙動をシミュレートして自然な制動力を実現する「Dモード」、回生ブレーキによるエネルギー回収を強化して、アクセルペダルだけでより積極的に減速をコントロールできる「Bモード」が用意されている。

一充電走行距離(WLTCモード)は405kmを実現。駆動用のモーターは最高出力100kW(136PS)/5500rpm、最大トルク260Nm/300-3674rpmを発生する
駆動用バッテリは重量配分も計算しながら前後シートやセンターコンソールなどの下に配置

 足まわりではBEV化の重量増による横方向の負荷に対応するため、リアサスペンションのトーションビームにパナールロッドを追加。ショックアブソーバーではシトロエンの伝説的機構「ハイドロニューマチック」を現代の技術で解釈した「PHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)」を搭載している。

 純メカニカルダンパーのPHCでは通常のツインチューブダンパー構造に第2のダンパーシリンダーを追加。セカンダリーシリンダーには複数のポートを備え、内径にセカンダリーピストンを設定。サスペンションのストロークが進むとセカンダリーピストンがシリンダーに入り込んで「ハイドローリックバンプストップ」として作用する位置依存型(ポジション・センシティブ)ダンパーとなっている。

 この技術により、サスペンションが小さく細かく動く状況や、サスペンションのストロークスピードが低い状況ではダンパーの減衰力が低く抑えられ、極めてソフトでスムーズな乗り心地を提供。一方でサスペンションが大きく動く状況では、セカンダリーピストンとシリンダーが減衰力を高めて衝撃を吸収。大きな凹凸でも底付き感のない懐の深いフィーリングを提供する。

 PHCの効果により、「“魔法の絨毯”のように極めてソフトな乗り心地」「よけいなサスペンショントラベルを減らすことによる快適性の向上」「純機械的なメカニズムによる高い信頼性」といったメリットが発揮されるとしている。

 なお、PHCのセカンダリーダンパーはフロントで伸び側と縮み側の両方、リアで縮み側に採用されている。

 外観デザインはシトロエンが2016年のパリモーターショーに出展したコンセプトカー「Cエクスペリエンス」にインスパイアされたものとなっており、フロントグリル中央に設定した「ダブルシェブロン」から続く2本のクロームのラインが左右でV字型に分かれ、上段のデイタイムランニングライト、下段のヘッドライトと伸びやかに連続して特徴的な「LEDシグネチャーライト」を構成。大胆さとシャープな力強さを表現している。

「C4 カクタス」以来のデザインキーとして受け継いでいるハイボンネット、大径ホイールと170mmの最低地上高が生み出す高いアイポイント、なだらかに傾斜するクーペのようなルーフラインなども備え、伸びやかなフォルムはフロア下の空力対策との相乗効果で優れたエアロダイナミクスを生み出している。さらにリアコンビネーションランプの造形にもフロント同様のV字型デザインが与えられ、独創的で個性的な外観となっている。

リアサスペンションのトーションビームにパナールロッドを追加して重量増による横方向の負荷に対応
伸びやかなフォルムはフロア下の空力対策との相乗効果で優れたエアロダイナミクスを生む
フロントマスクの特徴的な「LEDシグネチャーライト」で大胆さとシャープな力強さを表現
リアコンビネーションランプにもV字型デザインが与えられている

 インテリアでも外観同様に独創性を追求。運転者と同乗者に平等な移動の喜びとリビングのような居心地のよさ、くつろぎ感を提供することを目指した「CITROEN ADVANCED COMFORTプログラム」のコンセプトを採用し、新世代デザインと融合させている。

 横方向の広がり感を強調する水平基調のダッシュボードでは、センター部分に10インチの「タッチスクリーン・インフォテイメントシステム」を搭載。その下にエアコンの吹き出し口を挟み、ダイヤルとスイッチを組み合わせたフィジカルな空調コントロールを並べている。タッチパネルと物理スイッチで機能を切り分け、UI/UXの最適化と再構築を行なって運転中の操作性を向上させた。

 メーターは「5.5インチ デジタルインストルメントパネル」とポップアップ式の「カラーヘッドアップディスプレイ」で構成。ドライバーが運転中に必要な情報を瞬時に読み取ることができるよう、シンプルで明快なグラフィックを用意している。ステアリングの左スポークに「アクティブクルーズコントロール」「レーンポジショニングアシスト」といったADAS(先進運転支援システム)の操作スイッチをレイアウトし、シフトセレクターにはクローム仕上げのトグルスイッチを採用して指先の軽いタッチで操作できるようにしている。

 シートは「C5 エアクロス SUV」で初導入された「アドバンストコンフォートシート」を全席で採用。シート表皮の下に特別なフォームを設置して体とシートの“当たり感”を改善する技術が用いられ、フォームのボリュームは従来の2mmから15mmに大幅アップ。しっとりふっかりとした比類ない柔らかさを実現して、走行中の疲労につながる車体の微震動をシートが吸収する。

 クーペのようにルーフラインが斜めに下がっていくスタイルを持ちつつ、ルーフライニング形状の最適化によって後席空間のヘッドクリアランスを確保。後席ニースペースは2665mmのロングホイールベースの恩恵によってクラス最長レベルとなっており、大人4人に平等な移動の快適さを提供する。

 ラゲッジスペース容量(VDA方式)は380Lで、リアシートを前方に倒すと最大1250Lまでスペースが拡大。広大で低い開口部が用意され、用途に応じて2ポジションの使い分けが可能なフロアボード、段差のないフラットなフロアなどによって使い勝手が高められている。

「5.5インチ デジタルインストルメントパネル」とポップアップ式の「カラーヘッドアップディスプレイ」でメーターを構成
指先の軽いタッチで操作できるトグルスイッチ式のシフトセレクターを採用
「アドバンストコンフォートシート」を全席に装着。Cセグメントハッチバックながら2665mmの後席ニースペースを確保
アドバンストコンフォートシートはシート表皮の下に15mmの特別なフォームを設置して比類ない柔らかさを実現
ラゲッジスペース容量(VDA方式)は380Lで、リアシートを前方に倒すと最大1250Lまでスペースが拡大する

「安心こそが快適性を生む」というシトロエンの考えに基づき、E-C4でも多彩なセーフティ&ドライバーアシスト機能を採用。

 高速道路などの走行中に利用することを想定した「アクティブクルーズコントロール」では、前走車がいない場合は設定した速度で車速をキープ。前走車がいる場合は対象までの車間距離と走行速度を注視して、アクセルやブレーキ、回生ブレーキを自動制御して適切な車間距離を維持して走行する。また、アクティブクルーズコントロールの作動中に渋滞などで前走車が停車した場合、適切な車間距離で停車して、3秒以内なら再発進も可能な「トラフィックジャムアシスト」も採用している。

「レーンポジショニングアシスト」は、走行する車線内の任意の左右位置を指定して走行が可能。交通状況やドライバーの好みに応じて車線内のやや左側、または右側をキープするといったアレンジが可能になり、人の感覚に寄り添って作動する快適なドライブアシストとなっている。

 自車前方の障害物を検知して、ドライバーの回避操作が間に合わない場合に自動的にブレーキを効かせる「アクティブセーフティブレーキ(被害軽減ブレーキ)」は、約7km/h~140km/hで作動。車速が約80km/h以下では停止車両を、約60km/h以下では歩行者まで検知し、衝突事故などの回避、もしくは衝突の被害を軽減する。

 シトロエン初の装備となる「ポストコリジョンセーフティブレーキ」は、万が一の衝突でエアバッグやシートベルトプリテンショナーが作動すると自動的にブレーキを作動させ、衝突後の二次的な衝突リスクを軽減する機能となっている。このほかにも「ディスタンスアラート」「インテリジェントハイビーム」「ヒルスタートアシスタンス」「ブラインドスポットモニター」など数多くのADAS装備を搭載している。

「アクティブクルーズコントロール」の作動イメージ
「アクティブセーフティブレーキ(被害軽減ブレーキ)」の作動イメージ
「ディスタンスアラート」の作動イメージ
「フロント&バックソナー(フランクガード付)」の作動イメージ

主要諸元(MAX・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,375×1,800×1,530mm
ホイールベース 2,665mm
最低地上高 170mm
車両重量 1630kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 195/60R18(前後)

(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 57kW
最高出力 100kW(136PS)/5500rpm
最大トルク 260Nm/300-3674rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 400V
総電力量 50kWh
一充電走行走行距離 405km
WLTCモード交流電力量消費率 140Wh/km

関連リンク

シトロエン
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Stellantisジャパン株式会社
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製品情報
https://www.citroen.jp/models/c4-e/e-c4-electric.html


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フィアット

「600e」

フィアット「600e」

車両価格:555万円

モデル紹介

「600e」はフィアットのコンパクトSUV「600(セイチェント)」のBEVバージョンとなり、日本市場ではハイブリッドモデルの「600 Hybrid」に先駆けて2024年9月に発売。アイコニックなイタリアンデザインに快適性、革新性、テクノロジーを詰め込んだモデルとなっている。

 1950年代に販売されていた初代600やフィアットの象徴的モデルである「500(チンクエチェント)」のデザインアクセントを継承した外観デザインが用いられ、丸みのあるボディフォルムやLEDヘッドライトを採用。前後のフェンダーには黒い樹脂製のフェンダーアーチが設定され、グロスブラックのアクセントも随所に採用してSUVらしさを強調。特徴的な18インチのダイヤモンドカットアルミホイールも装着して精悍さを際立たせている。

丸みのあるボディフォルムやLEDヘッドライトを採用して、初代「600」や「500」を連想させる外観デザインに仕上げた

 インテリアではアイボリーの内装色を基調として、丸形メータークラスター内に視認性の高い「7インチフルカラーTFTマルチファンクションディスプレイ」を設定。左右のスポークにオーディオなどの操作スイッチを備えたレザー調ステアリングホイールを備え、センターコンソールには容量15Lの大型収納スペースも用意して使い勝手を高めている。

 シートは6ウェイパワーシートを標準装備して、内装色とコーディネートしたアイボリーカラーのシート表皮にはターコイズブルーのステッチで600の車名とフィアットロゴを浮かび上がらせた「FIAT モノグラムエコレザーシート」を採用している。ラゲッジスペース容量は360Lで、リアシートを前方に倒した状態では最大1231Lの積載が可能となる。

 インパネ中央には10.25インチの横長タッチパネルディスプレイを備える「Uconnect」を搭載。FM/AMチューナーを備えるほか、「Apple CarPlay」と「Android Auto」に対応して、接続したスマートフォンに保存した音楽などの再生、ハンズフリー通話などを利用できる。

アイボリーの内装色を基調として、丸みを帯びたインパネデザインを採用
特徴的な「FIAT モノグラムエコレザーシート」を装備している

 パワートレーンでは総電力量54.06kWhの駆動用バッテリを搭載して、一充電走行距離(WLTCモード)は493km。家庭用充電器による200V普通充電、またはCAHdeMO規格の急速充電に対応している。

「ZK02型」のモーターは最高出力115kW(156PS)/4070-7500rpm、最大トルク270Nm/500-4060rpmを発生。1580kgのボディを軽快に加速させる。また、センターコンソールに設定されたスイッチ操作により、日常的な走りを楽しむ「ノーマルモード」、モーターの出力を穏やかにして航続距離を伸ばす「エコモード」、スロットルワークに対してダイレクトなパワーを発生させ、ステアリングの操作力を重くしてスポーティな走りが楽しめるようにする「スポーツモード」の3モードを切り替えることが可能となっている。

センターコンソールのスイッチ操作で「ノーマルモード」「エコモード」「スポーツモード」の3モードを切り替える可能

 運転支援機能では新たに4つの技術をフィアットブランドとして初採用。任意の位置を設定してステアリングを握ることで、走行位置を維持して運転中のステアリング操作をサポートする「レーンポジションアシスト(LPA)」、運転席にシートマッサージ機能を内蔵してドライバーの疲労を軽減する「アクティブランバーサポート」、リアバンパーの下に足先を入れることでリアハッチが開き、両手で荷物を持っているような状態でもそのまま積載できるようサポートする「ハンズフリーパワーリフトゲート」、スマートキーを持った人が車両周囲から1m以上遠ざかると自動施錠して、施錠された状態で車両周囲の3m以内に接近すると自動解錠する「キーレスエントリー(プロキシミティセンサー付)」の4技術により、利便性をさらに高めている。

「サンセット オレンジ」の600e
「スカイ ブルー」の600e
「ホワイト」の600e

主要諸元(La Prima・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,200×1,780×1,595mm
ホイールベース 2,560mm
最低地上高 -
車両重量 1580kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 215/55R18(前後)

(電動機・モーター)
型式 ZK02
定格出力 62.0kW
最高出力 115kW(156PS)/4070-7500rpm
最大トルク 270Nm/500-4060rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.68V
容量 145Ah
個数 102個
総電圧 375V
総電力量 54.06kWh
一充電走行走行距離 493km
WLTCモード交流電力量消費率 126Wh/km

関連リンク

フィアット
https://www.fiat-auto.co.jp/
Stellantisジャパン株式会社
https://www.stellantis.jp/
製品情報
https://www.fiat-auto.co.jp/600e/la-prima

「500e」

フィアット「500e」

車両価格:577万円~603万円

モデル紹介

「500e」はフィアットの3ドアハッチバック「500(チンクエチェント)」の派生モデルとして日本市場で2022年6月に販売がスタート。日本の道路環境でも扱いやすい3630×1685×1530mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2320mmというボディサイズを備えてBEVならではの新しい運転感覚を提供するほか、歴代モデルから受け継いだアイコニックなデザイン、数々の先進運転支援装置などを魅力としている。

 ボディバリエーションはフロントシート上に固定式ガラスルーフを装着する「Icon」に加え、電動ソフトトップがルーフ前方から大きく開いて開放感を高めるカブリオレモデルの「Open」をラインアップ。BEVらしいスムーズで静粛性の高い走りと爽快なオープンエアドライブを選べるようにしている。

 外観デザインはベースとなる500のイメージを踏襲しつつ、完全な新設計を実施。オートハイビームの機能も備えるLEDヘッドライトはボンネット側に設置したLEDランプと組み合わせて伝統的な丸型形状をキープしつつ、ボンネットをクラムシェルスタイルとして伝説の始まりである「Nuova 500」に連なるモデルであることをアピール。また、ボンネットとフロントフェンダーの合間に設置された「LEDサイドインジケーター」もNuova 500に向けたオマージュとなっている。

フロントシート上に固定式ガラスルーフを装着する「Icon」

 インテリアではシート表皮の中央部分にFIATのロゴをステッチで表現した「FIAT モノグラムエコレザーシート」や、トリノの街並みが描かれた「スマートフォントレイ」、インナードアハンドル底面にあしらわれた「Made in Torino」の文字やNuova 500のイラストなど、遊び心のあるデザインによって個性を強調。スポーク部分のスイッチで運転中でもオーディオの音量やハンズフリーフォンの着信操作などが可能な2本スポークのレザー調ステアリングホイールもNuova 500のイメージを踏襲する装備となっている。

 このほか、インパネでは短冊切りレザーを編み込んだ「イントレチャート」をトリム材に使用して上質感と洗練された雰囲気を演出。インパネ中央には10.25インチのタッチパネルディスプレイを備える総合インフォテイメントシステム「Uconnect」が配置され、Apple CarPlayのワイヤレス接続、Android Autoの有線接続に対応。日常的に利用しているスマートフォンのアプリなどを活用し、音楽やオーディオブックなどを楽しんだり、ハンズフリー通話で知り合いと連絡したりできる。

インパネ中央の「Uconnect」はApple CarPlayのワイヤレス接続、Android Autoの有線接続に対応
「FIAT モノグラムエコレザーシート」などを採用する個性的なインテリア

 走行用のモーターでは最高出力87kW(118PS)/4000rpm、最大トルク220Nm/2000rpmを発生。42kWhのリチウムイオンバッテリパックをフロア下に配置して、低重心化と優れた重量バランスを実現しつつ、コンパクトサイズの駆動用バッテリながら335kmの一充電走行距離(WLTCモード)を達成。充電は単相交流200V用の普通充電と、付属するCHAdeMOアダプターを介した急速充電に対応する。

 ドライブモードとしては3種類から選択可能な「EVモードセレクター」を備えている。アクセルペダルの応答性が高められ、エンジン搭載車のようなドライブ感覚が楽しめる「ノーマルモード」、回生ブレーキの効きが強まり、アクセルペダルを離しただけでブレーキペダルを踏んでいるような強い減速が得られる「レンジモード」、車速が80km/hまでに制限され、アクセルレスポンスの抑制やシートヒーターOFFなどによってエネルギー消費を低減して航続距離を最大化する「シェルパモード」の3モードが用意され、状況に応じて使い分けられるようにしている。

 また、BEVに求められる「AVAS(車両接近通知装置)」のサウンドにもこだわって、イタリア人作曲家のニーノ・ロータ氏が手がけたオリジナルサウンドをAVASのメロディとして採用。車両の接近を心地よいメロディで周知する。

 安全運転をサポートするADAS(先進運転支援システム)機能では、車両以外にも歩行者や自転車などを検知して作動する「衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付)」をはじめ、前方を走る車両と一定の車間距離を保ちながら設定速度に合わせて巡航走行する「アダプティブクルーズコントロール」、電動パワーステアリングのトルク制御を行ない、車線の中央を走行し続けるようサポートする「レーンキーピングアシスト」、ドアミラーの死角にいる並走車の存在をミラー内のアイコンで注意喚起する「アクティブブラインドスポットアシスト」、後退時に車両後方の状況をUconnectの画面に表示して安全確認できるようにする「リアパーキングカメラ(ステアリング連動ガイドライン付)」などを全車に標準装備している。

電動ソフトトップで高い開放感を実現するカブリオレモデルの「Open」

主要諸元(Icon・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 3,630×1,685×1,530mm
ホイールベース 2,320mm
最低地上高 -
車両重量 1330kg
乗車定員 4人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 205/45R17(前後)

(電動機・モーター)
型式 46348460
定格出力 43.0kW
最高出力 87kW(118PS)/4000rpm
最大トルク 220Nm/2000rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.65V
容量 120Ah
個数 192個
総電圧 352V
総電力量 42kWh
一充電走行走行距離 335km
WLTCモード交流電力量消費率 128Wh/km

関連リンク

フィアット
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https://www.stellantis.jp/
製品情報
https://www.fiat-auto.co.jp/500e/icon


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アバルト

「アバルト 500e」

アバルト「アバルト 500e」

車両価格:615万円~645万円

モデル紹介

「アバルト 500e」は、フィアットモデルをベースとするハイパフォーマンスモデルをリリースしているアバルト初のBEV。フィアットの「500e(チンクエチェントイー)」の発売から1年ほどあとの2023年10月から日本市場に導入。アバルトのブランドDNAを継承して生み出され、電動化戦略において中核を担うモデルと位置付けられている。

 ボディバリエーションは500eと同じく固定式ガラスルーフを装着する「カブリオレ」と電動ソフトトップを採用する「カブリオレ」の2種類を用意。駆動用バッテリも500e同様の総電力量42kWhとなっているが、組み合わされるモーターは強化されてレスポンスの優れたものとなり、最高出力114kW(155PS)/5000rpm、最大トルク235Nm/2000rpmを発生。コンパクトなボディサイズと合わせ、低中速域からエキサイティングな走りを実現する。

 0-100km/h加速は7.0秒で、1.4リッターガソリンターボエンジンを搭載する「アバルト 695」の6.7秒に迫るタイムを実現。20-40km/h、40-60km/hといった中間加速ではアバルト 695より約1秒早いタイムを記録して、市街地走行のシーンで高いパフォーマンスを発揮することを示している。また、ガソリンエンジンモデルに対して前後重量配分が57:43に改善され、トレッド幅も60mm拡大。クイックなハンドリングと安定性を両立して、日常的な走行シーンで最も多くなる中間加速や立ち上がり加速といったパフォーマンスと組み合わせ、より楽しく爽快な走りを実現している。

 このほかに走行関連の技術としては、シーンに応じて特性の異なる3つのドライビングモードを切り替え、バッテリの消費電力や走行フィーリングを変更できる「e-Mode」を搭載。最もエキサイティングなパフォーマンスを発揮する「スコーピオントラック」、回生ブレーキを最大限に活用しながらスポーティな走りを追求する「スコーピオンストリート」、モーターの最大出力と最大トルクを抑えて効率的なワンペダル走行が可能になる「ツーリズモ」の3モードが用意されている。

 静粛性の高さはBEVの基本的な商品特性となっているが、刺激的な走りを訴求しているアバルト 500eではアバルトブランドの象徴であるハイパフォーマンスエキゾーストシステム「レコードモンツァ」のエキゾーストノートを忠実に再現した独自のサウンドシステム「サウンドジェネレーター」を装備。ステランティスグループのサウンドデザインスタジオとイタリアのステランティス専任チームが共同開発したサウンドジェネレーターは、正確で信頼性の高い騒音測定を行なうため半無響室で音響試験を行ない、プロジェクトチームが6000時間以上をかけて完成させた。

 これにより、アクセル開度とリンクしたレコードモンツァのエキゾーストノートが再現され、ダイナミックな運転とスピード感を表現。BEVとは思えないエキサイティングで刺激的な走りを実現して、ほかのBEVとは一線を画した唯一無二のドライビング体験を提供する。なお、サウンドジェネレーターは車両の停止中にON/OFFの切り替えが可能となっている。

最高出力114kW(155PS)/5000rpm、最大トルク235Nm/2000rpmを発生するモーターを搭載し、0-100km/h加速は7.0秒を実現
電動ソフトトップを採用する「カブリオレ」も設定されている
コンパクトなボディサイズながら205/40R18タイヤを採用

 デザインではアバルトモデルであることを強調するため、内外装の要所にブランドアイデンティティであるサソリの特徴をデザイン化したパーツなどを採用。18インチのダイヤモンドカットアルミホイールやフロントバンパー、ステアリングホイールは“サソリの爪”を模しており、ホワイト塗装が施されたリップスポイラーは“サソリの足”をイメージしている。

 これに加え、「稲妻の放電によって描かれた」イメージを持つ新デザインのスコーピオン・エンブレムがボディ側面のドア後方両サイドに配置され、ホイールのセンターキャップやステアリングのセンターパッド、フロントシートのヘッドレストにもサソリのイラストが描かれている。

 また、これまでのモデルではフロントグリル中央にアバルトのブランドバッヂを配置してきたが、アバルト 500eではブランドバッヂをボンネット上に移設し、ダークチタングレーの「ABARTHレタリング」を初採用している。

 外観では全長約3.6mというコンパクトなボディに18インチアルミホイールを組み合わせ、アグレッシブさを与えつつ柔らかなプロポーションを実現。また、スポーティな印象のフロントバンパー、ホワイト塗装をアクセントカラーとしたリップスポイラー、精悍な印象を与えるフルLEDヘッドライトなどを採用し、コントラストのある引き締まったスタイリングとなっている。

 ボディカラーは「アンチドーテホワイト」「ベノムブラック」「アドレナリンレッド」「アシッドグリーン」の4色をラインアップしている。

スコーピオン・エンブレムがドア後方両サイドに配置され、ホイールのセンターキャップなどにもサソリのイラストが描かれる
フロントグリル中央にダークチタングレーの「ABARTHレタリング」を初採用
ボディカラーは「アンチドーテホワイト」「ベノムブラック」「アドレナリンレッド」「アシッドグリーン」の4色をラインアップ

 インテリアは黒を基調として、シックでスポーティな空間を演出。インストルメントパネル、ステアリング、ヘッドレスト一体型スポーツシートなどにはアルカンターラ素材をふんだんに採用して室内空間に高級感を与えている。前後のシートやドアトリム、センターコンソールなどにはブルーとイエローの2色でステッチが施され、ステアリングホイールの0時位置に設定されたブルーのセンターマーカーと合わせてスポーティさを強調している。4人乗りとなる車内のリアシートは5:5分割可倒式となり、シーンに合わせた使い分けが可能。

 また、500eと同様にインパネ中央に10.25インチのタッチパネルディスプレイを備える総合インフォテイメントシステム「Uconnect」を搭載。Apple CarPlayのワイヤレス接続、Android Autoの有線接続に対応して、日常的に利用しているスマートフォンのアプリなどを活用し、音楽やオーディオブックなどを楽しんだり、ハンズフリー通話で知り合いと連絡したりできる。

 さらにアバルト 500eでは、ダイナミックで没入感の高い音響体験をあらゆるドライブシーンで提供する「JBLプレミアムサウンドシステム」を全車で標準装備している。

 ADAS(先進運転支援システム)では「衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付)」「レーンキーピングアシスト」「トラフィックサインレコグニション」「ブラインドスポットモニター」といった機能をアバルトモデルとして初めて採用。このほかにも「クルーズコントロール」「360度パーキングセンサー」「ドライバーアテンションアラート」などを全車標準装備して安全性や使い勝手を高めている。

黒を基調としたシックでスポーティなインテリア。インパネ中央に10.25インチのタッチパネルディスプレイを備える「Uconnect」を搭載
レザー/アルカンターラステアリングホイールにブルーのセンターマーカーを設定してスポーティさを強調
視認性の高いデジタルメーター「7インチフルカラーTFTマルチファンクションディスプレイ」を標準装備
シフトセレクターはスイッチ式。スマートフォンを置くだけで充電やインフォテインメントシステムとの接続ができる「ワイヤレスチャージングパッド」を標準装備
シート表皮にもアルカンターラを採用。ブルーとイエローの2色でステッチでスポーティさを強調
5:5分割可倒式のリアシートを前に倒してラゲッジスペースを拡大できる

主要諸元(ハッチバック・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 3,675×1,685×1,520mm
ホイールベース 2,320mm
最低地上高 -
車両重量 1360kg
乗車定員 4人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 205/40R18(前後)

(電動機・モーター)
型式 46354481
定格出力 47kW
最高出力 114kW(155PS)/5000rpm
最大トルク 235Nm/2000rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.65V
容量 120Ah
個数 192個
総電圧 352V
総電力量 42kWh
一充電走行走行距離 303km
WLTCモード交流電力量消費率 152Wh/km

関連リンク

アバルト
https://www.abarth.jp/
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https://www.stellantis.jp/
製品情報
https://www.abarth.jp/500e/


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アルファ ロメオ

「ジュニア エレットリカ」

アルファ ロメオ「ジュニア エレットリカ」

車両価格:556万円

モデル紹介

 6月に発売されたアルファ ロメオのコンパクトSUV「ジュニア」では、パワートレーン別にBEVの「ジュニア エレットリカ」とHEV(ハイブリッドカー)の「ジュニア イブリダ」をラインアップしている。

 外観デザインはトリノを拠点とするアルファ ロメオのチェントロスティーレ(デザインセンター)で開発が行なわれ、アルファ ロメオの伝統的なデザインが随所に取り入れられている。フロントマスクでは進化したトライローブ(三つ葉)形状のフロントグリルや3眼式ヘッドライトを採用。リアでは1960年代にアルファ ロメオが先鞭をつけた、「コーダ・トロンカ」と呼ばれる空力特性のためにリアエンドを断ち切ったデザイン手法を導入して、機能的で情熱的なイタリアン・デザインを体現している。

 3眼式ヘッドライトは「LEDマトリクスヘッドライト(デイタイムランニングライト付き)」となり、高い照度と優れた配光で視認性を高めることに加え、独創的なデザインでスポーティな印象をアピール。リアコンビネーションランプでも「LEDテールランプ」を採用して、どの角度から見ても美しさを感じさせるアルファ ロメオのスポーティエレガンスを体現し、コーダ・トロンカの個性を強調している

 エレットリカとイブリダは基本的に同じ外観となるが、アルファ ロメオモデルで象徴となっているフロントグリルの「スクデット」が異なり、エレットリカではアルファ ロメオのブランドロゴに使用されている「ビスチオーネ」を意匠化した「プログレッソ」デザインを採用。イブリダではメッシュグリルの中央に筆記体の「alfa Romeo」ロゴを配置した「レジェンダ」デザインとなる。

 また、エレットリカでボディカラーに「ブレラ レッド」、または「アレーゼ グレー」を選んだ場合、ドアパネルの下側に設置される樹脂製加飾にレッドのラインが追加される。

コンパクトSUVのジュニア エレットリカ。ボディサイズは4195×1780×1585mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2560mm、車両重量は1580kg
エレットリカのフロントグリルは「プログレッソ」デザインを採用
特徴的な3眼式ヘッドライトは「LEDマトリクスヘッドライト(デイタイムランニングライト付き)」となる

 インテリアではドライバー中心を意識して設計されたコックピットを基盤として、すべての操作をすばやく直感的にできるようレイアウト。多彩な最新技術も採用している。インパネに配置した計器類はレーシングカーのように奥まった位置にレイアウトする「テレスコープデザイン」として、モータースポーツのDNAを感じさせつつ高い視認性を確保している。インパネ中央には10.25インチのタッチスクリーンを備える「Connectシステム」を搭載。ホーム画面をドライバーの好みにカスタマイズして、利用頻度が高い機能にすばやくアクセスできるようにしている。

 センターコンソールはドライバーの手が届きやすいよう高めの位置に設定し、手触りのよいソフトパッドを配置。スタート&ストップボタンやシフトセレクター、エレクトリックパーキングブレーキ、DNAドライブモードセレクターといった主要コンポーネントが並んでいる。エアコンルーバーやメーターパネル、センターコンソール周辺にはLEDライトを配置して、夜間の車内空間に上質な雰囲気と高揚感を与える「アンビエントライト」を採用している。

 シートには大胆な黒と赤の表皮を使用する「ファブリック/テクノレザーシート」を採用。運転席は細かな調整が可能な6ウェイパワーシートとなり、シートヒーターとアクティブランバーサポートも搭載している。

 ラゲッジスペース容量は400Lとなり、電動テールゲートはスマートキーを持っている人がリアバンパー下に足先を入れるキック操作で開閉できるハンズフリー機能も備えている。

大胆な黒と赤の表皮を使用する「ファブリック/テクノレザーシート」を装着
10.25インチの「デジタルクラスターメータ-」や10.25インチのタッチスクリーンを備える「Connectシステム」などを採用する先進性の高いインテリア
センターコンソール前方に90~190mmのスマートフォンに対応するワイヤレス充電パッドを搭載
「アンビエントライト」を採用するエアコンルーバーでも「ビスチオーネ」の大蛇が発光

 パワートレーンでは車両前方のボンネット下に最高出力115kW(156PS)/4070-7500rpm、最大トルク270Nm/500-4060rpmを発生する「ZK02型」モーターを搭載して前輪を駆動。54.06kWhの大容量リチウムイオンバッテリを搭載して、長距離ドライブも安心して楽しめる一充電走行距離(WLTCモード)494kmを達成しつつ、BEVならではの力強く滑らかな走りを実現する。

 バッテリでは温度を自動調整するシステムを備え、安定した航続距離と長寿命化を確保している。充電はCHAdeMO方式の急速充電と普通充電(200V 6kW)の両方に対応し、外出先でも急速充電スポットを利用して航続距離の確保が可能となっている。

 ドライバーの運転負荷を軽減して安全性を高めるADAS(先進運転支援システム)も充実しており、「アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)」「レーンポジションアシスト」「トラフィックジャムアシスト」の組み合わせで高速道路での渋滞走行のサポート。このほかにも「ブラインドスポットモニター」「レーンキーピングアシスト」「トラフィックサインレコグニション」「360度パーキングセンサー」「180度リアカメラ」などを標準装備している。

最高出力115kW(156PS)/4070-7500rpm、最大トルク270Nm/500-4060rpmを発生する「ZK02型」モーターがBEVならではの力強く滑らかな走りを実現

主要諸元(Premium・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,195×1,780×1,585mm
ホイールベース 2,560mm
最低地上高 -
車両重量 1580kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 215/55R18(前後)

(電動機・モーター)
型式 ZK02
定格出力 62.0kW
最高出力 115kW(156PS)/4070-7500rpm
最大トルク 270Nm/500-4060rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.68V
容量 145Ah
個数 102個
総電圧 375V
総電力量 54.06kWh
一充電走行走行距離 494km
WLTCモード交流電力量消費率 125Wh/km

関連リンク

アルファ ロメオ
https://www.alfaromeo-jp.com/
Stellantisジャパン株式会社
https://www.stellantis.jp/
製品情報
https://www.alfaromeo-jp.com/models/junior-elettrica


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ボルボ

「C40 リチャージ」

ボルボ「C40 リチャージ」

車両価格:739万円

モデル紹介

「C40 リチャージ」はボルボのBEV日本初導入モデルとして2022年1月にオンライン販売を開始。当初は車両の前後にモーターを1つずつ搭載する電動4WDのみをラインアップしていたが、2022年3月に一部仕様変更を行ない、合わせてフロントモーターのみを搭載するシングルモーターの前輪駆動モデルを追加。2022年秋からのデリバリー開始となっていたが、2023年3月にシングルモーターの仕様を変更して、リアモーターで後輪を駆動する形式に改められた。

 なお、現在は電動4WDの販売は行なわれておらず、シングルモーターの「C40 リチャージ Ultimate Single Motor」のみを受注している。

 ボルボのコンパクトSUV「XC40」から採用を開始した「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)」プラットフォームをベースに開発が行なわれ、搭載する駆動用リチウムイオンバッテリの総電力量は73kWh。後輪を駆動する「CCADE型」モーターは最高出力175kW(238PS)/4000-5000rpm、最大トルク418Nm(42.6kgm)/1000rpmを発生。一充電走行距離(WLTCモード)は590kmとなっている。

 充電に関してはAC200Vで11kWまで対応する普通充電と、CHAdeMO方式で150kWまで対応するDC急速充電を利用可能。150kWの急速充電器を使用した場合、約40分で残量0%から80%までの充電が完了する。

 走行の機能では、アクセルペダルのコントロールだけで加速と減速を直感的に、シームレスに制御できる「ワンペダルドライブ」機能を採用。ペダルを踏み込めばモーターが低回転から発生する強力なトルクで瞬時に加速し、踏み込みを戻すと回生ブレーキで発電を行ないつつ減速し、停車まで実施。

 これにより、とくにストップ&ゴーが多い市街地走行でより快適に車両の速度コントロールが可能となるほか、緊急時にはアクセルペダルを離した瞬間から制動が開始され、制動距離の短縮にも寄与する。また、制動時に積極的に回生することで航続距離の伸長にも効果を発揮して、回生レベルは好みに合わせて2レベルの設定変更が可能で、さらに自車前方に車両が検出されない場合にコースティング(惰性)走行を行なう「オートモード」も用意されている。

C40 リチャージはクーペSUVスタイルを採用。リアハッチに沿ってルーフまで続くリアコンビネーションランプが独創的なリアビューを印象付ける

 SUVのような高い地上高と低く抑えられたルーフラインを併せ持つクーペSUVスタイルを採用するC40 リチャージは、ルーフエンドを前方に設定するファストバック形状によってダイナミックで洗練されたシルエットを実現。リアハッチに沿ってルーフまで続くリアコンビネーションランプが独創的なリアビューを印象付けている。

 フロントグリルをパネル化したフロントマスクでは、最先端のピクセル技術を用いた「ピクセルLEDヘッドライト(フル・アクティブ・ハイビーム付)」を採用。各ヘッドライトユニットに84個のピクセルLEDを使う新たなヘッドライトでは、カメラセンサーがほかの車両を検出すると同時に最大5台まで遮光制御して、他車のドライバーを眩惑させないよう配慮しながら光のパターンを最適化。前方の道路を効率的に照射して視界を最大化することで、より安全な夜間走行を実現する。また、コーナーや右左折のシーンでは、ステアリング操作に合わせてライトの照射を行ない、進行方向の視界を確保する。

 インテリアで、ボルボオーナーの多くが好む高いシートポジションを踏襲して、インパネとドアトリムには地図の等高線に着想を得たグラフィックをバックライトで浮かび上がらせる透過型デコレーションパネル「Topography」を設定。光の演出によってキャビンに現代的な雰囲気を与えている。

 また、ボルボモデルとして初めて完全な「レザー(本革)フリーインテリア」を実現。アクティブなドライビングをイメージしてデザインされたシートでは、リサイクル素材を使用する「マイクロファイバーシート」と、洗練された感触のハイテク合成素材である「マイクロテック」を組み合わせてシート表皮に採用している。さらにレザーフリーの人工皮革を表皮に使った「テイラード・シルクメタル・スポーツステアリングホイール」を標準装備し、カーペットにも100%リサイクル素材を使用して環境負荷を低減している。

 このほか、ライトグレー系の「ミッドナイトジンク」色のシートをオプション装着する「テイラード・ウール・ブレンド・シート」(13万円高)を選択した場合、センターコンソールのシフトセレクターがオレフォス製の「クリスタル・シフトノブ」に変更される。

地図の等高線に着想を得た透過型デコレーションパネル「Topography」をインパネとドアトリムに設定
すべての座席に広々とした開放的な雰囲気を提供する固定式の「パノラマ・ガラスルーフ」も標準装備

 車内インフォテイメント・システムでは、Googleと共同開発したAndroid OSベースのデジタルサービスを導入。このデジタル・サービスでは通信用内蔵モデムを利用して、「Volvo Cars app(テレマティクス・サービス/ボルボ・カーズ・アプリ)」のほか、Googleのアプリとサービス、ワイヤレス・スマートフォン・チャージのアクセスなどを実行するために必要なすべてのデータ通信が行なわれ、これらの機能は新車から5年間無償提供される。

 Googleのアプリとサービスでは、Googleアシスタントによる自然で直感的な音声操作、Googleマップによるスムーズなナビゲーション、Google Playストア経由でダウンロードするアプリなどを利用可能。大幅に機能性を高めている。Googleアシスタントの音声入力を使うことで、ドライバーはステアリングを握って運転に集中したまま、エアコンの温度設定、カーナビの目的地設定、音楽やポッドキャストの再生といったさまざまな機能を直感的にコントロールできるようになる。

 クルマや歩行者、サイクリストが混在する複雑な交通環境で事故を未然に防ぐため、クルマにできる最善の対策として開発された「City Safety(衝突回避・被害軽減ブレーキ・システム)」では、先進の安全・運転支援機能である「対向車対応機能」や「歩行者・サイクリスト検知機能」「インターセクション・サポート(右折時対向車検知機能)」などを採用している。

 このほかにもADAS(先進運転支援システム)では、「全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」「パイロット・アシスト(車線維持支援機能)」「ステアリングアシスト付BLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)」「衝突回避・被害軽減ブレーキ機能付CTA(クロス・トラフィック・アラート)」「ランオフロード・ミティゲーション(道路逸脱回避機能)」「オンカミング・レーン・ミティゲーション(対向車線衝突回避支援機能)」などを標準装備。

 また、「先行車発進告知機能」と「リア衝突回避・被害軽減ブレーキ・システム」も追加採用されている。

インテリアはボルボモデル初の「レザー(本革)フリーインテリア」となっている
オプション設定の「テイラード・ウール・ブレンド・シート」(13万円高)ではライトグレー系の「ミッドナイトジンク」色のシートを採用

主要諸元(Ultimate Single Motor・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,440×1,875×1,595mm
ホイールベース 2,700mm
最低地上高 175mm
車両重量 2010kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 前235/45R20/後255/40R20

(電動機・モーター)
型式 CCADE
定格出力 120.0kW
最高出力 175kW(238PS)/4000-5000rpm
最大トルク 418Nm(42.6kgm)/1000rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.74V
容量 202Ah
個数 96個
総電圧 359V
総電力量 73kWh
一充電走行走行距離 590km
WLTCモード交流電力量消費率 143Wh/km

試乗記

関連リンク

ボルボ・カー・ジャパン株式会社
https://www.volvocars.com/jp/
製品情報
https://www.volvocars.com/jp/cars/c40-electric/

「EX40」

ボルボ「EX40」

車両価格:679万円~789万円

モデル紹介

「EX40」はボルボの販売を牽引するコンパクトシティSUV「XC40」のBEVモデルとして2022年7月に発売。当初は「XC40 リチャージ」という車名が与えられていたが、2024年9月に初の特別仕様車「EX40 Ultra Single Motor Black Edition」が発売されたタイミングに合わせ、車名がEX40に変更された。

 また、EX40でも当初はツインモーター仕様の電動4WDとシングルモーター仕様の前輪駆動の2種類をラインアップしていたが、「C40 リチャージ」同様に2023年3月に仕様変更が行なわれ、シングルモーター仕様はリアモーターで後輪を駆動する形式となっている。

 ベース車両のXC40が採用する「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)」プラットフォームは当初から電動化を視野に入れて開発されており、エンジンを廃して駆動用バッテリを搭載するBEV化に合わせ、フロントセクションやフロア構造をBEV専用設計として対応している。シングルモーター仕様では総電力量73kWhの駆動用リチウムイオンバッテリを採用して、車両後方に最高出力175kW(238PS)/4000-5000rpm、最大トルク418Nm(42.6kgm)を発生する「CCADE型」モーターを搭載する。

 ツインモーター仕様では総電力量78kWhの駆動用リチウムイオンバッテリを採用して、フロントに最高出力110kW(150PS)/4200-8000rpm、最大トルク252Nm(25.7kgm)1000rpm/を発生する「DAEAC型」モーター、リアに最高出力190kW(258PS)/4400-6000rpm、最大トルク420Nm(42.8kgm)/1000rpmを発生する「CCEDF型」モーターを搭載。一充電走行距離(WLTCモード)はシングルモーター仕様が590km、ツインモーター仕様が560kmとなっている。バッテリの充電はAC200Vで9.6kWまで対応する普通充電と、CHAdeMO方式で150kWまで対応するDC急速充電を利用可能。

 走行の機能では、アクセルペダルのコントロールだけで加速と減速を直感的に、シームレスに制御できる「ワンペダルドライブ」機能を採用。ペダルを踏み込めばモーターが低回転から発生する強力なトルクで瞬時に加速し、踏み込みを戻すと回生ブレーキで発電を行ないつつ減速し、停車まで実施。

 これにより、とくにストップ&ゴーが多い市街地走行でより快適に車両の速度コントロールが可能となるほか、緊急時にはアクセルペダルを離した瞬間から制動が開始され、制動距離の短縮にも寄与する。また、制動時に積極的に回生することで航続距離の伸長にも効果を発揮して、回生レベルは好みに合わせて2レベルの設定変更が可能で、さらに自車前方に車両が検出されない場合にコースティング(惰性)走行を行なう「オートモード」も用意されている。

一充電走行距離(WLTCモード)はシングルモーター仕様が590km、ツインモーター仕様が560km。アルミホイールはXC40と異なるデザインになる

 外観デザインでは「フレームレスグリルプレート」を装着してフロントマスクの印象を一新。アルミホイールもXC40とは異なるデザインとなっている。

 また、最先端のピクセル技術を用いた「ピクセルLEDヘッドライト(フル・アクティブ・ハイビーム付)」を採用。各ヘッドライトユニットに84個のピクセルLEDを内蔵して、カメラセンサーがほかの車両を検出すると同時に最大5台まで遮光制御して、他車のドライバーを眩惑させないよう配慮しながら配光パターンを最適化。前方の道路を効率的に照射して視界を最大化することで、より安全な夜間走行を実現する。また、コーナーや右左折のシーンでは、ステアリング操作に合わせてライトを照射する「アクティブベンディング機能」で進行方向の視界を確保する。

 100%レザーフリーを実現したインテリアでは、アクティブなドライビングをイメージしてデザインされたシートの表皮に、リサイクル素材を一部に使用する「スウェードテキスタイル」と、洗練された感触のハイテク合成素材である「マイクロテック」を組み合わせて採用。さらにレザーフリーの人工皮革を表皮に使った「テイラード・シルクメタル・スポーツステアリングホイール」を標準装備し、カーペットには100%ペットボトルリサイクル素材を使用して環境負荷を低減している。

 インパネとドアトリムには、スウェーデンにある「アビスコ国立公園」の地図等高線をモチーフにして描かれたバックライト付きの半透明デコラティブ・パネル「Topography」を設定。夜間走行などのシーンで柔らかな光りを放ち、独特の雰囲気を生み出す装備となっている。

 このほか、広大なガラス面積によって全席の乗員に広々と開放的な雰囲気を提供するチルトアップ機構付きの「電動パノラマ・ガラスルーフ」を全車で標準装備している。

センターコンソールに縦長の9インチ「タッチスクリーン式センターディスプレイ」を標準装備
リサイクル素材を一部に使用する「スウェードテキスタイル」と洗練された感触のハイテク合成素材である「マイクロテック」を組み合わせたシート表皮を採用
シートヒーターはフロントだけでなくリアシートにも搭載する

 車内エンタテイメントでは、センターコンソールに設定する9インチの「タッチスクリーン式センターディスプレイ」を備え、Apple CarPlayに対応するほか、デジタルサービスとして「Google Apps and Services」にも対応。「Googleマップ」によるナビゲーションや「Googleアシスタント」による音声操作、さらに各種アプリケーションが利用できる「Googleアプリ/サービス」が利用可能となり、緊急通報サービスや故障通報サービスなどと連携する「Volvo Cars app(テレマティクス・サービス/ボルボ・カーズ・アプリ)」も採用している。

 クルマや歩行者、サイクリストが混在する複雑な交通環境で事故を未然に防ぐため、クルマにできる最善の対策として開発された「City Safety(衝突回避・被害軽減ブレーキ・システム)」では、先進の安全・運転支援機能である「対向車対応機能」や「歩行者・サイクリスト検知機能」「インターセクション・サポート(右折時対向車検知機能)」などを採用している。

 このほかにもADAS(先進運転支援システム)では、「全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」「パイロット・アシスト(車線維持支援機能)」「ステアリングアシスト付BLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)」「衝突回避・被害軽減ブレーキ機能付CTA(クロス・トラフィック・アラート)」「ランオフロード・ミティゲーション(道路逸脱回避機能)」「オンカミング・レーン・ミティゲーション(対向車線衝突回避支援機能)」などを標準装備。

 また、「先行車発進告知機能」と「リア衝突回避・被害軽減ブレーキ・システム」も追加採用されている。

主要諸元(Ultra Twin Motor・4WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,440×1,875×1,650mm
ホイールベース 2,700mm
最低地上高 175mm
車両重量 2160kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 前235/45R20/後255/40R20

(電動機・モーター)
型式 前DAEAC/後CCEDF
定格出力 前55.0kW/後128.0kW
最高出力 前110kW(150PS)/4200-8000rpm/後190kW(258PS)/4400-6000rpm
最大トルク 前252Nm(25.7kgm)/1000rpm/後420Nm(42.8kgm)/1000rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 1.22V
容量 196Ah
個数 324個
総電圧 396V
総電力量 78kWh
一充電走行走行距離 560km
WLTCモード交流電力量消費率 161Wh/km

関連リンク

ボルボ・カー・ジャパン株式会社
https://www.volvocars.com/jp/
製品情報
https://www.volvocars.com/jp/cars/ex40-electric/

「EX30/EX30 クロスカントリー」

ボルボ「EX30」

車両価格:479万円~629万円(EX30)

車両価格:694万円(EX30 クロスカントリー)

モデル紹介

 BEV専用モデルとして生み出された「EX30」は日本で一般的に利用されている機械式立体駐車場を利用可能なコンパクトSUVとなっており、2023年10月にサブスクリプションサービスの利用者向けに先行受付を開始。2023年11月から通常のオンライン販売がスタートしている。

 また、8月にはEX30が持つ都市部での快適な走行性能や機能性はそのままに、ボルボの「クロスカントリー」シリーズが培ってきた「キャンプやスキーなどのアウトドア・アクティビティにも最適なモデル」という魅力を受け継いだ派生モデル「EX30 クロスカントリー」もラインアップに追加。週末に都会を離れ、自然の中での冒険を楽しみたい人に向けた“体験を提供するクルマ”として位置付けられている。

 ボディサイズはEX30が4235×1835×1550mm(全長×全幅×全高)、EX30 クロスカントリーが4235×1850×1565mm(全長×全幅×全高)となり、EX30 クロスカントリーの方が全幅と全高でそれぞれ15mmサイズアップ。ホイールベースはいずれも2650mmとなっている。最低地上高もEX30の175mmからEX30 クロスカントリーでは20mm高められ、未舗装路の走行にも対応する195mmの設定となる。

 BEV専用に開発された「SEA(Sustainable Experience Architecture)」プラットフォームで構成され、駆動用バッテリとして高効率なNMCリチウムイオンバッテリを採用。総電力量はEX30の後輪駆動モデル「Plus Single Motor」のみ51kWhで、それ以外では69kWhとなる。EX30 クロスカントリーは駆動方式がツインモーター仕様の電動4WDのみとなり、EX30では電動4WDに加え、リアモーターで後輪を駆動するシングルモーター仕様も設定されている。

 ツインモーター仕様はフロントの「TZ180XSB01型」モーターが最高出力115kW(156PS)/6000-6500rpm、最大トルク200Nm(20.4kgm)/5000rpm、リアの「TZ220XSA02型」モーターが最高出力200kW(272PS)/6500-8000rpm、最大トルク343Nm(35.0kgm)/5345rpmをそれぞれ発生。「TZ220XSA01型」モーターを搭載するシングルモーター仕様では最高出力200kW(272PS)/6500-8000rpm、最大トルク343Nm(35.0kgm)/5345rpmを発生して、一充電走行距離(WLTCモード)は51kWhバッテリ車で390km、69kWhバッテリ車で500km~560kmとなる。

 最大充電電力量は153kWhとなり、このスペックで充電した場合はバッテリ残量10%から80%まで26分強で充電可能となっている。また、EX30のツインモーター仕様では、0-100km/h加速を3.6秒で実現する俊足も備えている。

EX30のツインモーター仕様は0-100km/h加速を3.6秒で実現
一充電走行距離(WLTCモード)は51kWhバッテリ車で390km、69kWhバッテリ車で500km~560km

 SEAプラットフォームで設計されたEX30は、コンパクトなボディサイズながらロングホイールベースと大径タイヤ、切り詰められた前後オーバーハングなどによってバランスと洗練された印象を備える外観デザインを実現。ボルボの「アイアンマーク」だけを配置するグリルレスのフロントマスクでは、デジタル表現のセグメントデザインによってボルボモデルのアイコンである“トールハンマー”を表現した「LEDヘッドライト(アクティブ・ハイビーム付)」を備え、シンプルな形状によって空力性能を高めつつ、美しさと実用性を兼ね備える北欧デザインの本質を体現している。

 また、EX30 クロスカントリーではフロントマスクとリアハッチにマットブラックの加飾を設定。フロントグリル部分は冒険心を象徴するデザインとして、スウェーデンの北極圏にあるケブネカイセ山脈の地形図からインスピレーションを受けたユニークなアートワークを施している。さらに4輪のフェンダーにダークカラーのホイールアーチエクステンションを追加して、リアバンパーの下側中央とCピラーに「CROSS COUNTRY」のロゴを配置。前後バンパーにアクセントとなる「ヴェイパーグレー」色のインサートも施して力強い印象を際立たせ、“週末の冒険”にふさわしいタフで力強いスタイルとしている。

 EX30はリサイクル素材をより多く使用していることも特徴となっており、車両生産で使用する全アルミニウムの約25%、全スチールの約17%でリサイクル素材を使っている。また、車体に使用されている全プラスチックの約17%がリサイクル素材となっており、これはボルボ車全体で最も高い比率となっている

 インテリアでもサステナブルな素材が多用され、一年草で成長が早く、栽培中にCO2を吸収する再生可能な繊維である亜麻や廃棄物から作られた再生プラスチック、リサイクルポリエステルを約70%含むウール混紡素材、再生プラスチックも使った3Dニットのシート素材、リサイクル素材やバイオ素材を使用した「ノルディコ」シートなどを採用。環境にも配慮された快適なインテリアとなっている。

リアコンビネーションランプはこれまでのボルボモデルとはテイストが異なり、上下2段で分割されている
ルーフやピラー類をブラックアウトして重心の低いイメージを演出
「EX30 クロスカントリー」
ブラック&マットブラックのホイールにオールテレーンタイヤを組み合わせ、195mmに高めた最低地上高でオフロード走行に対応

 一方、EX30 クロスカントリーではスカンジナビア半島の常緑松林にインスパイアされた「パイン」インテリアを採用。シート表皮はウール30%、再生ポリエステル70%を配合した「テイラード・ウールブレンド素材」とリサイクル素材とバイオ由来素材で構成された独自のテキスタイル「ノルディコ」のコンビネーションとなり、モダンで心地よい雰囲気を表現している。また、デコラティブ・パネルには再生可能な繊維である亜麻を使った「フラックス・デコパネル」が配されている。

 車内の装備ではボルボ初の試みとして、ホームオーディオからインスピレーションを受けた「サウンドバー」を採用。複数のスピーカーを1つのコンポーネントにまとめ、ハーマン・カードンのハイエンドサウンドシステムと組み合わせたサウンドバーでは、スピーカーをフロントウィンドウのすぐ下に配置。スマートなデザインを実現しながら車内全体をプレミアムなサウンドで満たし、配線や素材の量を減らして環境負荷も低減。さらにドアスピーカーがなくなったスペースを活用し、ドアポケットの収納スペースが大幅に拡大している。

センターコンソールに「タッチスクリーン式ドライバーディスプレイ一体型センターディスプレイ」を搭載。ステアリングの前方にメーターなどが存在しない独自のインテリアとなっている
シート表皮にリサイクル素材を多用。フロントシートには全車でシートヒーターを採用
リアシートは全車60:40分割可倒式シートバックとなる

 インフォテインメントシステムでも最高のユーザー体験を実現するため、Google、Apple、Qualcommといった技術パートナーと密接に連携。インパネ中央に配置された12.3インチの「タッチスクリーン式ドライバーディスプレイ一体型センターディスプレイ」では、上側にシフト位置や車速、充電残量といった運転に関する重要な情報を表示。中央にカーナビの地図情報を表示して、下側ではエアコンやオーディオなどの機能を配置して使いやすさを追求している。

 デジタルサービスでは「Google Apps and Services」に対応して、Google搭載のハンズフリー支援やナビゲーション、Google Playのお気に入りアプリが組み込まれる。5Gに対応して高速通信が利用可能となっているほか、ボルボモデルで初めてApple CarPlayのワイヤレス接続に対応している。

 コンパクトなボディサイズで市街地での活躍も想定されることから、都市部に対応する新たな安全機能を開発して搭載。すべてのドアを対象にした「ドア・オープニング・アラート」は停車中に自転車や電動キックボードなどが車両に接近していることを検知した場合、ドアミラーに設置した「BRIS」のライトを点灯し、インパネのディスプレイでもアラート表示を実施。ドアが開き始めるとアラートが強化され、アラート音を鳴らして危険を知らせて乗員と車外の人を守る装備となっている

 このほかにもドライバー前方に設置しているカメラセンサーでドライバーの目や顔の動きを1秒間に約13回チェックして、ボルボ独自のアルゴリズムによって注意散漫や眠気などを検知した場合に画面表示とアラート音で警告する「DAC(ドライバー・アラート・コントロール)」を備え、「衝突回避・被害軽減ブレーキ&ステアリング・システム」には、自車の前方をほかの車両が不意に横切ったときに自動ブレーキを作動させ、衝突の回避や被害軽減をサポートする新機能「インターセクション・サポート」が追加されている。

ラゲッジスペース容量は318L。リアシートを前方に倒してフルラゲッジ状態にすると718Lまで拡大可能
「パノラマ・ガラス・ルーフ」はEX30の「Ultra Single Motor Extended Range」「Ultra Twin Motor Performance」とEX30 クロスカントリーで標準装備
EX30 クロスカントリーのインパネ
ウール30%、再生ポリエステル70%を配合した「テイラード・ウールブレンド素材」とリサイクル素材とバイオ由来素材で構成された独自のテキスタイル「ノルディコ」を組み合わせたシート表皮を採用

主要諸元(EX30 Plus Single Motor・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,235×1,835×1,550mm
ホイールベース 2,650mm
最低地上高 175mm
車両重量 1770kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 225/55R18

(電動機・モーター)
型式 TZ220XSA01
定格出力 75.0kW
最高出力 200kW(272PS)/6500-8000rpm
最大トルク 343Nm(35.0kgm)/5345rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 380V
総電力量 51kWh
一充電走行走行距離 390km
WLTCモード交流電力量消費率 150Wh/km

主要諸元(EX30 クロスカントリーUltra Twin Motor Performance・4WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,235×1,850×1,565mm
ホイールベース 2,650mm
最低地上高 195mm
車両重量 1880kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 235/50R19

(電動機・モーター)
型式 前TZ180XSB01/後TZ220XSA02
定格出力 前41.0kW/後75.0kW
最高出力 前115kW(156PS)/6000-6500rpm/後200kW(272PS)/6500-8000rpm
最大トルク 前200Nm(20.4kgm)/5000rpm/後343Nm(35.0kgm)/5345rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 392V
総電力量 69kWh
一充電走行走行距離 500km
WLTCモード交流電力量消費率 161Wh/km

試乗記

関連リンク

ボルボ・カー・ジャパン株式会社
https://www.volvocars.com/jp/
製品情報
https://www.volvocars.com/jp/cars/ex30-electric/


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テスラ

「モデル Y」

テスラ「モデル Y」

車両価格:558万7000円~647万6000円

モデル紹介

 ミドルサイズSUVの「モデル Y」は2022年6月に日本市場での受注がスタート。1月には内外装を変更して乗り心地や効率性などを向上させた大幅改良モデルが市場投入されている。

 ラインアップでは後輪駆動の「モデル Y RWD」とデュアルモーターAWDの「モデル Y ロングレンジAWD」の2種類が用意され、RWDでは「スタンダードレンジ」バッテリ、ロングレンジAWDでは「ロングレンジ」バッテリを採用して、一充電走行距離(WLTCモード)はRWDが547km、ロングレンジAWDが635kmとなる。

 駆動用モーターのスペックは、RWDのリアモーターが最高出力255kW、最大トルク450Nmを発生して最高速201km/h、0-100km/h加速5.9秒を発揮。ロングレンジAWDはフロントモーターで最高出力158kW、最大トルク240Nm、リアモーターで最高出力220kW、最大トルク350Nmをそれぞれ発生して、最高速201km/h、0-100km/h加速4.3秒を達成している。

 ボディサイズは4800×1920×1625mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2890mm、車両重量はRWDが1920kg、ロングレンジAWDが1990kg。

モデル Yの走行イメージ。ロングレンジAWDは最高速201km/h、0-100km/h加速4.3秒を達成する
一充電走行距離(WLTCモード)はRWDが547km、ロングレンジAWDが635km

 外観デザインでは「サイバートラック」や「サイバーキャブ」と同じ直線基調のデイタイムランニングライトをフロントマスクに採用。高い識別性を備え、大胆なデザインテイストを採り入れた最新世代のサイバーデザイン言語を採用。力強いボディデザインと滑らかなラインが特徴となっており、空力性能も高めて航続距離を最大化するため再設計された。

 リアでは“拡散反射技術”を初採用して、ボディパネルをテールランプとして利用する「クロスカーランプ」を搭載。夜間走行などのシーンで圧倒的な存在感を放ち、先進的なエクステリアデザインを構成している。

 ボディ形状の刷新により、空気抵抗係数のCd値は従来モデルよりも0.01向上した0.22となり、車高の高いSUVながらセダン級の数値をマークしている。さらにリアの空力性能も向上させ、前後の揚力バランスを27%最適化した。

 足まわりではサスペンションを柔らかく再セッティングして、悪路などでの振動吸収性能が51%向上。乗り心地と快適性を大幅に高めた。また、複数のシーリング材や遮音材を新たに追加して、ドアミラーの形状を変更したことによって従来モデルと比較して風切り音が20%、ロードノイズが22%低減。車内の静粛性も高められている。

 ボンネット下に設定するフランク(フロントトランク)は業界最大級という117Lの容量を確保しており、仕切り板を使うことで収納スペースを柔軟にカスタマイズ可能としている。大幅改良のタイミングで独立した排水口も追加され、さらに利便性を向上させた。

初採用の“拡散反射技術”でボディパネルをテールランプとして利用する「クロスカーランプ」を搭載
ボディ形状の刷新で空力性能を高め、SUVながらCd値は0.22を実現

 インテリアではインパネからドアパネルにつながり、リアシートの乗員まで包み込むように連続する「アンビエントライト」を採用。発光色は256種類が用意され、気分に合わせたカラーが選択できるようになっている。また、ステアリングコラムにあったシフトレバーは大幅改良で廃止され、「モデル 3」と同じセンターディスプレイでの操作に変更された。

 運転席と助手席には「シートベンチレーション」を標準装備。シート内部の通気ダクトはテスラ独自の特許技術によるエアフロー設計が施され、座った状態でも空気の流れを妨げることがなく、夏場でも快適なロングドライブが可能になる。また、ルーフガラスにはシルバーメッキコーティングが追加され、遮熱効率を26%向上させて暑い季節の快適性を高めた。

 リアシートでは座面長を15mm延長し、ヘッドレストの幅を17mm拡大してシート形状の最適化を実施。シートバックには電動リクライニング機能が追加され、サポート性と長距離移動時の快適性を大幅に高めている。このほか、センターコンソール後方に「後部座席用8インチタッチスクリーン」も追加されている。

 ADAS(先進運転支援システム)関連では、大幅改良でフロントバンパー下部に「ブラインドスポットカメラ」を設定。走行中もインパネ中央に設定された15.4インチタッチスクリーンに車両前方の映像を映し出すことが可能となり、路面状況などをより明確に確認できるようにして安全性と利便性を向上させた。カメラには自動洗浄機能が与えられ、常にクリアな視界を確保できるようにしている。

メーターや操作系をインパネ中央の15.4インチタッチスクリーンに集約したクリーンなインテリア
大幅改良で追加された「アンビエントライト」が光の演出でリアシートの乗員まで包み込む
リアシートも大幅改良で形状の最適化などが図られ、サポート性と長距離移動時の快適性を大幅に高めた
運転席と助手席には「シートベンチレーション」を標準装備している

主要諸元(RWD・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,800×1,920×1,625mm
ホイールベース 2,890mm
最低地上高 167mm
車両重量 1920kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) -
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ -

(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 -
最高出力 255kW
最大トルク 450Nm

(動力用主電池)
種類 -
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 -
一充電走行走行距離 547km
WLTCモード交流電力量消費率 -

関連リンク

テスラジャパン
https://www.tesla.com/ja_jp
製品情報
https://www.tesla.com/ja_jp/modely


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ジープ

「アベンジャー」

ジープ「アベンジャー」

車両価格:550万円

モデル紹介

「アベンジャー」はジープブランド初のBEVとして2024年9月に発売されたコンパクトSUV。現在はステランティスグループで同じ会社となったプジョーとシトロエンがグループPSA時代に生み出した「eCMP」を利用して開発され、パワートレーンでは車体下部に総電力量54.06kWhの駆動用バッテリを採用。最高出力115kW(156PS)/4070-7500rpm、最大トルク270Nm/500-4060rpmを発生する「ZK02型」モーターをボンネット下に搭載して前輪を駆動する。

 充電は200Vの普通充電とCHAdeMO方式の急速充電に対応し、一充電走行距離(WLTCモード)は486km。車両には約5mの200V 普通充電専用コードが付属する。また、車体下部に設置されたバッテリは約200万km以上に渡るテストが行なわれ、オフロード走行中に路面の障害物に当たって発生する衝撃から保護するため、アンダーボディにスキッドプレートを装備している。

 ボディサイズは4105×1775×1595mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2560mm、車両重量は1570kgとなり、ジープラインアップで最小のボディが与えられたエントリーモデルに位置付けられている。

総電力量54.06kWhの駆動用バッテリを採用し、一充電走行距離(WLTCモード)は486km

 フロントマスクではジープブランドのアイコンとなっている「7スロットグリル」を採用しつつ、BEV化に伴い開口部にピアノブラックパネルを装着。「LEDヘッドライト(デイタイム・ランニング・ライト付)」よりも前方に配置され、万が一の衝突時にヘッドライトを保護する役割も与えられている。

 前後タイヤのフェンダーは大きく張り出させ、力強い印象を与える造形としてオンロードからオフロードまで堂々とした存在感を示している。リアコンビネーションランプには「レネゲード」でも採用されている、ジェリー缶のデザインからインスパイアされた「X」型のシグネチャー・ランプを装備。このXシグネチャーをカモフラージュデザインに仕立てた「X-camo」は、アベンジャーの新たなモチーフとしてさまざまな部位で用いられている。

 このほかにもアベンジャーでは、ジープブランドの別モデルで用いられている遊び心溢れるアイコン(隠れキャラクター)が、フロント&リアウィンドウ、フロントスポイラー、リアハッチ、リアコンビネーションランプ、ルーフレールなどに密かに配置されている。

ボディカラーは新色の「サン」に加えて「グラナイト」「ボルケーノ」「スノー」の4色
外観のアクセントとして“隠れキャラクター”を配し、ブランドのヘリテージなどを密かに表現している

「Design to function(機能性を考慮したデザイン)」を意識したインテリアでは多くの収納スペースを設定。インパネの助手席前方や大型センターコンソール、ドアポケットなどを合わせて約26Lの収納スペースと用意しており、大型センターコンソール内の仕切りは取り外してサイズ調整が可能となっている。ラゲッジスペース容量は355Lで、40:60分割可倒式リアシートを活用してより多くの荷物も搭載できる。

 また、ラゲッジスペースを使いやすくする機能として、リアバンパー付近に足先を入れるとリアハッチが電動オープンする「ハンズフリーパワーリフトゲート」を標準装備。両手で荷物を持っているよう状態でもリアハッチを開け、ラゲッジスペースに載せられるようにしている。

 インパネ中央に置かれた10.25インチのタッチパネルモニターを備える「オーディオナビゲーションシステム」は「Apple CarPlay」と「Android Auto」に対応。スマートフォンで使い慣れたナビゲーションやストリーミング音楽再生などのアプリを利用できる。また、コネクティビティでは「ジープ・モバイル・アプリ」を利用することで、車両の現在位置の特定、リモートからのドアロックの解錠/施錠、エアコンのON/OFF、バッテリ残量の確認などが可能となる。

水平基調のインパネ。助手席前方に横長のトレーを設定して使い勝手を高めている
ラゲッジスペース容量は355L

 走行機能ではジープブランドの前輪駆動車として初めて「Selec-Terrain(セレクテレイン)」と「ヒルディセントコントロール」を標準装備。セレクテレインでは6つの走行モードが用意され、日常的なドライビングに適した「ノーマル」、航続距離を延ばす「エコ」、出力を高めてドライビングを楽しむ「スポーツ」といった一般的なオンロード走行向けのモードに加え、凍結した路面やトレイル路で最大限のトラクションを発揮する「スノー」、ぬかるんだ路面でのグリップ力を高める「マッド」、砂地で最大限のトラクションを発揮する「サンド」など、オフロード走行で威力を発揮するモードも用意されている。

 また、ヒルディセントコントロールはオフロードの急な下り坂でも一定速度で走行できるよう加減速をアシストする機能となっている。

 eCMPの採用によってADAS(先進運転支援システム)も充実したものとなっており、前方を走行するクルマを検知して、その車両と安全な一定の車間距離を保つよう車速をコントロール。前方車両が停止した場合は自車も停止するよう制御する「アダプティブクルーズコントロール (STOP&GO機能付)」、アダプティブクルーズコントロールを作動させて走行しているシーンで、ドライバーが任意に設定した車線内の位置を維持するようステアリング操作をアシストする「レーンポジショニングアシスト」といった長距離ドライブや渋滞時の負担を軽減する機能を採用。

 さらに走行中に車両や自転車、歩行者などを検知して、衝突する危険性が高い場合は自動ブレーキを作動させて衝突回避をアシストする「衝突被害軽減ブレーキ」、ウインカー操作を行なわれない状態で車両が車線を跨ごうとした場合にドライバーに警告を行ない、合わせてステアリングにアシストトルクを与えてドライバーに車線内の走行を維持するよう促す「レーンキーピングアシスト」、自車の斜め後方に存在する車両を検知して、その方向のドアミラーにマークを表示してドライバーに注意喚起するほか、その方向にウインカー操作をした場合はマークを点滅させ、警報音も使ってドライバーに警告する「ブラインドスポットモニター」、道路標識を認識して対応するアイコンをマルチビューディスプレイに表示して、ドライバーの見落としを防止する「トラフィックサインレコグニション」などの安全機能も用意して、乗員を危険から遠ざけるようにしている。

200mm以上という最低地上高を備え、アンダーボディのスキッドプレートでオフロード走行中のダメージからバッテリを保護する
前輪駆動車ながら「Selec-Terrain(セレクテレイン)」などの装備でジープブランドらしいオフロード走破性を実現
「アダプティブクルーズコントロール (STOP&GO機能付)」の作動イメージ
「衝突被害軽減ブレーキ」の作動イメージ

主要諸元(Altitude・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,105×1,775×1,595mm
ホイールベース 2,560mm
最低地上高 -
車両重量 1570kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 215/60R17(前後)

(電動機・モーター)
型式 ZK02
定格出力 62.0kW
最高出力 115kW(156PS)/4070-7500rpm
最大トルク 270Nm/500-4060rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.68V
容量 145Ah
個数 -
総電圧 375V
総電力量 54.06kWh
一充電走行走行距離 486km
WLTCモード交流電力量消費率 127Wh/km

関連リンク

ジープ
https://www.jeep-japan.com/
Stellantisジャパン株式会社
https://www.stellantis.jp/
製品情報
https://www.jeep-japan.com/avenger.html


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キャデラック

「リリック」

キャデラック「リリック」

車両価格:1100万円

モデル紹介

 ラグジュアリーSUVの「リリック」は、キャデラック初のBEVとして3月に発売。出力を選択できるドライビングモーター、供給を統合したパワーエレクトロニクスとバッテリセルを組み合わせる独自のモジュラーシステムなどで構成される「アルティウム」と呼ばれる新しいバッテリ・プラットフォームを採用している。

 走行用バッテリを前後タイヤ間のフロア下に収めた低重心構造によって走行時の安定性を高め、ボディ剛性を強化。前後重量配分も50:50を実現して、車体の前後に備える計2個のドライビングモーターを搭載する「デュアルモーターeAWDシステム」を採用。モーターではシステムトータルで最高出力384kW(約522PS)、最大トルク610Nmを発生して、95.7kWhの容量を持つバッテリと組み合わせ、WLTPモードの一充電走行距離は510kmとなっている。

 バッテリの充電は一般的なAC100Vに加え、200V電源にも対応して充電時間の短縮が可能。外出先ではCHAdeMO方式の急速充電が利用可能で、充電時には希望する充電終了レベルを設定できるようになっている。

「アルティウム」と呼ばれる新しいバッテリ・プラットフォームを採用

 外観デザインではキャデラックモデルを象徴する縦長のLEDヘッドライト「スリムラインLED バーティカル ヘッドランプ」と水平方向に光が流れる「スワイピングLEDウインカー」などで構成するフロントマスクでヘリテージを強調。グリルの中央にはクリアタイプの「キャデラッククレスト」を装着して、新世代のBEVであることをアピールする。

 ボディサイズは4995×1985×1640mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは3085mmという大柄なボディを活用して、流麗なサイドシルエットとルーフライン、流れるようなAピラーとウエストラインが与えられ、3mを超えるロングホイールベースによって優美で圧倒的なプロポーションを創出。標準装備する21インチの「アフターミッドナイトフィニッシュダイナミックスプリットスポーク アルミホイール」と合わせて“ラグジュアリーEV”にふさわしい風格を表現している。

 リアビューでは1967年式の「エルドラド」をモチーフとした縦型テールランプをリアフェンダー後方に設定して、120年以上に渡るキャデラックブランドの歴史を表現している。リアコンビネーションランプはリアハッチのパネルとガラスウィンドウを分割する高い位置でL字型に細長く配置され、視認性の高さと個性を両立させた。

3mを超えるロングホイールベースによって優美で圧倒的なプロポーションを創出
1967年式の「エルドラド」をモチーフとした縦型テールランプで120年以上に渡るキャデラックブランドの歴史を表現

 インテリアではドライバー前方からセンターコンソールまでシームレスに連続する湾曲型の「33インチアドバンスドカラーLEDディスプレイ」を採用。9Kに匹敵する解像度を備えた画面は機能別に3つのゾーンで区切られ、右ハンドル仕様に合わせたレイアウトも用意。すべての情報がドライバーに瞬時に伝わるようデザインされ、直感的な操作に対応してスマートなドライビングをサポートする。

 宙に浮いているかのようなデザインが与えられたセンターコンソールにはローレット加工を施したロータリーコントローラーを設置して操作性と上質感を高め、ドアパネルにはレーザーエッチング加工とバックライトによってきらめくような光の演出を生み出す「KOMOREBI(こもれび)」を設定。126色から選択可能な「アンビエントライト」と合わせ、キャビン全体を温かみのある空間として演出する。

 動物由来ではないサスティナブル素材の「インタラックス」を表皮に使う標準シートでは、クッションに高密度フォームを採用してロングドライブでの快適性を高めたほか、フロントシートにはヒーター&ベンチレーション、リアシートにはシートヒーターを標準装備。さらに乗員のエアコン操作に応じて、必要な場合はバッテリシステムで発生する余剰な熱を車内に送り込んで活用する「ヒートポンプシステム」を備え、寒さが厳しくなる厳冬期でも効率性を維持する設計としている。

 また、アルティウムプラットフォームの採用でボディ剛性が強化されたリリックは、ボディの各所に吸音材や制振材を設定することで静粛性に優れるキャビンを実現。フロントとサイドに2重ガラスを採用するほか、リアウィンドウは5mm厚の強化ガラスとしている。これに加え、車両の四隅に配置した3軸加速度センサーでタイヤで発生する振動を検出し、キャビン内に設置したマイクで検知したノイズの情報と合わせて不快な侵入音を打ち消す次世代のアクティブノイズキャンセレーションも採用している。

 電動開閉式のリアハッチを備えるラゲッジスペースは793Lの容量を備え、ラゲッジスペース側面の電磁スイッチで前倒し可能な60:40分割可倒式リアシートを前方に倒すと、最大で1722Lまで容量を拡大できる。

「33インチアドバンスドカラーLEDディスプレイ」を採用
静粛性に優れるキャビンに加え、次世代のアクティブノイズキャンセレーションで快適性を高めている
サスティナブル素材の「インタラックス」を表皮に使う標準シート。内装色は「スカイクールグレイ/サントリーニブルーアクセント」
65万円高となるオプションの「フルレザーシート」。内装色は「ジュニパー ウィズ スカイクールグレイアクセント」
「パノラミック パワー サンルーフ」(電動サンシェード付)は25万円高のオプション装備
ラゲッジスペース容量は793L。60:40分割可倒式リアシートを前方に倒して1722Lまで容量を拡大できる

 デュアルモーターeAWDシステムでは前後それぞれの車軸にモーターを搭載し、通常はエネルギー効率を優先して電費を抑える一方、必要に応じて前後の駆動トルク配分を最適化して優れた俊敏性とよりパワフルで長い航続距離を実現する。

 前後モーターは独立して制御が行なわれ、4種類のドライブモードも採用。日常走行に最適なバランスの取れた「ツアー」、俊敏なレスポンスとパフォーマンスを重視する「スポーツ」、雪道や滑りやすい路面で安定性を強化する「スノー/アイス」、ステアリングやブレーキの応答性などを自由にカスタマイズできる「マイモード」という各モードを切り替え、設定に応じてトラクションと安定性を確保する。

 2つのモーターを利用するアドバンテージとして、回生ブレーキではシングルモーターの一般的なBEVのほぼ2倍となる最大0.4Gの制動力が得られ、回生されたエネルギーはバッテリに送られて航続距離を伸ばすことにも貢献。

 また、回生ブレーキを活用して、アクセルペダルだけで加速から停止までスムーズに行なえる「ワンペダルドライブ」を実現。回生ブレーキレベルは「OFF」「ON」「高」の3種類から選択可能で、さらに「バリアブル回生オンデマンドシステム」により、ステアリングに設置されたパドルを使用して回生ブレーキの操作が可能となっており、パドル操作のみで完全停止まで制御できる。

 このほか、ステアリングシステムには精密な制御や補正を行なう「トルクオーバーレイ(STO)」を導入して、常に正確なハンドリングを実現。市街地走行からダイナミックなスポーツドライブまであらゆるシーンに対応する。

 ADAS(先進運転支援システム)では高度なレーダーやカメラ、超音波センサーといった技術で周囲の交通環境を検知して監視を行ない、「アダプティブクルーズコントロール」や「レーンキープアシスト」などの運転支援システムを作動させて、あらゆるシーンで事故リスクを低減する。さらにズームや明るさ調整といった機能を備えるデジタルルームミラーの「リアカメラミラー」の搭載して視界や視認性を向上。安全な運転環境をドライバーに提供する。また、自車に接近してくる自転車やドアを開けようとしたときに死角にいる自転車などを検知した場合に警告を行なう「サイドバイシクルアラート」をキャデラックモデルとして初搭載している。

 20km/h以下のゆっくりとした車速で走行しているときに、歩行者や自転車に自車の接近を警告音で知らせる「車両接近通報装置」では、オーストラリアの伝統楽器「ディジュリドゥ」を使い、感情に響くよう設計された長音と完全五度の音程によって構成する豊かで心地よい独自の警告音を採用。GMが目指す“事故ゼロ”を実現するため、革新的な安全技術で乗員や歩行者などをサポートする。

「デュアルモーターeAWDシステム」のモーターではシステムトータルで最高出力384kW(約522PS)、最大トルク610Nmを発生。95.7kWhの容量を持つバッテリと組み合わせ、WLTPモードの一充電走行距離は510km

主要諸元(スポーツ・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,995×1,985×1,640mm
ホイールベース 3,085mm
最低地上高 -
車両重量 2650kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) マルチリンク/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 275/45R21(前後)

(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 前85kW/6500rpm/後101kW/6000rpm
最高出力 前170kW/15500rpm/後241kW/15500rpm
最大トルク 前309Nm/0-1000rpm/後415Nm/0-1000rpm

(動力用主電池)
種類 -
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 352V
総電力量 95.7kWh
一充電走行走行距離 510km
WLTCモード交流電力量消費率 -

関連リンク

キャデラック
https://www.cadillacjapan.com/
ゼネラルモーターズ・ジャパン株式会社
https://www.gmjapan.com/jp/home.html/
製品情報
https://www.cadillacjapan.com/electric/lyriq


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BYD

「SEALION 7」

BYD「SEALION 7」

車両価格:495万円~572万円

モデル紹介

 クロスオーバーSUVの「SEALION 7」はBYDの日本導入モデルの第4弾として4月に発売。“アシカ”を意味する車名のように、BYDの“海洋シリーズ”の特徴である伸びやかでエレガントなデザインを力強いSUVのフォルムに落とし込んだ5人乗りのボディが与えられている。

 BYDがゼロから設計したBEV専用プラットフォーム「e-Platform 3.0」を基本として、設計にあたっては「安全性」「効率性」「デザイン性」「インテリジェンス」という次世代BEVに求められる4つの価値を徹底的に追求。駆動用バッテリには安全性が高く、最新のバッテリ熱管理システムの採用によって卓越した充放電能力を備えた「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」を採用。バッテリセルを刃(ブレード)型に成型して並べた「ブレードバッテリー」と名付ける駆動用バッテリを隙間なく、車体構造の一部として効率よく搭載する「CTB(Cell to Body)」技術でアンダーボディと一体化。正面からの衝突時にボディの変形量が50%、側面からの衝突時には変形量が45%減少する強度を備えて乗員とバッテリを保護する。

 駆動方式としては後軸間にモーターを設置して後輪を駆動するRWDと、前軸間にもモーターを追加して4輪を駆動する電動4WDの2種類で、リアアクスルには駆動用モーターとトランスミッション、MCU(モーターコントロールユニット)、PDU(高圧配電モジュール)、DC-DCコンバーターなどをセットにした「改良型8 in 1アッセンブリーモーター」を搭載。コンパクト化による空間効率の最大化とエネルギー効率の最適化を実現している。

 また、電動4WDでは独自の制御技術となる「iTAC(インテリジェント・トルク・アダプテーション・コントロール)」を採用。車体の姿勢やタイヤのグリップ状況などに応じて瞬時にトルク配分をコントロールして、操縦安定性や鋭い加速、エネルギー消費の低減などを高レベルで制御する。

 動力性能は、リアアクスルの「改良型8 in 1アッセンブリーモーター」のみを搭載するRWDで最高出力230kW(312PS)、最大トルク380Nmを発生。フロントアクスルに「かご型三相誘電モーター」を備える電動4WDではシステム総合で最高出力390kW(529PS)、最大トルク690Nmを発生する。それぞれで総電力量82.56kWhの駆動用バッテリと組み合わせ、一充電走行距離(WLTCモード)はRWDが590km、電動4WDが540kmとなっている。また、電動4WDでは0-100km/h加速4.5秒というパフォーマンスを発揮する。

 足まわりではフロントでダブルウィッシュボーン式、リアでマルチリンク式を採用して路面に対する追従性を高め、ショックアブソーバーには機械式油圧システムを備える「可変ダンピングアブソーバー」を全車で標準装備。走行速度や路面状況などに合わせた最適なダンピング効果を発揮して、スポーティな走行性能と快適な乗り心地を両立する。ボディサイズは4830×1925×1620mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2930mm。

一充電走行距離(WLTCモード)はRWDが590km、電動4WDが540km。電動4WDは0-100km/h加速4.5秒のパフォーマンスを発揮する
BEV専用プラットフォーム「e-Platform 3.0」では駆動用バッテリを車体構造の一部として効率よく搭載する「CTB(Cell to Body)」技術でアンダーボディと一体化
リアアクスルに最高出力230kW(312PS)、最大トルク380Nmを発生する「改良型8 in 1アッセンブリーモーター」を搭載
ショックアブソーバーには機械式油圧システムを備える「可変ダンピングアブソーバー」を全車で標準装備

 BYDの4ドアセダン「SEAL」と共通する「海洋美学」のコンセプトを活用した外観デザインでは、フロントマスクに「Ocean X Face」と呼ぶX字型のデザインを採用。明るく効率的な光を放つ「ブーメランシェイプ LEDライト」を備え、フロントマスクのXラインからドアパネルの上下に「ダブルウエストライン」が伸びてリア側のショルダーラインにダイナミックさを与え、タイヤの踏ん張り感を強調して堅牢でタフなSUVであることを強調する。

 ドアパネルと一体化する「格納式ドアハンドル」やルーフ後方の「スプリットウイング」、ダックテール形状のリアハッチなどが空気の流れを整えて空気抵抗を低減し、フラットなフロア下形状と合わせてCd値0.28を実現。風切り音などの発生を抑制して静粛性を高め、航続可能距離の拡大に貢献する。また、海洋シリーズのデザインエレメントとして、リアハッチから両サイドに一文字に続くリアコンビネーションランプは水平線に見立てられ、内部には水滴をイメージしたドットライトが配置されている。

フロントマスクに「Ocean X Face」と呼ぶX字型のデザインを採用
リアコンビネーションランプは水平線に見立てられ、内部に水滴をイメージしたドットライトを配置

 ブラックとシルバーを基調として上質で居心地のよい空間を表現したインテリアでは、シンメトリー形状のインパネ中央に回転可能な「15.6インチマルチタッチスクリーン」を設置。車載用高性能チップを搭載して処理性能が高められたこのインフォテイメントシステムでは、ドアミラーの開閉やシート操作、チャイルドロックといった車両操作が可能となっており、さらに「Apple CarPlay」や「Android Auto」に対応するコネクト機能を備え、スマートフォンに保存された各種アプリや音声コントロール(マルチコマンド)機能も利用できる。また、運転席の前方には10.25インチのデジタルメーターが埋め込まれ、多彩な表示が可能となっている。

 インパネ周辺はスイッチ類を省いてすっきりとしたデザインとしている一方、センターコンソールにはクリスタルをモチーフにした電動シフトレバーを中心に、使用頻度が高い物理スイッチなどを集中配置。また、センターコンソールの前方には50W出力で冷却機能も備えるワイヤレス充電パッドも設置して使い勝手を高めている。

 キルティング加工が施されたナッパレザーシートでは、フロントシートにシートヒーター&シートベンチレーション、リアシートにシートヒーターを採用して快適性を向上。フロントシートは乗員の体をしっかりとホールドするヘッドレスト一体型のスポーツタイプとなり、運転席は8ウェイ、助手席は6ウェイパワーシートで、さらに運転席には4ウェイパワーランバーサポート、パワーレッグサポートといった機能も与えられている。また、リアシートの背もたれは20度の角度調整機能を備えている。

 フロントウィンドウとフロントドアウィンドウには、防音性を高め、熱線吸収機能を備えるガラスを使って快適性が高められており、電動ブラインドを備える「パノラミック・ガラスルーフ」も全車で標準装備して、着座位置の高いSUVならではの開放感をさらに向上させている。また、リアハッチは「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」の機能を備え、スマートキーを所持した状態でリアバンパーの下に足先を入れる操作によってリアハッチの電動開閉が可能となっている。

インパネ中央に回転可能な「15.6インチマルチタッチスクリーン」を設置
フロントシートは乗員の体をしっかりとホールドするヘッドレスト一体型のスポーツタイプ
電動ブラインドを備える「パノラミック・ガラスルーフ」も全車で標準装備
リアハッチに「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」の機能を搭載

 安全性能では欧州の安全性能テストである「EURO NCAP」で最高評価の5つ星を獲得する衝撃吸収構造のボディと9エアバッグシステムなどを備えて高いパッシブセーフティ性能を確保するほか、アクティブセーフティの面でもマルチパーパスカメラと5つのミリ波レーダーを組み合わせて多彩なADAS(先進運転支援システム)を用意。

 自車前方の車両や歩行者などとの衝突を予見した場合に自動的にブレーキを作動させる「自動緊急ブレーキ」、走行中の車線から逸脱したり、対向車線の車両と接触するような可能性がある場合に電動パワーステアリングを使って車線逸脱や衝突を回避する運転操作をアシストする「緊急時車線維持支援」、低速走行中に自車前方を横切る車両を検知して、衝突する危険性がある場合に自動的にブレーキを作動させる「フロントクロストラフィックブレーキ」などを採用。また、高速道路などの巡航走行をアシストする「アダプティブクルーズコントロール」と「速度制限標識認識機能」を組み合わせた「インテリジェントスピードリミットコントロール」も標準装備している。

 このほかにも、Aピラーに埋め込まれたセンサーでドライバーの疲労度を計測し、注意力が散漫になっていると判断した場合に注意喚起を行ない、ドライバーに休憩などをうながす「ドライバーモニタリングシステム」、車内に設置したミリ波レーダーで車内に子供が残っていると検知した場合に登録したスマートフォンに通知を送る「幼児置き去り検知」などの機能を採用している。

 ソフトウェア機能についてはインターネット通信を活用して適宜更新を行なう「OTAアップデート」に対応。ディーラーや整備工場などに車両を持ち込む必要なく、通信によって新機能の追加やシステム改善などを利用できるようにしている。

主要諸元(SEALION 7・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,830×1,925×1,620mm
ホイールベース 2,930mm
最低地上高 -
車両重量 2230kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 前235/50R19/後255/45R19

(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 -
最高出力 230kW(312PS)
最大トルク 380Nm

(動力用主電池)
種類 リン酸鉄リチウムイオンバッテリ
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 82.56kWh
一充電走行走行距離 590km
WLTCモード交流電力量消費率 161Wh/km

関連リンク

BYD Auto Japan
https://byd.co.jp/byd-auto/
製品情報
https://byd.co.jp/e-life/cars/sealion7/

「SEAL」

BYD「SEAL」

車両価格:528万円~605万円

モデル紹介

 Dセグメントの4ドアスポーツセダン「SEAL」は、BYDのフラグシップモデルとして2024年6月から日本導入を開始。「卓越したスポーツ性能」「高次元な安全性」「シーンを選ばない快適性」という3本の柱を設定して開発されている。

 BYDがゼロから設計したBEV専用プラットフォーム「e-Platform 3.0」を採用し、従来の「CTP(Cell to Pack)」に替わり、駆動用バッテリを車体構造の一部として効率よく搭載する新技術「CTB(Cell to Body)」を初採用。アンダーボディと一体化したことで、正面からの衝突時にボディの変形量が50%、側面からの衝突時には変形量が45%減少する強度を備えて乗員とバッテリを保護する。また、ねじり剛性も欧州プレミアムカーに比肩する40,000Nm/degを実現して、ドライバーの意のままに車体が反応するハンドリング性能を手に入れている。

 また、駆動用バッテリには安全性が高く、最新のバッテリ熱管理システムの採用で卓越した充放電能力が与えられた「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」を選択。バッテリセルを刃(ブレード)型に成型して並べた形状から「ブレードバッテリー」と呼ばれ、総電力量は82.56kWhとなっている。

 バッテリの温度管理には車内用のエアコンで利用する空調用ヒートポンプシステムとバッテリ熱管理システムを統合した「高効率ヒートポンプシステム」を採用。直冷直熱メカニズムによって熱効率が20%高められ、外気温が低い冬期の走行可能距離を10%アップさせている。

駆動用バッテリを車体構造の一部として効率よく搭載する「CTB(Cell to Body)」を初採用
「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」の「ブレードバッテリー」を搭載する
駆動用バッテリの総電力量は82.56kWh。一充電走行距離(WLTCモード)はRWDのSEALが640km、電動4WDのSEAL AWDが575kmとなる

 ラインアップは後軸間にモーターを設置して後輪を駆動するRWDの「SEAL」と、前軸間にもモーターを追加して4輪を駆動する電動4WDの「SEAL AWD」という2種類が用意され、リアアクスルには駆動用モーターとトランスミッション、MCU(モーターコントロールユニット)、PDU(高圧配電モジュール)、DC-DCコンバーターなどをセットにした「8 in 1パワーシステムアッセンブリー」を搭載。アッセンブリー化によって重量を15%、体積を20%低減することに成功し、空間効率を最大化している。

 電動4WDでは独自の制御技術となる「iTAC(インテリジェント・トルク・アダプテーション・コントロール)」を採用。車体の姿勢やタイヤのグリップ状況などに応じて瞬時にトルク配分をコントロールして、操縦安定性や鋭い加速、エネルギー消費の低減などを高レベルで制御する。さらにSEAL AWDは車体の前後重量配分が50:50になるよう設計され、ドライバーとクルマの一体感を高め、安定感のある意のままの走りが可能となる。さらに足まわりではサスペンションの動きに合わせて油路と流量を調整し、より高い路面粘着性を発揮する「可変ダンパーサスペンション」を採用して走行性能を引き上げている。

 動力性能はリアアクスルの「8 in 1パワーシステムアッセンブリー」で最高出力230kW(312PS)、最大トルク360Nmを発生。フロントアクスルの「かご型三相誘電モーター」でで最高出力160kW(217PS)、最大トルク310Nmを発生。一充電走行距離(WLTCモード)はRWDのSEALが640km、電動4WDのSEAL AWDが575kmとなっている。また、SEAL AWDは0-100km/h加速3.8秒というパフォーマンスを発揮する。

強化したボディ剛性と「可変ダンパーサスペンション」などの採用でスポーツセダンらしい走行性能を実現。SEAL AWDの0-100km/h加速は3.8秒

 外観デザインでは「海洋美学」のコンセプトが設定され、“アザラシ”を意味する車名のように流線型のなだらかなボディシルエットを採用。フロントマスクは明るいLEDヘッドライトとバンパー両サイドの開口部でX字のラインを表現する「Ocean X Face」となり、前進感や疾走感を表現。さらにバンパーの開口部には4本のデイタイムランニングライトを重ねて海の白波を表現した「リップルイルミネーション」を装備。ボンネットには2本のプレスラインが設定され、前進感や疾走感をアピールしている。

 ボディ側面では緩やかに流れる波を表現した「ダブルウエストライン」が前後に走り、純正装着する19インチの「ブレードホイール」は空気抵抗の低減を追求する形状が与えられつつ、ブラックとシルバーの色使いを組み合わせて軽量なスポーティ感を演出している。また、前後のドアに設定されたアウタードアハンドルは、美しさと空気抵抗の低減を両立させる格納式となっている。

 リアビューではボディの整流効果を高めるダックテールとバンパー下側の大型ディフューザーがスポーティな雰囲気を演出。水平線のように横方向につながるLEDリアコンビネーションランプが空と海の広大さを表現し、両サイドに水滴を連想させるドットライトが配置されている。このほか、流麗で滑らかな外装とフラットなフロア下形状により、Cd値はスポーツカーも凌駕する0.219を実現。風切り音などの発生を抑制して静粛性を高め、航続可能距離の拡大に貢献する。

ボディサイズは4800×1875×1460mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2920mm
緩やかに流れる波を表現した「ダブルウエストライン」をボディ側面に設定
横方向につながるLEDリアコンビネーションランプで空と海の広大さを表現している

 ギリシャ神話の海の神「タウマス」から着想を得た「タウマスブラック」を基調としたシックで高級感のあるインテリアでは、ダッシュボードやドアトリムなどにステッチ加工を施した手触りのよいスエード表皮を使用。ナッパレザー表皮を使用するシートでも、体重を支えるセンター部分をキルティング加工としてデザイン性と耐久性を高めている。

 フロントシートは人間工学を採り入れたヘッドレスト一体型スポーツシートとなり、車両が持つ高い走行性能に対応する優れたホールド性を発揮。シートヒーター&シートベンチレーションを備えて快適性を高め、運転席は8ウェイ、助手席は6ウェイパワーシートで、運転席には4ウェイランバーサポートも搭載している。また、CTBを採用したことによってフロアが下がり、従来型のCTPを採用した場合と比較して室内のヘッドクリアランスが15mm拡大。ゆとりある車内空間を得ている。

 視界の広さを演出するシンメトリー形状のインパネでは、中央に電動回転が可能な「15.6インチマルチタッチスクリーン」、運転席の前方に10.25インチのデジタルメーターが埋め込まれる一方、操作系のスイッチ類を廃してシンプルですっきりとしたデザインに仕上げている。

 スイッチ類はナッパレザー表皮を採用するD型形状の本革ステアリングの左右スポークやドアトリムのほか、センターコンソールの電動シフトレバー周辺に集中配置。電動シフトレバーは水滴をイメージした「クリスタルギヤレバー」となっており、車内のラグジュアリー感を高めるアイコンとなっている。また、センターコンソール前方にはワイヤレス充電規格の「qi(チー)」に対応し、2台のスマートフォンを置けるスペースも用意されている。

ギリシャ神話の海の神「タウマス」から着想を得た「タウマスブラック」を基調としたインテリア
「15.6インチマルチタッチスクリーン」は電動回転が可能
フロントシートは人間工学を採り入れたヘッドレスト一体型スポーツシート
2920mmのロングホイールベースで広々とした後席空間を備える

 安全性能では欧州の安全性能テストである「EURO NCAP」で最高評価の5つ星を獲得した高強度鋼板を使用するボディ構造に加え、「後部座席サイドエアバッグ」を新搭載した「9エアバッグシステム」などによって高いパッシブセーフティ性能を備えるほか、アクティブセーフティの面でもフロントウィンドウのカメラと5つのミリ波レーダーを組み合わせて多彩なADAS(先進運転支援システム)を採用している。

 自車前方の車両や歩行者などとの衝突を予見した場合に自動的にブレーキを作動させる「自動緊急ブレーキ」、走行中の車線から逸脱したり、対向車線の車両と接触するような可能性がある場合に電動パワーステアリングを使って車線逸脱や衝突を回避する運転操作をアシストする「緊急時車線維持支援」、低速走行中に自車前方を横切る車両を検知して、衝突する危険性がある場合に自動的にブレーキを作動させる「フロントクロストラフィックブレーキ」などを採用。また、高速道路などの巡航走行をアシストする「アダプティブクルーズコントロール」と「速度制限標識認識機能」を組み合わせた「インテリジェントスピードリミットコントロール」も標準装備している。

 このほかにも、フロントウィンドウに車速やADASの作動状況といった重要な情報を投影して運転に集中できるようにする「ヘッドアップディスプレイ」、車内に設置したミリ波レーダーで車内に子供が残っていると検知した場合にライトを点滅させてホーンを鳴らし、合わせて登録したスマートフォンに通知を送る「幼児置き去り検知」などの機能を採用している。

 ソフトウェア機能についてはインターネット通信を活用して適宜更新を行なう「OTAアップデート」に対応。ディーラーや整備工場などに車両を持ち込む必要なく、通信によって新機能の追加やシステム改善などを利用できるようにしている。

センターコンソールの下は収納スペースとなっており、USBのタイプA&C端子、12Vアクセサリー電源を用意する
電動シフトレバーは水滴をイメージした「クリスタルギヤレバー」となっている
「パノラミックガラスルーフ」も全車で標準装備
トランク容量は400L。リアシートは6:4分割可倒式となっており、トランクスルーも可能となっている

主要諸元(SEAL・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,800×1,875×1,460mm
ホイールベース 2,920mm
最低地上高 -
車両重量 2100kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 235/45R19(前後)

(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 70kW
最高出力 230kW(312PS)
最大トルク 360Nm

(動力用主電池)
種類 リン酸鉄リチウムイオンバッテリ
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 82.56kWh
一充電走行走行距離 640km
WLTCモード交流電力量消費率 148Wh/km

関連リンク

BYD Auto Japan
https://byd.co.jp/byd-auto/
製品情報
https://byd.co.jp/e-life/cars/seal/

「ATTO 3」

BYD「ATTO 3」

車両価格:418万円

モデル紹介

 BYDが乗用車販売で日本市場に進出するにあたり、トップバッターとして2023年1月に発売されたミドルサイズSUVの「ATTO 3」。BYDの世界戦略車として位置付けられた車両となっており、日本進出より前に母国の中国を始めオーストラリア、タイなどアジア太平洋地域で販売が開始され、約1年で累計14万台以上が販売されたグローバルモデルとなっている。

 BYDがゼロから設計したBEV専用プラットフォーム「e-Platform 3.0」に対応して、「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」を基本に、バッテリセルを刃(ブレード)型に成型して並べた形状から「ブレードバッテリー」と呼ばれる独自開発の駆動用バッテリを採用。

 バッテリの温度管理には車内用のエアコンで利用する空調用ヒートポンプシステムとバッテリ熱管理システムを統合した「高効率ヒートポンプシステム」を採用。直冷直熱メカニズムによって熱効率が20%高められ、外気温が低い冬期の走行可能距離を10%アップさせている。

フロントアクスルの「8 in 1パワーシステムアッセンブリー」は最高出力150kW(204PS)/5000-8000rpm、最大トルク310Nm(31.6kgm)/0-4433rpmを発生

 駆動方式は前輪駆動のみとなっており、フロントアクスルに駆動用モーターとトランスミッション、MCU(モーターコントロールユニット)、PDU(高圧配電モジュール)、DC-DCコンバーターなどをセットにした「8 in 1パワーシステムアッセンブリー」を世界で初めて量産して搭載。アッセンブリー化によって重量を15%、体積を20%低減することに成功し、空間効率を最大化。エネルギー効率も大幅な最適化が図られている。

「8 in 1パワーシステムアッセンブリー」は最高出力150kW(204PS)/5000-8000rpm、最大トルク310Nm(31.6kgm)/0-4433rpmを発生。0-100km/h加速は7.3秒で、総電力量58.56kWhの駆動用バッテリと組み合わせて一充電走行距離(WLTCモード)は470kmとなっている。

 このほかに走行関連の技術では、センターコンソールのセレクターで「エコ」「ノーマル」「スポーツ」の3種類から車両セッティングを選択できる「走行モード」を備え、ステアリングアシストとブレーキアシストは「コンフォート」と「スポーツ」の2種類でそれぞれ選択可能となっており、操縦性を自分好みにカスタマイズできるようになっている。

外観テーマは「近未来を予見させるしなやかなアスリート」
「銀鱗」を想起させる意匠をDピラーに施して個性を強調

 外観では「近未来を予見させるしなやかなアスリート」をテーマにデザインを開発。LEDデイタイムランニングライトを備え、「龍の目」をモチーフにデザインした左右のLEDヘッドライトをシルバーの加飾パネルで連続させてスタイリッシュで精悍なフロントマスクを構築。

 リアビューでは「銀鱗」を想起させる意匠をDピラーに施して個性を強調。LEDリアコンビネーションランプは横方向に一直線に並び、視認性を高めつつボディの広がり感を高めている。

 インテリアは「フィットネスジム&ミュージック」がテーマとなり、インパネやドアトリムなどのパネル類では“鍛え抜かれた筋肉”をイメージした有機的なデザインを採用。アームレストを兼ねたセンターコンソールは「マッスルストリームセンターコンソール」となっている。

 シートステッチやエアコンのルーバー、センターコンソールのステッチなどにはアクセントカラーとしてレッドが使用され、ドアポケットには“ギターの弦”をモチーフとした3本のバンドを設定。インテリアに遊び心を与えつつ、入れた手荷物をホールドする実用性も兼ね備えている。センターコンソールのシフトセレクターも航空機のスラストレバーを連想させるデザインによってスポーティ感を表現している。

 運転席の前方に5インチの「TFT LCDマルチメーター」が設置されるほか、インパネ中央に15.6インチの「電動回転式タッチスクリーン」を搭載。「BYDスマホアプリ」と連携するほか、「Apple CarPlay」「Android Auto」「Amazon Music」にも対応。さらに検索ブラウザを備え、カラオケアプリなどの取得も可能となっている。

 ラゲッジスペース容量は440Lで、60:40可倒式リアシートを前方に倒すことで最大1340Lまで拡大できる。

インパネやドアトリムなどは“鍛え抜かれた筋肉”をイメージした有機的なデザイン
インパネ中央に15.6インチの「電動回転式タッチスクリーン」を搭載
ヘッドレスト一体型のスポーティなフロントシートを装着
シート表皮には人工皮革を採用する

 安全性能ではボディ骨格のマルチマテリアル化で衝撃吸収構造を実現し、欧州の安全性評価の「EURO NCAP」で最高評価の5つ星を獲得。アクティブセーフティの面でもフロントウィンドウのカメラなどを活用する多彩なADAS(先進運転支援システム)を搭載している。

 自車前方の車両や歩行者などとの衝突を予見した場合に自動的にブレーキを作動させる「自動緊急ブレーキ」、駐車スペースからの後退出庫などのシーンで自車の側面から車両が接近し、衝突の恐れがある場合に自動ブレーキを作動させる「リアクロストラフィックブレーキ」、30km/h以上で走行中にレーダーセンサーで自車の死角領域に後続車などが入ったことを検知した場合に、該当方向のドアミラーに設置したインジケーターを点灯させて注意喚起する「ブラインドスポットインフォメーション」などを採用。

 また、高速道路などの巡航走行をサポートする「アダプティブクルーズコントロール」と「レーンキープアシストシステム」を組み合わせ、0~120km/hの走行シーンで車両の前後左右の動きを支援してドライバーの運転負荷を軽減する「ナビゲーションパイロット」も標準装備している。

 ソフトウェア機能についてはインターネット通信を活用して適宜更新を行なう「OTAアップデート」に対応。ディーラーや整備工場などに車両を持ち込む必要なく、通信によって新機能の追加やシステム改善などを利用できるようにしている。

ドアポケットには“ギターの弦”をモチーフとした3本のバンドを設定
ラゲッジスペース容量は440L。60:40可倒式リアシートを前方に倒して最大1340Lまで拡大可能

主要諸元(ATTO 3・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,455×1,875×1,615mm
ホイールベース 2,720mm
最低地上高 -
車両重量 1750kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 235/50R18(前後)

(電動機・モーター)
型式 TZ200XSQ
定格出力 65kW
最高出力 150kW(204PS)/5000-8000rpm
最大トルク 310Nm(31.6kgm)/0-4433rpm

(動力用主電池)
種類 リン酸鉄リチウムイオンバッテリ
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 390.4V
総電力量 58.56kWh
一充電走行走行距離 470km
WLTCモード交流電力量消費率 139Wh/km

関連リンク

BYD Auto Japan
https://byd.co.jp/byd-auto/
製品情報
https://byd.co.jp/e-life/cars/atto3/

「DOLPHIN」

BYD「DOLPHIN」

車両価格:299万2000円~374万円

モデル紹介

 2023年9月にBYDの日本導入モデル第2弾として発売されたコンパクト5ドアハッチバックの「DOLPHIN」は、4290×1770×1550mm(全長×全幅×全高)というボディサイズを備えて日本で一般的に利用されている機械式駐車場にも対応。一方でBYDがゼロから設計したBEV専用プラットフォーム「e-Platform 3.0」で実現した2700mmのロングホイールベースと低床設計を生かし、キャビンスペースを最大化したゆとりある室内空間を兼ね備えている。

 駆動用バッテリには強固な結晶構造と高い熱安定性によって優れた安定性を実現した「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」を採用して、バッテリセルを刃(ブレード)型に成型して並べた形状から「ブレードバッテリー」と名付けたバッテリパックを独自開発。車体のフロア下に搭載している。

 バッテリの温度管理には車内用のエアコンで利用する空調用ヒートポンプシステムとバッテリ熱管理システムを統合した「高効率ヒートポンプシステム」を採用。直冷直熱メカニズムによって熱効率が20%高められ、外気温が低い冬期の走行可能距離を10%アップさせている。

 バッテリ容量は2種類が設定され、「DOLPHIN Baseline」では総電圧332.8V、総電力量44.9kWh、「DOLPHIN Long Range」では総電圧390.4V、総電力量58.56kWhのバッテリを採用。一充電走行距離(WLTCモード)はDOLPHIN Baselineが415km、DOLPHIN Long Rangeが476kmとなる。

 駆動方式は前輪駆動のみとなっており、フロントアクスルに駆動用モーターとトランスミッション、MCU(モーターコントロールユニット)、PDU(高圧配電モジュール)、DC-DCコンバーターなど8つの主要部品をセットにした「8 in 1パワーシステムアッセンブリー」を搭載。アッセンブリー化によって重量を15%、体積を20%低減することに成功し、空間効率を最大化。エネルギー効率も大幅な最適化が図られている。

 モーターのスペックは組み合わされる駆動用バッテリによって異なり、DOLPHIN Baselineの「TZ180XSF型」モーターは最高出力70kW(95PS)/3714-14000rpm、最大トルク180Nm(18.4kgm)/0-3714rpmを発生。DOLPHIN Long Rangeの「TZ200XSQ型」モーターは最高出力150kW(204PS)/5000-9000rpm、最大トルク310Nm(31.6kgm)/0-4433rpmを発生する。

BEV専用プラットフォーム「e-Platform 3.0」の採用でキャビンスペースを最大化
CAHdeMO規格の急速充電に対応し、駆動用バッテリに蓄えた電力を外部給電する「V2H/V2L」にも対応

 イルカ(DOLPHIN)という車名が与えられ、BYDの“海洋シリーズ”に位置付けられるこのモデルでは、内外装に海洋生物の美しさから着想を得た「オーシャンエステティック」というコンセプトを採用。広大な都市空間を海に見立て、海洋生物の躍動感や自由に泳ぐ姿をテーマとしてデザインされている。

 イルカが泳ぐ姿を連想させる丸みを帯びたフォルムが与えられた外観では、つぶらな瞳のように大きなサイズで愛らしさを表現するLEDヘッドライトを備え、太さの異なる2種類のストライプを設定した立体感あるフロントグリルと組み合わせて個性を強調。

ボディ側面にはフロントのホイールアーチから車両後方に向けて伸び上がるラインとリアのホイールアーチ下側から斜め前方に立ち上がるラインを設定。はっきりとした2本のキャラクターラインが矢印のようなシルエットを描き、車両が力強く前進していくイメージで躍動感を表現している。

 Cピラーにはフロントグリル同様のストライプを設定してイルカが波を立てながら進んでいくようなシャープさを表わし、車両後方を水平のラインで結ぶリアコンビネーションランプではLEDランプが幾何学的な模様を描いてユニークさを演出。また、BYDの社名を意味する「BUILD YOUR DREAMS」の文字も入っている。

「DOLPHIN Baseline」(上段)は単色のボディカラー3色、「DOLPHIN Long Range」(下段)はルーフやピラー、ボンネットなどを塗り分けた2トーンのボディカラー4色をラインアップする

 インテリアでも「オーシャンエステティック」の世界観を表現するため、穏やかな波のような曲線や曲面を多用。インパネ両サイドのエアコンルーバーは波紋や波がモチーフとなり、インナードアハンドルはイルカの胸びれを模した形状となっている。また、内装色はボディカラーとコーディネートしたものとなり、「ブラック&グレー」のほか、「ブラック&ブラウン」「グレー&ピンク」「ブラック&ブルー」といった個性的な色使いが設定されている。

 シートも優雅な曲線的ラインで乗員の体をホールドするスポーティな形状となり、ヘッドレスト一体型のフロントシートではシートヒーターを採用するほか、細かな調整が可能なパワーシートとなっている。また、シートやステアリングなどの表皮には合成皮革の「ビーガンレザー」が利用されている。

 運転席の前方には必要な情報だけを表示してドライバーが運転に集中できるようシンプルさを追求した5インチの「TFT LCDマルチメーター」が設置されるほか、インパネ中央に12.8インチの「電動回転式タッチスクリーン」を搭載。90度の回転が可能で、カーナビを利用しているときは進行方向の状況が見やすいよう縦向きに、同乗者が動画などを楽しんでいるときは横向きにするといった使い分けが可能となっている。

 タッチスクリーンの回転はステアリングスポーク左側のボタンを押して切り替えられ、このほかにも左スポークで「BYDアラウンドビュー」の表示切り替えや各種ADAS機能のON/OFF変更、右スポークで「ハンズフリー・オーディオ」「ナビゲーション」などを操作できる「多機能ステアリングホイール」となっている。

 このほか、DOLPHIN Long Rangeは車内の開放感を高める「パノラミックガラスルーフ」を標準装備。ラゲッジスペース容量は345Lで、6:4分割可倒式リアシートを前方に倒すと60Lのスーツケース8個が搭載可能な1310Lまで拡大する。

穏やかな波のような曲線や曲面で「オーシャンエステティック」の世界観を表現したインテリア
インナードアハンドルはイルカの胸びれを模した形状
優雅な曲線的ラインで乗員の体をホールドするスポーティなシート。ボディカラーとコーディネートした内装色が与えられる

 安全性能では欧州の安全性能テスト「EURO NCAP」で最高評価の5つ星を獲得したボディ構造に加え、運転席と助手席のあいだで展開して乗員同士の衝突を防ぐ「前席ファーサイドエアバッグ」を新搭載した7つのエアバッグによって高いパッシブセーフティ性能を備える。さらにアクティブセーフティの面でもフロントウィンドウのADAS用マルチカメラや前後バンパーに埋め込まれたミリ波レーダーや超音波センサーなど組み合わせて活用する多彩なADAS(先進運転支援システム)を搭載している。

 新機能として低速走行中に自車前方を横切る車両を検知して、衝突する危険性がある場合に自動的にブレーキを作動させる「フロントクロストラフィックブレーキ」、アクセルペダルが急に大きく踏み込まれた場合や前後バンパーのセンサーで障害物を検知している状況で加速を制御する「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」、車内に設置したセンサーで車内に子供が残っていると検知した場合にライトを点滅させてホーンを鳴らし、合わせて登録したスマートフォンに通知を送る「幼児置き去り検知」などが採用された。

 このほかにも自車前方の車両や歩行者などとの衝突を予見した場合に自動的にブレーキを作動させる「自動緊急ブレーキ」、駐車スペースからの後退出庫などのシーンで自車の側面から車両が接近し、衝突の恐れがある場合に自動ブレーキを作動させる「リアクロストラフィックブレーキ」、30km/h以上で走行中にレーダーセンサーで自車の死角領域に後続車などが入ったことを検知した場合に、該当方向のドアミラーに設置したインジケーターを点灯させて注意喚起する「ブラインドスポットインフォメーション」などを「ATTO 3」と同じく装備して安全性を高めている。

 また、高速道路などの巡航走行をサポートする「アダプティブクルーズコントロール」と「レーンキープアシストシステム」を組み合わせ、0~120km/hの走行シーンで車両の前後左右の動きを支援してドライバーの運転負荷を軽減する「ナビゲーションパイロット」、車両の前後左右に設置した「360度Viewカメラ」の映像を組み合わせて自車を上空から見ているような映像を電動回転式タッチスクリーンに表示するBYDアラウンドビューなどを標準装備している。

 ソフトウェア機能についてはインターネット通信を活用して適宜更新を行なう「OTAアップデート」に対応。ディーラーや整備工場などに車両を持ち込む必要なく、通信によって新機能の追加やシステム改善などを利用できるようにしている。

DOLPHIN Long Rangeは車内の開放感を高める「パノラミックガラスルーフ」を標準装備
ラゲッジスペース容量は345Lで、6:4分割可倒式リアシートを前に倒すと1310Lまで拡大

主要諸元(Baseline・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,290×1,770×1,550mm
ホイールベース 2,720mm
最低地上高 -
車両重量 1520kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 205/55R16(前後)

(電動機・モーター)
型式 TZ180XSF
定格出力 35kW
最高出力 70kW(95PS)/3714-14000rpm
最大トルク 180Nm(18.4kgm)/0-3714rpm

(動力用主電池)
種類 リン酸鉄リチウムイオンバッテリ
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 332.8V
総電力量 44.9kWh
一充電走行走行距離 400km
WLTCモード交流電力量消費率 129Wh/km

ヒョンデ

「アイオニック 5/アイオニック 5 N」

ヒョンデ「アイオニック 5」

車両価格:523万6000円~613万8000円(アイオニック 5)

車両価格:858万円(アイオニック 5 N)

モデル紹介

「アイオニック 5」は2022年5月のヒョンデによる日本市場再参入時にFCEV(燃料電池車)の「ネッソ」と同時発売された5ドアハッチバックモデル。2024年11月に一部改良が行なわれ、よりエネルギー密度の高い「第四世代バッテリセル」を採用したことで駆動用バッテリの総電力量が従来の72.6kWから15%以上アップとなる84kWhに向上。一充電走行距離(WLTCモード)も最大703kmとなっている。また、アイオニック 5をベースとしたハイパフォーマンスモデル「アイオニック 5 N」も2024年6月に発売されている。

 プラットフォームはBEV専用となる「E-GMP(Electric-Global Modular Platform)」を採用。フロア下に駆動用バッテリをフラットに敷き詰めて段差のないフラットな車内空間を実現し、2WD車ではリアアクスルに「一体型後輪モーター」を設置して後輪を駆動。また、リアシートの下に「ICCU(総合充電管理装置)」、モーターの上に「双方向充電プラグ」をレイアウトしている。4WD車ではリアアクスルのモーターに加え、フロントアクスルに「一体型前輪モーター」を設定して4輪を駆動する。

 4輪制御には「HTRACK AWDシステム」を採用して、必要に応じて後輪に加えて前輪でも駆動するスタイルとなり、前輪モーターが不要なシーンでは「ディスコネクター」で前輪とモーターが切り離され、駆動ロスを低減して電費性能を高める。

 モーターのスペックは、一体型後輪モーターの「EM17型」で最高出力168kW(229PS)/4600-9200rpm、最大トルク350Nm(35.6kgm)/0-4400rpmを発生。一体型前輪モーターの「EM07型」で最高出力74kW(100PS)/2800-6200rpm、最大トルク255Nm(26.0kgm)/0-2600rpmを発生する。

 このほか、ステアリングホイールに設置されたボタンを押すことで切り替え可能な「ドライブモードセレクト」では、「ECO」「NORMAL」「SNOW」「SPORT」「MY DRIVE」の5モードを用意。また、同じくステアリングホイールに備える「回生ブレーキコントロールパドル」を操作することで、回生ブレーキによる発電の強度を3段階で変更可能。さらにアクセルペダルの操作だけで加速から減速、停止まで操れる「i-Pedalモード」も選択できる。

BEV専用プラットフォーム「E-GMP(Electric-Global Modular Platform)」を採用

 アイオニック 5 Nは4WDだけをラインアップして、「EM/EM27型」モーターのシステム総合は最高出力448kW(609PS)、最大トルク後740Nmとなるほか、10秒間限定の「N Grin Boost」発動中は最高出力478kW(650PS)、最大トルク後770Nmまでスペックが強化され、N Grin Boostを利用した0-100km/h加速は3.4秒となる。

 足まわりには「N専用電子制御サスペンション」と「ハイパフォーマンスダンパー」を組み合わせて採用。ホイールのGセンサー+6軸ジャイロセンサーで大容量可変ダンパーを高精度に制御してドライビングパフォーマンスを最適化。キャリパーがレッド塗装となる「N専用高性能ブレーキ」は、フロントに大口径の4ピストンキャリパーが設定され、「N Brake Regen」による最大0.6Gの回生ブレーキと組み合わせて強力な制動力を発揮する。

 さらに一体型後輪モーターには「N Corner Carving Differential」を搭載。後輪電子油圧式e-LSDによって左右輪の駆動力を能動的に配分して、車両の走行性能を向上させて駆動力の損失を低減する。また、「N専用21インチ鍛造ホイール」と「ピレリ P-ZEROサマータイヤ(275/35ZR21)」を装着してグリップ力と路面追従性を向上させた。

2024年6月に発売されたハイパフォーマンスモデル「アイオニック 5 N」

 外観ではヒョンデのBEVを象徴する「パラメトリックピクセルディテール」を導入してスタイリッシュなデザインを実現。ユニークなキャラクター性をフロントマスクに与えるプロジェクションタイプの「フルLEDヘッドライト」に加え、リアでもヘッドライトと雰囲気をそろえたドットパターンの「パラメトリックピクセルLEDリアコンビランプ」を搭載、デザインアイデンティティと高品質な雰囲気を表現している。

 前後バンパーは2024年11月の一部改良で意匠変更が行なわれ、フロントバンパーは下側の張り出し感を高めてSUV的な力強さを強調し、“迫り来るようなダイナミック感”を演出している。リアバンパーは立体感を持たせたデザインに変更して、高い動的性能をデザイン面からもアピールする。

 このほか、ボディ側面では駐車中や走行中はボディパネルと一体化して、空力性能の向上とすっきりとしたデザインを両立する「オートフラッシュドアハンドル」、リアではリアスポイラーホールを備えて空力性能を向上させた「エアロダイナミックリアルーフスポイラー」

 アイオニック 5 Nでは空力性能の向上とアグレッシブな雰囲気を演出する専用パーツを装着。フロントマスクではエアカーテンとアクティブエアフラップによって空力性能を高める「N専用フロントバンパー」とセミグロスブラックのヒョンデエンブレムを採用。側面ではリア側のホイールアーチモールディングにエアカーテンを設定して空力性能を強化して、「N専用サイドシル」は光沢ブラックガイドシールモールディングとルミナスオレンジストリップによって高性能モデルであることを表現。リアでも空力性能の向上を実現する「N専用リアバンパー&リアディフューザー」「N専用リアスポイラー」などを装着ダイナミックなイメージを手に入れている。

ヒョンデのBEVを象徴する「パラメトリックピクセルディテール」によってスタイリッシュなデザインを実現

 E-GMPによって広々としたスペースを備え、リビングのように快適な居住空間を目指して開発されたインテリアでは、Voyageグレードで合成皮革シート、Loungeグレードで本革シートを採用。車内の快適性を高め、エアコンの使用量を抑えて航続可能距離の延長を可能にする「前席シートヒーター&ベンチレーション」を全車標準装備する。

 運転席は全車8ウェイパワーシートとなるほか、電動レッグレストを備え、体圧分散によって長時間座り続けても疲れを感じさせない「ゼログラビティシート」と呼ばれる「電動リラクゼーションコンフォートシート」となっている。また、Loungeグレードでは助手席も電動リラクゼーションコンフォートシートとなり、リアシートには「後席シートヒーター」や「後席電動スライド」を標準装備している。

 左右シート間には140mmの前後スライドが可能な「スライドコンソール」が用意され、2本分のドリンクホルダーのほか、qi規格対応の「スマートフォンワイヤレスチャージ」も搭載して使い勝手を高める。

リビングのように快適な居住空間を目指して開発されたインテリア

 一方、運転席前方のデジタルメーターとインフォテイメントシステムを一体型カバーガラスで連続させて先進性も表現され、昼夜を問わず見やすい表示を行なう大型液晶式の「12.3インチカラーLCDクラスター」と、センターコンソールで多彩な機能に対応する「12.3インチナビゲーションシステム」を設定。

 12.3インチナビゲーションシステムはスマートフォンのワイヤレス接続に対応して、接続設定したスマホを車内に持ち込むだけで自動的に接続。スマホが対応する「Apple CarPlay」「Android Auto」を車載ディスプレイで操作できるようにする。Loungeグレードではフロントカメラで撮影した自車前方のリアルタイム映像を経路案内と連動させ、右左折や高速道路などの分岐で進むべき方向をAR表示によって分かりやすくガイドする「ARナビゲーション」の機能も備えている。

 このほかにLoungeグレードでは、カメラ式後写鏡システムの「デジタルセンターミラー」、フロントウィンドウに車速やナビの経路案内などをカラー表示する「ヘッドアップディスプレイ」、64色から選んで車内を間接照明で彩る「アンビエントライト」などが装備される。

 ラゲッジスペース容量は520Lで、ボンネット下にあるフロントトランクの容量は、2WD車が57L、4WD車が24Lとなる。また、スマートキーを携帯した人がリアハッチに接近して3秒以上待機しているとリアハッチが電動オープンする「スマートパワーテールゲート」を全車で採用している。

 アイオニック 5 Nのインテリアでは、スポーツ走行に最適化した「N専用ハーフパンチング・本革ステアリング」、アルカンターラと本革のコンビネーション表皮を使い、サーキット走行にも対応する高いホールド性と上質感を両立させた「N専用ライトスポーツバケットシート」、足をサポートするパッドを備えた「N専用センターコンソール」、チェッカーフラッグデザインを備えた「N専用メタルパネル」といったアイテムを使い上質で高度なドライビングエクスペリエンスを実現。また、12.3インチカラーLCDクラスターには「N専用グラフィック」が用意される。

Loungeグレードの「12.3インチナビゲーションシステム」は「ARナビゲーション」の機能も備える
昼夜を問わず見やすい表示を行なう「12.3インチカラーLCDクラスター」

 ADAS(先進運転支援システム)では安全性と利便性を向上させる高度な自律走行補助技術「Hyundai SmartSense」を採用。高速道路の本線走行中に起動して、先行車との車間距離を一定に保ちながら車線の中央を走行。ドライバーがウインカーを操作すると、ウインカーをさせた方向に衝突する危険性のある後続車がなく、安全に車線変更が可能な場合はステアリング操作をサポートする「高速道路ドライビングアシスト2(車線変更アシスト機能付)」や、ドライバーが車外からスマートキーの専用スイッチを長押しすることで駐車や出庫を操作できる「リモートスマートパーキングアシスト2」といった先進機能を備え、ユーザーの利便性を大きく高める。

 このほかにも安全性を高める機能として、先行車が急に減速したり、前方に停車中の車両や歩行者がいるといった前方衝突の危険が検知されると警告を行ない、衝突の可能性が高まった場合は自動的にブレーキを作動させる「前方衝突防止アシスト(回避ステアリングアシスト機能付)」、走行中にウインカーを操作した方向に衝突する危険性のある後続車がある場合に警告を行ない、衝突の可能性が高まった場合に自動的に車体を制御して衝突回避をアシストする「ブラインドスポットコリジョンアボイダンスアシスト」、後退中に後方左右から車両などが接近して、衝突の危険がある場合に警告を行ない、衝突の可能性が高まった場合は自動的にブレーキを作動させる「リアクロストラフィックコリジョンアボイダンスアシスト」、正面、または側面衝突の事故でエアバッグが展開した場合、自動的に緊急ブレーキの作動・維持を行なって2次衝突のリスクを低減する「多重衝突防止自動制御システム」などを採用している。

 駆動用バッテリに蓄えた電気を外部給電する「V2H」「V2L」にも対応。V2Lは充電ポートに標準装備するコネクターを接続する「室外V2L」に加え、リアシート下に設置されたAC100Vコンセントを利用する「室内V2L」の2種類を用意して、合計で1600Wまでの出力が可能となっている。

 このほか、eSIMを利用してセルラー通信で行なうOTA(Over-the-air)アップデートは、従来は純正ナビゲーションシステムのデータ更新に対応していたが、2024年11月の一部改良で車両制御なども含めたソフトウェアアップデートにも対応。サービス工場に入庫するといった手間もなく、新機能が車両に反映されるようになっている。

140mmの前後スライドが可能な「スライドコンソール」
Loungeグレードは「後席電動スライド」を標準装備する

主要諸元(Voyage・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,655×1,890×1,645mm
ホイールベース 3,000mm
最低地上高 160mm
車両重量 2010kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 235/55R19(前後)

(電動機・モーター)
型式 EM17
定格出力 56kW
最高出力 168kW(229PS)/4600-9200rpm
最大トルク 350Nm(35.6kgm)/0-4400rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 697V
総電力量 84kWh
一充電走行走行距離 703km
WLTCモード交流電力量消費率 129Wh/km

主要諸元(アイオニック 5 N・4WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,715×1,940×1,625mm
ホイールベース 3,000mm
最低地上高 -
車両重量 2210kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 275/35ZR21(前後)

(電動機・モーター)
型式 EM/EM27
定格出力 57.8kW/101.0kW
最高出力 前175kW/4600-10000rpm/後303kW/7400-10400rpm
最大トルク 前370Nm/0-4000rpm/後400Nm/0-7200rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 697V
総電力量 84.0kWh
一充電走行走行距離 -
WLTCモード交流電力量消費率 -

試乗記

関連リンク

Hyundai Mobility Japan株式会社
https://www.hyundai.com/jp/
製品情報(アイオニック 5)
https://www.hyundai.com/jp/ioniq5
製品情報(アイオニック 5 N)
https://www.hyundai.com/jp/ioniq5n

「コナ」

ヒョンデ「コナ」

車両価格:363万円~460万円

モデル紹介

「コナ」は2023年11月に日本市場での販売がスタートしたコンパクトSUV。韓国本国ではガソリン&ディーゼルのICE搭載車もラインアップされているが、日本ではBEVのみが販売されている。

 グレードは5種類が用意され、駆動用バッテリはエントリーモデルの「Casual」が総電力量48.6kWhで、このほかのグレードでは総電力量が64.8kWhとなる。駆動用の「EM16型」モーターは車両前方に設置されて前輪を駆動。バッテリ容量に合わせてスペックが替わり、48.6kWhでは最高出力99kW(135PS)/3800-9000rpm、最大トルク255Nm(26.0kgm)/0-3600rpm、64.8kWhでは最高出力150kW(204PS)/5800-9000rpm、最大トルク255Nm(26.0kgm)/0-3600rpmを発生する。一充電走行距離(WLTCモード)はCasualが456km、「Voyage」が625km、「Lounge」「Lounge Two-tone」「N Line」が541kmとなっている。

 外観では車両の前後に細くワイドなライトで描いた「シームレスホライゾンランプ」を備え、前後バンパーにはヒョンデBEVのアイデンティティである「ピクセルグラフィック」をちりばめて未来的なスタイリングを実現。サイドではフロントドアの下側からDピラー、ルーフまで連続するシャープなキャラクターラインが与えられ、鋭角に張り出した前後フェンダーと合わせてSUVとしての個性を表現している。

 フロントフェンダー前方に設置された「フルLEDヘッドライト(プロジェクションタイプ)」と「LEDターンランプ」、リアフェンダー後方に設置された「ピクセルグラフィックLEDテールランプ」は同様の形状となっている。

 また、ヒョンデのハイパフォーマンスモデルに与えられる「N」の感性を受け継ぐモデルとして位置付けられたN Lineでは、N Line専用デザインの前後バンパーや大型のウィングタイプリアスポイラー、ブラックを基調とした専用デザインの19インチアルミホイールなどを装着してダイナミックなスタイリングに仕上げられている。

シャープなキャラクターラインが与えられたサイドビュー。鋭角に張り出した前後フェンダーでもSUVとしての個性を表現
車両の前後に細くワイドなライトで描いた「シームレスホライゾンランプ」を採用

 インテリアは水平レイアウトによって開放感を高め、運転席前方のデジタルメーターとインフォテイメントシステムを一体型カバーガラスで連続させた「パノラマディスプレイ」を採用。曲面のパノラマディスプレイと合わせてエアコンの操作パネルなどを配するセンターコンソールも運転席側に向けてカーブしたデザインとなり、ドライバー重視のスポーティな雰囲気を備えている。また、電子制御シフトレバーはステアリングコラム右側に設定され、すっきりとした車内空間となっている。

 昼夜を問わず見やすい表示を行なう大型液晶式の「12.3インチカラーLCDクラスター」と組み合わされるセンターコンソールの「12.3インチナビゲーション」はスマートフォン接続に対応。スマホが対応する「Apple CarPlay」「Android Auto」を車載ディスプレイで操作できるようにする。また、CasualとVoyage以外のグレードではフロントカメラで撮影した自車前方のリアルタイム映像を経路案内と連動させ、右左折や高速道路などの分岐で進むべき方向をAR表示によって分かりやすくガイドする「ARナビゲーション」の機能も備えている。

 快適性を高める機能として、全車標準装備の本革巻ステアリングにステアリングヒーターを備え、運転席と助手席が「ヒーター&ベンチレーションシート」を採用。エアコンの使用量を抑えて航続可能距離の延長にも貢献する。

 このほか、N Lineはレッドラインアクセント付きの専用ブラックインテリアとなり、シートもレッドステッチとレッドアクセントを備えるアルカンターラ+本革コンビシートを装着する。

 ラゲッジスペース容量は466Lで、ボンネット下にあるフロントトランクの容量は27Lとなる。また、スマートキーを携帯した人がリアハッチに接近して待機しているとリアハッチが電動オープンする「スマートパワーテールゲート」をCasual以外のグレードで採用している。

水平レイアウトによって開放感を高めたインテリア
シート表皮はCasualとVoyageが合成皮革、LoungeとLounge Two-toneが本革となる
運転席前方のデジタルメーターとインフォテイメントシステムを一体型カバーガラスで連続させた「パノラマディスプレイ」を採用

 ADAS(先進運転支援システム)では安全性と利便性を向上させる「Hyundai SmartSense」を採用。高速道路の本線走行中に起動して、先行車との車間距離を一定に保ちながら車線の中央を走行。ドライバーがウインカーを操作すると、ウインカーをさせた方向に衝突する危険性のある後続車がなく、安全に車線変更が可能な場合はステアリング操作をサポートする「高速道路ドライビングアシスト2(車線変更アシスト機能付)」や、車外からスマートキーの専用スイッチを長押しして前進、または後退を行ない、駐車や出庫を操作できる「リモートスマートパーキングアシストE」といった先進機能を備え、ユーザーの利便性を大きく高める。

 このほかにも安全性を高める機能として、先行車が急に減速したり、前方に停車中の車両や歩行者がいるといった前方衝突の危険が検知されると警告を行ない、衝突の可能性が高まった場合は自動的にブレーキを作動させる「前方衝突防止アシスト」、走行中にウインカーを操作した方向に衝突する危険性のある後続車がある場合に警告を行ない、衝突の可能性が高まった場合に自動的に車体を制御して衝突回避をアシストする「ブラインドスポットコリジョンアボイダンスアシスト」、後退中に後方左右から車両などが接近して、衝突の危険がある場合に警告を行ない、衝突の可能性が高まった場合は自動的にブレーキを作動させる「リアクロストラフィックコリジョンアボイダンスアシスト」、正面、または側面衝突の事故でエアバッグが展開した場合、自動的に緊急ブレーキの作動・維持を行なって2次衝突のリスクを低減する「多重衝突防止自動制御システム」などを採用している。

 駆動用バッテリに蓄えた電気を外部給電する「V2H」「V2L」にも対応。V2Lは充電ポートに標準装備するコネクターを接続する「室外V2L」に加え、センターコンソール後方に設置されたAC100Vコンセントを利用する「室内V2L」の2種類を用意して、合計で1360Wまでの出力が可能となっている。

 このほか、通信でアップデートを行なうOTA(Over-the-air)は、純正ナビのデータ更新のほか、車両制御に関連するソフトウェアのアップデートにも対応。サービス工場に入庫するといった手間もなく、新機能が車両に反映されるようになっている。

フロントノーズに充電ポートを設定。CHAdeMO規格の急速充電と200Vの普通充電に対応し、「V2H」「V2L」も利用可能

主要諸元(Casual・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,355×1,825×1,590mm
ホイールベース 2,660mm
最低地上高 151mm
車両重量 1650kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 215/60R17(前後)

(電動機・モーター)
型式 EM16
定格出力 33.0kW
最高出力 99kW(135PS)/3800-9000rpm
最大トルク 255Nm(26.0kgm)/0-3600rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 269V
総電力量 48.6kWh
一充電走行走行距離 456km
WLTCモード交流電力量消費率 121Wh/km

関連リンク

Hyundai Mobility Japan株式会社
https://www.hyundai.com/jp/
製品情報
https://www.hyundai.com/jp/kona

「インスター」

ヒョンデ「インスター」

車両価格:284万9000円~372万9000円

モデル紹介

 5ナンバーサイズのコンパクトハッチバック「インスター」は1月に開催された「東京オートサロン2025」で日本初公開され、4月から販売を開始。当初は42kWhの駆動用バッテリを搭載して300万円を切る284万9000円の価格を実現した「Casual」、バッテリ容量を49kWhに高めて装備を充実させた「Voyage」「Lounge」の3グレードを用意していたが、8月に内外装の専用装備でアウトドアテイストを高めた49kWhバッテリ搭載の「Cross」を追加して4グレード展開となっている。

 駆動方式は全車2WDで、フロントのボンネット下に駆動用の「EM08型」モーターを搭載して前輪を駆動。42kWhバッテリのCasualでは最高出力71kW(97PS)/4800-13000rpm、最大トルク147Nm(15.0kgm)/0-4600rpmを発生し、そのほかのグレードでは最高出力85kW(115PS)/5600-13000rpm、最大トルク147Nm(15.0kgm)/0-5400rpmを発生する。一充電走行距離(WLTCモード)はCasualが427km、Voyageが458km、LoungeとCrossが393kmとなっている。

 また、走行関連の機能としては「スマート回生ブレーキ」を採用。ステアリングに設定した「回生ブレーキコントロールパドル」を使って回生ブレーキの効き具合を調節できるようにして、加速で使用した電力を回生ブレーキで積極的に回収してエネルギー効率を高めつつ、アクセルとブレーキのペダル踏みかえ頻度を抑えて運転による疲労も軽減できるようにしている。さらに先行車やカーナビによるルート情報を参照して回生ブレーキ強度を自動的に調節するモードも用意されている。

 駆動用バッテリに蓄えた電気を外部給電する「V2H」「V2L」にも対応。V2Lは充電ポートに標準装備するコネクターを接続する「室外V2L」に加え、センターコンソール下側に設置したAC100Vコンセントを利用する「室内V2L」の2種類を用意して、合計で1360Wまでの出力が可能となっている。

一充電走行距離(WLTCモード)は最長458km
充電ポートはフロントノーズ左側に設定
充電ポートに標準装備するコネクターを接続する「室外V2L」とセンターコンソール下側のAC100Vコンセントを利用する「室内V2L」の2種類を用意

 インスターの外観デザインでもヒョンデBEVのアイデンティティである「ピクセルグラフィック」が用いられ、フロントマスクの「アラウンドクリアランプ&ピクセルグラフィックターンシグナルランプ」、テールゲートの「リアコンビネーションランプ(LEDタイプ)」によって独自の世界観を表現。

 フロントマスクではフロントバンパー両サイドにレイアウトした丸型デザインの「フルLEDヘッドライト(プロジェクションタイプ)」がキュートな表情を生み出し、前後バンパー下側のシルバー塗装と樹脂製のフェンダーアーチ、17インチのタイヤ&ホイールなどによってSUVのような力強さをアピールしている。また、Casual以外のグレードはルーフ上にルーフレールが装着され、ユーティリティを高めつつSUVテイストを高めている。

 追加グレードであるCrossでは、専用デザインの前後バンパーとサイドシルプロテクター、専用デザイン17インチホイール、大型ルーフバスケットなどを採用。冒険心をかき立てるタフでアクティブなテイストを獲得。なお、インスターのボディサイズは3830×1610×1615mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2580mmとなっているが、インスター Crossは専用バンパーを装着したことで全長が15mm伸び、3845mmとなっている。

ボディサイズは3830×1610×1615mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2580mm
フロントマスクの「アラウンドクリアランプ&ピクセルグラフィックターンシグナルランプ」、テールゲートの「リアコンビネーションランプ(LEDタイプ)」で独自の世界観を表現
8月からラインアップに追加された「インスター Cross」
専用デザインの前後バンパーなどを装着してSUVのような力強さをアピール

 BEV化によるフラットな低床フロアと全高の高さと連動する室内高を活用し、広々としたスペースを実現したインテリアでは、「電子制御シフトレバー」をステアリングコラム右側に設定。センターコンソールを運転席と一体化したベンチタイプのフロントシートを採用して前席ウォークスルーを可能としている。

 さらにフロントシートの背もたれを前方に倒せる「前席シートバックフルフォールディング機構」、左右分割で利用できる「後席シートスライド&リクライニング機構」と「後席5:5分割可倒機構」といったシートアレンジ機構が用意され、ユーザーごとの多彩なニーズに対応できるようにしている。さらにフロントシートでは、Voyageで「シートヒーター」、LoungeとCrossで「シートヒーター&ベンチレーション」を備えて快適性を高め、エアコンの使用量を抑えて航続可能距離の延長にも貢献する。

 運転席の前方には大型デジタルメーターの「12.5インチカラーLCDクラスター」を備え、ステアリングはCasualがウレタンステアリング、それ以外のグレードで本革ステアリングを採用。本革ステアリングはヒーター機能も内蔵する。センターコンソールの「12.5インチナビゲーション」はスマートフォン接続に対応。スマホが対応する「Apple CarPlay」「Android Auto」を車載ディスプレイで操作できるようにする。

 Crossはインテリアでも専用アイテムが用意され、内装色にスタンダードな「ブラックモノトーン」に加え、ライムイエローのアクセントが与えられたグレーとカーキのコンビネーションシートで個性をさらに際立たせる「ダークグレーライトカーキ」のオプション選択が可能となる。

インスターのインパネ
フラットな前倒しが可能なフロントシートや左右分割でスライド可能なリアシートなどを活用して車内をさまざまなスペースに利用できる
ラゲッジスペース容量は全車共通で280L

 ADAS(先進運転支援システム)ではドライバーの負担を減らして安全性を向上させる「Hyundai SmartSense」を採用。高速道路の走行中に起動して、先行車との車間距離を一定に保ちながら車線を維持するステアリング操作をアシストする「高速道路ドライビングアシスト」や、車線や先行車を検知して、車線内での走行を維持するステアリング操作をアシストする「レーンフォローイングアシスト」といった装備によってユーザーの利便性を大きく高める。

 このほかにも安全性を高める機能として、先行車が急に減速したり、前方に停車中の車両や歩行者がいるといった前方衝突の危険が検知されると警告を行ない、衝突の可能性が高まった場合は自動的にブレーキを作動させる「前方衝突防止アシスト」、自車の後方や側面といったドライバーから見えにくい場所から接近してくる車両を検知してランプと警告音で危険を知らせ、衝突の危険がある場合に衝突被害軽減ブレーキを作動させる「ブラインドスポットコリジョンアボイダンスアシスト」、後退中に後方左右から車両などが接近して、衝突の危険がある場合に警告を行ない、衝突の可能性が高まった場合は自動的にブレーキを作動させる「リアクロストラフィックコリジョンアボイダンスアシスト」、正面、または側面衝突でエアバッグが展開した場合、自動的に緊急ブレーキの作動・維持を行なって2次衝突のリスクを低減する「多重衝突防止自動制御システム」などを採用している。

 このほか、通信でアップデートを行なうOTA(Over-the-air)は、純正ナビのデータ更新を行なう「ナビゲーションOTA」に対応。新車購入から5年間無償提供される。

Crossでは個性をさらに際立たせた「ダークグレーライトカーキ」の内装色がオプション選択可能
Casual以外のグレードではヒーター機能を内蔵する本革ステアリングを採用
「電子制御シフトレバー」をステアリングコラム右側に設定
「Apple CarPlay」「Android Auto」にも対応する「12.5インチナビゲーション」
大型デジタルメーターの「12.5インチカラーLCDクラスター」

主要諸元(Casual・2WD)

(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 3,830×1,610×1,615mm
ホイールベース 2,580mm
最低地上高 145mm
車両重量 1300kg
乗車定員 4人
サスペンション(前後) ストラット/トーションビーム
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 185/65R15(前後)

(電動機・モーター)
型式 EM08
定格出力 23.7kW
最高出力 71kW(97PS)/4800-13000rpm
最大トルク 147Nm(15.0kgm)/0-4600rpm

(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 266V
総電力量 42kWh
一充電走行走行距離 427km
WLTCモード交流電力量消費率 110Wh/km

関連リンク

Hyundai Mobility Japan株式会社
https://www.hyundai.com/jp/
製品情報
https://www.hyundai.com/jp/inster


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