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【2025年版】海外メーカー最新バッテリEVカタログ・ドイツブランド編
2025年10月20日 07:00
海外メーカーの最新BEVをまとめて紹介
自然災害や天候不順によって気候変動の問題が表面化したことで、グローバルで「CO2削減」「カーボンニュートラル」「サスティナビリティ」といった単語がトレンドワードになり、自動車産業ではHEV(ハイブリッドカー)に続く“次の一手”としてBEV(バッテリ電気自動車)が注目を集め、複数の自動車メーカーから「将来的にBEV専業メーカーになる」との声明まで出されていた。
しかし、中国でBEVメーカーが乱立して玉石混交の様相となり、バッテリやモーターの生産に使われるレアアースやレアメタルの供給が需要に追いつかない状況が見えはじめたほか、モーターを駆動する電気もAIの急速な進化によってグローバルで活用が進み、通信やデータセンターによる消費と合わせてIT技術での電力需要が加速度的に増えつつあるといった複数の要因から、BEVの販売台数の伸びが鈍化しているとも言われ始めている。
その一方で、年々さまざまな問題が起きて喫緊の課題となっている気候変動への対策という面で、各自動車メーカーがBEVを含めた車両の電動化を中長期的な取り組みの中軸に位置付けていることは変更されておらず、むしろ海外勢と比べて慎重に取り組みを進めてきた国内メーカーからも2025年に入って新型車2モデルが登場するなど、ゆっくりではあるもののBEVの普及に向けた動きが進んでいる部分もある。
本記事では次の乗り替え候補、または将来的な選択肢としてBEVの現在地を知って参考にしてもらえるよう、これまでにCar Watchで取り上げてきたモータージャーナリスト各氏による試乗記や発表記事などと合わせてモデルごとにまとめて掲載。なお、対象となるモデル数が多いので、本稿では海外メーカー(ドイツ系)の最新BEVについて紹介する。
メルセデス・ベンツ
「EQS セダン」
車両価格:1550万円~2419万円
モデル紹介
「EQS セダン」は2022年9月に発売したメルセデス・ベンツのラグジュアリーBEV。メルセデス・ベンツが長年に渡り培ってきたラグジュアリーと快適性の理想を実現することを目指し、人間の視覚、聴覚、触覚、嗅覚を通じて次世代のラグジュアリーを感じされるBEVとして誕生した。
EQS セダンでは駆動用バッテリとして容量118kWhのリチウムイオンバッテリを車体のフロア下に搭載し、電動パワートレーンとなる「eATS」を採用。後輪駆動のEQS 450+ではリアアクスルにeATSを設定して最高出力265kW(360PS)/4513-8786rpm、最大トルク568Nm/0-4427rpmを発生し、WLTCモード一充電走行距離は759kmを達成している。
4輪駆動のメルセデスAMG EQS 53 4MATIC+はフロントとリアにeATSを備え、システムの最高出力は484kW(658PS)、最大トルクは955Nmを発生して、WLTCモード一充電走行距離は659kmとなっている。また、「トルクシフト機能」によってフロントとリアのeATS間でモーターの駆動トルクを連続可変配分して、常に効率的で最適な前後駆動力配分が行なわれる。
充電方式ではAC200Vの普通充電とCHAdeMO規格の急速充電に対応。メルセデス・ベンツが用意する充電用ウォールユニット(定格30A/6.0kWタイプ)を使用した場合、外気温16℃でバッテリ残量10%から100%まで約20時間で充電完了。CHAdeMO規格の急速充電器では、50kWでおよそ114分、90kWでおよそ64分、150kWでおよそ53分で残量10%から80%まで充電できる。
新たに設計・開発された専用プラットフォームを採用するEQS セダンでは、外観デザインでもBEVならではのパッケージを有効活用。空気の流れを最適化することでCd値0.20を実現する優れたエアロダイナミクスを機能性として備えることに加え、ゆったりとした面構成やつなぎ目の少ないシームレスデザインなどによる「Sensual Purity(官能的純粋)」の思想を反映させて“先進の美しさ”を表現している。
低く構えスポーティさを強調するフロントマスクから、グリーンハウスを経由して後方まで連続する「ワン・ボウ」(弓)のボディライン、窓枠を持たないサッシュレスドアなどによってクーペのようなシルエットを形成。フロントのボンネット下にエンジンやトランスミッションを設置する必要がないことを利用して、メルセデス・ベンツの典型的なシルエットとは異なるキャブフォワードデザインを採用。通常よりも前方に位置するAピラーと前後のショートオーバーハングによって、ゆったりとしたキャビンスペースを確保している。
インテリアデザインでは多彩なデジタル要素を取り入れ、「コクピットディスプレイ」「有機ELメディアディスプレイ」「有機ELフロントディスプレイ(助手席)」という3枚の高精細パネルを1枚のガラスパネルで覆い、インパネ前面を一体化したワイドスクリーンで構成する「MBUX ハイパースクリーン」を導入。周囲を細いシルバーのフレームで囲み、上部にはエアアウトレットを組み込んだルーバー状のトリムなどを配置している。
走行に関係するインフォメーションは2つのメーターに表示され、ディスプレイの表示は複数のスタイルから選択してカスタマイズ可能。スタイルはEQS 450+に「スポーティ」「クラシック」「ジェントル」「ナビ」「アシスト」「サービス」の6種類を設定して、メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+には「TRACK PACE」と「Super sport」の2つを追加して計8種類を用意する。
機能や装備などは基本的に「Sクラス」同様となるが、BEVならではのアレンジを各部に施しつつNVH対策を徹底的に行ない、これまでにないレベルの静粛性を実現しているという。また、HEPAフィルターを採用した空気清浄システムを使い、車内の空気がクリーンに保たれる。回生ブレーキによる発電と制動力の強さはステアリングに備えるパドルシフトを使って4段階で切り替え可能。
また、EQS 450+にオプション設定、メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+に標準装備されている「ARヘッドアップディスプレイ」では、進むべき進行方向をフロントウィンドウの約10m先の景色に重ねて矢印で表示。車両の進行方向が変わった場合はそれに従って矢印も動き、常にどの方向に進むべきかを分かりやすく表示する。
主要諸元(450+・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 5,225×1,925×1,520mm
ホイールベース 3,210mm
最低地上高 140mm
車両重量 2500kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) -
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 255/45R20(前後)
(電動機・モーター)
型式 EM0027
定格出力 -
最高出力 265kW(360PS)/4513-8786rpm
最大トルク 568Nm/0-4427rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 -
一充電走行走行距離 759km
WLTCモード交流電力量消費率 188Wh/km
試乗記
関連リンク
メルセデス・ベンツ日本合同会社
https://www.mercedes-benz.co.jp/
製品情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/saloon/eqs/overview.html
「G 580 with EQ Technology」
車両価格:2635万円
モデル紹介
メルセデス・ベンツの伝統あるSUV「Gクラス」をベースにBEV化した「G 580 with EQ Technology Edition1」は2024年10月から日本での販売を開始したモデル。
メルセデス・ベンツのBEVで初めて永久磁石同期モーターをフロント左右/リア左右の計4基搭載する「4輪独立式モーター」を採用。それぞれに2速のトランスミッションと制御システムを備える電動パワートレーンのeATSを形成して、システムトータルで最高出力432kW(587PS)、最大トルク1164Nmを発生。V型8気筒エンジンを搭載する「メルセデスAMG G 63」を超えるパフォーマンスを発揮可能としている。
4輪を別々のモーターで駆動させることにより、路面のグリップ力が極端に低かったり、グリップ力の差が大きいような走行が難しい悪路でも、繊細なトルクコントロールが可能なモーターによって可能な限りの駆動力をタイヤに与えることができる。さらに4輪それぞれのグリップ状況を同期させ、トルクベクタリングによって必要なトルクを正確に制御する「仮想ディファレンシャルロック」を活用することで、険しい山道などでも安定した走行を実現する。
このほか、4輪独立式モーターを活用する技術では、オフロード走行の優位性を高める独自の技術として「Gターン」「Gステアリング」を開発。「Gターン」は狭い未舗装路を進んで行った先で落石や倒木に行く手を遮られたようなシーンで、左右のタイヤを逆回転させることで狭いスペースでも方向転換する技術。また、「Gステアリング」は未舗装路のタイトコーナーで4輪の駆動トルクを個別制御して、後輪軸を中心に旋回することでステアリングを切り返すことなく通過できるようにする技術となっている。
計216個のセルを12のモジュールに収めたモジュラーデザインで構成される駆動用バッテリは116kWhの大容量を備え、高効率なモーターとの組み合わせでWLTCモード一充電走行距離で530kmを実現する。オフロード走行時に泥や水の侵入を防ぐため、バッテリはねじり剛性に優れたケースに収められたほか、最大4mm厚のスチール製ラダーフレームに組み込まれる形でレイアウトされる。
さらにバッテリを強固に守る専用開発の「アンダーボディプロテクション」も装着。カーボンファイバーを含むさまざまな素材を組み合わせて作られた厚さ26mmの頑丈なアンダーボディパネルは、50を越えるスチールボルトを使ってラダーフレームに固定されており、これらによって車両の低重心化を実現しながら車体剛性の大幅な強化も果たしている。また、開発にあたっては高い保護レベルに加えて空力特性や静粛性なども考慮されているという。
充電システムとしてはAC200Vの普通充電とCHAdeMO規格の直流急速充電に対応。普通充電は出力6.0kW、急速充電は出力150kWまで対応し、急速充電で10%から80%まで充電する時間は、50kWでおよそ106分、90kWでおよそ55分、150kWでおよそ41分としている。
また、アクセルOFF時やブレーキペダルを踏んだときに制動力を発電に使ってエネルギーを回収する回生ブレーキでは、走行状況に応じて回生レベルを自動制御する「D Auto」のほか、ステアリングに備えるパドルシフトを使い、回生レベルを4段階で調節可能。それぞれ、回生発電を行なわずにコースティング走行する「D+」、バランスよく回生発電を行なう通常走行向けの「D」、アクセルOFF時の回生量を高める「D-」、強い減速を発生させて回生発電を最大化する「D--」となっている。
基本構造ではGクラス伝統のラダーフレームやリジットリアアクスルなどでG 580専用の強化・開発を実施。各モーターはラダーフレームに配置され、ホイールとデュアルジョイントシャフトによって接続。サスペンションの動きによってキャンバー角が変化しない構造を採用して常に安定したハンドリング特性を維持できるようになっている。
足まわりではド・ディオン式のリジットリアアクスルも新開発したほか、「アダプティブダンピングシステム」を標準装備。車速や路面状況に応じてダンピング特性をシステムが連続的に調整し、ボディを常に安定した状態に保つ。このコンポーネントは泥道や砂利道、水たまりやぬかるみといった悪路での高い負荷にも耐えるよう設計され、オフロード走行時の安定性や快適性を大幅に向上させる。最大渡河水深は「G 450 d」の700mmを上まわる850mmを実現している。
このほかにもオフロード走行向けの各種機能を搭載。オフロード走行用の低速クルーズコントロール機能となる「オフロードクロール」では、あらかじめ設定した速度を維持するため車両がアクセルとブレーキを操作して、ドライバーはステアリング操作に集中することができる。クロール速度はパドルシフトを使って3種類のモードから選択可能で、どのような地形でも車速を約2km/hに維持する「スロークロール」、アップヒルと平坦路では人が歩く程度に車速を維持し、10~20%勾配のダウンヒルでは最大約14km/hを維持する「可変クロール」、アップヒルと平坦路では車速を約8km/hに維持し、ダウンヒルでは勾配に応じて車速を制御する「ファストクロール」が用意されている。
また、「360°カメラシステム」用のフロントカメラとサイドカメラで撮影した映像を活用する「トランスペアレントボンネット」は、通常はボンネットやフェンダーなどで隠れて死角になる位置の路面イメージをメディアディスプレイに表示。車体を仮想的に表示して位置関係を分かりやすくしつつ、死角で見えない大きな石などの障害物や路面の深い窪みなどを早い段階で発見して、オフロード走行の安全性を大幅に高める。
外観デザインでは後端を持ち上げた力強いボンネットフード、リアホイールアーチに加えられたエアカーテンなどのBEV専用ディテールが与えられたほか、テールゲートには充電ケーブルや工具などを収納できるスペアタイヤカバーをイメージしたデザインボックスを備える。
また、伝統的な丸型ヘッドライトは片側に84個のLEDを使用する「マルチビームLEDヘッドライト」となっており、道路状況に応じて配光をコントロールするインテリジェントなライト機能によって最大限の視界を確保。対向車や前走車などを検知してハイビームが当たらないように照射範囲を調節する「アダプティブハイビームアシスト・プラス」を備えている。
インテリアでも丸型エアアウトレットや助手席側のグリップハンドルといったGクラス伝統のデザインアイコンを踏襲して、上質な素材とクラフトマンシップを融合させたラグジュアリーな空間を演出。特徴的なデフロック機能のスイッチ周辺はG 580専用に再設計され、GターンやGステアリングの起動スイッチをレイアウトしている。
先進機能では「ハイ メルセデス」のキーワードでボイスコントロールが起動して、音声認識機能によってカーナビの目的地入力や通話、音楽選択など多くのインフォテインメント機能や空調設定の変更などを操作できる対話型インフォテインメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)」を搭載。また、フロントカメラで撮影するリアルタイムの道路状況をナビゲーション画面の一部に映し、ナビ案内している経路情報を矢印表示として道路映像に重ねて直感的にどの方向に進むべきか判断できるようにする「MBUX ARナビゲーション」を標準装備している。
シート表皮にはブルーステッチが施されたナッパレザーが使用され、フロントシートはシートヒーターやシートベンチレーター、リラクゼーション機能、エナジャイジングパッケージプラスなどの装備で快適性を高めている。
試乗記
「EQS SUV/Mercedes-Maybach EQS SUV」
車両価格:1629万円~2012万円(EQS SUV)
車両価格:2790万円(Mercedes-Maybach EQS SUV)
モデル紹介
2023年5月に発売された「EQS SUV」は3列シートを備えて7人乗りとなるSUVタイプのBEVで、メルセデス・ベンツで初めてBEV専用プラットフォームを使ったSUVとなり、メルセデス・ベンツが長年培ってきたラグジュアリーと快適性を持ち、大人7人が快適に過ごせる質感の高い室内空間とSUVならではの使い勝手のよさを兼ね備えている。
プレミアムなBEVとして与えられた専用プラットフォームを活用する外観デザインは、エンジン搭載車とは大きく異なるキャブフォワードなスタイリングを基本として、機能性やエアロダイナミクスに対する厳しい要求を満たす「目的に沿ったデザイン」を実施。ゆったりとした面構成と継ぎ目の少なさ、そしてシームレスデザインによって「センシュアル ピュリティ(官能的純粋)」という革新的な思想を反映したものとなっている。
フロントマスクでは立体的なスリーポインテッドスターを装着し、左右のヘッドライトとディープブラックのフロントグリルを「ライトバンド」で結ぶ「ブラックパネル」グリルを標準装備。バックライト付きの光モジュールを備える表面構造を持ったブラックパネルは、外観上のデザインに加えて裏側に超音波センサーやカメラ、レーダーなどADAS(先進運転支援システム)で必要となるさまざまなセンサー類のカバーとしての機能性も発揮する。
サイドビューでは丸みを帯びたフロントエンドから立ち上がり、緩やかな傾斜を持つAピラーとルーフの輪郭を躍動的に流れ、リアスポイラーに至るダイナミックなシルエットが優れたエアロダイナミクスを備えていることを物語っている。ブラック塗装されたリアスポイラーは側面から見たときに車高を低く見せる効果も発揮して、Cピラーは後方に配置されて室内空間の広さを示している。
ドアウィンドウには立体的なクロームストリップを設定し、大径ホイールは筋肉を思わせるショルダー部と合わせてスポーティでたくましい印象を与えるデザインアクセントとなっている。純正装着するホイールはエアロダイナミクスの面でも高度な最適化が図られ、空力特性の効率向上に寄与している。
空力特性については意図的に乱流を生み出すタービュレーターやエアロフォルムのランニングボードといった装備を使い、細部にわたって最適化を追求。数多くの工夫を施したアンダーボディが中心的な役割を果たして優れたエアロダイナミクスを実現し、広い車内スペースを持つSUVボディながら、Cd値0.26という優れた空力性能を手に入れている。
インテリアでは同じくBEV専用プラットフォームを採用する「EQS セダン」と共通性の高いデザインを採用。一貫したデジタル化が図られ、「コックピットディスプレイ」「有機EL メディアディスプレイ」「有機EL フロントディスプレイ(助手席)」の高精細パネル3枚を1枚のガラスパネルで組み合わせ、ダッシュボード全体をワイドスクリーン化した「MBUX ハイパースクリーン」は象徴的なアイテムとなっている。
また、一方でダッシュボードの両サイドにはジェットエンジンのタービンを模したエアアウトレットを設置。複雑な形状を持つタービンブレードはエアコンから出る空気を効率よく配分する機能性を備え、高度な精密技巧とデジタル技術を駆使したMBUX ハイパースクリーンのコントラストを通じて、アナログとデジタルを共存させた豊かな遊び心を演出している。
先進的なデジタル技術では、車両前方の状況を撮影したカメラ映像をナビゲーション画面に表示して、カーナビで案内する右左折などのガイドをカメラ映像の道路上に矢印を重ねて表示する「MBUX ARナビゲーション」、フロントウィンドウの約10m先の景色にカーナビで案内する右左折などのガイドを矢印で重ねて表示する「ARヘッドアップディスプレイ」を標準装備。
それぞれ車両の進行方向が変わるとそれに合わせて矢印も動き、どの方向に進むべきかを常に分かりやすく案内し、カーナビの案内を確認する視線移動を大幅に削減。より直感的にどの方向に進むべきか判断できるようになり、疲労を軽減してリラックスした状態で運転できるようにする。
2列目シートは前後130mmの電動スライド機能を標準装備するほか、バックレストにも前方14度、後方4度の電動リクライニング機能を採用。また、3列目シートに乗車するために、2列目シートにイージーエントリーを標準装備している。
前方に倒したときはラゲッジスペースとフラットに連続する3列目シートも、シートヒーターやドリンクホルダーなどを備え、大人2人が快適に座って移動できるスペースとしている。
ラゲッジスペースは7席すべてを使用するフル乗車のシーンでも、3列目シート後方に195Lのスペースを用意。3列目シートを前方に倒した5人乗車状態では容量が645Lに広がり、2列目シートを前方にスライドさせて最大880Lまで無段階に拡張可能。さらに2列目シートを格納状態にすると最大2100Lまでラゲッジスペースを拡大できる。
EQS SUVでは電動パワートレーンの「eATS」を前後アクスルに搭載する2モータータイプの4WDを採用。トルクシフト機能によってフロントとリアのモーター間で駆動トルクの連続可変配分を行ない、常に効率的で最適化な前後駆動力配分を実施。定速走行時には最適化プロセスによって最も効率のよい4輪駆動配分を定め、特定の条件の下では1つのモーターを完全に停止してベース負荷が低減する制御も行なわれる。さらに不整地や滑りやすい路面を走るシーンで活躍する「オフロードモード」を標準装備する。
採用するモーターはフロントが「EM0030型」、リアが「EM0027型」となり、「EQS 450 4MATIC SUV」はシステム合計で最高出力265kW(360PS)、最大トルク800Nmを発生。「EQS 580 4MATIC SUV Sports」ではシステム合計で最高出力400kW(544PS)、最大トルク858Nmを発生する。
回生ブレーキではエネルギー回収率を可能な限り最大化して減速しつつ、タイヤのグリップに負担を掛けて走行安定性を損なうことがないようにする適切なトルク配分を実施。これにより、回生発電で得られる電力は最高290kWを実現し、高いエネルギー回収率によって航続距離をさらに延長する。
駆動用バッテリには容量118kWhのリチウムイオンバッテリを採用。アンダーボディの衝突に対して保護されたエリアに配置され、側面にあるアルミニウム押出成型材を使ったボディシェル構造内に組み込まれている。これらの組み合わせにより、WLTCモードの一充電走行距離として最大692kmを達成している。
サスペンションはフロントが4リンク式、リアがマルチリンク式となり、連続可変ダンピングシステムの「ADS+」とエアサスペンションを組み合わせた「AIRMATIC」を標準装備。AIRMATICでは乗員や荷物の増減に関係なく地上高を一定に保つ「セルフレベリング機構」を備え、必要に応じて車高を変化もさせる。例えば「Comfort」モードと「Sports」モードでは、110km/h以上の高速走行時には車高を10mm、または15mm下げて空気抵抗を低減し、走行安定性を高める。また、60km/h以下で走行しているときはボタン操作で車高を25mm上げることも可能となっている。
足まわりではステアリング操作とブレーキ、サスペンションなどの車両ダイナミクスコントロールで統合制御を行ない、後輪を最大10度操舵する「リア・アクスルステアリング」も標準装備。これによって最小回転半径は5.1mとなり、ロングホイールベースのボディにコンパクトカー並みの扱いやすさを与え、一方で高速走行時には直進安定性を高める効果も発揮する。
このほか、パワートレーンやESP、サスペンション、ステアリングなどの特性をドライバーの好みに合わせて変更できる「ダイナミックセレクト」を採用。メディアディスプレイの下側にあるスイッチで切り替えるドライブモードの標準設定は「Comfort」となり、このほかに「Sports」「ECO」「Individual」「OFFROAD」の計5種類を用意する。
EQS SUVをベースとした「Mercedes-Maybach EQS SUV」は、メルセデス・マイバッハブランド初のBEVとして2024年8月に日本市場でリリース。ひと目でマイバッハモデルと分かるラグジュアリーさを強調した外観、3列目シートを廃して乗員の居住スペースを拡大したインテリアを備え、電動パワートレーンでは前後に搭載するモーターを変更してさらにゆとりある動力性能を手にしている。
外観デザインではフロントグリルをクロームメッキ加飾の縦桟を備えるブラックパネルに変更し、シンボルであるスリーポインテッドスターはボンネットマスコットとして装着。ホイールハウスにハイグロスブラック塗装の加飾を施し、ディッシュタイプの専用デザインとなる22インチアルミホイールを装着してSUVのパフォーマンスとエモーショナルな存在感を強調している。このほか、ルーフスポイラー、リアガラス下部、リアエプロンにクロームオーナメントが施されている。
インテリアではコーヒー豆の殻をなめし材の原料として使用し、なめしで使用される加脂剤も自然由来のものを採用してなめし加工したナッパレザーをシートやダッシュボード、ドアトリム、ルーフトリムなどの表皮として採用。さらになめしの副産物から環境にやさしいアップサイクル製品を作成するなどサステナビリティの推進に向けて取り組んでいる。このほかにも、フロアカーペットは漁網などのリサイクル繊維から得られた再生可能で高品質なナイロン糸で構成され、鋼材やアルミニウムもリユーススチールやリサイクルアルミニウムが使用されているなど多くの省資源材料を採用している。
また、専用オプションである「ファーストクラスパッケージ」(123万6000円高)を選択すると、ウッドトリムを用いたセンターコンソールがフロントシートから連続して左右の席をセパレート。独立したシートでより快適でくつろいだ時間を過ごせるようにする。センターコンソールには温度調整機能を持つカップホルダーと格納式テーブルを備え、センターアームレストヒーターも内蔵。センターコンソール後方のシートバック部分には専用のシャンパングラス収納部と脱着可能な大型クーリングボックスも用意して、贅沢なひとときを演出する。
搭載するモーターはフロントが「EM0031型」、リアが「EM0028型」にそれぞれ変更され、システム出力は最高出力484kW(658PS)、最大トルク955Nmに強化。EQS SUVと同じ容量118kWhの駆動用バッテリを搭載して、一充電走行距離(WLTCモード)は640kmとなる。
また、走行特性を変更する「ダイナミックセレクト」では標準設定の「Comfort」を専用開発となる「MAYBACH」に変更。リアシートの乗員により快適な乗り心地を提供することを目的とした再設定が行なわれている。
主要諸元(EQS 450 4MATIC SUV・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 5,130×2,035×1,725mm
ホイールベース 3,210mm
最低地上高 175mm
車両重量 2920kg
乗車定員 7人
サスペンション(前後) -
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 265/50R20(前後)
(電動機・モーター)
型式 前EM0030/後EM0027
定格出力 -
最高出力 前88kW/3206-13874rpm/後178kW/3183-13772rpm
最大トルク 前260Nm/0-3206rpm/後540Nm/0-3183rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 -
一充電走行走行距離 692km
WLTCモード交流電力量消費率 205Wh/km
主要諸元(Mercedes-Maybach EQS 680 SUV・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 5,135×2,035×1,725mm
ホイールベース 3,210mm
最低地上高 180mm
車両重量 3050kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) -
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 275/40R22(前後)
(電動機・モーター)
型式 前EM0031/後EM0028
定格出力 -
最高出力 前174kW/4858-6937rpm/後310kW/4918-6886rpm
最大トルク 前346Nm/0-4858rpm/後609Nm/0-4822rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 -
一充電走行走行距離 640km
WLTCモード交流電力量消費率 224Wh/km
試乗記
関連リンク
メルセデス・ベンツ日本合同会社
https://www.mercedes-benz.co.jp/
製品情報(EQS SUV)
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/eqs/overview.html製品情報(Mercedes-Maybach EQS)
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/maybach-eqs/overview.html
「EQE」
車両価格:1294万円~1611万円
モデル紹介
日本の道路事情に合ったボディサイズと取りまわしのよさ、広い室内空間とラゲッジスペース、そしてSUVの使い勝手のよさなどを兼ね備えたモデルとして2023年8月に発売された「EQE」は、BEV専用プラットフォームを使用することに加え、BEVならではのパッケージの有用性を活かしたエクステリアデザインが与えられ、Cd値0.25を実現するエアロダイナミクスで機能性も兼ね備える先進的な美しさを特徴としている。
また、エンジンノイズがないBEVは走行中の風切り音が騒音として乗員の耳に届きやすく、快適性を向上させるために「空気音響特性」の重要性が高いとの観点から開発を実施。快適性を損なう低周波ノイズを防ぐため、ボディ構造部にある空洞部分の多くに防音発泡材が充填しているほか、高周波の風切り音対策として、ドアやウィンドウ類のシールで特殊な防音対策を実施。サイドウインドウ間に施したシールは特に留意した部分になるという。このほか、ドアパネルと一体化する格納式の「シームレスドアハンドル」も、空気抵抗を抑制して走行距離を延長しつつ、ノイズ低減にも寄与する装備となっている。
前後アクスルに「eATS」を搭載する電動パワートレーンでは、使用する2つのモーターにPSM(永久磁石同期モーター)を採用。PSMはACモーターのローター(回転子)に永久磁石を取り付ける構造となっており、ローターに通電させる必要がなく、三相の巻線を2つ備える六相式を採用して極めて強力なモーターとなっている。
電動パワートレーンの出力はグレードによって異なり、「EQE 350 4MATIC SUV」ではシステム総合で最高出力215kW(292PS)、最大トルク765Nmを発生。また、「Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+ SUV」は通常時のシステム総合で最高出力460kW(625PS)、最大トルク955Nmを発生し、パワーブーストモードの「RACE START」設定時は最高出力505kW(687PS)、最大トルク1000Nmまで向上する。
前後2基のeATSで4輪を駆動する独自の4WDでは、「トルクシフト機能」によって前後のモーター間で駆動トルクの連続可変配分を行ない、常に最適で効率的な駆動力配分を実施。ドライブモードで「OFFROAD」を選択している場合には、未舗装路での路面グリップや傾斜、地形に合わせた4輪のトルク配分を最適化する。
また、新たな機構としてフロントのeATSに「DCU(ディスコネクトユニット)」を搭載。アクチュエーターを用いたクラッチが走行状況に応じて前輪の回転をフリーにすることで、モーターによる抵抗とタイヤを切り離す。この構造によって高速巡航時には駆動系から前輪を切り離し、後輪だけの駆動力で走行してバッテリの電力消費を抑制できる。
さらに、航続距離の最大10%延長に貢献するというヒートポンプを標準装備。高電圧の駆動用バッテリから発生する熱を車内の暖房に活用して、空調で使用される電力を大幅に削減する。これらの技術と容量90.6kWhの駆動用バッテリを組み合わせることで、WLTCモードでの一充電走行走行距離はEQE 350 4MATIC SUVで542km、Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+ SUVで474kmを実現する。
このほかに大容量バッテリを活用する日本仕様の特別な機能として、EQEから車外に電力を供給する「双方向充電」を採用。EQEの駆動用バッテリを家庭の太陽光発電システムで生み出した電気の貯蔵装置として利用できるほか、送電網で停電が発生した場合などには車載バッテリに蓄えた電気を家庭に送り、非常用電源として使うことも可能となっている。なお、給電設定はMBUXの画面で変更可能で、バッテリ残量10%から50%まで10%単位で設定が行なえる。
サスペンションはフロントに4リンク式、リアにマルチリンク式を採用して、連続可変ダンピングシステム「ADS+」とエアサスペンションを組み合わせた「AIRMATIC」を標準装備している。
このほか、Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+ SUVでは従来のアンチロールバーの代わりとして、ボディの動きを電気機械的に補正する「AMG ACTIVE RIDE CONTROL」を採用。フロントアクスルとリアアクスルに備えるアンチロールバーを2分割し、それぞれをアクチュエーターで制御する。路面に凹凸がある場合はアクチュエーターがスタビライザーの半分をアクティブに分離して乗り心地を高め、スポーティな走行時には半分を結合し、ねじれることでロールを大幅に減少させる。
このシステムは油圧式のアンチロールバーと比較して反応速度が速く、限界に近い走行状態でも正確なコントロール性とダイレクトなハンドリングを実現する。また、路面の片側に凹凸がある状況では素早く振動に対応して直進時の乗り心地を向上させる。
そのほかEQEの特徴では、サスティナブル社会の実現に向けた取り組みの一環として省資源材料を積極的に使用。EQEに採用している70kgを超えるコンポーネントは、一部がリサイクル材や再生可能原材料といった省資源材料で作られている。
インテリアでは中古タイヤの熱分解オイルと農業廃棄物から精製された「バイオメタン」を使い、ケミカルリサイクルで作られたプラスチックをグラブハンドルに利用。このプラスチックは石油由来のプラスチックと同等の品質を確保しているという。また、ルーフライナーとピラートリム表面の素材には「40%リサイクルペットボトルフレーク」を採用して、フロアカーペットには漁網などの「海洋プラスチックごみ」から作られたナイロン糸を使用している。
主要諸元(EQE 350 4MATIC SUV・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,870×2,030×1,670mm
ホイールベース 3,030mm
最低地上高 160mm
車両重量 2580kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) -
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 235/55R19(前後)
(電動機・モーター)
型式 前EM0030/後EM0027
定格出力 -
最高出力 前71kW/2682-16031rpm/後144kW/2662-15913rpm
最大トルク 前251Nm/0-2682rpm/後514Nm/0-2662rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 -
一充電走行走行距離 542km
WLTCモード交流電力量消費率 204Wh/km
試乗記
関連リンク
メルセデス・ベンツ日本合同会社
https://www.mercedes-benz.co.jp/
製品情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/eqe/overview.html
「EQB」
車両価格:815万円~899万円
モデル紹介
2022年7月に発売された「EQB」は、SUVタイプのボディに3列シートを備える7人乗りの「電動7シーター」。2024年6月に大幅改良が行なわれ、駆動用バッテリとして搭載するリチウムイオンバッテリの容量を当初の66.5kWhから70.5kWhに拡大。一充電走行距離(WLTCモード)も最大で520kmから557kmに伸びている。
4685×1835×1705mm(全長×全幅×全高)というコンパクトSUVに分類されるボディサイズながら、BEVの特性を生かした2830mmのロングホイールベースによって車内に3列シートを搭載。日本の道路環境にもマッチするサイズで最大7人乗車を実現している。
ラインアップは前輪駆動となる2WDの「EQB 250+」と、車両の前後にモーターを各1基搭載する4WDの「EQB 350 4MATIC」という2種類。EQB 250+ではフロントアクスルに交流同期電動機を搭載して、最高出力140kW(190PS)/3500-7000rpm、最大トルク385Nm/0-3550rpmを発生。EQB 350 4MATICではフロントアクスルに交流誘導電動機を搭載し、リアアクスルでは交流同期電動機と前後で異なるモーターを採用。システム総合で最高出力215kW(292PS)、最大トルク520Nmを発生する。
内外装のデザインコンセプトには、メルセデス・ベンツのデザイン基本思想である「センシュアル・ピュリティ(官能的純粋)」をより先進的に表現する「プログレッシブ・ラグジュアリー」を採用。
外観デザインでは前後オーバーハングを短く抑え、ボディの4隅にタイヤを配置してホイールベースを伸ばして車内の居住スペースを最大限確保する機能的パッケージを追求しつつ、輪郭をはっきりと表現したショルダーラインやブラックアウトした樹脂製のフェンダーアーチなどにより、筋肉質でエモーショナルなプロポーションによって都市型SUVとして洗練された印象を備えている。
また、大幅改良ではフロントマスクでEQS SUVやEQEなどとも共通するヘッドライトと一体感を持つ「ブラックパネル」グリルを装着し、フロントバンパーも新デザインに変更。純正装着するアルミホイールも新形状に改め、リアコンビネーションランプの内部構造を変更して連続性を高めている。
ボディカラーは大幅改良時に追加された新色「ハイテックシルバー」「スペクトラルブルー」を含めて7色をラインアップ。内装色は「ローズゴールド/チタニウムグレーパール」が基本となり、パッケージオプションの「AMGラインパッケージ」「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」を選択した場合は「ブラック」に変更される。
インテリアでの変更点は、純正ナビやデジタルメーターの各種設定、ドライビングアシスタンスパッケージの設定などを手元で操作できる新世代ステアリングホイールを新たに採用。ステアリングリムには「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」のハンズオフを検知する静電容量式センサーを設定し、ステアリングホイールにかかるトルクがない状態でも、ドライバーがステアリングを握っていることが認識されればアクティブディスタンスアシスト・ディストロニックの制御が継続されるようになった。
また、オプション設定のAMGレザーエクスクルーシブパッケージを選択した場合にはステアリングをすばやく温める「ステアリングヒーター」を追加して、エアコンの動作を抑制してバッテリの負荷を低減する。オプション設定の「アドバンスドパッケージ」では、Dolby Atmosに対応する「Burmester サラウンドサウンドシステム」を追加して、12スピーカーで合計出力710Wとなるオーディオシステムが没入感の高いサウンド空間を提供する。
主要諸元(EQB 250+・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,685×1,835×1,705mm
ホイールベース 2,830mm
最低地上高 200mm
車両重量 2100kg
乗車定員 7人
サスペンション(前後) -
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 235/55R18(前後)
(電動機・モーター)
型式 EM0026
定格出力 -
最高出力 140kW(190PS)/3550-7000rpm
最大トルク 385Nm/0-3550rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 -
一充電走行走行距離 557km
WLTCモード交流電力量消費率 149Wh/km
試乗記
関連リンク
メルセデス・ベンツ日本合同会社
https://www.mercedes-benz.co.jp/
製品情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/eqb/overview.html
「EQA」
車両価格:775万円
モデル紹介
BEVのコンパクトSUV「EQA」は2021年1月に世界初公開され、2021年4月から日本市場での販売がスタートしたモデル。同社の「GLA」のプラットフォームを活用してフロア下に駆動用バッテリを搭載し、ボンネット下に電動パワートレーンを収め、フロントアクスルの低い位置にモーターをレイアウト。前輪を駆動する2WD車で「EQA 250+」のみをラインアップする。
発売から3年後の2024年4月に大幅改良を実施して、駆動用バッテリの容量を当初の66.5kWhから70.5kWhに拡大。これに伴い、一充電走行距離(WLTCモード)は422kmから591kmに向上した。
充電方式ではAC200Vの普通充電とCHAdeMO規格の急速充電に対応。メルセデス・ベンツが用意する充電用ウォールユニット(定格30A/6.0kWタイプ)を使用した場合、外気温8℃でバッテリ残量10%から100%までの充電が約11時間50分で完了する。また、CHAdeMO規格の急速充電器を使って残量10%から80%まで充電する場合、50kWで約79分、90kWで約50分、150kWで約40分が必要となる。
搭載するバッテリは車両の駆動に加え、対応する充放電器と車両を接続することで「V2H(Vehicle to Home)」「V2L(Vehicle to Load)」といった外部給電機能にも活用可能。V2Hでは家庭の太陽光発電システムで生み出した電気の貯蔵装置として駆動用バッテリを利用できるほか、送電網で停電が発生した場合などは車載バッテリに蓄えた電気を家庭に送り、非常用電源の役割を果たす。V2Lではアウトドアレジャーなどのドライブ先でさまざまな電気製品を利用できる。なお、給電設定はMBUXの画面で変更可能で、バッテリ残量10%から50%まで10%単位で設定が行なえる。
「EM0026型」モーターは最高出力140kW(190PS)/3550-7000rpm、最大トルク385Nm/0-3550rpmを発生。モーターのフロントアクスル搭載方法に工夫を行ない、モーターの振動や騒音が車内に伝わらないような設計によって静粛性を高めている。
ボディサイズは4465×1835×1610mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2730mm、車両重量は1980kgとなる。
外観デザインでは前後オーバーハングを短くして躍動感を高めたクーペを思わせるフォルムと、曲線を使ったボリューム感のあるパワフルな面構成を組み合わせて特徴的な都市型SUVのプロポーションを表現。また、オプションとして「ボディ同色ホイールアーチ」も用意され、SUVテイストを弱めてスポーティさを強調できるようにしている。
2024年4月の大幅改良では立体的なスターパターンを使ったブラックパネルのフロントグリルを採用し、フロントバンパーの形状変更も行なってフロントマスクを刷新。リアコンビネーションランプでもデザイン変更を実施して、内部で発光するランプの配置などを変えてイメージチェンジしている。
インテリアでは助手席前方にバックライト付きの「スターライトパターンインテリアトリム」を装着。アンビエントライトの設定と連動して64色から選択できるバックライトを発光させて車内演出を行なう。また、インパネに5つ設定するエアコン送風口は、ジェットエンジンのタービンを連想させるスポーティなデザインを採用した。
2024年4月の大幅改良で新たに採用した新世代ステアリングホイールは、純正ナビやデジタルメーターの各種設定、ドライビングアシスタンスパッケージの設定などを手元で操作できるスイッチ類を搭載。また、ステアリングリムに「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」のハンズオフ検知用となる静電容量式センサーを備え、ステアリングホイールにかかるトルクがない状態でも、ドライバーがステアリングを握っていることが認識された場合はアクティブディスタンスアシスト・ディストロニックの制御が継続される。
主要諸元(EQA 250+・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,465×1,835×1,610mm
ホイールベース 2,730mm
最低地上高 185mm
車両重量 1980kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) -
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 235/55R18(前後)
(電動機・モーター)
型式 EM0026
定格出力 -
最高出力 140kW(190PS)/3550-7000rpm
最大トルク 385Nm/0-3550rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 -
一充電走行走行距離 591km
WLTCモード交流電力量消費率 140Wh/km
試乗記
関連リンク
メルセデス・ベンツ日本合同会社
https://www.mercedes-benz.co.jp/
製品情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/eqa/overview.html
BMW
「i7」
車両価格:1806万円~2256万円
モデル紹介
「i7」は2022年7月に、BMWのフラグシップセダン「7シリーズ」の第7世代モデルの発売と合わせてデビューしたラグジュアリーBEV。当初は4WDの「i7 xDrive60」のみを用意していたが、2023年5月に後輪駆動の2WDモデル「i7 eDrive50」と4WDのハイパフォーマンスモデル「i7 M70 xDrive」をラインアップに追加した。なお、2025年9月の時点でi7 eDrive50は公式Webサイトや価格表にデータが掲載されておらず、受注を停止している模様だ。
新型7シリーズは全モデルでロングホイールベース仕様を基本として、優雅で伸びやかなデザインを手に入れつつ、後席における圧倒的な居住性を実現。i7ではボディや足まわり、インテリア、装備品などの基本コンポーネントを新型7シリーズと共有しつつ、パワートレーンをBEVで必要なモーターなどに変更している。
i7 xDrive60はフロントに最高出力190kW(258PS)、最大トルク365Nmを発生する「HA0002N0型」モーター、リアに最高出力230kW(313PS)、最大トルク380Nmを発生する「HA0003N0型」モーターを搭載して4輪を駆動。システムトータルでは最高出力400kW(544PS)、最大トルク745Nmとなり、0-100km/h加速は4.7秒を実現する。
i7 M70 xDriveではフロントに同スペックの「HA0002N0型」モーターを採用し、リアのモーターを「HA0004N0型」に変更。最高出力360kW(489PS)、最大トルク650Nmを発生するリアモーターと組み合わせることにより、システムトータルでのスペックが最高出力485kW(659PS)、最大トルク1015Nmに強化され、0-100km/h加速のタイムを3.7秒まで短縮している。ボディのフロア下に収納される駆動用バッテリは総電力量105.7kWhで、WLTCモードの一充電走行距離はi7 xDrive60が650km、i7 M70 xDriveが570kmとなっている。
充電テクノロジーでは普通充電とCHAdeMO方式の急速充電に対応して、普通充電では自宅などに6.4kW出力の「BMW ウォール・ボックス」(200V/32A)を設置して利用することにより、充電開始時に0%だったバッテリ残量を約17時間で100%まで充電できる。急速充電では、90kW充電器を利用した場合は約60分、150kW充電器を利用した場合は約50分でバッテリ残量を0%から約80%まで充電可能。また、10分間急速充電することで、航続可能距離を90kW充電器で最大約80km程度、150kW充電器で最大約130km程度まで回復できるという。
足まわりでは「オートマチック・セルフレベリング・コントロール付きアダプティブ2アクスル・エア・サスペンション」と「電子制御ダンパー付きアダプティブ・サスペンション」を標準装備。サスペンションのエア供給は1輪ずつ個別で調整されるため、不均衡な積載状態を補正することも可能。あらゆる速度域で常に最適な車高に調節することにより、安全で快適なハンドリングを実現する。
このほかにも走行関連のアイテムとして、卓越したハンドリング性能と快適性向上を両立させる電動パワーステアリングの「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」、アンチロールスタビライザーの最適化で俊敏性とハンドリング精度を向上させ、ダイナミックなコーナーリング時に高い効果を発揮する「エグゼクティブ・ドライブ・プロ」、直進走行時の快適性向上に寄与する「アクティブ・ロール・スタビライザー」、路面の片側の起伏で発生するボディロールを軽減することに加え、該当する側の車高をアクティブに適合させる「アクティブ・ロール・コンフォート機能」などの最新テクノロジーを多数採用し、新次元の走行快適性と長距離ドライブの快適性を実現している。
外観デザインではフロントマスクに伝統ある大型キドニー・グリルを設定してラグジュアリーさと圧倒的な存在感を強調するほか、BMWモデルでデザイン意匠の1つとしている環状シグネチャーを2回繰り返す「ツイン・サーキュラー」を進化させ、スワロフスキー製クリスタル・ガラスを採用する「BMWクリスタル・ライト」を象徴的なアイテムとして用意。夜間は大型キドニー・グリルの縁をライティングして、この車両がBMWのラグジュアリーセダンであることを主張する。
アウタードアハンドルはドアパネルに格納して空気抵抗を低減し、すっきりとしたデザインを実現。また、すべてのドアの自動開閉が可能な「オートマチックドア」も全車で標準装備して、アウタードアハンドルやリモートキー、車内のドア近くに設置されたスイッチを押すほか、音声認識機能を備える「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント」に呼びかけることでもドアの電動開閉が可能。センサーを利用して、狭いスペースでも適切なドア開度の保持が可能となっている。
インテリアでは、12.3インチのメーターパネルと14.9インチのコントロール・ディスプレイを一体化。ドライバーに向けて湾曲する形状で視認性を高めた「BMW カーブド・ディスプレイ」をインパネ上に設置。圧倒的な存在感によってラグジュアリーさを強調。運転席周辺ではスイッチ類を最低限に限定しつつ、クリスタルを多用してすっきりと高級感ある印象としている。
先代モデルからガラス面積を約40%増やした「パノラマ・ガラス・サンルーフ」を標準装備して、太陽光を車内により多く取り込んで心地よい空間を演出。オプション装備となる「スカイ・ラウンジ・パノラマ・ガラス・サンルーフ」は後席まで届く大型設計となり、さらなる太陽光の取り込みを実現。夜間にはLEDを使った幻想的なライト演出でエモーショナルな空間体験が楽しめる。
i7 M70 xDriveで標準装備、i7 xDrive60でオプション設定となる「エグゼクティブ・ラウンジ・シート」を装着した場合、座面と一体構造の下肢部クッションが膝下を支える「リラックス・シート」がリアシートに設定され、シートバックが42度までリクライニング可能となって後席空間の居住性をさらに向上させる。
同じくi7 M70 xDriveで標準装備、i7 xDrive60でオプション設定される「BMW シアター・スクリーン」では、フリップダウンディスプレイに8K対応となる31.3インチのタッチスクリーンディスプレイを採用。「Amazon Fire TV」を搭載し、「Bowers&Wilkins ダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システム」との連動で圧倒的なシアター体験を車内で実現する。
主要諸元(i7 xDrive60・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 5,390×1,950×1,545mm
ホイールベース 3,215mm
最低地上高 136mm
車両重量 2690kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 前255/45R20/後285/40R20
(電動機・モーター)
型式 前HA0002N0/後HA0003N0
定格出力 70kW(95PS)/95kW(129PS)
最高出力 前190kW(258PS)/8000rpm/後230kW(313PS)/8000rpm
最大トルク 前365Nm/0-5000rpm/後380Nm/0-6000rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.69V
容量 70.2Ah(3)
個数 1個(408セル)
総電圧 376V
総電力量 105.7kWh
一充電走行走行距離 650km
WLTCモード交流電力量消費率 184Wh/km
試乗記
関連リンク
ビー・エム・ダブリュー株式会社
https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
製品情報
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/bmw-i/i7/bmw-i7-sedan.html
「i5/i5 ツーリング」
車両価格:1028万円~1602万円(i5)
車両価格:1070万円~1642万円(i5 ツーリング)
モデル紹介
「i5/i5 ツーリング」はBMWのミドルクラスモデル「5シリーズ」の第8世代ラインアップで新たに誕生したBEV。日本市場での販売はセダンボディのi5が2023年7月、ステーションワゴンボディのi5 ツーリングが2024年2月にスタート。また、2025年4月にはi5のロングホイールベースモデルも追加されている。
i7と同じく電動パワートレーン関連以外の基本コンポーネントをベースとなる5シリーズと共有。i5とi5 ツーリングのいずれもボディサイズは5060×1900×1515mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2995mm。ロングホイールモデルの「i5 eDrive35L」は全長とホイールベースが拡大され、ボディサイズは5175×1900×1520mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは3105mmとなる。
また、i5とi5 ツーリングはモーター出力などによるグレード展開も共通となり、車両後方にモーターを搭載して後輪を駆動する2WDの「eDrive40」と、車両の前後にモーターを備える電動4WDのMパフォーマンスモデル「M60 xDrive」をラインアップ。
eDrive40ではリアに最高出力250kW(340PS)、最大トルク430Nmを発生する「HA0001N1型」モーターを搭載して後輪を駆動。M60 xDriveはフロントに最高出力192kW(261PS)、最大トルク365Nmを発生する「HA0002N0型」モーターを搭載し、リアでは最高出力250kW(340PS)、最大トルク430Nmを発生する「HA0003N1型」を採用。システムトータルでは最高出力442kW(601PS)、最大トルク795Nmというスペックとなり、「M スポーツ・ブースト」、または「M ローンチ・コントロール」を作動させた状態での0-100km/h加速タイムは、i5 M60 xDriveで3.8秒、i5 Touring eDrive40 M Sportで3.9秒を実現する。
ボディのフロア下に収納される駆動用バッテリの総電力量は、発売当初はi5とi5 ツーリングで異なっていたが現在は同じ83.9kWhとなっており、WLTCモードの一充電走行距離はi5のeDrive40が648km、M60 xDriveが527kmで、i5 ツーリングのeDrive40が620km、M60 xDriveが510kmになる。
また、i5 eDrive35Lはモーターや駆動用バッテリの仕様が異なり、車両後方に最高出力200kW(272PS)、最大トルク410Nmを発生する「HA0001N0型」モーターを搭載して後輪を駆動。駆動用バッテリは総電力量81.6kWhで、WLTCモードの一充電走行距離は600kmとなっている。
5シリーズと共通する先進装備では、従来から採用しているADAS(運転運転支援システム)「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」の新機能として、高速道路での渋滞時にドライバーの運転負荷を軽減し、安全に寄与する運転支援システム「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」が採用された。
ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能はドライバーが常時前方を注視しつつ、周囲の道路環境やほかの車両の状況に応じてステアリングを操作できる場合に、ドライバーがステアリングから手を離して走行できる「SAE レベル2」相当の機能となっている。
駐車に関連する一連の操作を車両が担当する「パーキング・アシスト・プロフェッショナル」では、駐車時のステアリング、アクセル、ブレーキなどの操作が一切不要となる「マニューバー・アシスト(駐車経路自動誘導機能)」を標準装備。自宅や勤務先といった利用する機会が多い駐車場を事前に登録しておくと、駐車スペースに接近したことを車両が検知した場合に、ステアリング、アクセル、ブレーキなどを操作して自動的に駐車。駐車場所は最大10か所まで登録可能で、最大200mまで駐車操作(合計600m)を記録することで、狭いスペースで複雑な切り替えしが必要な場合でも正確な再現が可能となっている。
さらにパーキング・アシスト・プロフェッショナルでは、35km/h以下で前進した直前のルートを最大200mまで記憶して、そのルートを正確に後退して戻ることが可能となる「リバース・アシスト・プロフェッショナル」も搭載。日本各地に点在する細い道の走行中に対向車とのすれ違いが困難なシーンなどで、不安なく後退して道を譲ることが可能になる。
シャシー制御技術でも広範囲の進化が果たされ、センシングと同時に最短時間で直接制御を行なう「ホイール・スリップ・テクノロジー」、可変ステアリングレシオを備えた「スポーツ・ステアリング」や「統合ブレーキ・システム」を全車標準装備するほか、i5とi5 ツーリングには4輪操舵を可能とする「インテグレーテッド・アクティブ・ステアリング」とショックアブソーバーを電子制御する「アダプティブ・サスペンション」を標準装備する。
M60 xDriveではアクティブ・ロール・コントロール機能付きの電子制御スタビライザーを備えた「アダプティブM サスペンション・プロフェッショナル」も採用して、ダイナミックな走行性能と快適な乗り心地を高い次元で両立。BEVの特性を最大限に活かした新時代の「駆けぬける歓び」を実現している。
主要諸元(i5 eDrive40・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 5,060×1,900×1,515mm
ホイールベース 2,995mm
最低地上高 146mm
車両重量 2180kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 245/45R19(前後)
(電動機・モーター)
型式 HA0001N1
定格出力 105kW(143PS)
最高出力 250kW(340PS)/8000rpm
最大トルク 400Nm/0-6000rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.69V
容量 70.2Ah(3)
個数 1個(324セル)
総電圧 399V
総電力量 83.9kWh
一充電走行走行距離 648km
WLTCモード交流電力量消費率 148Wh/km
主要諸元(i5 ツーリング M60 xDrive・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 5,060×1,900×1,505mm
ホイールベース 2,995mm
最低地上高 137mm
車両重量 2390kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 前245/40R20/後275/35R20
(電動機・モーター)
型式 前HA0002N0/後HA0003N1
定格出力 75kW(102PS)/105kW(143PS)
最高出力 前200kW(272PS)/8000rpm/後250kW(340PS)/8000rpm
最大トルク 前365Nm/0-5200rpm/後430Nm/0-5500rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.69V
容量 70.2Ah(3)
個数 1個(324セル)
総電圧 399V
総電力量 83.9kWh
一充電走行走行距離 515km
WLTCモード交流電力量消費率 184Wh/km
試乗記
関連リンク
ビー・エム・ダブリュー株式会社
https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
製品情報(i5)
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/bmw-i/i5/bmw-i5-overview.html
製品情報(i5 ツーリング)
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/bmw-i/i5/bmw-i5-touring.html
「i4」
車両価格:922万円~1226万円
モデル紹介
「i4」はミドルクラスの4ドアクーペ「4シリーズ グラン クーペ」のBEVモデルとして2022年2月に日本市場で発売。
当初は1モーターで後輪駆動の「eDrive40」と「eDrive40 M Sport」、2モーターで4輪駆動の「i4 M50」という3モデルを展開し、1年後の2023年2月に「BMWオンライン・ストア」専売モデルの「eDrive35」を追加。2024年10月には4シリーズ グラン クーペの一部改良を行なって、eDrive40 M Sportと「M50 xDrive」の2モデルを用意していたが、2025年7月以降のラインアップではeDrive40 M Sportと「M60 xDrive」が販売されている。
なお、2025年7月以降に生産されたeDrive40は一部に変更が行なわれ、M60 xDriveを含めてスペックに関する数値は未公表となっており、記事内の数値は2025年3月以降生産のモデルを参照したもの。国土交通省の再認可によって型式認定取得後に変更となる場合がある。
eDrive40 M Sportは最高出力250kW(340PS)、最大トルク430Nmを発生する「HA0001N1型」モーターを車体のリアに搭載して後輪を駆動。駆動用バッテリはベースの4シリーズ グラン クーペからボディのフロアを25mm高くして搭載。総電力量は83.9kWhで、一充電走行距離(WLTCモード)は595km。ボディサイズも4シリーズ グラン クーペとほぼ共通で、全高のみ5mm高い4785×1850×1455mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2855mm。
内外装のデザインや装備は基本的に4シリーズ グラン クーペと共通で、外観ではフロントマスクの象徴である縦型「キドニー・グリル」の内側が、空力性能を向上させるパネルタイプとなっている部分が大きな変更点。また、2024年10月の一部改良ではヘッドライトが新デザインの「LEDヘッドライト」となり、ライト内にある光機部をブラックアウトして精悍なイメージを強調した。
インテリアではインパネ上に12.3インチのメーターパネルと14.9インチのコントロール・ディスプレイを一体化した「カーブド・ディスプレイ」を設置して先進性を表現している。
先進装備ではADAS(運転運転支援システム)の「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」で、4シリーズ グラン クーペと同じく高速道路での渋滞時にドライバーの運転負荷を軽減し、安全に寄与する運転支援システム「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を採用。ドライバーが常時前方を注視しつつ、周囲の道路環境やほかの車両の状況に応じてステアリングを操作できる場合に、ドライバーがステアリングから手を離して走行できる「SAE レベル2」相当の機能となっている。
このほかにもドライビング・アシスト・プロフェッショナルでは、高性能3眼カメラとレーダーなどで車両周辺の状況を認識し、高性能プロセッサーによる高い解析能力を活用して高い精度と正確性を実現。「アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)」「ステアリング&レーン・コントロール・アシスト」「レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)」「レーン・キーピング・アシスト(アクティブ・サイド・コリジョン・プロテクション付)」「衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避アシスト付)」「クロス・トラフィック・ウォーニング」などを標準装備している。
主要諸元(i4 eDrive40・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,785×1,850×1,455mm
ホイールベース 2,855mm
最低地上高 125mm
車両重量 2090kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 前245/45R18/後255/45R18
(電動機・モーター)
型式 HA0001N0
定格出力 105.0kW(143PS)
最高出力 250kW(340PS)/8000rpm
最大トルク 430Nm/0-5000rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.69V
容量 70.2Ah(3)
個数 1個(324セル)
総電圧 399V
総電力量 83.9kWh
一充電走行走行距離 595km
WLTCモード交流電力量消費率 160Wh/km
関連リンク
ビー・エム・ダブリュー株式会社
https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
製品情報
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/bmw-i/i4/bmw-i4-gran-coupe.html
「iX」
車両価格:1098万円~1788万円
モデル紹介
2021年11月に発売された「iX」は、BMWがSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と位置付けるSUVタイプのボディを持つBEV。BMWのほかのBEVはそれぞれ既存ラインアップに基本コンポーネントを共有するモデルが存在するが、iXだけは単独で展開されている独自性の強い車両となっている。
全車で前輪と後輪の駆動用モーターを車体の前後に1基ずつ備える4輪駆動を採用して、デビュー当初から用意されていた「xDrive40」と「xDrive50」をラインアップするほか、よりハイパフォーマンスな“Mモデル”「M60」が2022年5月に追加されている。
“大胆でモダン、最小限”をコンセプトにデザインされた外観では、フロントマスクに大型キドニー・グリルを装着し、輪郭を光らせる「アイコニック・グロー」の採用で夜間でもBMWモデルとしてのキャラクター性を強調する一方、ラインアップ中で最もスリムなデザインとなるヘッドライトを採用して次世代の世界観を表現。リアビューでもヘッドライト同様の薄くシャープなコンビネーションランプを採用してデザインの一体感を高め、リアトレッドをワイド化して存在感を表現したほか、エアロダイナミクスを追求するディフューザーを装着している。
インテリアでは運転席前方のメーターパネルとセンターコンソールのコントロールディスプレイを一体構造として、ドライバーに向けて湾曲化した形状によって視認性を高め、デザインと使い勝手を際立たせた「カーブドディスプレイ」をBMWモデルとして初めて採用。また、個性的な六角形のステアリングホイールもBMWで初採用している。
操作用となるスイッチやボタンなどの多くを廃止したほか、送風口をスリム化することですっきりとした運転席まわりを実現。BMW独自の「iDriveコントローラー」を他モデル同様に装備して優れた操作性を実現。大人5人でもゆったりとくつろげる室内空間を備え、オプション設定の「ファースト・クラス・パッケージ」を装備した場合、電動シートの調整スイッチやスタート/ストップボタン、iDriveコントローラーなどがクリスタル製になって未来感のある車内空間を演出する。
ボディサイズは4955×1965×1695mm(全長×全幅×全高)でホイールベースは3000mm。車両重量は2410~2600kgとなる。ラゲッジスペース容量は500Lで、リアシートを格納すると1750Lまで拡大可能。
駆動用となるリチウムイオンバッテリの容量はxDrive40が330.3Ah、xDrive50とM60が369.0Ahで、一充電走行距離(WLTCモード)は455~650kmとなる。急速充電器での充電は最大150kWまで対応し、自宅や公共施設などの普通充電設備では最大11kWの充電が可能。150kWの急速充電を利用する場合は約80%までの充電が40分以内に完了して、約500kmの長距離走行が可能となり、10分の急速充電でも約100km走行できるようになる。普通充電ではひと晩(約7時間)で0%から100%の状態まで充電できるとしている。
電動パワートレーンとしては全車でフロントモーターに「HA0002N0型」を採用し、リアモーターはxDrive40とxDrive50で「HA0001N0型」、M60で「HA0004N0型」を搭載。システムトータルの出力は3モデルで異なり、xDrive40は最高出力240kW(326PS)、最大トルク630Nm(64.2kgm)、xDrive50は最高出力385kW(523PS)、最大トルク765Nm(78.0kgm)、M60は最高出力397kW(540PS)、最大トルク1015Nm(103.5kgm)を発生。2.4tを超える車体を力強く滑らかに加速させていく。
エンジン音のないBEV特有の取り組みとしては、車内に装着するオーディオ用スピーカーを利用して特別に作曲した音を流す「アイコニック・サウンド・エレクトリック」を採用。音による効果で「駆けぬける歓び」を表現するこの技術では、アカデミー賞やゴールデングローブ賞などに多数ノミネートされた実績を持ち、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の作曲も担当したドイツ出身の著名な映画音楽作曲家であるハンス・ジマー氏が手がけたサウンドを使用する。
走行モードを変更する「MY MODES」の設定と連動したサウンドが流れ、「Sport」ではサウンドが強調され、「Personal」を選択すると音響の全体バランスを重視。一方、「Efficient」に設定している状況ではサウンドがOFFになる。
足まわりではxDrive50とM60で「4輪アダプティブ・エア・サスペンション」を標準装備。エア圧を調整することで走行状況に合わせて最良の車高を保ち、乗り心地や敏捷性、走行安定性など多彩な面でメリットを発揮するほか、ドライバーが任意で設定を切り替えることも可能。Sportモードでは車高を下げてダンパー減衰力を高めるなどスポーツ走行に適した特性に設定されるほか、スイッチ操作で車高を高(+20mm)、低(-10mm)など任意に変更できる。
また、xDrive50とM60で標準装備、xDrive40でパッケージオプションとなる「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」は、走行状況に応じて後輪を積極的に操舵する前後輪統合制御ステアリング・システム。市街地走行などの低速~中速走行時には小まわりを効かせ、スポーティ走行のシーンでは回頭性を高めつつ旋回中の安定性向上にも効果を発揮。さらに後席の乗り心地も向上させる。
具体的な作動内容としては、市街地走行や駐車といった低速域では後輪をステアリング操作とは逆方向となる逆位相に最大3.2度まで操舵して車両の回頭性を高め、高速走行中は後輪を前輪と同じ同位相に最大2度まで操舵して、ワインディングでの安定感あるターンイン、高速道路でのスムーズなレーンチェンジなどを実現する。
主要諸元(iX xDrive40・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,955×1,965×1,695mm
ホイールベース 3,000mm
最低地上高 200mm
車両重量 2410kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 255/50R21(前後)
(電動機・モーター)
型式 前HA0002N0/後HA0001N0
定格出力 60.0kW(82PS)/85.0kW(116PS)
最高出力 前190kW(258PS)/7000rpm/後200kW(272PS)/7000rpm
最大トルク 前290Nm(29.6kgm)/0-5000rpm/後340Nm(34.7kgm)/0-5000rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.67V
容量 116Ah
個数 1個(180セル)
総電圧 330.3V
総電力量 76.6kWh
一充電走行走行距離 455km
WLTCモード交流電力量消費率 183Wh/km
試乗記
関連リンク
ビー・エム・ダブリュー株式会社
https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
製品情報
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/bmw-i/ix/bmw-ix.html
「iX3」
車両価格:922万円
モデル紹介
「iX3」はBMWのプレミアム・ミドルクラスSAV「X3」の派生モデルとして2021年11月に登場。ボディの後方にモーターを搭載して後輪を駆動する2WD車「iX3 M Sprot」のみをラインアップしている。
iX3はX3が培ってきたオフロードで高い走破性を発揮するSUV能力を受け継ぎ、スポーツモデルに引けを取らない俊敏なスポーツ走行も可能としてBMWらしい「駆けぬける歓び」を提供するモデル。搭載する「HA0001N0型」モーターは最高出力210kW(286PS)/6000rpm、最大トルク400Nm/0-4500rpmを発生し、総電力量80.0kWhの駆動用バッテリによって一充電走行距離(WLTCモード)517kmを実現する。
内外装のデザインはX3をベースとしつつ、外観ではボンネットとリアハッチに設置するBMWのブランドロゴ外縁やキドニー・グリル内側、フロントバンパーやリアディフューザーの加飾パネル、インテリアではステアリングセンターパッドのBMWロゴ、スタート/ストップボタン、シフトセレクターなどにブルー塗装を施し、通常のX3とは異なるBEVであることをデザインエレメントで主張している。
電動パワートレーンでは減速時にモーターをジェネレーターとして使い、運動エネルギーを電力に変換して航続距離を伸ばす「ブレーキ・エネルギー回生システム」を備え、回生ブレーキの設定はドライバーの好みに応じて3段階から選択可能。「ワンペダル走行」を選んだ場合は回生発電が最も強く働き、運転操作も減らして快適性を向上させる。
先進技術では高性能3眼カメラ&レーダーと高性能プロセッサーによる高い解析能力を組み合わせた先進運転支援システムを採用。高速道路での渋滞時にドライバーの運転負荷を軽減して安全運転に寄与する運転支援システム「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を標準装備して、一定の条件下でステアリングから手を離しての走行が可能となっている。
そのほかにも、「アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)」「レーン・チェンジ・ウォーニング(車線変更警告システム)」「レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)」「ステアリング&レーン・コントロール・アシスト」「サイド・コリジョン・プロテクション」「衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリング付)」「クロス・トラフィック・ウォーニング」「ペダル踏み間違い急発進抑制機能」といった運転支援システムを標準装備して安全性を高めている。
また、自動駐車機能である「パーキング・アシスト・プラス」では、自車が前進したルートを最大50mまで記憶して、同じルートをバックで正確に戻ることができる「リバース・アシスト」を採用している。
主要諸元(iX3・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,740×1,890×1,670mm
ホイールベース 2,865mm
最低地上高 179mm
車両重量 2200kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 前245/45R20/後275/40R20
(電動機・モーター)
型式 HA0001N0
定格出力 80.0kW(109PS)
最高出力 210kW(286PS)/6000rpm
最大トルク 400Nm/0-4500rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.67V
容量 116Ah
個数 1個(188セル)
総電圧 345V
総電力量 80.0kWh
一充電走行走行距離 517km
WLTCモード交流電力量消費率 162Wh/km
関連リンク
ビー・エム・ダブリュー株式会社
https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
製品情報
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/bmw-i/ix/bmw-ix.html
「iX2」
車両価格:756万円
モデル紹介
BMWがSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と呼ぶクーペスタイルSUV「X2」が2023年10月に2代目モデルに進化したタイミングで、電動パワートレーンを搭載するラインアップモデルとして同時発売されたのが「iX2」。車両の前後にモーターを搭載して4輪を駆動する電動4WDの「xDrive30 M Sport」のみを用意する。
ボディやインテリア、足まわりなどをX2と共有。フロントマスクでは力強くシャープな印象を与える大型のキドニー・グリルを備え、光ファイバー技術を使って内縁を光らせる「アイコニック・グロー」を採用してBMWモデルとしても個性を強調。ヘッドライトでも環状シグネチャーを2回繰り返す“ツイン・サーキュラー”を進化させた「アダプティブLEDヘッドライト」によって印象的なデザインとしている。
ファストバックスタイルのリアビューでは水平方向のキャラクターラインを設定してワイド感や力強さを強調。立体的なLEDコンビネーションランプを採用し、リアハッチにはダックテールタイプのスポイラーを装着している。
ボディサイズは4555×1845×1560mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2690mm。車両重量は2050kgとなっている。
インテリアではメーターパネルとコントロールディスプレイを一体化して、運転席側に向けて繊細なカーブを描く形状で視認性を高め、タッチ操作による直感的な操作も可能とした大型の「カーブド・ディスプレイ」を採用。また、レバータイプのシフトセレクターを廃止しつつ、センターアームレストに操作系のすべてを集約してモダンな空間を演出し、センターコンソールには無線充電規格のQi(チー)に対応する充電台も設定して利便性を高めている。
このほか、BMWモデルで初めて「BMW オペレーティング・システム 9.0」が搭載され、運転席側に各種アイコンを縦に並べたホーム画面を用意。メニュー構造の大幅な改良を行ない、サブメニューに切り替えることなく必要な機能に直接アクセスできる「Quick Select」で操作性を高めている。
リアシートは大人3人が座れる空間を確保しながら、シートバックを40:20:40分割可倒タイプとしてラゲッジスペースの有効活用に対応。ラゲッジスペース容量は525Lから最大1400Lまで拡大可能となっている。
駆動用のモーターはフロントが「HB0001N0型」、リアが「HB0002N0」となり、それぞれで同スペックの最高出力140kW(190PS)/8000rpm、最大トルク247Nm/0-4900rpmを発生。システム総合では最高出力225kW(306PS)、最大トルク494.0Nm/を発生する。フロア下に搭載する駆動用バッテリは66.5kWhの総電力量を備え、0-100km/h加速を5.6秒で実現する一方、一充電での走行可能距離(WLTCモード)は460kmとなっている。
先進装備ではBMWが国内認可取得モデルで初めて導入した「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を搭載。高速道路の走行中に渋滞などが発生したシーンで、ドライバーが前方を注視しつつ、周囲の交通状況や車両の状態などの必要に応じてステアリング操作を確実に再開できる場合、「アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)」に加えてステアリングから手を離したままの走行を実現。ドライバーの運転負荷を軽減して安全運転に寄与する運転支援システムとなっている。
このほかにADAS(先進運転支援システム)では、「レーン・チェンジ・ウォーニング(車線変更警告システム)」「レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)」「衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリング付)」「クロス・トラフィック・ウォーニング」「ペダル踏み間違い急発進抑制機能」などを標準装備している。
主要諸元(iX2 xDrive30・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,555×1,845×1,565mm
ホイールベース 2,690mm
最低地上高 167mm
車両重量 2050kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/ダブルウィッシュボーン
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 245/45R19(前後)
(電動機・モーター)
型式 前HB0001N0/後HB0002N0
定格出力 55kW(75PS)/55kW(75PS)
最高出力 前140kW(190PS)/8000rpm/後140kW(190PS)/8000rpm
最大トルク 前247Nm/0-4900rpm/後247Nm/0-4900rpm/
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.67V
容量 116Ah(3)
個数 1個(156セル)
総電圧 286.3V
総電力量 66.5kWh
一充電走行走行距離 460km
WLTCモード交流電力量消費率 161Wh/km
関連リンク
ビー・エム・ダブリュー株式会社
https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
製品情報
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/bmw-i/ix2/bmw-ix2-overview.html
「iX1」
車両価格:664万円~732万円
モデル紹介
「iX1」はプレミアムコンパクトSUV「X1」の3代目モデル登場時にデビューしたモデル。プレミアム・スモール・コンパクト・セグメントのSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)であるX1はオフロードでの走破性を備えながらBMWが磨き上げてきたオンロード走行性能を受け継ぎ、高いアイポイントでドライブ時の安心感を生み出す「セミ・コマンド・シート・ポジション」、開放感のあるインテリア、自由自在にアレンジ可能なリアシート、多彩な収納機能などを備え、iX1もアクティブなライフスタイルに柔軟に対応する使い勝手のよさと、BMWモデルならではとなる俊敏さや爽快感のある走りを兼ね備えたBEVとなっている。
外観ではフロントマスクに大型で正方形に近い形状で力強い印象を与えるようデザインしたキドニー・グリルを採用。BMWデザインの意匠の1つである“ツイン・サーキュラー”を進化させた「アダプティブ LEDヘッドライト」は、車速やステアリング舵角などに応じて照射範囲の調整を行ない、夜間走行時に良好な視界を提供する。
さらにiX1ではキドニー・グリルの内側や前後バンパーの両サイド、サイドシルなどにブルーの塗装を施してクリーンなBEVであることを主張している。
インテリアではメーターパネルとコントロールディスプレイを一体化して、運転席側に向けて繊細なカーブを描く形状で視認性を高め、タッチ操作による直感的な操作も可能とした大型の「カーブド・ディスプレイ」を採用。また、レバータイプのシフトセレクターやダイヤルタイプの「iDriveコントローラー」を廃止する一方、センターアームレストに操作系のすべてを集約してモダンな空間を演出。センターコンソールには無線充電規格のQi(チー)に対応する充電台も設定して利便性を高めている。
また、全車にオプション設定される「パノラマ・ガラス・サンルーフ」は、ルーフ部分の大半を開口部とするサイズによってリアシートの乗員にも開放感を提供。チルト&スライド機能を備えて外気を採り入れることも可能となっている。
ラインアップは発売当時から販売されている4輪駆動の「xDrive30」のほか、2024年5月から追加になった前輪駆動の2WDモデル「eDrive20」の2種類。eDrive20では前輪を駆動させる「HB0003N0型」モーターを搭載し、最高出力150kW(204PS)/8000rpm、最大トルク250Nm/0-5200rpmを発生。
xDrive30では車両の前後にモーターを搭載して、フロントの「HB0001N0型」、リアの「HB0002N0」それぞれで同スペックの最高出力140kW(190PS)/8000rpm、最大トルク247Nm/0-4900rpmを発生。システム総合では最高出力225kW(306PS)、最大トルク494Nm/を発生する。
フロア下に搭載する駆動用バッテリは同一で、66.5kWhの総電力量を備え、一充電走行距離(WLTCモード)はeDrive20が495km、xDrive30が465kmとなっている。
充電では車両付属のケーブルを使う普通充電とCHAdeMO方式の急速充電に対応。自宅で8kWの「BMW ウォール・ボックス」(200V/40A)を利用する場合、充電開始時にバッテリ残量10%の状態から約6時間30分で80%まで充電可能となっている。また、急速充電では現在主流となっている90kW充電器を利用することで、充電開始時10%の状態から約50分で約80%まで充電され、約30分の急速充電でも55%まで充電状態を回復させることが可能となっている。
主要諸元(iX1 eDrive20・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,500×1,835×1,620mm
ホイールベース 2,690mm
最低地上高 172mm
車両重量 1890kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 225/55R18(前後)
(電動機・モーター)
型式 HB0003N0
定格出力 68kW(92PS)
最高出力 150kW(204PS)/8000rpm
最大トルク 250Nm/0-5200rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 3.7V
容量 116Ah(3)
個数 1個(156セル)
総電圧 286.3V
総電力量 66.5kWh
一充電走行走行距離 495km
WLTCモード交流電力量消費率 150Wh/km
試乗記
関連リンク
ビー・エム・ダブリュー株式会社
https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
製品情報
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/bmw-i/ix1/bmw-ix1.html
アウディ
「S e-tron GT/RS e-tron GT」
車両価格:1728万円(S e-tron GT)
車両価格:2469万円(RS e-tron GT performance)
モデル紹介
「e-tron GT」はアウディのスポーティなBEVのフラグシップモデルとして2021年11月に発売された4ドアクーペ。「RS e-tron GT」はe-tron GTをベースとしたハイパフォーマンスモデルとなっている。
8月に大幅アップデートを行ない、一充電走行距離とパフォーマンスを高め、スポーティな走りと高い快適性を両立させたほか、ラインアップがSモデルの「S e-tron GT」と、e-tronモデル初のRS performanceモデル「RS e-tron GT performance」の2グレード展開となった。
プラットフォームにはアウディとポルシェが共同開発したスポーティでハイパフォーマンスなBEV用の「J1 performanceプラットフォーム」を採用。新しいS e-tron GTとRS e-tron GT performanceでは駆動用バッテリを改良して、従来に比べて重量を9kg軽減しつつ、高密度化を図って容量が12kWh増加。総電力量が93.4kWhから105kWhに向上している。一充電走行距離(WLTCモード)は従来より約20%延伸して、S e-tron GTが648km、RS e-tron GT performanceが631kmを達成して、さらに最大150kWの急速充電に対応して充電時間の短縮も実現している。
前後アクスルそれぞれにモーターを設置して、計2基を使って前後輪を駆動するquattro4輪駆動システムを採用。フロントアクスルには新開発した最高出力176kW(240PS)のPSM(永久磁石同期モーター)を搭載。RS e-tron GT performanceではフロントアクスルのパワーエレクトロニクスが見直されたほか、高い放電電流を確保するためアップデートされたパルスインバーターを採用している。
リアアクスルにも最高出力415kW(565PS)を発生する新開発のPSMを搭載。前後モーターそれぞれでハードなドライビングに対応するパワーリザーブ機能を備えている。ローンチコントロール時のシステム合計では、S e-tron GTが最高出力500kW、最大トルク740Nm、RS e-tron GT performanceが最高出力680kW、最大トルク1027Nmを達成し、RS e-tron GT performanceはアウディ史上最もパワフルな市販モデルとなっている。
また、出力が大幅に増加したことを受けてコンポーネントの再設計を実施。冷却システムの最適化でリアアクスルに搭載するモーターの重量を約10kg削減。さらにスムーズなパワー配分を実現するため、パワートレーンのドライブシャフトを強化して4輪駆動の制御系改善も行なった。
RS e-tron GT performanceは新たに「ブースト機能」を標準装備。ローンチコントロールを使用しない通常走行時でも、ステアリングホイールに設置した「Push-to-Passボタン」を押すことで、出力が70kW上乗せされて620kWを10秒間維持できる。なお、S e-tron GTの0-100km/h加速は3.4秒で最高速は245km/h、RS e-tron GT performanceの0-100km/h加速は2.5秒で最高速は250km/hを実現している。
ワイド&ローの4ドアクーペボディでは、低くフラットなボンネットとワイドなシングルフレームグリルによって存在感あるフロントマスクを構成。ボディ同色グリルをブラック加飾で囲んでe-tronモデルとしての個性を際立たせたほか、新たなCI(コーポレートアイデンティティ)となる2次元デザインの“フォーリングス”エンブレム、フロントグリル上部のボディ同色ペイントストリップなどによってモダンで先進的な印象を強調している。
RS e-tron GT performanceは3次元ハニカム構造のフロントグリルを採用し、グリルを囲むようなデザインのバンパーが車高の低さを際立たせつつ、機能的なL字型のブレードとの組み合わせでよりスポーティな表情を生み出している。
サイドは長いボンネットと低く流れるようなルーフラインによってグランツーリスモとしてのエレガントさとスポーティさを融合させ、伸びやかで彫刻的なプロポーションを実現。さらに大径ホイールや美しい陰影のドアパネル、前後に備える“quattroブリスターフェンダー”などが力強い印象を強調する。
リアビューでは美しいプロポーションとエアロダイナミクスを両立させる格納式リアスポイラーを装着。水平基調のリアコンビネーションランプを備え、夜間でもひと目でアウディモデルと分かるシグネチャーデザインを採用した。また、垂直フィンを備えた特徴的なディフューザーを備え、上部にはボディ同色のインレイを設定。ラグジュアリーな質感を視覚面でも表現している。
また、RS e-tron GT performanceではモータースポーツからフィードバックした流線型ディフューザーを採用し、フロントバンパーと呼応する立体的なL字型ブレード、エアロチャネル間に垂直に配した赤いリフレクターなどがデザインと機能性を兼ね備え、スポーティなキャラクターを強調している。
インテリアでもエクステリア同様に新しいCIを反映して、シートやステアリングホイール、サイドシルプレート、デジタルコンテンツなどのデザインを刷新。ステアリングホイールは上下がフラットな形状となり、12時の位置に配されたレッドのセンターマーキングはRS e-tron GT performanceのみに設定。シートでは14段階調整機能付きの「スポーツシートプラス」を標準装備している
インテリア素材には環境負荷の低いマイクロファイバー素材である「Dinamica(ダイナミカ)」とファブリックの「Cascade(カスケード)」を採用。シート、ステアリングホイール、アメーターフード、センターコンソール、ウィンドウトリムなどに使われているDinamicaはスエードに似た見た目と手触りを持つ素材。約半分がリサイクルされたポリエステルで構成され、その一部にはアウディモデルで使用されたファブリックの残布が利用されている。
天然繊維のような素材であるCascadeは、15%のセルビッチに加えてリサイクルされたポリエステルを35%使用。環境保護の観点から染色せず、シートやドアトリムなどで採用されている。また、カーペットとフロアマットは「Econyl(エコニール)」製で、生産廃棄物、ファブリックやカーペットの残布、古い漁網などから100%リサイクルされたナイロン繊維を使用している。
センターコンソールには10.1インチのタッチスクリーンを備え、「MMI(Multi Media Interface)ナビゲーションシステム」が持つさまざまな機能をシンプルな操作で扱えるほか、メーターパネルには高解像度の12.3インチ液晶パネルで構成する「アウディバーチャルコックピットプラス」を採用。新たに「バッテリ温度」「急速充電予測」「プレコンディショニング状態」など、高電圧バッテリに関する情報や充電可能な最大出力のリアルタイム情報で表示可能とした。また、RS e-tron GT performanceのステアリングにはRSモデル専用となる「Boostボタン」と「RSボタン」が追加され、走行特性を瞬時に切り替えられるようにしている。
「パノラマガラスルーフ」は全車標準装備となり、ボタンを押すことで透明から不透明に変化して、直射日光を最小限に抑える「ポリマー分散液晶」を採用したスマートガラスを採用。マット仕上げのグラフィック面は、アウディを象徴するスポーティなハニカム構造をイメージしたものとなっている。
足まわりでは2チャンバー/2バルブテクノロジーの採用により、快適性を損なうことなくドライビングダイナミクスを飛躍的に高める新開発のアダプティブエアサスペンションを標準装備。さらに快適性とスポーティな走りの設定をこれまで以上に幅広く変更できる「アクティブサスペンション」をオプションとして用意している。
また、シャシーコントロール技術の「アウディドライブセレクト ダイナミックハンドリングシステム」を使い、ドライバーは車両の特性を変化させることが可能。システムには「エフィシェンシー」「コンフォート」「ダイナミック」の3つのモードを用意するほか、項目別に個別設定できる「インディビジュアル」も設定。さらにRS e-tron GT performanceにはRS1とRS2で個別に設定可能な「RS専用モード」が追加され、サーキット走行に最適なセットアップを実現する「RSパフォーマンスモード」を選択することもできる。
オプションのアクティブサスペンションは、ハードなブレーキング時やコーナーリング時、加速時などのシチュエーションで車体をほぼ水平に保ち、各タイヤの荷重をバランスよく分散して優れたグリップ性能を確保。ステアリングレスポンスの精度を高めてスポーティ走行におけるコントロール性を向上させる。
さらにアウディドライブセレクトで選択したモードに合わせ、サスペンションがピッチングとローリングを補正して加速感を軽減。また、車両が停止しているときに車高を55~77mmの範囲で上昇させる「エントリー機能」も備え、乗員の乗り降りをサポートする。
主要諸元(S e-tron GT・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 5,005×1,965×1,390mm
ホイールベース 2,900mm
最低地上高 -
車両重量 2330kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ウィッシュボーン/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 前245/45R20/後285/40R20
(電動機・モーター)
型式 EBG-ECX
定格出力 -
最高出力 500kW
最大トルク 740Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 727V
総電力量 105kWh
一充電走行走行距離 648km
WLTCモード交流電力量消費率 174Wh/km
主要諸元(RS e-tron GT・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,995×1,965×1,330mm
ホイールベース 2,900mm
最低地上高 -
車両重量 2340kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ウィッシュボーン/マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 前245/45R20/後285/40R20
(電動機・モーター)
型式 EBG-ECX
定格出力 -
最高出力 680kW
最大トルク 1027Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 727V
総電力量 105kWh
一充電走行走行距離 631km
WLTCモード交流電力量消費率 179Wh/km
試乗記
関連リンク
アウディ ジャパン
https://www.audi.co.jp/ja/
製品情報(S e-tron GT)
https://www.audi.co.jp/ja/models/e-tron-gt/audi_s-e-tron-gt/
製品情報(RS e-tron GT)
https://www.audi.co.jp/ja/models/e-tron-gt/audi_rs-e-tron-gt_performance/
「A6 Sportback e-tron/S6 Sportback e-tron/A6 Avant e-tron/S6 Avant e-tron」
車両価格:981万円~1440万円(A6 Sportback e-tron/S6 Sportback e-tron)
車両価格:1012万円~1471万円(A6 Avant e-tron/S6 Avant e-tron)
モデル紹介
7月に発売された「A6 Sportback e-tron」と「A6 Avant e-tron」は4ドアハッチバッククーペとステーションワゴンのボディを持つプレミアムアッパーミッドサイズのBEV。エンジンを搭載するA6シリーズと同じく、走行性能を磨き上げたSシリーズの「S6 Sportback e-tron」「S6 Avant e-tron」も用意される。
このA6 e-tronシリーズではアウディとポルシェが共同開発した、スポーティでハイパフォーマンスなBEV向けプラットフォーム「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」を「Q6 e-tron」シリーズに続いて採用しており、PPE採用モデルとして初めて「フラットフロアコンセプト」を導入したモデルとなっている。
駆動用バッテリではPPE向けに新開発されたリチウムイオンバッテリを搭載。プリズマティックセル180個で12モジュールの構成となる、総電力量100kWhを備えた駆動用バッテリとコンパクトで強力な高効率モーターの組み合わせにより、一充電走行距離(WLTCモード)はA6 Sportback e-tronが769km、A6 Avant e-tronが734kmを実現。また、A6 Sportback e-tronに専用設定される「レンジプラスパッケージ」を装着した場合、一充電走行距離は846kmまで向上する。優れた一充電走行距離の実現には、アウディ史上ベストというCd値0.21(Audi A6 Sportback e-tronの場合)の空力性能も大きく貢献している。
A6 Sportback e-tronとA6 Avant e-tronではリアアクスルに「ECC型」モーターを搭載して後輪を駆動。最高出力270kW(ローンチコントロール起動時は280kW)、最大トルク565Nmを発生し、0-100km/h加速は5.4秒、最高速は210km/hとなっている。
quattro4輪駆動のS6 Sportback e-tronとS6 Avant e-tronは、フロントとリアのアクスルに各1基のモーターを搭載する2モータータイプの4WDを採用。フロントに「ECF型」、リアにECC型のモーターを搭載して、システム最高出力は370kW(ローンチコントロール起動時は405kW)、最大トルクはフロント275Nm、リア580Nmを発生し、0-100km/h加速は3.秒、最高速は240km/hとなっている。
回生ブレーキを高度に制御する回生発電のシステムも、高い効率によって一充電走行距離を向上させる重要な要素と位置付けて開発に注力。最大220kWを回生発電する回生ブレーキは、日常的な走行においてブレーキプロセスの約95%をカバー。回生発電はフロントとリアの両アクスルに設置されたモーターで行われ、軽度の減速は効率化のためリアアクスルを利用する。
また、A6 e-tronシリーズではPPEを採用したことで、従来からe-tronモデルに搭載されている統合ブレーキシステムの「iBS」が大幅に強化。機械的な摩擦ブレーキと前後アクスルのモーターによる回生ブレーキを最適な組み合わせとするブレーキブレンディングが可能となり、やや強めの制動では前後アクスルによる回生ブレーキ、強い制動では前後アクスルの回生ブレーキとフロントの摩擦ブレーキ、ABSが作動するようなフルブレーキでは4輪すべてを使って回生ブレーキと摩擦ブレーキを作動させるという。
さらに回生ブレーキには2段階のオプションが用意され、ステアリングホイールに設置されたパドルの操作で変更可能。ドライバーがアクセルペダルから足を離したときに車両が惰性走行する「コースティング」に加え、アクセルペダルを戻したときに強力な回生ブレーキで減速する「B」ドライブモードを設定。「ワンペダルフィーリングに近い」という「B」ドライブモードを選択している場合、多くのシーンでブレーキペダルを踏むことなく、ほとんどの減速を回生ブレーキで制御できるようになる。
ダイナミズム、プログレッシブ、エレガントといった要素に焦点を当てたクリーンな外観デザインでは、フロントマスクにスリムなデザインのデイタイムランニングライトと幅の広いシングルフレームグリルを与え、調和がとれた豊かな表情を表現。グリル周囲をマスクのようにブラック塗装で囲むことでフラットでワイドな雰囲気を生み出し、アウディのe-tronモデルであることを主張している。
サイドビューでは車両のキーテクノロジーであるバッテリの存在を、サイドシル部分のブラックインサートによってアピール。このインサートはフロントドアからリアバンパーのリフレクターまで伸びて一体化することで伸びやかなエクステリアデザインを視覚的に強調している。AvantモデルではDピラーを前方に向けて鋭角に傾斜させることでフラットなルーフラインを演出。Aピラーからルーフスポイラーまで続くアルミ調トリムも新たな特徴となっている。
また、外装ではデザインと空力性能を高次元で両立。ミリ単位で徹底的な最適化を行なったA6 Sportback e-tronは、アウディ史上で最も優れたCd値0.21を実現。769kmという圧倒的な一充電走行距離(WLTCモード)に貢献している。空力的な最適化のため、フロントマスクとタイヤ周辺の気流にエアカーテンがよい影響を与えるほか、グリーンハウスは最小化され、ルーフラインは後方に向かって強く傾斜している。シングルフレームグリルの下にある冷却用エアインテークは制御可能となり、周辺の空気が最小限のロスで流れるよう設計。ボディのフロア下でも高い密閉性と各種コンポーネントの細かな最適化を図り、空力コンセプトで重要な役割を果たしている。
空力の影響を特別に考慮したホイールや空力特性を最適化するためフロントホイール前方に設定された「3Dバンプ」は、SportbackとAvantのそれぞれで最適化。そのほかにもアンダーパネル、バッテリ、リアアクスル、シルパネルなどでも最適化を推し進めた。ワイドで空力的に最適化されたディフューザーにより、リアアクスルの揚力とCd値は最適なバランスを実現している。
さらに、全車にオプション設定する第2世代の「バーチャルエクステリアミラー」は、電動格納が可能になったコンパクトなカメラによって車両の前面投影面積を低減。Cd値を改善して風切り音の低減にも寄与する。
インテリアでは3D表現と高いコントラストをデザインに採用。各種要素を意図的に前後に分けて配置することにより、デザインとエルゴノミクス(人間工学)の観点から、乗員に最適化された空間設計としている。
インパネで大きな存在感を放つ「MMIパノラマディスプレイ」は、OLED技術によって曲面デザインとなった11.9インチの「Audi バーチャルコックピット」と14.5インチの「MMIタッチディスプレイ」を組み合わせて構成。オプション設定の「テクノロジーパッケージ」に含まれる助手席用の10.9インチ「MMIフロントパッセンジャーディスプレイ」と合わせてインパネに“デジタルステージ”を形成する。
MMIフロントパッセンジャーディスプレイでは「アクティブプライバシーモード」を備え、助手席の乗員はドライバーの運転を妨げることなくエンターテイメントコンテンツを楽しむことができる。OSにはアウディモデルとして初めて「Android Automotive OS」を採用し、標準アプリケーションのほか、YouTubeといったサードパーティのアプリをダウンロードして利用することも可能。アプリストアのコンテンツは常に最新版に更新されていく。
オプションの「ARヘッドアップディスプレイ」はディスプレイテクノロジーの進化を象徴するもう1つの中心的な要素であり、車速、交通標識、アシスト情報、ナビゲーションシンボルなどの関連情報を、フロントウィンドウの車両から最大約200m先に焦点を合わせた位置に仮想表示。ドライバーの視線移動を最小限に抑えて安全運転をサポートする。
ドアからダッシュボードを経由して逆サイドのドアまで機能的な素材でカバーする「ソフトラップ」が乗員を包み込むような空間演出を行ない、インテリアに居心地のよい雰囲気を提供。素材は機能的な観点から選びつつ、エリアごとにデザインの明確な差別化を実施。快適さを重視するエリアには広々感のある表面と柔らかい素材を使い、操作・コントロール類に対応するエリアでは高品質なハイグロスブラックを採用して、車両操作で求められる明確さを確保している。
全車にオプション設定する「スマートパノラマガラスルーフ」は、電圧をかけることによってガラスルーフを透明状態にするPLDC(ポリマー分散型液晶)技術により、ルーフ前方に備えたボタンを使って9つのセクションごとに「透明」「不透明」の設定を選択できる。
ラゲッジスペース容量(VDA方式)は通常時で全車502L。リアシートを格納した場合、Sportbackは1330L、Avantは1442Lまで拡大する。また、フロントノーズのボンネット下には容量27Lのフランク(フロントトランク)も備えている。
主要諸元(A6 Sportback e-tron performance・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,930×1,925×1,495mm
ホイールベース 2,950mm
最低地上高 -
車両重量 2220kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) 5リンク式マルチリンク/5リンク式マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 前225/55R19/後245/50R19
(電動機・モーター)
型式 ECC
定格出力 120kW
最高出力 270kW
最大トルク 565Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 662V
総電力量 100kWh
一充電走行走行距離 769km
WLTCモード交流電力量消費率 141Wh/km
主要諸元(S6 Avant e-tron・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,930×1,925×1,505mm
ホイールベース 2,950mm
最低地上高 -
車両重量 2370kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) 5リンク式マルチリンク/5リンク式マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 前235/45R20/後265/40R20
(電動機・モーター)
型式 ECF-ECC
定格出力 170kW
最高出力 370kW
最大トルク 前275Nm/後580Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 662V
総電力量 100kWh
一充電走行走行距離 706km
WLTCモード交流電力量消費率 152Wh/km
関連リンク
アウディ ジャパン
https://www.audi.co.jp/ja/
製品情報(A6 Sportback e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/a6-e-tron/audi_a6_sportback_e-tron/
製品情報(S6 Sportback e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/a6-e-tron/audi_s6_sportback_e-tron/
製品情報(A6 Avant e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/a6-e-tron/audi_a6_avant_e-tron/
製品情報(S6 Avant e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/a6-e-tron/audi_s6_avant_e-tron/
「Q8 e-tron/Q8 Sportback e-tron/SQ8 Sportback e-tron」
車両価格:1099万円~1275万円(Q8 e-tron)
車両価格:1317万円(Q8 Sportback e-tron)
車両価格:1492万円(SQ8 Sportback e-tron)
モデル紹介
Q8 e-tronシリーズは2021年1月に発売されたアウディ初のBEV「e-tron」「e-tron Sportback」をベースとして、2023年3月に大幅アップデートを実施。このタイミングで車名を「Q8 e-tron」「Q8 Sportback e-tron」の改めたほか、2023年12月にQ8 Sportback e-tronをベースとして走行性能を磨き上げたSシリーズ「SQ8 Sportback e-tron」をラインアップに加えて3モデルを展開している。
駆動用バッテリは2種類が用意され、総電力量114kWhのバッテリを3モデルそれぞれに設定するほか、Q8 e-tronでは総電力量95kWhのバッテリもラインアップ。WLTCモードの一充電走行距離は、総電力量95kWhのバッテリを搭載する「Q8 50 e-tron」が424km、総電力量114kWhのバッテリを搭載する「Q8 55 e-tron」と「Q8 55 Sportback e-tron」が501km、同じく総電力量114kWhのバッテリを搭載する「SQ8 Sportback e-tron」が482kmとなるほか、Q8 55 Sportback e-tronにオプション設定される「レンジプラスパッケージ」を採用した場合、一充電走行距離が619kmまで拡大される。
一充電走行距離を向上させるため、各モデルでバッテリの総容量に対して使用可能な正味エネルギー容量を増加させたほか、空力性能やモーターの効率アップなどを追求。また、総電力量114kWhのバッテリでは、バッテリー製造工程で生まれる電極材の隙間を、大幅アップデートで折り重ねるよう配置する「スタッキング方式」に変更して削減。隙間が極力なくなるようにしたことで、バッテリの寸法やモジュール数を従来モデルから変更することなくエネルギー密度の向上を実現。合わせてセル内にある化学物質の配合を変更してエネルギー密度をさらに高め、バッテリ容量が増加している。
駆動方式は全車アウディ伝統のquattroテクノロジーを採用する4WDで、Q8 e-tronとQ8 Sportback e-tronでは車両の前後に1基ずつモーターを搭載して、システム合計でQ8 50 e-tronは最高出力250kW、最大トルク664Nm、Q8 55 e-tronとQ8 Sportback 55 e-tronは最高出力300kW、最大トルク664Nmを発生。
また、SQ8 Sportback e-tronではフロント1基、リア2基で計3基のモーターが搭載されてよりダイナミックな走りを実現。フロントモーターの最高出力は157kW、2基のリアモーターはそれぞれ最高出力138kWの出力を持ち、システム合計で最高出力370kW、最大トルク973Nmを発生して、0-100km/h加速を4.5秒で実現する。
通常走行時はリアモーターのみが作動して、素早い加速が必要な場面や滑りやすい路面状況ではフロントモーターも作動して駆動力を生み出す。また、リアモーターは左右独立して制御することが可能で、コーナーリング時には後輪左右のトルクを変えて旋回性能を向上させる「電動トルクベクタリング機構」を搭載している。
外観ではアウディモデルのアイデンティティであるシングルフレームグリルの開口部を抑制してBEVであることを主張するほか、Q8 e-tronとQ8 Sportback e-tronではシングルフレームグリルをブラックのマスクで囲む新しいフロントデザインを採用。
また、SQ8 Sportback e-tronでは標準モデルより全幅が40mm拡大するホイールアーチを装着するほか、Sモデル専用デザインの前後バンパーや“5Vスポークデザイン”の20インチアルミホイールなどを採用してダイナミックさを強調している。さらにブラックのマスクがシルバーとなり、このほかにもフロントバンパーリップ、ドアインサート、ディフューザー、ミラーハウジングなどをシルバー塗装にしてスポーティな個性を表現している。
インテリアは精悍なブラックを基調として、水平基調のインパネやフロントシートを取り囲むよう設計した「ラップラウンドデザイン」を採用し、広々とした開放的な雰囲気を演出。左右のスポークにマルチファンクションボタンを備えたステアリングホイールでは、パドルシフトの操作でエネルギー回生システムのレベルを調整できる。センターコンソールにはシンプルで直感的に操作できる「MMIタッチレスポンスディスプレイ」を備え、メーターとして高解像度12.3インチカラーの「バーチャルコックピット」を採用して快適な操作環境を実現し、洗練されたデザインと先進的なテクノロジー、精緻なクオリティの融合により、上質なドライビングエクスペリエンスを提供する。
SQ8 Sportback e-tronではダイヤモンドステッチを施したSロゴ付きの「バルコナレザースポーツシート」を標準装着。マットブラッシュトアルミニウム ダークのデコラティブパネルやS専用ビューを備えた「バーチャルコックピットプラス」に加え、「Bang&Olufsen 3Dサウンドシステム(16スピーカー)」「パワークロージングドア」などを標準採用している。
このほかQ8 e-tronシリーズでは、ペットボトル由来のリサイクル原料などを使用する人工皮革「ダイナミカ」表皮のシートや、自動車混合のプラスチック廃棄物を革新的なプロセスで再利用したシートベルトバックルカバーなどをインテリアの部材として利用。シートベルトバックルカバーはアウディが安全関連コンポーネントに初めて採用するリサイクル素材となっており、これらの素材を使用することで、新車生産時に使用される資源の量を削減。効率的で持続可能な循環型社会の実現を目指した取り組みとなっている。
主要諸元(Q8 50 e-tron quattro S line・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,915×1,935×1,635mm
ホイールベース 2,930mm
最低地上高 180mm
車両重量 2600kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) 5リンク式マルチリンク/5リンク式マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 255/50R20(前後)
(電動機・モーター)
型式 EAS-EDE
定格出力 165kW
最高出力 250kW
最大トルク 664Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 397V
総電力量 95kWh
一充電走行走行距離 424km
WLTCモード交流電力量消費率 236Wh/km
主要諸元(Q8 Sportback 55 e-tron quattro S line・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,915×1,935×1,620mm
ホイールベース 2,930mm
最低地上高 180mm
車両重量 2600kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) 5リンク式マルチリンク/5リンク式マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 255/50R20(前後)
(電動機・モーター)
型式 EAS-EDE
定格出力 165kW
最高出力 300kW
最大トルク 664Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 397V
総電力量 114kWh
一充電走行走行距離 501km
WLTCモード交流電力量消費率 239Wh/km
主要諸元(SQ8 Sportback e-tron・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,915×1,975×1,615mm
ホイールベース 2,930mm
最低地上高 175mm
車両重量 2720kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) 5リンク式マルチリンク/5リンク式マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 285/45R20(前後)
(電動機・モーター)
型式 EAV-EAT-EAU
定格出力 235kW
最高出力 370kW
最大トルク 973Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 397V
総電力量 114kWh
一充電走行走行距離 482km
WLTCモード交流電力量消費率 249Wh/km
試乗記
関連リンク
アウディ ジャパン
https://www.audi.co.jp/ja/
製品情報(Q8 e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/q8-e-tron/audi-q8-e-tron/
製品情報(Q8 Sportback e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/q8-e-tron/audi-q8-sportback-e-tron/
製品情報(SQ8 Sportback e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/q8-e-tron/audi-sq8-sportback-e-tron/
「Q6 e-tron/SQ6 e-tron」
車両価格:839万円~998万円(Q6 e-tron)
車両価格:1320万円(SQ6 e-tron)
モデル紹介
アウディのBEVラインアップでプレミアムミッドサイズSUVに位置付けられるQ6 e-tronシリーズは、アウディとポルシェが共同開発したBEV向けプラットフォーム「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」を採用した初の市販モデルとして4月から日本市場での販売がスタート。
ラインアップにはリアアクスルにモーターを搭載して後輪を駆動する2WDの「Q6 e-tron」、前後アクスルにそれぞれモーターを搭載して4輪を駆動する4WDの「Q6 e-tron quattro」、スポーツグレードとなるSシリーズの「SQ6 e-tron」の3種類が用意されている。
PPEを採用したQ6 e-tronシリーズでは、コンパクトでパワフルな高効率モーターと新開発のリチウムイオンバッテリを採用し、卓越したパフォーマンスと長い一充電走行距離を両立。駆動用バッテリは12のモジュールと180のプリズムセルで構成され、Q6 e-tronは総電力量83kWh、Q6 e-tron quattroとSQ6 e-tronは総電力量100kWhとなっている。
これにより、一充電走行距離(WLTCモード)はQ6 e-tronが569km、Q6 e-tron quattroが644km、SQ6 e-tronが672kmを確保して、ロングドライブにも安心して出かけることができるようにしたほか、7月にQ6 e-tron quattro専用のパッケージオプションとして「レンジプラスパッケージ」(38万円高)を新たに設定。路面の摩擦抵抗と空気抵抗を低減して効率を最適化する18インチタイヤ、高速走行時に車高を下げ、空気抵抗を減少させて効率を高める「アダプティブエアサスペンション」を組み合わせることにより、ベースモデルより87km長い一充電走行距離731kmを実現している。
また、Q6 e-tronシリーズでは日常シーンでの利便性と長距離ドライブの快適さを両立させるため、最先端の充電技術に対応。駆動用バッテリは800Vテクノロジーを採用したものとなっており、急速充電ではCHAdeMO方式に対応して、国内最大出力の150kW充電器を利用した場合、最大135kWの急速充電によって約35分でSoC(充電レベル)を10%から80%まで引き上げる。さらに8kWのAC普通充電にも対応して、家庭や公共施設での充電もスムーズに行なえるようにしている。
後輪駆動のQ6 e-tronは、ヘアピンコイルを採用するPSM(永久磁石同期モーター)の「ECC型」モーターをリヤアクスルに設置して、最高出力185kW(ローンチコントロール起動時は215kW)、最大トルク450Nmを発生。0-100km/h加速は7.0秒。
4輪駆動となるQ6 e-tron quattroとSQ6 e-tronでは、リヤアクスルにQ6 e-tronと同じECC型モーターを設置することに加え、フロントアクスルにはASM(非同期モーター)の「ECF型」モーターを採用。2つのモーターによるシステム最高出力は、Q6 e-tron quattroが285kW、SQ6 e-tronは360kW(ローンチコントロール使用時は380kW)を発生。最大トルクはフロントが275Nm、リアが580Nmで両モデル共通となる。0-100km/h加速はQ6 e-tron quattroが5.9秒、SQ6 e-tronが4.3秒(ローンチコントロール使用時)。また、SQ6 e-tronの最高速は230km/hに達するという。
このほか、ドライサンプ方式の新冷却システムを採用してパワートレーンのコンパクト化と軽量化を実現。効率性とパフォーマンスの両立を徹底している。回生システムでも効率性とドライビングダイナミクスを高める改良が施され、日常的な走行シーンの制動プロセスでは約95%で回生ブレーキを利用し、最大220kWのエネルギーを回生エネルギーで発電。これによって航続距離の最大化と高効率なエネルギー活用が可能となる。
Q6 e-tron quattroとSQ6 e-tronで採用する4WDではアウディ伝統のquattroシステムを採用。フロントとリアで異なる仕様のモーターを搭載する4WDではリアアクスルのトルク配分を重視する制御を行ない、フルロード時でもリア重視のパワー配分を維持。リアタイヤはフロントタイヤよりワイドサイズとして、グリップ力とドライビングダイナミクスをさらに強化している。
また、新設計のフロントアクスルと精密なトルク配分で俊敏かつ安定した走行性能を実現。コントロールアームがサスペンションアームの前方に配置されたことで、高電圧バッテリのレイアウト最適化が可能となっている。サブフレームに固定されたステアリングラックや洗練されたアクスル構造などによってステアリングの応答性が向上。「プログレッシブステアリング」と「フリークエンシーセレクティブダンパーシステム」を備えたサスペンションが快適性と路面追従性をさらに高めている。
Q6 e-tronシリーズではPPEの採用により、長いホイールベースと短いオーバーハングを実現。アウディのSUVラインアップ「Qモデル」ならではの力強くダイナミックなシルエットを形成し、BEVであるe-tronとしてのデザイン言語にも磨きをかけて先進的なスタイルを際立たせている。
エクステリアデザイン全体ではソフトな印象を生み出す流れるようなフォルムを備えつつ、シャープなラインやエッジを使ってコントラストを効かせ、静止状態でもダイナミックな存在感を放つようにした。アップライトなフロントマスクでは立体的な造形のシングルフレームグリルとサイドエアインテークが印象を際立たせ、高い位置に配置したデジタルデイタイムランニングライトによって特徴的な表情を表現している。
車両側面では力強いボディラインがリアに向かって伸びることで緊張感を醸成。ウィンドウエリアは車両後方に向かってわずかに細くなり、緩やかに傾斜したDピラーが筋肉質なショルダー部分にエレガントに流れ込むデザインとなっている。また、Dピラーとルーフのあいだに設置したブラックの縁取りがキャビンをより長く見せつつ、車両全体にダイナミックな印象を与える。
リアビューではダイナミックに絞り込まれた造形がエレガントさとスポーティな雰囲気を生み出し、幅広くクリーンなリアコンビネーションランプは左右を結ぶライトストリップを備え、アウディモデル特有の洗練された落ち着き感を表現している。
また、Q6 e-tronシリーズでは「アクティブデジタルライトシグネチャー」を世界初採用。Q6 e-tronシリーズは5台の「ドメインコンピューター」を搭載しており、そのうちの1台がソフトウェアモジュールを制御して、アクティブデジタルライトシグネチャーを実現する。フロントマスクで採用する新設計の「マトリクスLEDヘッドライト」には計61個のLEDセグメントを搭載し、デジタルライトシグネチャー利用時にはMMIで最大8パターンのライティングを選択可能となる。
インテリアではデザインとエルゴノミクス(人間工学)の2つの視点から乗員に最適化されたスペースを創出。立体的でハイコントラストな3Dデザインを採用し、前景や背景にエレメントを意図的に配置することで、奥行きと洗練された美しさを演出。ドライバー前方からセンターコンソールまで続く「MMIパノラマディスプレイ」とオプション装備の「MMIパッセンジャーディスプレイ」は鮮明なデジタル画像を映し出し、直感的な操作性を提供する。
「ソフトラップ」と名付けられたトリム演出は両側のドアからセンターコンソールまでシームレスに広がり、乗員を包み込むような調和の取れたスペース感覚を生み出す。シートには高品質な素材を使用し、一部でリサイクル素材を採用。素材の選定によって機能性とデザインの差別化を両立させ、エリアごとに独自のキャラクターを演出している。100%リサイクルポリエステルで製造された素材をメインとする「エラスティックメランジクロス」は、異なる色の繊維を織り込むことで表情豊かな素材感を発揮している。
PPEの採用で得られた長いホイールベースに加え、BEV特有のセンタートンネルのない構造によって広々としたスペース感覚と居住性を両立し、高い実用性を実現。後席センターシートの快適性もさらに向上している。ラゲッジスペース容量は526Lで、リアシートが40:20:40分割で3つに分かれるスタイルとなっており、フルラゲッジ状態では容量を最大1529Lまで拡大。さらにボンネット下にフランク(フロントトランク)を備え、64Lの収納スペースを確保している。
このほか、Q6 e-tronシリーズでは新開発されたエンドツーエンドの電子アーキテクチャー「E3 1.2」を初搭載。車両のデジタル化をこれまで以上に直接体験できるようにした。機能指向のアーキテクチャーは5台の高性能コンピューターを備えた新しいドメインコンピューター構造に基づいており、インフォテインメントや運転機能、将来の部分的自動運転に至るすべての車両機能を制御するという。
主要諸元(Q6 e-tron advansed・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,770×1,940×1,695mm
ホイールベース 2,895mm
最低地上高 -
車両重量 2200kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) 5リンク式マルチリンク/5リンク式マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 前235/65R18/後255/60R18
(電動機・モーター)
型式 ECC
定格出力 100kW
最高出力 185kW
最大トルク 450Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 552V
総電力量 -
一充電走行走行距離 569km
WLTCモード交流電力量消費率 153Wh/km
主要諸元(SQ6 e-tron・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,770×1,965×1,670mm
ホイールベース 2,895mm
最低地上高 -
車両重量 2420kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) 5リンク式マルチリンク/5リンク式マルチリンク
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 前255/50R20/後285/45R20
(電動機・モーター)
型式 ECF-ECC
定格出力 170kW
最高出力 360kW
最大トルク 前275Nm/後580Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 662V
総電力量 -
一充電走行走行距離 569km
WLTCモード交流電力量消費率 153Wh/km
試乗記
関連リンク
アウディ ジャパン
https://www.audi.co.jp/ja/
製品情報(Q6 e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/q6-e-tron/audi_q6_e-tron/
製品情報(SQ6 e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/q6-e-tron/audi_sq6_e-tron/
「Q4 e-tron/Q4 Sportback e-tron」
車両価格:710万円~737万円(Q4 e-tron)
車両価格:739万円~767万円(Q4 Sportback e-tron)
モデル紹介
「Q4 e-tron」と「Q4 Sportback e-tron」は2022年11月に発売されたプレミアムコンパクトSUVのBEV。BEV専用プラットフォーム「MEB(モジュラーエレクトリフィケーションプラットフォーム)」を採用し、同じアウディのSUV「Q3」と「Q5」のあいだに位置するコンパクトなボディサイズを持つ一方でインテリアの全長はQ5を上まわり、室内空間やラゲッジスペースは上位モデルに匹敵するスペースを実現している。
ボディタイプは力強い存在感とより広々した収納スペースを備えるハッチバックのQ4 e-tronとルーフ後端を前進させたスタイリッシュなクーペフォルムのQ4 Sportback e-tronの2種類となる。
外観ではBEVの特性を生かした短い前後オーバーハングを備え、SUVらしい筋肉質なフェンダーと美しいルーフライン、柔らかく流れるようなサイドシルエット、ワイドなプロポーションを強調する水平基調のリアビューなどで構成。開口部のない「シングルフレームグリル」は最新のアウディQファミリーで共通するオクタゴン(8角形)形状となり、ひと目でアウディのBEVと分かる独自のデザイン言語を取り入れたものとなっている。
また、全車標準装備の「マトリクスLEDヘッドライト」に内蔵する「デジタルデイタイムランニングライト」では、発光パターンを4つのデザインから選択できる機能を量産車として世界初搭載している。
ボディは空力性能にも注力しており、電動開閉式の冷却エアインレットのほか、フロントスポイラーに対して垂直に配置されたディフレクター、立体的なホイールディフレクター、空力性能を最適化したドアミラーハウジングなどを装備。さらにQ4 e-tronではテールゲートのサイド部分、Q4 Sportback e-tronではリアスポイラーの形状を工夫して、前面投影面積の大きいSUVモデルながらCd値はQ4 e-tronで0.28、Q4 Sportback e-tronで0.26を実現した。
インテリアはセンタークラスターをドライバーに向けたドライバーオリエンテッドなデザインを採用。特徴的なセンターコンソールには専用デザインのシフトセレクターを装備している。メーターには10.25インチの「アウディバーチャルコックピット」を採用し、インパネの中央には11.6インチの「MMIタッチディスプレイ」を配置して、フルデジタルのコックピットを形成している。
アウディモデルで初採用した上下ともにフラットな形状の新世代ステアリングホイールには、物理ボタンではないシームレスなタッチ式の操作パネルを左右スポークに装備。また、フロントウィンドウ内側に情報を上下2つに分けて表示する「ARヘッドアップディスプレイ」をオプション設定。上部ではナビゲーションや車線逸脱警告などの表示を行ない、フロントウィンドウ越しの視界に映像を重ねて約10m前方の位置に表示。下部には車速などの主要情報を約3m前方にAR表示する。
ラゲッジスペース容量(VDA値)はQ4 e-tronが520L、Q4 Sportback e-tronが535Lとなり、インテリアにはカップホルダーやドリンクホルダーなど合計24.8L分の収納スペースを確保している。
パワートレーンでは2024年12月に実施された大幅アップデートでモーターの性能を大きく強化。駆動方式はリアアクスルに1基のモーターを搭載して後輪を駆動させる2WDのみを用意して、「EDF型」モーターは最高出力210kW(従来比:60kWアップ)、最大トルク545Nm(従来比:235Nmアップ)を発生。0-100km/h加速は6.7秒(欧州値)を実現している。
システム電圧400V、総電力量82kWh(実容量77kWh)の駆動用バッテリは前後アクスル間のフロア下に搭載され、モーターの出力が向上しながら一充電走行距離(WLTCモード)は従来から19km向上した613kmとなっている。
200Vの普通充電は標準仕様は3kWで、オプションとして最大8kWの充電まで対応。急速充電はCHAdeMO規格の125kWに対応しており、例えば125kWの急速充電器でバッテリ残量5%から充電を始めた場合、38分で残量80%まで充電可能(理論値)となっている。
このほか、走行中の回生ブレーキの効き具合はパドルシフトの操作で3段階の調整が可能。さらに回生ブレーキが最大の効果を発揮する「Bモード」も備え、アクセルペダルだけで速度を自在に調整できる“ワンペダルドライブ感覚”を味わうことができるようにしている。
ADAS(先進運転支援システム)でも最新の安全技術とアシスタンスシステムを搭載。フロントウィンドウに設置するカメラに加え、車体前後に中距離レーダーと超音波センサーを搭載。さらに車体の前後と左右のドアミラーで計4個の「360度周辺環境カメラ」を内蔵して自車の周辺環境をチェックする。
これらを使い、従来の「アダプティブクルーズコントロール」と「アクティブレーンアシスト」を統合した「アダプティブクルーズアシスト」をはじめ、死角位置を並走する車両を検出して知らせる「アウディサイドアシスト」、後方から接近してくる車両や自転車などをセンサーで監視する「エグジットワーニング」といった多彩な機能を採用している。
主要諸元(Q4 45 e-tron advansed・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,590×1,865×1,630mm
ホイールベース 2,765mm
最低地上高 165mm
車両重量 2120kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/5リンク式マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 前235/55R19/後255/50R19
(電動機・モーター)
型式 EDF
定格出力 89kW
最高出力 210kW
最大トルク 545Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 352V
総電力量 82kWh
一充電走行走行距離 613km
WLTCモード交流電力量消費率 136Wh/km
主要諸元(Q4 Sportback 45 e-tron S line・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,590×1,865×1,600mm
ホイールベース 2,765mm
最低地上高 135mm
車両重量 2120kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/5リンク式マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 前235/50R20/後255/45R20
(電動機・モーター)
型式 EDF
定格出力 89kW
最高出力 210kW
最大トルク 545Nm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 352V
総電力量 82kWh
一充電走行走行距離 613km
WLTCモード交流電力量消費率 136Wh/km
試乗記
関連リンク
アウディ ジャパン
https://www.audi.co.jp/ja/
製品情報(Q4 e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/q4-e-tron/audi_q4-e-tron/
製品情報(Q4 Sportback e-tron)
https://www.audi.co.jp/ja/models/q4-e-tron/audi_q4_sportback_e-tron/
フォルクスワーゲン
「ID.4」
車両価格:514万2000円~648万8000円
モデル紹介
「ID.4」は2022年11月に日本向け仕様が発表されたフォルクスワーゲン初のBEV。車高が高く使い勝手の良好なSUVタイプのボディを持ち、総電力量52.0kWhの駆動用バッテリを搭載する「Lite」と総電力量77.0kWhの駆動用バッテリを搭載する「Pro」の2グレードを用意している。
ID.4ではフォルクスワーゲンが「2050年までのカーボンニュートラル実現」を目標として新たに開発したBEV専用アーキテクチャー「MEB(モジュラー エレクトリックドライブ マトリックス)」をベースに採用。MEBはコンパクトカーからSUV、ミニバンなど多彩な車両設計を可能とする柔軟なプラットフォームで、大容量バッテリを前後アクスル間のアンダーボディに収め、長い航続距離を実現するとともに、ロングホイールベース・ショートオーバーハング化を推し進めたことでボディサイズに対して1クラス上のモデルに匹敵する室内空間を実現。
重量のある駆動用バッテリの配置によって車両の低重心化と前後重量バランスの最適化を実現するほか、モーターを後軸上にレイアウトしたことで、モーターが生み出す大トルクを余すことなくトラクションに変換して後輪から路面に伝え、高効率でダイナミックなドライビングを提供する。
LiteとProはバッテリ容量に加えてモーターのスペックも異なっており、同じ「EBJ型」モーターを使用しつつ、Liteでは最高出力125kW(170PS)/3851-15311rpm、最大トルク310Nm(31.6kgm)/0-3851rpmを発生。一方のProでは最高出力125kW(170PS)/3851-15311rpm、最大トルク310Nm(31.6kgm)/0-4621rpmを発生する。また、一充電走行距離(WLTCモード)はLiteが435km、Proが618kmとなっている。
バッテリは堅牢なアルミニウム製ハウジングで保護され、重大な事故の際は電源がカットされる保護回路が組み込まれている。フロアプレートに組み込まれた冷却水経路により、あらゆる状況で理想的な温度範囲に保つ熱管理システムも搭載。安定した高出力を生み出すほか、急速充電時の充電時間短縮、バッテリの長寿命化などを実現して、8年間、または走行距離16万km走行(どちらか先に到達した方)が経過したあとでもオリジナルの充電容量の70%を維持することが保証されている。
充電能力としては200Vの普通充電とCHAdeMO規格の急速充電に対応。家庭用充電設備などで用意されている6kWの普通充電器を使用した場合、バッテリ残量0%から満充電までに必要な充電時間は52.0kWhバッテリのLiteが約9時間、77.0kWhバッテリのProが約13時間となる。また、90kWの急速充電器では、バッテリ警告灯が点灯してから80%までの充電時間がLiteとProでそれぞれ約40分とされている。
充電状況は充電ポート横のインジケーターや「ドライバーインフォメーションディスプレイ」の表示、さらに新装備である「ID.Light」で示され、車内に入ることなく確認可能となっている。
ID.4に標準装備されるID. Lightは、ダッシュボード前方のフロントウィンドウ下に設置したLEDライトストリップで光のアニメーションを行ない各種情報を通知する新機軸のシステム。前出のバッテリ充電状況のほか、車両の起動と終了を表現する「ウェルカム&グッバイ」、ドアロックの解錠と施錠を通知する「ロック&ロック解除」に加え、運転中にもカーナビによる経路案内中の「右左折ガイド」、急制動時の「緊急ブレーキシグナル」などの通知を、光の色と発光パターンでドライバーが直感的に理解できるよう知らせてくれる。
外観デザインではこれまでにない「力強さ」と「頼もしさ」を表現。「ID.ファミリー」共通のクリーンで流れるような力強さをSUVスタイルのボディに適用し、緩やかで柔らかな変化とシャープでクリーンなエッジが交互に現れる「風によって形作られたようなデザイン」を生み出している。
車両後方に向かってシャープに流れていくボディラインに加え、リアのエアフローを効果的に断ち切るため、大型ルーフスポイラー、立体的な造形のテールランプクラスター、フラットなアンダーボディの後端に設置したディフューザーなど、複数の要素を組み合わせることでCd値0.28を実現。SUVとしては非常に優れた空気抵抗値を達成している。
ライトユニットではフロント・リアともに全車LEDを採用しており、上級グレードのProではマトリックスLEDを採用した「IQ. Light」を標準装備。フロントカメラで前走車や対向車などの存在を検知して、ヘッドライトの配光を最適にコントロールする。リアコンビネーションランプでも複数のLEDストリップを立体的に配置する新しいレイアウトを採用し、個性的なリアビューを造り上げている。
インテリアではシフトセレクターに代わる新装備である「ドライブモードセレクター」を側面に設置したメーターディスプレイや大型センターディスプレイを採用し、近未来的な車内空間を演出。ブラウン色のレザレット表皮をダッシュボード上部、シートのサイドサポート、ドアパネルなどに使い、シルバーのデコラティブパネルをアクセントとして配置している。また、アクセルペダルに「再生マーク」、ブレーキペダルに「一時停止マーク」のアイコンをデザインしたアルミ調ペダルクラスターを全車で標準装備して遊び心を表現している。
MEBアーキテクチャーを採用するID.4では乗員を最優先に考え、キャビンとテクノロジー向けのスペースをまったく新しい方法で分割。従来的なSUVカテゴリーのモデルと比較して1つ上のクラスに相当する広い室内スペースを実現している。さらにクラストップレベルとなるラゲッジスペース容量を備え、リアシートのシートバックを折りたたむことで543Lから1575Lまで拡大できる。
また、最先端の運転支援システムを数多く採用し、よりリラックスして運転できるようにして安全性と快適性を向上。全車でレーンキープアシストシステムの「Lane Assist」、プリクラッシュブレーキシステムの「Front Assist」、レーンチェンジアシストシステムの「Side Assist」、アクティブクルーズコントロールの「ACC(全車速追従機能付)」を標準装備している。
また、Proではシステムの制限内でアクセル操作とブレーキ操作の大部分を実行し、穏やかなステアリング介入を行なって車両が車線の中央を維持するようドライバーをサポートする同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」も標準装備。同じく標準装備の緊急時停車支援システム「Emergency Assist」では、突然の体調不良といった緊急事態でドライバーが車両を操作できなくなった場合に作動して、同一車線内で車両を安全に停止させる。
主要諸元(Lite・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,585×1,850×1,640mm
ホイールベース 2,770mm
最低地上高 -
車両重量 1950kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) ストラット/マルチリンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 235/60R18(前後)
(電動機・モーター)
型式 EBJ
定格出力 70kW
最高出力 125kW(170PS)/3851-15311rpm
最大トルク 310Nm(31.6kgm)/0-3851rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 352V
総電力量 52.0kWh
一充電走行走行距離 435km
WLTCモード交流電力量消費率 132Wh/km
試乗記
関連リンク
フォルクスワーゲン ジャパン
https://www.volkswagen.co.jp/ja.html
製品情報
https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/id4.html
「ID.Buzz」
車両価格:888万9000円~997万9000円
モデル紹介
6月に発表されたBEVミニバン「ID.Buzz」は、フォルクスワーゲンの伝説的モデル“タイプ2”の特徴を継承した「現代版ワーゲンバス」と位置付けられる車両。
“タイプ2”は自由、独立心、エモーショナルで親しみやすいといった、それまでの自動車にはなかった新しい文化や価値観を創造してフォルクスワーゲンのブランドイメージ形成に貢献。現在もフォルクスワーゲンのクラシックモデルを代表するモデルとして、世界中の多くのファンを持つ。そんな“タイプ2”を最新のBEV技術で蘇らせたコンセプトカー「I.D.BUZZ」が2017年のデトロイトモーターショーで初公開され、大きな反響を得たことでID.Buzzとして発売されることになった。
ドイツ・ハノーバーにあるフォルクスワーゲン商用車部門の工場で生産が行なわれ、フォルクスワーゲンのBEV専用アーキテクチャー「MEB(モジュラー エレクトリックドライブ マトリクス)」に基づいて設計されたID.Buzzでは、“タイプ2”のDNAを受け継ぐアイコニックなデザインエレメントを数多く備えている。
ショートオーバーハングのプロポーションやフロントマスクに設置された特大VWロゴ、現代風にアレンジされたクラシカルなスライディングウィンドウなどに加え、ボディを2トーンカラーで色分けするラインの起点にもなっているLEDヘッドライトの下にV字ラインを持つフロントパネルを装着。“タイプ2”のオマージュを採り入れてID.Buzzの外観デザインを個性的なものとしている。
ボディタイプとしては2-2-2のシートレイアウトで、2列目にセパレートシートを設定してセンターウォークスルーが可能な6人乗りの「ノーマルホイールベース仕様」(NWB)と、ホイールベースをNWB比で約250mm延長し、2-3-2のシートレイアウトで7人乗りとなる「ロングホイールベース仕様」(LWB)の2種類をラインアップ。
MEBをベースとしたことでどちらのモデルでもラウンジのように広々とくつろげる車内空間を実現し、乗員の快適性と利便性を高め、スペースを最大限に活用するさまざまなアイデアを投入。LWBの荷室積載量は最大2469Lとなり、脱着可能な3列目シートによって多彩なアレンジが可能となっている。パワースライドドアとパワーテールゲートには「イージー・オープン&クローズ機能」を搭載。両手で荷物を持っているような状態でもドアの開閉が可能となり、乗員の乗り降りや荷物の出し入れが容易になっている。
駆動用バッテリの総電力量はNWBで84kWh、LWBで91kWhとなり、一充電走行距離(WLTCモード)はNWBが524km、LWBが554km。バッテリをフロアに統合する構造によって優れた重量配分と低重心化を実現。さらに空力性能も追及して、Cd値は0.285(欧州仕様)を達成している。140kW~150kWのDC(直流)急速充電に対応して、従来よりも短時間での充電を可能として外出先での利便性を高めている。
駆動系としてはリアアクスルに「ECN型」モーターを搭載して後輪を駆動。全車で最高出力210kW(286PS)/3581-6500rpm、最大トルク560Nm(57.1kgm)/0-3581rpmを発生。力強く快適な走りを実現する。
先進装備では、システムの制限内でアクセルとブレーキの大部分を操作して、穏やかなステアリング介入によって車両が車線の中央を維持するようドライバーをサポートする同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」や、クルマや歩行者、自転車などを検知してプリクラッシュブレーキを働かせ、衝突被害の軽減や回避を図る「Front Assist」などの運転支援システムを標準装備している。
主要諸元(Pro・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,715×1,985×1,925mm
ホイールベース 2,990mm
最低地上高 -
車両重量 2550kg
乗車定員 6人
サスペンション(前後) ストラット/4リンク
駆動方式 後輪駆動
タイヤサイズ 前235/55R19/後255/50R19
(電動機・モーター)
型式 ECN
定格出力 89kW
最高出力 210kW(286PS)/3581-6500rpm
最大トルク 560Nm(57.1kgm)/0-3581rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 353V
総電力量 84kWh
一充電走行走行距離 524km
WLTCモード交流電力量消費率 168Wh/km
試乗記
関連リンク
フォルクスワーゲン ジャパン
https://www.volkswagen.co.jp/ja.html
製品情報
https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/id-buzz.html
ポルシェ
「タイカン/タイカン クロスツーリスモ」
車両価格:1453万円~3144万円(タイカン)
車両価格:1593万円~2335万円(タイカン クロスツーリスモ)
モデル紹介
「タイカン」はポルシェ初のBEV「ミッションE」として2015年のフランクフルトモーターショーで発表された4シータースポーツカー。2018年6月に正式名称としてタイカンの車名が発表され、2021年2月から日本での納車がスタート。また、2012年3月からはオフロードタイプの派生モデル「タイカン クロスツーリスモ」の予約受注も開始され、2つのボディバリエーションを備えるモデルとなっている。
2024年2月には大幅改良モデルが導入され、バッテリ容量の向上と高出力化、高効率化が図られたモーターの採用、最大15kgの軽量化などにより、一充電走行距離(WLTPモード)を35%向上させて最大678kmを実現。すべてのモデルで初期モデルよりも加速性能を高め、装備もさらに充実させている。
外観デザインでは「純粋」「個性的」「時代にとらわれない」というポルシェモデル共通のデザイン要素を継承して具現化。BEVのコンパクトな駆動システムをデザイン面でも生かし、フロントフードをフラット化して低くシャープにした一方、フェンダーアーチは力強く張り出させてポルシェ独自のフォルムを強調している。
フロントマスクには特徴的な4灯グラフィックの「マトリックスLEDヘッドライト」を装着。すべてのライト機能をコンポーネントとしてユニット内に統合し、ライトが浮かんでいるように見える配置としている。フロントバンパーの両サイドには「エアカーテン」と呼ばれる縦型のエアインテークを設定。フロントのタイヤハウス内に走行風を導き、空気をカーテンのように利用することでタイヤハウス内の乱流を抑制して空力特性を高める。
リアでは両サイドのフェンダーを細長い水平ラインのコンビネーションランプで連続させ、中央に「PORSCHE」の文字が立体的なガラスルックで浮かび上がるリアビューでは、美しくボディラインと一体化しつつ、走行状況などに応じて高さを3段階に変化させることが可能な「アダプティブ リアスポイラー」を装備。アクティブな冷却エアインテークや完全にカバーされたアンダーボディなどと合わせて理想的なエアロダイナミクスを生み出し、運転モードに応じた最小限の空気抵抗と最大限の電動パフォーマンスを実現するものとなっている。
最低地上高が20mm高くなるタイカン クロスツーリスモでは、ボディのルーフパネルを後方側まで伸ばし、ラゲッジスペース容量の拡大して後席乗員に広々としたヘッドクリアランスを提供。前後バンパーとサイドスカートを専用デザインとしたほか、前後のフェンダーアーチに樹脂製のホイールアーチモールディングを設定して力強さをアピール。また、オプション設定される「オフロードデザイン パッケージ」を装着すると最低地上高がさらに10mm高まり、サイドスカートやリアディフューザーに「インテグレーテッドオフロードデザインフラップ」が装着されてオフロードテイストが強調される。
センターコンソールからインパネに向けて翼を広げたような形状を与え、前方に向かって緩やかに上昇していくようなコックピットデザインのインテリアでは、無駄を排したシンプルさでスポーツ感覚を強調。一方で運転席前方にある16.8インチ曲面ディスプレイをはじめ、インパネ中央に並ぶ10.9インチ センターディスプレイと8.4インチ ダイレクトタッチコントロール付センターコンソール、助手席前方の10.9インチ フロントパッセンジャーディスプレイ(オプション)などにより、多彩な機能をタッチ操作で調節可能としている。
「マルチファンクション GTスポーツステアリングホイール」では「ドライブモード」の切替スイッチを備えるほか、左側後方に新たに設置されたコントロールレバーを使い、ステアリングを握ったままドライバーアシスタンスシステムを操作できる。
コネクティビティ技術に対応したインフォテイメントシステムの「PCM 6.0(第6世代ポルシェコミュニケーションマネジメント)」では、Apple CarPlayとAndroid Autoを搭載。車両とスマホなどを接続して連携させることも可能になり、安全運転を意識しながら電話機能やアプリ機能などを音声コマンドで操作できる。
このほか、初期モデルではオプション設定となっていた「アンビエントライト」は大幅改良で標準装備に変更され、美しい光の演出で車内空間の雰囲気を彩る。
タイカン クロスツーリスモはBピラーから後方のスペースがタイカンよりも広くなり、ロングドライブでも後席乗員がくつろいで過ごせるようになるほか、ラゲッジスペース容量がタイカンの366~407Lから405~446Lに拡大。リアシートのバックレストを前方に倒したフルラゲッジ状態では最大1212Lまで拡張可能となっている。また、リアシート後方に簡単に収納できる「折りたたみ式ラゲッジコンパートメントカバー」を備えて使い勝手を高める。これに加え、フロントにはそれぞれ81~84Lの「フロントラゲッジコンパートメント」が用意されている。
駆動方式は価格が最も安い「タイカン」がリアアクスルにモーターを搭載して後輪を駆動する2WDとなり、それ以外のモデルは前後アクスルにモーターをそれぞれ搭載して4輪を駆動する2モータータイプの4WDを採用。駆動用バッテリは総電力量89.0kWhの「パフォーマンスバッテリー」と総電力量105.0kWhの「パフォーマンスバッテリープラス」の2種類が用意され、「タイカン」と「タイカン 4」で「パフォーマンスバッテリー」を標準装備。それ以外のモデルは「パフォーマンスバッテリープラス」する。
2WDの「タイカン」では最高出力300kW(408PS)、最大トルク410Nm(ローンチコントロール時)を発生。4WDモデルではグレードによってスペックが異なり、システム総合で最高出力300kW(408PS)~760kW(1034PS)、最大トルク410Nm~1240Nm(ローンチコントロール時)を発生する。
大幅改良で改良型となったPRM(ポルシェ回生マネジメントシステム)では、減速時の最大回生性能を強化。初期型の290kWから30%以上のアップとなる400kWに向上。これまで以上に効率的に走行に使った電気を回収可能として一充電走行距離の向上に寄与している。
シャシーテクノロジーでもポルシェ独自のさまざまな技術を採用してパフォーマンスと快適性を高次元で融合。駆動用バッテリをフロア下に搭載する低重心構造が生み出すハンドリング性能のアドバンテージを、アダプティブエアサスペンションの搭載によってさらに際立たせて快適性とスポーツ性をバランスよく高めた車両挙動を生み出している。
また、電子制御ダンパーシステムの「PASM(ポルシェアクティブサスペンションマネジメント)」を導入してスタビリティをさらに強化。路面状況やドライビングスタイルに応じて各ダンパーの減衰力をタイヤごとに個別に調整。ボディの不必要なピッチングやロールを抑制してフラットライド感を高め、乗員の快適性を向上させる。
車速に応じて後輪を操舵する「リアアクスルステアリング」も搭載。市街地などの低速走行中はステアリング操作とは逆方向に後輪を操舵して小まわりを効かせ、高速走行時にはステアリング操作と同一方向に後輪を動かして、ホイールベースを延長したような走行安定性を実現する。
主要諸元(タイカン・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,965×1,965×1,380mm
ホイールベース 2,900mm
最低地上高 127mm
車両重量 2110kg
乗車定員 -
サスペンション(前後) -
駆動方式 -
タイヤサイズ -
(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 -
最高出力 300kW(408PS)
最大トルク 410Nm(ローンチコントロール時)
(動力用主電池)
種類 -
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 89.0kWh
一充電走行走行距離 -
WLTCモード交流電力量消費率 -
試乗記
関連リンク
ポルシェジャパン株式会社
https://www.porsche.com/japan/jp/
製品情報(タイカン)
https://www.porsche.com/japan/jp/models/taycan/taycan-models/taycan/
製品情報(タイカン クロスツーリスモ)
https://www.porsche.com/japan/jp/models/taycan/taycan-cross-turismo-models/taycan-4-cross-turismo/
「マカン Electric」
車両価格:998万円~1525万円
モデル紹介
「マカン Electric」は2024年1月に、ポルシェのDセグメントSUV「マカン」の2代目モデルとして世界初公開されたモデル。ポルシェジャパンでは2024年7月から導入を開始して、「マカン Electric」「マカン 4 Electric」「マカン 4S Electric」「マカン ターボ Electric」の4グレードをラインアップしている。
ポルシェとアウディが共同開発したBEV向けの新プラットフォーム「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」をポルシェで初めて用いたモデルとなり、タイカンと同様に800Vアーキテクチャーを採用。総電力量100kWhのリチウムイオンバッテリをフロア下に搭載し、最大270kWの急速充電に対応。複合航続距離(WLTPモード)はマカン Electricが641km、マカン ターボ Electricが591kmとなっている。
モーターにはオーバーヒートしにくく、出力を継続的に維持できる「PSM(永久磁石シンクロナスモーター)」を採用し、マカン Electricではリアアクスルのみにモーターを搭載して後輪を駆動。それ以外の3モデルでは前後のアクスルにモーターを配置して4輪を駆動する。
システム出力はマカン Electricが最高出力250kW(340PS)、最大トルク563Nm、マカン 4 Electricが最高出力285kW(387PS)、最大トルク650Nm、マカン 4S Electricが最高出力330kW(448PS)、最大トルク820Nm、マカン ターボ Electricが最高出力430kW(584PS)、最大トルク1130Nmとなる。
走行中にはモーターを使用して最大240kWの電力を制動時に回生。「オンボードACチャージャー」「高電圧ヒーター」「DC/DCコンバーター」という3つのコンポーネントで構成する「IPB(インテグレーテッドパワーボックス)」は、軽量化と省スペース化を実現しながら効率性を強化する。
ボディサイズは全車で4785×1940×1620mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2893mmとなり、外観デザインではボンネットに設定した浅いピッチと力強さを主張するフェンダーにより、静止している状態でもダイナミックな雰囲気を演出。ヘッドライトは4灯式のデイタイムランニングライトを備え、フェンダーまで食い込んで車幅を強調するフラットなアッパーライトユニット、フロントバンパーのやや低い位置に配置され、「マトリックスLEDテクノロジー」もオプション装着できるメインヘッドライトモジュールの2分割で構成する。
ポルシェモデルの特徴であるフライライン(ルーフライン)はフラットなリアウィンドウと一体化。特徴的な「サイドブレード」を備えるフレームレスドアとの組み合わせにより、スタイリッシュでスポーティなフォルムを手に入れている。また、強調されたショルダー部がリアビューに力強い印象を与え、彫刻的な「3Dライトストリップ」の中央にポルシェロゴが配置されている。
流麗なボディフォルムは空力性能の向上にも寄与しており、メインヘッドライトモジュール下の「エアカーテン」と低く構えたフロントバンパーが空気の流れを最適化して、リアでは横方向の「ティアオフエッジ」とルーバー付きディフューザーで空力効率を向上。また、PAA(ポルシェアクティブエアロダイナミクス)ではフロントエアインテークの「アクティブクーリングフラップ」、「フレキシブルカバー」によって完全に密閉されたアンダーボディや「アダプティブリアスポイラー」といったアクティブ&パッシブエレメントを採用し、SUVながらCd値0.25を実現。消費電力を抑制して航続距離を高める効果を発揮する。
PPEを採用したBEV化により、車内スペースはモデルや装備に応じてフロントにある運転席と助手席は従来モデルより28mm低く、リアシートは15mm低くなり、足下スペースが増加している。インテリアでは大きなウィンドウによってキャビンの明るさと開放感を強調しつつ、センターコンソールがせり上がっていくデザインにより、車高が低くパフォーマンス重視のポジションという印象を高める。
曲面デザインの12.6インチ自立型インストルメントクラスターと10.9インチセンターディスプレイ、助手席前方にオプション装着可能な10.9インチの「パッセンジャーディスプレイ」など、最新のデジタルユーザーインターフェースを意欲的に採用して先進性を表現する一方、エアコンの吹き出し口やスイッチ類といったアナログのコントロールエレメントも用意して使い勝手を高めている。また、インパネやドアトリムには「LEDライトストリップ」が組み込まれ、車内演出を行なうアンビエントライトとして利用されるほか、機能的な「コミュニケーションライト」として機能する。状況に応じて、ウェルカム演出や充電プロセスの表示に加え、ドライバーアシスタンスシステムとも連携して車線変更時やドアオープンなどの危険を通知してくれる。
パフォーマンス志向のSUVながら、BEV化で広がった室内空間には日常シーンでの高い実用性を備え、ラゲッジスペースも拡大している。モデルや装備に応じて、リアシート後方のラゲッジスペース容量は480~540Lとなり、さらにボンネット下に「フランク」と呼ばれる容量84Lのセカンドラゲッジコンパートメントも用意されている。また、リアシートの背もたれを完全に倒すとラゲッジスペース容量は最大1348Lまで拡大して、最大2000kgのけん引性能もマカン Electricの実用性をさらに高めるものとなる。
SUVであるマカン Electricでもポルシェらしいドライビングダイナミクスと特徴的なステアリングフィーリングに焦点を当てて開発を実施。前後サスペンションに5リンク式を採用する足まわりでは、マカン ターボ Electricで「アダプティブエアサスペンション」、そのほかのモデルでスチールスプリング&ダンパーをショップアブソーバーに採用。アダプティブエアサスペンションでは電子制御ダンピングコントロールの「PASM(ポルシェアクティブサスペンションマネジメント)」を装備して、新型の2バルブダンパー技術を採用し、より広範なダンパーマップで快適性とパフォーマンスの使い分けが可能となっている。また、PASMはスチールスプリングサスペンションにもオプション設定されている。
ミッドサイズモデルとしては初めて最大操舵角5度の「リアアクスルステアリング」をオプション設定して、市街地走行や駐車時に通常の12.1mよりもコンパクトな11.1mの旋回直径を実現して使い勝手を高め、同時に定評ある精確なフロントアクスルステアリングによって高速走行時の卓越した走行安定性を可能とする。
4WDでは前後2つのモーターをパワーエレクトロニクスでほぼリアルタイムに制御。「ePTM(電子制御ポルシェトラクションマネージメント)」は従来の4WDシステムの約5倍の速さで作動し、10ミリ秒以内にタイヤのスリップに対応。さらに4WDのトルク配分は選択されたドライビングプログラムに応じて制御され、リアアクスルの電子制御式ディファレンシャルロック「PTV Plus(ポルシェトルクベクトリングプラス)」もトラクション性能や走行安定性、横方向のダイナミクスに貢献している。
主要諸元(マカン Electric・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,784×1,938×1,623mm
ホイールベース 2,893mm
最低地上高 185mm
車両重量 2295kg
乗車定員 -
サスペンション(前後) -
駆動方式 -
タイヤサイズ -
(電動機・モーター)
型式 -
定格出力 -
最高出力 300kW(408PS)
最大トルク 410Nm(ローンチコントロール時)
(動力用主電池)
種類 -
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 -
総電力量 100.0kWh
一充電走行走行距離 -
WLTCモード交流電力量消費率 -
MINI
「MINI クーパー E」
車両価格:495万円~616万円
モデル紹介
3ドアのプレミアムコンパクトモデル「MINI クーパー」のBEVは、2024年3月から日本導入がスタートした4代目MINIのラインアップモデルとして登場。通常モデルの「クーパー E」と「クーパー SE」に加え、2025年2月にハイパフォーマンスモデルの「ジョン・クーパー・ワークス E」が発売されて3モデル展開となっている。
外観デザインは基本的にガソリンエンジン搭載モデルと共通したものになり、歴代MINIのDNAを継承しつつ、ミニマルな新しいデザインに刷新して新世代モデルであることをアピール。BEVでは重要なものだけを残したクリーンなサーフェスを特徴としてデザインの細部を調整。ホイールアーチの加飾を廃し、ルーフ後方のロッドアンテナをフィンアンテナに変更。ドアのアウターハンドルをグリップ形状からフラッシュサーフェイス化してエアロダイナミクスをさらに追求。航続距離の向上を図っている。
“MINIらしさ”をアイコニックに象徴するフロントマスクでは、クラシカルな丸型ヘッドライトを新形状に改め、大きく際立たせたフロントグリルにも複雑な八角形の輪郭を与えている。
丸型ヘッドライトは「アダプティブLEDヘッドライト」となり、ステアリング操作に連動して進行方向を照らす「コーナリング・ライト」、対向車などを検知してハイビームとロービームを切り替える「ハイビーム・アシスタント」などを標準装備。さらに、3種類からカスタマイズ可能な「LEDシグニチャー・ライト」機能をヘッドライトとリアコンビネーションランプで採用。さらにヘッドライトとリアコンビネーションランプはスマートキーを持った人が車両に近付いたり離れたりしたときに点滅して車両がコミュニケーションする「Welcome/Good-byeライト」も備え、光の演出で新世代の“MINIらしさ”を表現している。
ジョン・クーパー・ワークス Eではフロントグリルに「ハイグロス・ブラック・フレーム」を採用し、グリル内に新デザインの「JCWチェッカー・フラッグ」エンブレムを装着。迫力あるフロントリップ形状が与えられ、フロントバンパーやドアミラーに「チリ・レッド」のアクセントを設定。さらに耐光性、耐候性に優れたソリッドカラーのブラック、またはレッドのボンネット・ストライプを標準装備して精悍さを高めている。
温かく広々としたインテリアでは、一方で完全なデジタル化を実施。ステアリングの先に配置されていたメーターパネルは廃止され、運転に必要な情報はすべてヘッドアップディスプレイに表示されて確認可能。さまざまなものを削ぎ落としつつ、巧みにデザインされた高品質なコンポーネントによって前方視界を広げ、広さ感のあるキャビンを実現している。
緩やかなカーブを描くダッシュボードにはファブリック生地を思わせる新しい素材を初めて採用。リサイクルポリエステルを使用するこの新素材は特別に開発された編み物を編み上げるような製造プロセスで製造され、簡単に手入れができる構造になっており、インテリアに温かな雰囲気を与えてくれる。
インパネ中央には有機ELテクノロジーを採用する直径240mmという大型の「円形センター・ディスプレイ」を全車標準装備。最適化された高感度タッチ機能を備え、メインメニューには各種機能をウィジェットとして横並びに配置して、スマホのようなタッチやスワイプで直感的に操作できる。メーターパネルとしての機能に加え、AR機能付きナビゲーションシステム、各種メディア再生、ハンズフリーフォン、空調設定、各種設定といった多彩な機能を一手に担う存在となっている。
また、円形センター・ディスプレイではAI技術を活用する「MINIインテリジェント・パーソナル・アシスタント」も利用可能。「Hey MINI(ヘイ・ミニ)」と呼びかける、またはステアリングのトークボタンを押すことで起動して、ナビゲーションやハンズフリーフォン、ラジオ、空調設定といった主要機能の音声操作が可能。AIを活用してより自然な会話に近い言葉に対応し、ドライバーの指示や質問を理解して適切な機能やサービスを起動するほか、使用頻度に応じてドライバーの好みを学習していき、長く使い続けることでドライブにおける真のパートナーとして成長していくよう設計されている。
このほか、インテリアの雰囲気は全車標準装備の「MINIエクスペリエンス・モード」を利用して一変させることが可能。光のパターンとアンビエントイルミネーション、新たに制作された「MINIドライビング・サウンド」の演出でインテリア全体の印象を変化させるMINIエクスペリエンス・モードでは、最大7パターンの光のグラフィックを用意。「パーソナルモード」ではお気に入りの画像をディスプレイの背景に設定し、「ビビッドモード」を設定すると、オーディオで再生している音楽のカバーアートの色に合わせたライトエフェクトを25色から自動選定してダッシュボード上に投影して、新たな没入感のあるユーザー体験が味わえるようになっている。
ジョン・クーパー・ワークス Eではリサイクルポリエステルを使用するダッシュボードが専用カラースキームに合わせたブラックとレッドのデザインパターンに変更され、Eブースト・パドル付きの「JCWスポーツ・ステアリング」を装着。フロントシートはレッドステッチを備えるブラックベスキンの「JCWスポーツ・シート」となり、JCWライト・グラフィック付き「パノラマ・ガラス・サンルーフ」やHarman/Kardon製「HiFiラウド・スピーカー・システム」も標準装備している。
電動パワートレーンではそれぞれ2種類のモーターとバッテリ総電力量を用意。全車で前輪を駆動するモーターは、クーパー Eとクーパー SEで「HC0001N0型」、ジョン・クーパー・ワークス Eで「HC0002N0型」を搭載。スペックはそれぞれで異なり、クーパー Eは最高出力135kW(184PS)/5000rpm、最大トルク290Nm/1000-4000rpm、クーパー SEは最高出力160kW(218PS)/7000rpm、最大トルク330Nm/1000-4500rpm、ジョン・クーパー・ワークス Eは最高出力190kW(258PS)/5000rpm、最大トルク350Nm/50-5000rpmを発生する。
また、ジョン・クーパー・ワークス Eには停止状態からの発進や高速道路の合流など、より大きなパワーが必要となるシーンでの利用を想定した「Eブースト機能」を採用。ステアリングホイールに備えるパドル操作で作動して、最高出力を10秒間だけ約20kW上乗せする。
フロア下に搭載する駆動用バッテリの総電力量はクーパー Eが40.7kWh、クーパー SEとジョン・クーパー・ワークス Eが54.2kWhで、一充電走行距離(WLTCモード)はクーパー Eが344km、クーパー SEが446km、ジョン・クーパー・ワークス Eが421kmとなる。このほか、車載する駆動用バッテリに蓄えている電力を外部に給電する「V2H」「V2L」に全車で対応。BEVの魅力を走り以外の面でもアピールする。
走行性能では歴代MINIで培ってきた“ゴーカート・フィーリング”を継承しつつ、駆動用バッテリをフロア下に搭載する低重心設計と低回転から発生するモーターの強力なトルクによってかつてないパフォーマンスを実現。
ジョン・クーパー・ワークス Eでは専用チューニングが施された「JCWスポーツ・サスペンション」を標準装備。特別に調整されたスプリング&ダンパーに加え、スタビライザーを装着して最適な安定性を保証しつつ、前輪のキャンバー角を大きくしてハンドリング性能を向上。スポーツタイヤも標準装備してコーナーリング時のグリップ性能を高め、正確なハンドリングと卓越したレスポンスを実現している。
このほか、通常より1インチアップの「JCW専用ホイール」、レッド塗装を施したキャリパーを採用する「JCW専用スポーツ・ブレーキ」などの専用装備も装着してドライビング・ダイナミクスを磨き上げ、あらゆる路面での走行安定性を確保し、サーキット走行でも優れた運動性能を発揮する。
機能面でも大幅な刷新を行ない、とくに安全機能と運転支援システムに注力。高性能カメラ&レーダーを備え、高性能プロセッサーを採用して高い解析能力を得たことより、精度と正確性が向上した先進安全機能の「ドライビング・アシスト」では、「DCC/クルーズ・コントロール」「レーン・キーピング・アシスト」「レーン・チェンジ・ウォーニング(車線変更警告システム)」「レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)」「衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリング付)」「クロス・トラフィック・ウォーニング(リア)」などを全車で標準装備して安全機能を強化。
同じく全車標準装備となる「パーキング・アシスタント」には並列&縦列駐車を容易にする「パーキング・アシスト機能」に加え、車両が35km/h以下で前進した直前のルートを最大50mまで記憶して、同じルートを正確に逆走できる「リバース・アシスト機能」も採用。さらに鮮明なカメラ画像を円形センター・ディスプレイに表示して車両の周辺状況を確認できる「サラウンド・ビュー機能」や「ペダル踏み間違い急発進抑制機能」も搭載し、利便性と安全性を高めている。
主要諸元(3ドア E・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 3,860×1,755×1,460mm
ホイールベース 2,525mm
最低地上高 124mm
車両重量 1560kg
乗車定員 4人
サスペンション(前後) -
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 205/50R17(前後)
(電動機・モーター)
型式 HC0001N0
定格出力 55kW(75PS)
最高出力 135kW(184PS)/5000rpm
最大トルク 290Nm/1000-4000rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 323V
総電力量 40.7kWh
一充電走行走行距離 344km
WLTCモード交流電力量消費率 125Wh/km
試乗記
「MINI エースマン E」
車両価格:513万円~641万円
モデル紹介
2024年6月に発売された「MINI エースマン」はMINIブランドで唯一となるBEV専用モデル。5ドアハッチバックのクロスオーバースタイルを採用する5人乗り仕様で、3ドアのMINIと同じく通常モデルの「エースマン E」と「エースマン SE」に加え、2025年2月にハイパフォーマンスモデルの「ジョン・クーパー・ワークス エースマン E」が発売されて3モデル展開となっている。
外観デザインでは歴代MINIのDNAを継承しつつ、新世代モデルであることを象徴するミニマルなデザインを採用。重要なものだけを残すクリーンなサーフェスを実現するため、ボンネットスクープやサイドスカットル、ロッドアンテナなどを廃止して、フラッシュサーフェイスなドアハンドルやフィンアンテナを採用している。
フロントマスクでは新しくデザインされた多角形ヘッドライトを採用し、複雑な八角形の輪郭を持つフロントグリルとの組み合わせで印象を際立たせている。ヘッドライトは「アダプティブLEDヘッドライト」となり、ステアリング操作に連動して進行方向を照らす「コーナリング・ライト」、対向車などを検知してハイビームとロービームを切り替える「ハイビーム・アシスタント」などを標準装備。
さらに、3種類からカスタマイズ可能な「LEDシグニチャー・ライト」機能をヘッドライトとリアコンビネーションランプで採用。さらにヘッドライトとリアコンビネーションランプはスマートキーを持った人が車両に近付いたり離れたりしたときに点滅して車両がコミュニケーションする「Welcome/Good-byeライト」も備え、光の演出で新世代の“MINIらしさ”を表現する。
このほか、前後バンパーの中央部分にメタリック塗装を施し、前後バンパーの下側とサイドシル、前後ドアの下側とフェンダーアーチに樹脂ガードを備え、ルーフ上にルーフレールを設置してクロスオーバーらしいアクティブな雰囲気を演出している。
ジョン・クーパー・ワークス エースマン Eではフロントグリルに「ハイグロス・ブラック・フレーム」を採用し、グリル内に新デザインの「JCWチェッカー・フラッグ」エンブレムを装着。空気抵抗を大幅に抑制するフロントバンパーとダウンフォースを生み出すリアスポイラーが与えられ、ブラック&シルバー塗装の19インチホイールにレッドアクセントを設定。さらに耐光性、耐候性に優れたソリッドカラーのブラック、またはレッドのスポーツ・ストライプを標準装備して精悍さを高めている。
インテリアではすっきりとした水平基調のインパネデザインで広さ感を高め、中央に有機ELテクノロジーを採用する大きな「円形センター・ディスプレイ」を設定する一方、ステアリング前方からメーターパネルを排除。運転に必要な情報をヘッドアップディスプレイに表示するスタイルを採用している。
ダッシュボードでもドアトリムと同じようにファブリック生地を思わせる新しい素材を使った「2Dニット・ダッシュボード」を採用。リサイクルポリエステルを使用するこの新素材は特別に開発された編み物を編み上げるような製造プロセスで製造され、簡単に手入れができる構造になっており、多彩なデザインオプションにも対応してインテリアにソフトな雰囲気を与える。
円形センター・ディスプレイは最適化された高感度タッチ機能を備え、メインメニューには各種機能をウィジェットとして横並びに配置してスマホのようにタッチやスワイプで直感的に操作できる。メーターパネルとしての機能に加え、AR機能付きナビゲーションシステム、各種メディア再生、ハンズフリーフォン、空調設定、各種設定といった多彩な機能を一手に担う存在となっている。
さらに円形センター・ディスプレイではAI技術を活用する「MINIインテリジェント・パーソナル・アシスタント」も利用可能。「Hey MINI(ヘイ・ミニ)」と呼びかける、またはステアリングのトークボタンを押すことで起動して、ナビゲーションやハンズフリーフォン、ラジオ、空調設定といった主要機能の音声操作が可能。AIを活用してより自然な会話に近い言葉に対応し、ドライバーの指示や質問を理解して適切な機能やサービスを起動するほか、使用頻度に応じてドライバーの好みを学習していき、長く使い続けることでドライブにおける真のパートナーとして成長していくよう設計されている。
このほか、インテリアの雰囲気は全車標準装備の「MINIエクスペリエンス・モード」を利用して一変させることが可能。光のパターンとアンビエントイルミネーション、新たに制作された「MINIドライビング・サウンド」の演出でインテリア全体の印象を変化させるMINIエクスペリエンス・モードでは、最大8パターンの光のグラフィックを用意。「パーソナルモード」ではお気に入りの画像をディスプレイの背景に設定し、「ビビッドモード」を設定すると、オーディオで再生している音楽のカバーアートの色に合わせたライトエフェクトを25色から自動選定してダッシュボード上に投影して、新たな没入感のあるユーザー体験が味わえるようになっている。
ジョン・クーパー・ワークス エースマン Eのインテリアでは2Dニット・ダッシュボードが専用カラースキームとなり、ブラックとレッドのチェッカーパターンに変化。装備品ではEブースト・パドル付きの「JCWスポーツ・ステアリング」を備え、フロントシートはレッドステッチが施されたブラックベスキンの「JCWスポーツ・シート」となり、JCWライト・グラフィック付き「パノラマ・ガラス・サンルーフ」やHarman/Kardon製「HiFiラウド・スピーカー・システム」も標準装備している。
電動パワートレーンではそれぞれ2種類のモーターとバッテリ総電力量を用意。全車で前輪を駆動するモーターは、エースマン Eで「HC0001N0型」、エースマン SEとジョン・クーパー・ワークス エースマン Eで「HC0002N0型」を搭載。スペックはそれぞれで異なり、エースマン Eは最高出力135kW(184PS)/5000rpm、最大トルク290Nm/1000-4000rpm、エースマン SEは最高出力160kW(218PS)/7000rpm、最大トルク330Nm/50-4500rpm、ジョン・クーパー・ワークス エースマン Eは最高出力190kW(258PS)/5000rpm、最大トルク350Nm/50-5000rpmを発生する。
また、ジョン・クーパー・ワークス エースマン Eには停止状態からの発進や高速道路の合流など、より大きなパワーが必要となるシーンでの利用を想定した「Eブースト機能」を採用。ステアリングホイールに備えるパドル操作で作動して、最高出力を10秒間だけ約20kW上乗せする。
フロア下に搭載する駆動用バッテリの総電力量はエースマン Eが42.5kWh、エースマン SEとジョン・クーパー・ワークス エースマン Eが54.2kWhで、一充電走行距離(WLTCモード)はエースマン Eが327km、エースマン SEが414km、ジョン・クーパー・ワークス エースマン Eが403kmとなる。このほか、車載する駆動用バッテリに蓄えている電力を外部に給電する「V2H」「V2L」に全車で対応。BEVの魅力を走り以外の面でもアピールする。
MINI エースマンでも歴代MINIで培ってきた“ゴーカート・フィーリング”を感じさせるスポーティな走りを実現するシャシーシステムを採用。アクセルペダルの踏み込みに対するモーターの反応を高め、駆動用バッテリをフロア下に搭載する低重心設計よって高いパフォーマンスを実現。乗り心地でも完成度を引き上げ、乗員に快適なドライビングを提供する。
ジョン・クーパー・ワークス エースマン Eでは専用チューニングの「JCWスポーツ・サスペンション」を標準装備。特別に調整されたスプリング&ダンパーに加え、スタビライザーの装着で最適な安定性を保証しつつ、前輪のキャンバー角を大きくしてハンドリング性能を向上。スポーツタイヤも標準装備してコーナーリング時のグリップ性能を高め、正確なハンドリングと卓越したレスポンスを実現している。
このほか、通常より1インチアップとなる19インチの「JCW専用ストライプ・スポークホイール」、レッド塗装を施したキャリパーを採用する「JCW専用スポーツ・ブレーキ」などの専用装備も装着してドライビング・ダイナミクスを磨き上げ、あらゆる路面での走行安定性を確保し、サーキット走行でも優れた運動性能を発揮する。
機能面も大幅に刷新され、とくに安全機能と運転支援システムに注力。高性能カメラ&レーダーを備え、高性能プロセッサーを採用して高い解析能力を得たことより、精度と正確性が向上した先進安全機能の「ドライビング・アシスト」では、「DCC/クルーズ・コントロール」「レーン・キーピング・アシスト」「レーン・チェンジ・ウォーニング(車線変更警告システム)」「レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)」「衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリング付)」「クロス・トラフィック・ウォーニング(リア)」などを全車で標準装備して安全機能を強化。
同じく全車標準装備となる「パーキング・アシスタント・プラス」には、並列&縦列駐車を容易にする「パーキング・アシスト機能」に加え、車両が35km/h以下で前進した直前のルートを最大50mまで記憶して、同じルートを正確に逆走できる「リバース・アシスト機能」も採用。さらに鮮明なカメラ画像を円形センター・ディスプレイに表示して車両の周辺状況を確認できる「サラウンド・ビュー機能」や「ペダル踏み間違い急発進抑制機能」も搭載し、利便性と安全性を高めている。
主要諸元(E・2WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,080×1,755×1,515mm
ホイールベース 2,605mm
最低地上高 142mm
車両重量 1670kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) -
駆動方式 前輪駆動
タイヤサイズ 205/50R17(前後)
(電動機・モーター)
型式 HC0001N0
定格出力 55kW(75PS)
最高出力 135kW(184PS)/5000rpm
最大トルク 290Nm/1000-4000rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 337.6V
総電力量 42.5kWh
一充電走行走行距離 327km
WLTCモード交流電力量消費率 140Wh/km
「MINI カントリーマン E」
車両価格:599万円~672万円
モデル紹介
MINIブランドのプレミアムコンパクトSUV「MINI カントリーマン」シリーズのBEVモデルは、2023年11月に登場した3代目MINI カントリーマンのラインアップモデルとして2024年3月に発売。ラインアップでは前輪駆動の「カントリーマン E」、4輪駆動の「カントリーマン SE ALL4」の2種類を用意している。
両モデルで総電力量66.5kWhの駆動用バッテリをフロア下に搭載。カントリーマン Eでは「HB0003N0型」モーターを採用し、最高出力150kW(204PS)/8000rpm、最大トルク250Nm/0-5200rpmを発生。カントリーマン SE ALL4ではフロントに「HB0001N0型」、リアに「HB0002N0型」のモーターを搭載し、前後のモーターそれぞれで最高出力140kW(190PS)/8000rpm、最大トルク247Nm/0-4900rpmを発生して、システムトータルでは最高出力225kW(306PS)、最大トルク494Nmのスペックとなる。また、WLTCモードの一充電走行距離はカントリーマン Eが482km、カントリーマン SE ALL4が451kmとなっている。
外観デザインではソフトなボリューム感と正確に削り取られたエッジの組み合わせが特徴となり、LEDヘッドライトを縁取る「デイタイム・ランニング・ライト」をエッジを効かせた多角形スタイルに変更したほか、複雑な輪郭を描く八角形のフロントグリルと組み合わせてフロントマスクにグラフィカルな印象を与えている。
車体側面ではミニマルなデザインの中に力強い存在感を与えるため、特徴的なCピラーデザインを採用。ルーフ同色に塗装されたパネルは車両後方のルーフラインをデザイン的に支え、車体全体に垂直方向の存在感を印象付ける。さらにブラックルーフレールを装備することで引き締まった印象を強調。リアビューでは幾何学的なデザインを採用する縦型リアコンビネーションランプを備え、水平ラインによるワイドなスタンスと直立的な力強さを組み合わせて存在感を高めている。
車内ではシンプルな面構成のダッシュボードによってクリーンさとSUVらしい力強さを演出。フロントのシート幅と合わせた縦型のエアコン吹き出し口も特徴的なデザインフレーバーとなっている。ダッシュボード表面にはファブリック生地を思わせる新しい素材を初採用。編み物を編み上げるような製造プロセスで製造されるこの新素材はにリサイクルポリエステルが使用され、インテリアに温かな雰囲気を与えてくれる。
前方視界を広げて広々とした室内空間を実現させるため、通常はステアリング前方に配置されるメーターパネルが廃止され、運転に必要な情報はすべてヘッドアップディスプレイ、またはインパネ中央に設置されている有機ELパネルを採用して直径240mmという大型サイズを実現した「円形センター・ディスプレイ」に表示される。
全車標準装備の円形センター・ディスプレイは最適化された高感度タッチ機能を備え、メインメニューには各種機能をウィジェットとして横並びで配置して、スマホのようにタッチやスワイプで直感的に操作できる。メーターパネルとしての機能に加え、AR機能付きナビゲーションシステム、各種メディア再生、ハンズフリーフォン、空調設定、各種設定といった多彩な機能を一手に担う存在となっている。
さらに円形センター・ディスプレイではAI技術を活用する「MINIインテリジェント・パーソナル・アシスタント」も利用可能。「Hey MINI(ヘイ・ミニ)」と呼びかける、またはステアリングのトークボタンを押すことで起動して、ナビゲーションやハンズフリーフォン、ラジオ、空調設定といった主要機能の音声操作が可能。AIを活用してより自然な会話に近い言葉に対応し、ドライバーの指示や質問を理解して適切な機能やサービスを起動するほか、使用頻度に応じてドライバーの好みを学習していき、長く使い続けることでドライブにおける真のパートナーとして成長していくよう設計されている。
従来モデルのセンターコンソールに配置されていたシフトセレクターやパーキングブレーキのスイッチ、スタート&ストップボタンなどのスイッチ類はすべて円形センター・ディスプレイ下にある「トグルスイッチ・エリア」に集約。フロントシート周辺の空間を広げ、モダンでスタイリッシュな雰囲気を演出している。
このほか、インテリアの雰囲気は全車標準装備の「MINIエクスペリエンス・モード」を使って変化させることが可能。光のパターンとアンビエントイルミネーション、新たに制作された「MINIドライビング・サウンド」の演出でインテリア全体の印象を変化させるMINIエクスペリエンス・モードでは、最大7パターンの光のグラフィックを用意。「パーソナルモード」ではお気に入りの画像をディスプレイの背景に設定し、「ビビッドモード」を設定すると、オーディオで再生している音楽のカバーアートの色に合わせたライトエフェクトを25色から自動選定してダッシュボード上に投影して、新たな没入感のあるユーザー体験が味わえるようになっている。
ADAS(先進運転支援システム)ではMINIモデルとして初めて「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を搭載。高速道路で60km/h以下で走行する渋滞時にドライバーの運転負荷を軽減して安全運転に寄与するこの機能では、ドライバーが前方を注視しつつ、周囲の交通状況や車両の状態などの必要に応じてステアリング操作を確実に再開できる場合、「アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)」に加えてステアリングから手を離したままの走行を可能とする。
このほかにも高性能カメラ&レーダーを備え、高性能プロセッサーを採用して高い解析能力を得たことより、精度と正確性が向上した先進安全機能の「ドライビング・アシスト」では、「アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)」「レーン・キーピング・アシスト」「レーン・チェンジ・ウォーニング(車線変更警告システム)」「レーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)」「衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリング付)」「クロス・トラフィック・ウォーニング(フロント&リア)」などを全車で標準装備している。
同じく全車標準装備となる「パーキング・アシスタント・プラス」には、並列&縦列駐車を容易にする「パーキング・アシスト機能」に加え、車両が35km/h以下で前進した直前のルートを最大50mまで記憶して、同じルートを正確に逆走できる「リバース・アシスト機能」も採用。さらに鮮明なカメラ画像を円形センター・ディスプレイに表示して車両の周辺状況を確認できる「サラウンド・ビュー・システム」や「ペダル踏み間違い急発進抑制機能」も搭載し、利便性と安全性を高めている。
主要諸元(SE ALL4・4WD)
(ボディ寸法ほか)
全長×全幅×全高 4,445×1,845×1,640mm
ホイールベース 2,690mm
最低地上高 171mm
車両重量 1890kg
乗車定員 5人
サスペンション(前後) -
駆動方式 4輪駆動
タイヤサイズ 225/55R18(前後)
(電動機・モーター)
型式 HB0001N0/HB0002N0
定格出力 前55kW(75PS)/後55kW(75PS)
最高出力 前140kW(190PS)/8000rpm/後140kW(190PS)/8000rpm
最大トルク 前247Nm/0-4900rpm/後247Nm/0-4900rpm
(動力用主電池)
種類 リチウムイオン電池
電圧 -
容量 -
個数 -
総電圧 286.3V
総電力量 66.5kWh
一充電走行走行距離 451km
WLTCモード交流電力量消費率 162Wh/km

































































































































































































































































































































































































































































